咳が止まらないのはなぜ?乾いた咳と痰が絡む咳の原因と対処法を解説

健康・予防

執筆者・監修者:薬剤師

「咳が止まらないのはなぜ?」
「咳が出るときに自分でできる対策は?」
「咳が止まらないときにおすすめの市販薬は?」

長引く咳に悩む方であれば、上記のように感じることが多いでしょう。咳は体を守る防御反応ですが、乾燥・炎症・胃酸の逆流など原因が複雑に絡むことで止まりにくくなります

当記事では、乾いた咳と痰が絡む咳の違いや原因、自宅でできる対策、市販薬の選び方、受診の目安までわかりやすく解説します。最後まで読めば、自分の咳のタイプを見極め、適切に対処する一歩が踏み出せるでしょう。

咳が止まらないのはなぜ?咳が出るメカニズム

咳は気道に侵入した埃や菌などを体外へ排出する防御反応であり、健康を守る重要な仕組みです。気道の粘膜が炎症を起こすと神経が刺激されやすくなり、過敏状態が続くことで咳が止まりにくくなります。
咳が止まらない代表的な要因は、以下のとおりです。

 炎症:ウイルス感染(コロナ・風邪)、細菌感染、アレルギー反応などで気道が炎症を起こしやすくなる
 刺激物:煙、乾燥した空気、ホコリ、冷気などが気道を直接刺激する
 心因性要因:ストレスや緊張による自律神経が乱れる

咳が続く背景には複数の要因が絡み合うため、原因を見極めた上で適切に対処することが大切です。

【タイプ別】乾いた咳(コンコン)が止まらない原因と対策

乾いた咳が続く背景には、気道を刺激するさまざまな要因が関係し、喉の炎症や粘膜の乾燥によって咳反射が強まりやすい状態があります。咳が続くと日常生活や睡眠にも影響し、悪循環を招く場合もあります。

ここでは、乾いた咳に関する原因と対策について、詳しく見ていきましょう。

咳が止まらない原因・病気

乾いた咳が止まらない背景には、気道の過敏性が高まっている状態が関与します。空気の乾燥や煙、花粉などの刺激が続くと粘膜に炎症が起き、咳反射が強まり咳が長引きます。
とくに、以下のような病気が原因となる場合が多いです。

 咳喘息:喘息と異なり痰が少なく、喘鳴は伴わず咳のみが長引く
 アトピー咳嗽(がいそう):アレルギー体質に関連し、夜間や早朝に咳が続くことが多い
 胃食道逆流症:胃酸が逆流して気道を刺激し、慢性的な咳の原因になる

咳が止まらない状態が続くと生活の質にも影響を及ぼすため、早めに原因を確認することが大切です。

乾いた咳が出るときのセルフケア

乾いた咳が続く場合は、気道の乾燥を防ぎ、刺激を避けるセルフケアが効果的です。室内の湿度を適切に保つため、加湿器や濡れタオルを活用し、湿度を50~60%程度に維持すると粘膜の保護につながります。

また、こまめな水分補給によって喉の潤いを保ちやすくなります。マスクを着用して保湿と保温をおこなうことも有用です。さらに、タバコやアルコールなど気道を刺激するものは控えることも大切です。

日常的な環境を整えることで咳の悪化を防ぎやすくなります。

乾いた咳に適した市販薬の選び方

乾いた咳に適した市販薬を選ぶ際は、咳中枢に作用して咳反射を抑える成分と、喉の炎症を鎮める成分の有無が重要です。代表的な鎮咳成分としてデキストロメトルファンがあり、神経の興奮を鎮めて咳を抑えやすくします。

加えて、トラネキサム酸は粘膜の炎症を抑制し、痛みや腫れを軽減する効果があります。上記を含む市販薬の代表例は、以下のとおりです。

 デキストロメトルファン配合:メジコンせき止め錠Pro
 デキストロメトルファン・トラネキサム酸他配合:パブロンせき止めトリプル錠

症状に合わせた成分を選ぶことで、乾いた咳の改善が期待できます。

なお、市販薬を服用する場合には、電子お薬手帳に記録しておくと便利です。LINEで使うことができる「つながる薬局」のサービスなら、友だち登録後にお好きな薬局をかかりつけ薬局として登録するだけで電子お薬手帳機能を利用でき、市販薬も記録できるため、ぜひご活用ください。

【タイプ別】痰が絡む咳(ゴホゴホ)が止まらない原因と対策

痰が絡む咳は、気道に粘液がたまり、異物を排出しようとする働きが過剰になることで続きます。痰が出る状態が長引くと、呼吸の負担や感染のリスクが高まる場合もあります。ここでは、痰が絡む咳の原因と対策について、詳しく見ていきましょう。

咳が止まらない原因・病気

痰が絡む咳が止まらない背景には、気道の炎症や粘液の過剰分泌が関係しています。乾燥した空気や喫煙、粉塵などの刺激を受け続けると粘膜が傷つき、痰が増えて咳が長引く原因になります。痰が絡む咳がでる代表的な病気は、以下のとおりです。

 ウイルス感染後に咳だけが続く感染後咳嗽
 鼻水が喉に流れ込む後鼻漏(こうびろう)を伴う副鼻腔気管支症候群
 喫煙による慢性閉塞性肺疾患(COPD)などです。

原因となる疾患を理解し、早期に適切な対処をおこなうことが重要です。

痰が絡む咳が出るときのセルフケア

痰が絡む咳が続くときは、痰を無理に出そうとせず、自然に排出しやすい環境づくりが重要です。加湿器や濡れタオルを用いて室内の湿度を保ち、粘膜の乾燥を防ぐことが効果的です。

また、こまめに水分補給をおこなうと痰が柔らかくなり、咳による排出を助けます。温かい飲み物で血行を促すことも有効です。痰を強く吐き出そうとすると気道を傷つける恐れがあるため、ゆっくり咳をして排出することが望ましいでしょう。

適切なケアを続けることで、症状の悪化を防ぎやすくなります。

痰が絡む咳に適した市販薬の選び方

痰が絡む咳に適した市販薬を選ぶ際は、咳を無理に止めるのではなく、痰を排出しやすくする成分が含まれているかが重要です。代表的な去痰成分としてカルボシステインがあり、痰の粘りを抑えてサラサラにし、自然な咳で排出しやすくします。

他には、ブロムヘキシンやアンブロキソールも有効です。上記を含む市販薬の代表例は、以下のとおりです。

 カルボシステイン配合:ルルアタックCX
 ブロムヘキシン配合:新ルルAゴールドDXα
 アンブロキソール配合:エスタックEXネオ

痰を出しやすい状態に整えることが改善への近道です。

夜間に咳が止まらない理由と今すぐできる対策

夜間に咳が止まらないのは、副交感神経が優位になることで気道の粘膜がむくみやすくなり、少しの刺激でも咳反射が起こりやすくなるためです。横になると鼻水が喉へ流れ込む後鼻漏や、胃酸が逆流しやすくなることで気道が刺激され、咳が続く原因になります。

対策として、加湿器や濡れタオルで室内を適度に加湿し、枕を高くして上体を起こした姿勢で眠る、横向きで寝る、水分を少しずつ摂って痰を排出しやすくする方法が有効です。

生活環境を整えることが夜間の咳を和らげるポイントです。

咳が止まらない場合の受診すべき目安と診療科

咳が止まらない場合は、期間と症状によって受診の目安が変わります一般的に風邪の咳は1〜2週間で改善しますが、2週間以上続く場合は感染後咳嗽や喘息、COPDなど他の疾患の可能性があるため注意が必要です。

とくに息苦しさ、痰に血が混じる、夜間に悪化する、子どもが苦しそうに咳き込む場合は早めの受診がおすすめです。診療科は、呼吸器内科が基本であり、耳鼻咽喉科や小児科を選ぶケースもあります。何科か迷う場合でも、咳が長引くときは自己判断せず、医療機関で相談することが大切です。

なお、咳が止まらない場合に薬局・薬剤師に相談するなら、LINEでできる「つながる薬局」のサービスがおすすめです。友だち登録後にかかりつけ薬局を登録しておけば、薬局・薬剤師へLINEで咳症状について相談できます。

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まとめ

咳が止まらない背景には、乾燥や炎症、粘液の増加、胃酸の逆流など複数の要因が関与し、タイプによって対処法は異なります。乾いた咳には鎮咳成分、痰が絡む咳には去痰成分を含む市販薬が有効であり、加湿や水分補給などの生活環境の調整も重要です。

咳が2週間以上続く場合や、息苦しさや血痰を伴う場合は早めに医療機関で原因を確認する必要があります。当記事を参考に自身の症状に合わせた対策を取り、体調管理に役立ててください。

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