気づかないうちに進行する蓄積脱水とは?

健康・予防

執筆者:看護師・監修者:薬剤師

「なんだか疲れが取れない」
「頭がぼーっとする」

そんな体の不調、実は蓄積脱水が原因かもしれません。脱水症状というと真夏の屋外や発熱時に急激に起こるものという印象がありますが、実際には日々の生活のなかでじわじわと進行する“見えない脱水”もあるのです。

この記事では、蓄積脱水の特徴や気づきにくい症状、そして毎日の生活の中でできる予防法や、薬局で受けられるサポートについてわかりやすく解説します。特に今年は早い段階から気温が高く、知らないうちに体内の水分バランスが崩れてしまう人が増えているので、ご自身やご家族の健康を守るために、ぜひお役立てください。

蓄積脱水とは?

蓄積脱水は、体内の水分が少しずつ失われていく慢性的な脱水状態を指します。その特徴は以下の通りです。

 急性の脱水とは異なり、少しずつ水分不足が進行
 自覚症状がでにくく、気づきにくい
 高齢者、子ども、忙しい人は要注意

次の項では、各特徴をより詳しく解説していきます。

急性の脱水とは異なり、少しずつ水分不足が進行

脱水症状と聞くと、短時間で一気に体調が悪くなるイメージを持たれるかもしれません。しかし、実は脱水には徐々に進行するタイプもあります。それが「蓄積脱水」です。蓄積脱水は、日々の生活のなかで少しずつ体内の水分が不足していく状態を指します。気づかないうちに体が水分不足に陥り、あるとき突然、脱水による体調不良として表れることがあるのです。

自覚症状が出にくく、気づきにくい

蓄積脱水は自覚症状が乏しく、気づきにくいという特徴があります。喉の渇きがあまり感じられないまま、体のパフォーマンスが少しずつ落ちていくのが特徴です。そのため、「なんとなくだるい」「やる気が出ない」といった症状を疲れや年齢のせいだと思い込んでしまうケースも少なくありません。

高齢者、子ども、忙しい人は要注意

特に注意が必要なのは、体内の水分調節が難しい高齢者や、体が小さく一度に多くの水分を蓄えられない子どもたちです。水分をこまめに摂る必要がある一方で、喉の渇きや体調の変化を感じにくいことも少なくありません。

また、仕事や育児などで忙しくしていると、水分補給を後回しにしてしまいがち。気づいたときには体調を崩していたということもあります。

蓄積脱水のサイン

蓄積脱水は、明確な症状が出にくいため見逃されがちですが、いくつかのサインを知っておくことで早期に気づくことができます。以下のような体調の変化が続く場合は、体内の水分不足が進行している可能性があるため、注意が必要です。

 倦怠感・集中力の低下
 尿の色が濃い・回数が少ない
 口や皮膚の乾燥
 食欲不振・頭痛
 めまい・ふらつき

それぞれ詳しく説明していきます。

倦怠感・集中力の低下

「何となく体が重い」「集中できない」といった漠然とした不調は、実は水分不足によるものかもしれません。脳や筋肉の働きには水分が必要不可欠であり、少しでも足りないとパフォーマンスに影響が出ることもあります。

尿の色が濃い・回数が少ない

脱水のサインとして比較的わかりやすいのが尿の状態です。尿の色が濃くなっていたり、トイレに行く回数が極端に減っていたりする場合は、水分が足りていない可能性があります。

口や皮膚の乾燥

唇がカサカサする、皮膚のつっぱり感がある、という場合も蓄積脱水が疑われます。体内の水分が不足すると、まずは皮膚や粘膜に乾燥が現れやすくなるため、日頃から観察してみると変化に気づきやすくなるでしょう。

食欲不振・頭痛

水分不足が進行すると、胃腸の働きも低下し、食欲がなくなることがあります。また、血流が滞ることで頭痛を感じることも。いずれも見逃されやすいですが、脱水の初期症状として現れることがあります。

めまい・ふらつき

さらに脱水が進むと、血圧が下がり、脳への血流が不足してふらつきやめまいといった症状が出ることもあります。特に立ち上がったときにクラクラするような感覚がある場合は注意が必要です。

すぐに始められる予防法

蓄積脱水を防ぐためには、日常生活の中でのちょっとした心がけが大切です。以下のような習慣を意識することで、体内の水分バランスを保ちやすくなります。

 喉が渇く前に、こまめな水分補給を
 汗を書いた後は意識的に水分+塩分を補給
 一日を通して飲む水分量の目安を知る
 利尿作用のある飲み物を控える
 暑さ対策を徹底

どの方法も、今日からすぐに取り入れられるものなので、ぜひ参考にしてみてください。

喉が渇く前に、こまめな水分補給を

「喉が渇いた」と感じたときには、すでに脱水が始まっている可能性があります。特に朝起きた直後や入浴後、運動後などは、意識的に水分をとるように心がけましょう。少量ずつでも頻繁に飲むことが効果的です。

汗をかいた後は意識的に水分+塩分を補給

汗とともに失われるのは水分だけではありません。ナトリウムなどの電解質も一緒に失われるため、水分だけでなく塩分の補給も重要です。スポーツドリンクや経口補水液を活用するのも良い方法です。

一日を通して飲む水分量の目安を知る

厚生労働省の「健康のため水を飲もう」によると、成人の場合、一日に必要な水分摂取量2.5ℓのうち、飲み水からの摂取量として一日におよそ1.2リットルの摂取が目安とされています。食事からも一部の水分は摂れますが、飲み物としてしっかり補うことが大切です。また、ペットボトルや水筒などで管理すると、摂取量の目安がつかみやすくなります。

利尿作用のある飲み物を控える

コーヒーやアルコールなど、カフェインを含み利尿作用のある飲み物は水分を体外に排出しやすく、脱水を促進する原因となります。水分補給としての飲料は、水や麦茶など、ノンカフェインの飲料をメインにしましょう。

暑さ対策を徹底

室内でも熱がこもると脱水のリスクが高まります。エアコンや扇風機を使って室内環境を適切に保ち、衣類も通気性のよいものを選びましょう。また、外出時は帽子をかぶる、日陰を選ぶなどの工夫も有効です。

薬局で受けられるサポート

蓄積脱水が気になる方や、日頃から体調管理に不安がある方は、薬局でもさまざまなサポートが受けられます。特に以下のような場面では、薬剤師に相談することで、より安心して毎日を過ごすためのヒントが得られるでしょう。

 持病がある方の水分制限の相談や調整の相談
 市販薬を服用する際の水分摂取アドバイス
 利尿作用があるお薬を服用する際のアドバイス

一つずつ解説していきます。

持病がある方の水分制限の確認や調整の相談

腎臓や心臓に持病がある方は、水分摂取に注意が必要なことも。薬局では、こうした持病のある方に対して、主治医と連携しながら適切な水分摂取についてアドバイスを行っています。自己判断で水分を制限せず、相談することが安心につながります。

市販薬を服用する際の水分摂取アドバイス

風邪薬や便秘薬など、市販薬を飲む際にも体内の水分量が十分であることが必要です。水分が足りないとお薬の吸収や効果に影響が出ることもあるため、水分摂取に不安がある場合には薬剤師に相談してアドバイスを得ることで、より安全に服用できるでしょう。

利尿作用があるお薬を服用する際のアドバイス

利尿薬など、排尿を促進するタイプのお薬を使用している方は、脱水のリスクが高くなります。薬局では、服薬状況に応じた水分摂取のアドバイスも可能です。相談の際はぜひお薬手帳を持参して相談してみてください。

まとめ

夏場のなんとなく続く体の不調は、気づかぬうちに進む蓄積脱水の可能性があります。蓄積脱水が起こらないよう、毎日のこまめな水分補給や暑さ対策を行っていきましょう。また、服用中のお薬や体調に不安がある場合は、薬局で薬剤師に相談することも予防につながります。

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