女性ホルモンと健康の深い関係とは?ライフステージ別にケアのポイントを解説

健康・予防

執筆者:看護師・監修者:薬剤師

「最近、体や気分の変化が気になるけれど、これってホルモンバランスの影響?」

そう感じる人も少なくないでしょう。女性の心と体は、ライフステージごとに大きく変化します。その背景にあるのが、女性ホルモン。思春期・妊娠出産期・更年期・高齢期と、それぞれの時期に分泌量やバランスが変わり、体調や気分にも影響を与える重要な存在です。

この記事では、女性ホルモンと健康の関係をステージ別にわかりやすく解説し、医療機関や薬局で受けられるサポートについて紹介します。ぜひ日々をすこやかに過ごすためのヒントにしてくださいね。

女性ホルモンの基礎知識

女性の体と心のリズムを支えるのが「女性ホルモン」です。その中心となるのが、エストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモン。それぞれがどのような働きを持ち、月経周期や体調にどう関わるのかを見ていきましょう。

エストロゲンとプロゲステロンの役割

女性の体には、「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2つの主要なホルモンが存在します。エストロゲンは肌や髪のツヤ、骨の強さ、血管のしなやかさを保つなど、美と健康のホルモンとして知られています。

一方のプロゲステロンは、妊娠の維持を支える重要な役割を担い、体温を高めたり体内に水分を蓄えたりして、生命を育む準備を整えるホルモンです。情緒にも深く関わり、月経前のPMSなどにも影響します。

この2つが互いにバランスをとりながら働くことで、月経周期や妊娠、そして更年期など、女性のライフステージごとに心身のリズムを整えるのです。

月経周期とホルモンの関係

月経周期はおよそ24〜38日間が目安で、「月経期→卵胞期→排卵期→黄体期」の4つのステージに分かれます。

 月経期:エストロゲンとプロゲステロンが低下し、生理が始まる時期。体が重だるく感じる人も
 卵胞期:エストロゲンが増加。心も体も軽くなり、肌の調子も上向きに
 排卵期:エストロゲンがピークを迎え、体温が少し上昇。人によっては体調の変化を感じやすい時期
 黄体期:プロゲステロンが優位になり、むくみや眠気、イライラなどPMS(月経前症候群)が出やすくなることも

「気分が安定しない」「なんとなく体が重い」といった変化は、決して気のせいではなく、ホルモンのリズムによる自然な反応です。

ホルモンバランスが乱れると起こりやすい不調

ホルモンの乱れは、月経不順や肌荒れ、頭痛、不眠、情緒不安定など、さまざまな不調を引き起こす大きな要因。ストレスや睡眠不足、急な体重変化なども影響するため、生活リズムを整えることが心身の安定につながります。

思春期(10代)の女性ホルモンと健康

思春期は、女性ホルモンの分泌が本格的に始まり、体も心も大きく変化していく時期。月経の開始(初経)を迎え、ホルモンバランスが安定するまでには時間がかかるため、体調や気分の波が起きやすいのも特徴です。

ここでは、思春期に起こるホルモン変化と健康管理のポイントを見ていきましょう。

初経とホルモン分泌の安定までの流れ

初経を迎えたばかりの頃は、ホルモン分泌がまだ不安定。およそ2〜3年かけて排卵が安定し、周期も整っていきます。

この時期は成長のスピードとホルモン変化が重なり、体調や気分が揺らぎやすいのが特徴です。

生理痛や月経不順への対処法

強い生理痛や周期の乱れは、体が発達している途中というサインでもあります。体を冷やさず、食事や睡眠を意識的に整えるだけでも症状が和らぐことがあるのでおすすめです。

ただし、痛みが強く日常生活に支障がある場合は、婦人科を受診し相談してみましょう。

部活動・勉強へのホルモン変化の影響

ホルモン変化により、「集中力が続かない」「疲れやすい」と感じることも。そんなときは、無理に頑張りすぎないことが大切です。休息を取ることで、体が回復しやすくなりますよ。

妊娠・出産期(20〜30代)の女性ホルモンと健康

妊娠・出産期は、女性ホルモンの分泌量が人生の中でもっとも大きく変化する時期。妊娠前の体づくりから、妊娠中、そして産後の回復まで、ホルモンの働きは心と体にさまざまな影響を与えます。ここでは、妊娠・出産期に起こるホルモンの変化と、健康的に過ごすためのポイントを紹介します。

妊娠前に知っておきたいホルモンの働き

エストロゲンは卵子を育て、子宮内膜を整えて妊娠の準備を進めるホルモン。一方、プロゲステロンは妊娠を維持し、胎児を守るために働きます。この2つが連動することで、女性の体は生命を育むための準備を整えていくのです。

妊娠中に起こるホルモン変化と体調の変化

妊娠中はホルモンの分泌が急激に増え、眠気や倦怠感、気分の波が生じやすくなります。体の変化を受け入れながら、食事や休息を工夫しつつ、無理のない範囲で過ごすことが大切です。

産後のホルモン低下や心身の不調との付き合い方

出産後はホルモンが急激に減少し、気分の落ち込みや不眠、抜け毛などが起こることも。育児や家事などを完璧にこなそうとせず、なるべく周囲のサポートを頼ることが心身の回復を早める第一歩です。

更年期(40〜50代)の女性ホルモンと健康

40〜50代に差しかかると、多くの女性が「なんとなく体調が変わってきた」と感じるようになります。これはエストロゲンの分泌が徐々に減少し、ホルモンバランスが大きく変化するのが大きな理由です。

ここでは、更年期に起こる体と心の変化、そして毎日を快適に過ごすための工夫について紹介します。

エストロゲン低下による心身の変化

閉経前後の5年を「更年期」と呼びます。エストロゲンの分泌が減少し、ホットフラッシュや動悸、気分の波などが起こりやすくなる時期です。同時に、骨粗しょう症や動脈硬化のリスクも高まるため、栄養と運動の両面からのケアが欠かせません。

更年期障害と日常生活の工夫

規則正しい生活と、野菜・魚・大豆製品を中心にしたバランスの良い食事が基本です。イソフラボンはエストロゲンに似た作用をもつため、症状を穏やかにする働きも期待できます

高齢期(60代以降)の女性ホルモンと健康

60代以降になると、エストロゲンの分泌はほとんどなくなり、体の変化がより明確に現れるようになります。それに伴い、血管や骨、筋肉の衰えなど、加齢にともなうリスクも増えるのが特徴です。ここでは、高齢期の女性が特に注意したいポイントと、日常生活でできる予防を紹介します。

エストロゲン減少後に注意すべき生活習慣病リスク

ホルモンの減少とともに血管の弾力が失われ、動脈硬化が進みやすくなります。塩分を控え、野菜や魚中心の食事を心がけましょう。

骨粗しょう症やフレイル予防

加齢に伴う骨量低下を防ぐには、カルシウム・ビタミンD・たんぱく質をしっかり摂ることが基本です。また、ウォーキングやストレッチなど、無理のない運動を続けることが健康維持につながります。

医療機関を受診するべきタイミング

月経不順や更年期症状がつらいとき、または生活に支障が出るほどの不調を感じる場合は、早めに婦人科や更年期外来を受診しましょう。ホルモン検査を受けることで、自分の体の状態を正しく把握し、適切な治療やアドバイスを受けられますよ。

薬局でできる女性ホルモンケアサポート

女性ホルモンの変化による不調は、年齢を問わず起こりうるもの。薬局では、ライフステージごとの体調変化に合わせて、セルフケアや市販薬、サプリメントの選び方を薬剤師に相談できます。ここでは、10代から60代以降まで、年代別に薬局で受けられるサポートを紹介します。

10代

鎮痛薬の使い方や生理用品の選び方、生活リズムの整え方など、体調に関する内容について気軽に相談できます。

20〜30代

鉄分や葉酸など、妊娠・出産期に必要な栄養素のサプリメント選びをサポート。授乳中でも使用できる市販薬についての相談も受けられます。

40〜50代

漢方薬やサプリメントの提案、生活習慣の見直しなどを通じて、更年期症状による心身のゆらぎを支えます。

60代以降

骨粗しょう症や生活習慣病予防に向けたサプリメント、服薬管理の支援など、健康管理に関する全般的な相談も行っています。

まとめ

女性ホルモンは、一生を通して心と体に影響を与える大切な存在です。月経・妊娠・更年期・高齢期と、それぞれの段階で変化を受け入れながら、自分の体のリズムに寄り添うことが健康を守る第一歩になります。

もし、ホルモンバランスによる心身のゆらぎを感じ、「体調について相談したい」という場合は、薬剤師などの医療従事者に相談できるサービスを利用するとよいでしょう。

たとえば「つながる薬局」というサービスでは、LINEを使って薬局の薬剤師へチャットで相談できる機能があります。その時々の体調にあわせたアドバイスが受けられるでしょう。

また、「つながる薬局」のサービスでは、オンライン服薬指導や処方箋送信機能など、健康管理をサポートする仕組みが整っています。日々をすこやかに過ごすためのパートナーとして、ぜひ「つながる薬局」をご活用ください。

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