意外と知らない?処方薬と市販薬の違いを徹底解説

お薬

執筆者・監修者:薬剤師

「病院通うの面倒だし、処方薬じゃなくて市販薬でもいいかな」
「処方薬と市販薬って同じ名前なら一緒なのかな」

このように、処方薬と市販薬(OTC医薬品)の違いが今ひとつわからないという方も多いのではないでしょうか。実際に、市販薬によっては処方薬と同じ名前のものもあり、判断できないことも多いですよね。

近頃、コンビニでも市販薬を購入できるようにする法改正案が閣議決定されるなど、市販薬の購入方法の多様化が注目を集めています。そこで今回の記事では、市販薬と処方薬のそれぞれの特徴について分かりやすく解説します。市販薬でも対応できる場合や、医療機関を受診して処方薬をもらった方が良い場合をしっかりと判断できるように、ぜひ参考にしてください。

処方薬(医療用医薬品)とは?

処方薬は医師の診断と処方に基づいて使用される医薬品です。病院やクリニックで診察を受けた後、医師から処方箋を発行してもらい、薬局で調剤してもらう必要があります。症状や体質に合わせて医師の専門的な判断のもとで処方されるため、効果的な治療が期待できます。

処方薬の主な特徴

処方薬を利用するためには、まず医師の診察を受け、処方箋を発行してもらう必要があります。処方薬は患者さん一人ひとりの症状や体質、体重などを考慮して、成分や用量が個別に調整されることが特徴です。

お薬は処方薬・市販薬を問わず、決められた飲み方や量をきちんと守ることがとても大切ですが、特に処方薬は、量だけではなく飲み方も医師が調整してくれることがあるので、指示された通りに飲むことでお薬の効果をしっかり引き出すことができます。自分の判断で飲むのをやめたり、用法用量を変えたりするのは避けましょう。

処方薬のメリット

処方薬の最大のメリットは、医師による専門的な診断に基づいて、患者さんの状態に最も適したお薬が処方される点です。医師と薬剤師によって、症状だけでなく患者さんの既往歴やアレルギー歴、他の服用中のお薬との相互作用なども考慮されます。

また、市販薬と比べて含まれている成分の種類や量が充実しているため、症状の改善や疾患の治療により効果が期待でき、回復までの期間を短縮できる場合が多いです。 例えば市販薬では販売されていない抗生剤の内服薬、強い鎮痛効果を持つ医薬品、ステロイド剤、抗がん剤、精神神経用薬など、より高い効果が期待できる薬剤も処方薬となるため、より充実した治療が可能となります。 

また、処方薬は一般的に健康保険が適用されるため、お薬によっては市販薬よりもお薬代が安くなる場合があります。特に長期的な治療が必要な慢性疾患の場合、経済的な負担軽減は大きなメリットといえるでしょう。慢性疾患の治療で薬を使用する場合は、処方薬では医師による継続的な経過観察が行われるため、効果の判定や副作用のモニタリングが適切に実施されます。必要に応じてお薬の種類や用量の調整、投与期間の設定なども医師の判断で行われるため、より安全で効果的な薬物治療が実現します。 

さらに、処方薬は薬剤師による服薬指導が義務付けられているため、正しい服用方法や注意点について専門家のアドバイスを受けることができます。 特に複数の疾患を持つ高齢者や、複雑な病状の患者さんにとっては、医師と薬剤師による多角的な視点からの薬物療法の管理は、安全性と有効性を確保する上で非常に重要な処方薬のメリットといえるでしょう。

処方薬のデメリット

処方薬を入手するためには、医療機関を受診する必要があり、時間や手間がかかることがデメリットとして挙げられます。特に軽微な症状の場合や、仕事や学校などで忙しい方にとっては、診察の予約や待ち時間、移動時間などの負担が生じます。

また、 医療機関は一般的に平日の日中のみ診療していることが多く、夜間や休日に具合が悪くなった場合には処方薬を入手するのは困難です。医療機関によっては予約が取りにくかったり、混雑していて長時間待たされたりする場合もあるでしょう。さらに、処方箋を受け取った後も、別途薬局に行って調剤してもらう必要があり、ここでも待ち時間が発生します。

医療機関では診察料や処方箋料など、調剤薬局では調剤技術料がかかるため、お薬の内容によっては市販薬よりも費用が高くなる場合もあります。特に初診料や検査費用が加わると、軽い症状であれば市販薬で対応した方が経済的な場合もあるでしょう。

市販薬(OTC医薬品)とは?

市販薬(OTC:Over The Counter)は医師の処方箋がなくても購入できる医薬品です。ドラッグストアや薬局などで手軽に入手でき、軽度な症状や体調不良を自分で手当てするためのものです。用途や症状に合わせて多様な製品があり、日常的な健康管理をサポートする役割を担っています。

市販薬の主な特徴

市販薬には「要指導医薬品」と「一般用医薬品」の2種類があります。要指導医薬品は薬剤師による対面での情報提供と指導が必要なもので、一般用医薬品はさらに第1類から第3類までに分類されます。これらはドラッグストアや薬局、インターネットなどで購入することができ、手軽に入手できる点が特徴です。ただし、第1類については薬剤師による情報提供(説明)が必要となります。

また、安全性を考慮して有効成分の配合量が処方薬よりも抑えられていることが多く、消費者が症状に合わせて自分で薬を選べる自由があります。

市販薬のメリット

市販薬の最大のメリットは、医療機関を受診することなく、いつでも手軽に購入できる点です。仕事や学校で忙しい方でも、夜間や休日であってもドラッグストア、薬局、コンビニエンスストア等で薬を入手することができます。 また、風邪の初期症状や軽度の頭痛、消化不良、アレルギー症状、筋肉痛、軽度の皮膚トラブルなど一般的な不調に対して、病院に行かずとも一定の症状緩和が期待できるため、時間と費用の節約になります。

近年では「セルフメディケーション」(自分自身で健康を管理し、軽度な身体の不調は自分で手当てすること)の重要性が認識されており、その実践ツールとして市販薬が注目されています。厚生労働省も推進するセルフメディケーション税制により、特定の要件を満たす市販薬の購入には税制優遇が適用される場合もあります。 ただし、症状が長引く場合や重篤な場合は、自己判断せず医療機関を受診することが大切です。市販薬はあくまで軽度な症状の緩和や初期対応に適したものであることを理解しておきましょう。

市販薬のデメリット

市販薬は症状を一時的に和らげる対処療法としては有効ですが、根本的な治療にはならない可能性があるというデメリットがあります。症状が長引いたり、繰り返したりする場合は、より深刻な疾患が隠れている可能性もあります。自己判断での服用は、複数のお薬の飲み合わせによる副作用や、自分の症状に合わないお薬を選んでしまうリスクがあります。長期間の連続使用も避けるべきです。

また、花粉症などの慢性疾患を市販薬で継続する場合、健康保険が適用されないため、処方薬よりも費用が高くなってしまうこともあるでしょう。さらに、処方薬と市販薬が同じ名前であったとしても、市販薬は有効成分の配合量が処方薬よりも抑えられていることもあるので注意が必要です。例えば、漢方薬は名前が一緒でも市販薬では成分量が抑えられていることがあります。

迷ったら薬剤師に相談を

お薬の選択や使用に迷った場合は、専門知識を持つ薬剤師に相談することをおすすめします。薬剤師は医薬品のスペシャリストとして、あなたの症状や体質に合った適切なアドバイスを提供できます。健康に関する不安を一人で抱え込まず、気軽に薬局やドラッグストアの薬剤師に相談してみましょう。

適切なお薬選びのアドバイスを受けることができる

薬剤師は医薬品に関する専門的な知識を持っているため、あなたの症状や体質に最も適したお薬を選ぶ手助けをしてくれます。特に、複数の症状がある場合や、すでに他のお薬を服用している場合には、お薬の相互作用や副作用のリスクを考慮した上で、最適な選択をアドバイスしてくれるでしょう。また、お薬の正しい使用方法や服用のタイミング、効果的な使い方についても丁寧に説明してもらえるので、お薬の効果を最大限に引き出すことができます。

医療機関を受診すべきか相談できる

薬剤師は症状の程度や種類によって、市販薬での対応が適切か、それとも医療機関を受診すべきかを判断する知識も持っています。軽度な症状であれば適切な市販薬を紹介してくれますが、より専門的な治療が必要と判断した場合は、医療機関の受診を勧めてくれます。これにより、重大な疾患の早期発見や適切な治療につながる可能性もあるでしょう。薬剤師は医師と患者をつなぐ重要な橋渡し役も担っているのです。

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薬剤師に気軽に相談する方法の一つとして、LINEの「つながる薬局」サービスを活用してみませんか。市販薬で対応できるかどうか、受診して処方薬をもらうべきかどうかなどを知りたいとき、このサービスを利用して気軽に薬局の薬剤師に相談することができます。

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