執筆者・監修者:薬剤師
「暑くなってくるとベビーカーの子どもの顔が真っ赤になる」
「夏はちょっと外に出るだけで、子どもの体が熱くなって不安」といった悩みはありませんか?
急に暑くなると気になるのが『熱中症』。実は、子どもは大人よりも熱中症になりやすいので保護者は大変ですよね。子どもは体温調節機能が未熟なために、気温がそれほど高くなくても熱中症になるリスクがあります。遊びに夢中になって水分補給を忘れたり、嫌がったり、暑さに気づきにくかったりすることも要因の一つです。本記事では、子どもの熱中症の特徴や予防法、万が一の対処法をご紹介いたします。ぜひ参考にしてください。
危険な子どもの熱中症
子どもは、大人に比べて暑さに弱く熱中症になりやすいといわれています。子どもの熱中症は次の3つの理由で起こります。それは、体温調節機能がまだ十分に発達していないこと、地面の熱を受けやすいこと、喉の渇きなどに気づきにくく自分で訴えられないことです。詳しく解説しましょう。
体温調節機能が未発達
熱中症になりやすい1つ目の理由は、体温調節機能が十分に発達していないことが挙げられます。国立成育医療センターの記事によると、特に汗をかく働きが未発達で汗をかき始めるのが遅く、体温が下がるのに時間がかかるので、体に熱がこもりやすく体温が上がりやすくなります。また、体内の水分比率が大人に比べて高いので気温の影響を受けやすいと言えます。更に、気温が肌の表面温度より高くなると、熱を逃がせずに逆に周りの熱を吸収してしまう恐れもあります。
身長が低く、地面の熱を受けやすい
夏の日中は、アスファルトやコンクリートの表面温度が50-60℃程度にまで上がります。そして、夏は照り返しによって地面に近いほど暑くなります。子どもは大人よりも身長が低いので、より暑い位置にいることになるのです。
例えば気温が30℃の時、大人の顔の高さ(約1.5メートル)では30℃前後ですが、子どもの顔の高さでは約38℃、ベビーカーの位置ではそれ以上に高温にさらされることもあります。このように、乳幼児などの子どもは熱中症のリスクが高くなるのです。
喉の渇きや異変に気づきにくい、訴えられない
子どもは、自分の体に起きている変化を言葉でうまく表現できないことがあります。また、自覚がないまま体調を崩しているケースも少なくありません。
例えば、屋外で夢中になって遊んでいると楽しい気持ちが優先されてしまい、喉の渇きや体の不調に気づかないまま過ごしてしまったり、もし異変を自覚しても熱中症への理解が不十分で自分から伝えられない可能性もあります。そのため、保護者や周囲の大人がこまめに様子を観察し、水分補給や塩分補給を促す・異変がないか気にかけるなどの配慮が大切です。
子どもの熱中症チェックリスト
これまで紹介したように子どもは熱中症になりやすく、自ら訴えられないために気づいたときには症状が進んでしまう可能性があります。こども家庭庁は下記7つの症状に注意を呼びかけています。
<1>:めまいや顔のほてり
ふらつき・顔のほてり、腹痛などで現れることがあります。
<2>:筋肉痛や筋肉のけいれん
こむら返りなど足つりや筋肉のけいれんがおきることがあります。
<3>:体のだるさや吐き気
だるさ、吐き気・嘔吐、頭痛などが休憩後にも起こることがあります。
<4>:汗のかきかたがおかしい
汗が止まらない、あるいは汗を全くかいていないなどの異常が起きることがあります。
<5>:体温が高い、皮ふの異常
体温が上がって触ると熱くなっていたり、皮膚が赤く乾燥することがあります。
<6>:呼びかけに反応がない、まっすぐ歩けない
呼びかけに反応せず、応答がおかしい場合など、熱中症の症状が進んでいる可能性があります。すぐに医療機関を受診してください。
<7>:水分補給ができない
ぐったりしていて呼びかけに反応せず、水も飲めない状態のときは危険です。無理に飲ませようとするとむせてしまうこともあるので、すぐに医療機関を受診してください。
これら7つの症状から、保護者がチェックできる「子どもの熱中症チェックリスト」をご紹介します。
体温が高くないか
体を触ってみて熱いと感じる・赤くなっているときは要注意です。経口補水液やスポーツドリンク等ですぐに水分・塩分補給をしたり、首などを冷やしながら、涼しいところで休ませてあげましょう。
顔が赤くなっていないか
顔がほてっているという事は、熱さを感じているという事です。十分に水分・塩分を補給し体を冷やした上で、ふらつきなどが起きていないか確認しましょう。
ぼんやり・ぐったりしていないか
返答がおかしかったり、ぼーっとしたりぐったりしているようだと、熱中症が進んでいる可能性があります。涼しい場所に移動し体を冷やし、水分補給が難しいようであれば救急車を呼びましょう。
暑いのに全く汗をかいていない、または異常な発汗がないか
汗の異常がある場合は熱中症の可能性があります。太い血管を冷やすことで体を冷やし、水分・塩分補給をしたりするなど適切な処置を行いましょう。
嘔吐やめまいがないか
涼しい場所で休憩した後でも嘔吐する場合もあります。十分に確認しましょう。実際に筆者の子どもたちは、外遊びを30分程度した後、十分涼しいところにいたものの嘔吐したことがあります。
痙攣(けいれん)がないか
こむら返りなど、熱中症にともない痙攣がおきる場合があります。
熱中症かも?と思った時は?
熱中症は急に進行して重症化することがあります。迷った場合は救急安心センター事業#7119に連絡したり、救急要請しましょう。体の冷却はできるだけ早く行う必要があり、重症者を救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げることができるかにかかっています。
涼しい場所に移動し、体を冷やす
まず大事なのは、エアコンが効いているなど涼しいところに移動することです。衣類をゆるめて、体の太い血管がある首・わきの下、太ももの付け根などを冷やして体を冷やしましょう。非常時には水を体にかけて濡らすなどして体の表面から冷やすこともあります。日本赤十字社:熱中症にも詳細が載っていますので、参考にしてみてください。
経口補水液を飲ませる
水分と塩分の補給摂取が大切になります。意識がある状態で自分で飲むことができそうであれば、経口補水液などを飲ませましょう。水分だけでなく塩分の補給をすることも重要になります。
痙攣や40度以上の発熱など、危険な状態の場合は救急車を呼ぶ
呼びかけに反応しない、痙攣を起こしている、体温が40度を超えているといった場合は、熱中症の症状が進行している可能性があります。ためらわずに119番通報し救急車を呼びましょう。救急隊を待っている間も、風通しの良い涼しい場所に移し体を冷やし続けることが大切です。全身に水をかけて冷やすといった対応が必要になることもあります。また、嘔吐する可能性もあるため、吐いた物が喉につまらないように体を横向きに寝かせる配慮も必要です。
判断に迷いがある場合は、かかりつけ薬局に相談する
重症ではないため、医療機関に行くか経口補水液を使用して様子をみるかどうかなど、判断に迷うという場合は、かかりつけ薬局に相談してみるのもよいでしょう。症状を伝えることで、薬剤師が適切なアドバイスをしてくれます。
参考までに、LINEの「つながる薬局」というサービスを利用すると、LINEで気軽に薬剤師に健康のことやお薬についての相談ができます。
熱中症の可能性がある場合、風通しの良い涼しいところに体を移して冷やしながら、スマホで薬局・薬剤師に相談ができると心強いです。「つながる薬局」のご利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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