スマホ首が引き起こす慢性不調に要注意!

健康・予防

執筆者・監修者:薬剤師

「なんだか最近、首や肩が重だるい…」

そんなお悩み、もしかすると「スマホ首」が原因かもしれません。長時間スマートフォンを見続けることで、首に大きな負担がかかり、慢性的なコリや痛みを引き起こすことがあります。本記事では、スマホ首のリスクや予防法、毎日手軽にできるストレッチをご紹介します。

スマホ首とは?

スマホやパソコンが生活に欠かせない現代社会において、私たちの首や肩の健康に大きな影響を与えている「スマホ首」。この症状を理解し対策することは、快適な日常生活を送るために重要です。

現代病の一つ

スマホ首は「ストレートネック」とも呼ばれる現代社会特有の健康問題です。本来、首の骨(頸椎)はゆるやかなC字カーブを描いていますが、スマホの長時間使用などにより、このカーブが失われてしまう状態を指します。

最近の調査によると、20代の56%がスマホ首の症状を抱えているとされ、若年層を中心に急増している健康課題です。

スマホ首の状態

正常な頸椎は前方に緩やかなカーブを描いていますが、スマホ首では首の骨の湾曲が直線化します。これにより首の筋肉や靭帯に過度な負担がかかり、さまざまな不調の原因となります。頭部(約5kg)を支える負担が増大し、首や肩の筋肉は常に緊張状態に置かれます。

主な原因

「スマホ首」は以下のような生活習慣によって引き起こされてしまいます。

 スマホの使いすぎによる長時間の俯き姿勢:1日平均3〜4時間以上のスマホ使用で危険性が高まります
 猫背、巻き肩などの悪姿勢の日常化:デスクワークやパソコン作業時の姿勢も影響します
 枕の高さが合っていない:睡眠時の姿勢も頸椎の状態に大きく影響します
 運動不足による筋力低下:首周りの筋肉が弱ると支える力が減少します

スマホ首は日常生活の姿勢や習慣から生じるため、意識的な改善と予防策を取り入れることが大切です。

スマホ首による症状

スマホ首は単なる首の痛みだけでなく、全身の健康状態や日常生活の質にまで影響を及ぼします。症状を正しく理解することで、早期発見・早期対応につなげましょう。

身体的影響

スマホ首によって引き起こされる身体症状は多岐にわたります。

 首・肩のこり、痛み:最も一般的な症状で、肩こりと連動することが多いです
 頭痛、めまい:頸椎(けいつい)の圧迫により血流が悪くなることで発生します
 腕のしびれ、痛み:神経の圧迫により、手先までしびれが広がることも
 目の疲れ、ドライアイ:前かがみの姿勢により瞬きの回数が減少します
 顎関節症:不自然な頭の位置により顎に負担がかかります
 腰痛:姿勢全体のバランスが崩れることで腰にも負担がかかります

このように、スマホ首の影響は首だけでなく全身に広がり、放置すると慢性的な痛みや機能障害に発展する可能性があるため、早めの対策が重要です。

精神的影響

身体症状だけでなく、精神面にも影響を及ぼします

 集中力低下:慢性的な痛みによる注意力散漫
 睡眠障害:首の痛みによる入眠困難や睡眠の質の低下
 イライラ、気分の落ち込み:長期間の不快感によるストレス
 疲労感の増大:常に筋肉が緊張状態にあることでエネルギー消費が増加

身体的な不調が続くことで心の健康も損なわれ、生活の質が全体的に低下するという悪循環を生みやすいため、身体と心の両面からケアすることが大切です。

今日からできる簡単ストレッチ

スマホ首を改善するために、日常的に取り入れられる簡単なストレッチをご紹介します。1日3回、各ポーズ10〜15秒ずつ行うことをおすすめします。

1. 首の後ろ伸ばしストレッチ

 ① 背筋を伸ばして座ります
 ② あごを引くようにして、頭を前に傾けます
 ③ 首の後ろ側に心地よい伸びを感じる位置で10秒キープします

2. 首の横伸ばしストレッチ

 ① 右手を頭の左側に置きます
 ② 右手で軽く頭を右に引っ張り、首の左側を伸ばします
 ③ 10秒キープし、反対側も同様に行います

3. 肩甲骨ほぐしストレッチ

 ① 両腕を胸の前でクロスさせます
 ② 背中を丸めるように前に倒れます
 ③ 肩甲骨周りの伸びを感じながら15秒キープします

4. 胸を開くストレッチ

 ① 両手を後ろで組みます
 ② 胸を前に突き出すように、肩甲骨を寄せます
 ③ 15秒キープし、猫背を改善します

日常生活での予防法

スマホ首は日頃の生活習慣を見直すことで予防することができます。

 スマホ使用時は目線の高さまで持ち上げる
 1時間に1回は首を動かし、姿勢を正す時間を作る
 正しい姿勢でデスクワークを行う(モニターの高さを目線に合わせる)
 適切な高さの枕を使用する
 首や肩の筋肉を強化する軽い筋トレを取り入れる

スマホ首の予防は、正しい知識と日々の小さな努力の積み重ねが鍵となります。上記の予防法を生活に取り入れることで、首への負担を減らしつつ、支える筋肉を強化できます。重要なのは一時的な対策ではなく、継続的な習慣づくりです。

健康な首と肩を維持することは、頭痛や集中力低下などの二次的な問題も防ぎ、日常生活の質を向上させます。「予防は治療に勝る」という言葉通り、症状が現れる前からの対策が最も効果的です。今日からできる小さな変化が、将来の大きな健康トラブルを防ぐことにつながるのです。

薬局で受けられるサポート

スマホ首の症状に悩んでいるとき、実は身近な薬局が頼りになる存在です。薬剤師は医薬品の専門家としてだけでなく、健康相談のプロフェッショナルとしても頼りになります。適切な市販薬の選択から病院受診の判断まで、あなたの状態に合わせた具体的なアドバイスを提供してくれます。
痛みやコリの症状を我慢せず、ぜひ薬局の専門知識を活用してみましょう

症状に合わせた薬の選び方の相談

スマホ首による痛みやこりには、市販の鎮痛消炎剤が一時的な緩和に役立ちます。薬剤師に症状を詳しく伝えることで、あなたに最適な薬を選ぶことができます。

 外用消炎鎮痛剤:湿布、塗り薬、ジェルなど症状が出ている部位や痛みの強さに適した剤形を提案
 内服薬:痛みの強さや全身症状に応じた適切な成分の選択
 筋弛緩作用のある薬:筋肉の緊張を和らげる成分を含む製品の紹介

他の薬との飲み合わせや重複チェック

現在服用中の薬がある場合、薬剤師にそれらの薬との相互作用や成分の重複をチェックしてもらういことができます。

 処方薬と市販薬の成分重複による副作用リスクの回避
 持病(高血圧、糖尿病、胃潰瘍など)がある方への安全な薬の提案
 妊娠中や授乳中の方への適切なアドバイス

受診の必要性のアドバイス

症状の程度によっては、医療機関の受診が必要な場合があります。

 長期間(2週間以上)改善しない痛みがある場合
 腕や手のしびれが強い、または片側だけに症状がある場合
 めまいや頭痛が頻繁に起こる場合
 痛みで睡眠が妨げられる場合

以上のような症状では、薬剤師に相談することで受診すべき病院をアドバイスしてもらうこともできますスマホ首のような日常的な健康課題は、早めの対応と専門家からのアドバイスが重要です。

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薬剤師は、あなたの健康状態を継続的に把握し、日々の健康管理から慢性症状の改善まで、あなたの健康をトータルでサポートします。スマホ首などの不調も、専門家に相談することで適切なセルフケアや治療につなげることができるでしょう。

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