夏の食中毒から子どもを守る!保護者が知るべき対策法

子育て

執筆者・監修者:薬剤師

「子どもは食中毒にかかりやすい?」
「子どもがかかる食中毒の種類や特徴は?」
「子どもの食中毒を予防する方法は?」

夏の暑さが増す時期になると、子どもの食中毒リスクが高まるため、上記のように不安を感じる保護者も多いのではないでしょうか。子どもは免疫機能が未発達なため、少量の菌でも症状が出やすく、重症化するおそれがあります。しかし、食中毒について理解し、適切な対応をとれば、食中毒の予防も可能です。

本記事では、食中毒の基本知識から、子どもがかかりやすい主な菌の特徴、家庭でできる予防策、万が一の対処法まで解説します。最後まで読めば、日常生活の中で子どもを守るために取るべき具体的な行動がわかるでしょう。

子どもの食中毒に関する基本情報

食中毒とは、細菌やウイルス、有害物質が含まれる飲食物を摂取することで嘔吐や下痢などを発症する健康被害を指します。夏場に向かい気温と湿度が高まると、細菌やウイルスが繁殖しやすくなり、食中毒のリスクが大きくなります。特に子どもは体調の変化に敏感で、症状がでやすく、重症化しやすい傾向も見られるので注意が必要です。ここでは、食中毒の基礎的な情報について解説しますので、食中毒に関する理解を深めていきましょう。

食中毒を引き起こす主な原因菌・ウイルス

食中毒は細菌やウイルスを含む食品の摂取によって起こり、夏は特に注意が必要です。子どもは免疫機能が未熟なため、重症化するリスクが高くなります。
食中毒を引き起こす主な原因菌・ウイルスは、以下のとおりです。

 黄色ブドウ球菌
 サルモネラ菌
 カンピロバクター
 腸炎ビブリオ
 ノロウイルス

感染経路や症状は異なりますが、いずれも食品の取り扱いに注意することで予防可能です。
次に、症状の特徴について見ていきましょう。

食中毒の主な症状

食中毒の主な症状は、腹痛・下痢・嘔吐・発熱などが挙げられます。特に子どもは症状が強く出る傾向があり、脱水症状を引き起こすこともあるため注意が必要です。原因となる菌やウイルスによって、症状の現れ方や重症度が異なりますが、以下に食中毒による主な症状をまとめたので参考にしてください。

 腹痛:突然の腹部の痛み
 下痢:水様性の便が頻回に発生
 嘔吐:食後すぐに吐くことが多い
 発熱:38℃以上の高熱が出る場合ある
 血便:腸管出血性大腸菌などで見られる
 脱水症状:口の渇き、尿量減少、ぐったりするなどの症状あり​

症状が現れるまでの時間(潜伏期間)は、原因によって異なります。たとえば、黄色ブドウ球菌では30分~6時間、カンピロバクターでは2~7日後に症状が出ることがあり、​3日後以降に症状が現れる場合もあるため注意が必要です。

なお、症状について相談したい場合、「つながる薬局」のサービスを利用すると、薬局・薬剤師へLINEで相談することができます。LINEでの相談は、友だち登録をした後にお好きな薬局をかかりつけ薬局として登録するだけで始められるため、ぜひ「つながる薬局」のご利用を検討してください。

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子どもが食中毒にかかりやすい理由

子どもが食中毒にかかりやすい理由は、からだの防御機能が未発達であるためです。胃酸の殺菌力が弱く、腸内の善玉菌も十分に育っていないため、少量の病原体でも感染しやすくなります。また、免疫システムの成熟も不十分で、病原体への抵抗力が低いことも影響しています。さらに、衛生意識が未熟で、手洗いや食品の取り扱いが不十分な場合が多く、感染リスクが高まるのです。これらの要因により、子どもは大人よりも食中毒にかかりやすく、重症化しやすい傾向があります。

子どもがかかりやすい夏の食中毒の種類と特徴

気温や湿度が高まる夏は、細菌が増殖しやすく、子どもが食中毒にかかるリスクが高くなります。食中毒を避けるには、原因となる菌の特徴を知り、適切な対応をとることが欠かせません。ここでは、夏に多い食中毒の種類や特徴、注意点について解説します。

サルモネラ菌による食中毒の特徴

サルモネラ菌による食中毒は、加熱が不十分な卵や肉、鶏肉を原因とすることが多く、夏場に発生しやすい傾向があります。潜伏期間は6~72時間で、主な症状は腹痛・下痢・発熱・嘔吐などです。特に子どもは免疫力が低いため、重症化するリスクが高まります。予防には、卵や肉の十分な加熱、調理器具の衛生管理、手洗いの徹底が重要です。日常の調理や食事の際にこれらの対策を心がけることで、感染リスクを減らせます。

カンピロバクターと夏場の鶏肉調理の注意点

カンピロバクターは、夏場に鶏肉を介して家庭内で発生しやすい食中毒の原因菌です。潜伏期間は2~5日で、発熱・下痢・腹痛などの症状が現れます。特に子どもは重症化しやすいため、注意が必要です。
予防のためには、以下の点に留意しましょう。​

 鶏肉は中心部までしっかり加熱する
 生肉を扱った調理器具は、他の食品と共有しない
 調理後は手洗いを徹底する

これらの対策を実践することで、カンピロバクターによる食中毒のリスクを減らせるでしょう。

病原性大腸菌による食中毒

病原性大腸菌、特にO157は少量の菌でも感染し、子どもに重篤な症状を引き起こすことがあります。感染経路は、加熱が不十分な牛肉や汚染された野菜などの食品を介することが多く、潜伏期間は3〜5日です。主な症状は、激しい腹痛・下痢・血便・発熱などがあり、特に子どもや高齢者では腎機能障害をともなう溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症するリスクが高まります。
予防には、以下の点に注意が必要です。

 肉類は中心部までしっかり加熱する
 生野菜は流水で丁寧に洗浄する
 調理器具や手指の衛生管理を徹底する

これらの対策を実践することで、病原性大腸菌による食中毒を予防できるでしょう。

家庭でできる!子どもの食中毒予防対策

子どもの食中毒は、日々の食事準備や少しの油断が原因となることがあります。予防の第一歩は、家庭での意識と工夫を積み重ねることです。ここでは、家庭で実践できる予防対策について、詳しく見ていきましょう。

食材の購入から保存までの注意点

食材の購入から保存までの注意点を徹底することで、家庭内での食中毒を防止可能です。特に夏場は温度管理と衛生管理が重要です。
買い物時には、以下のポイントを意識しましょう。

 冷蔵・冷凍品は買い物の最後に選ぶ
 保冷バッグや保冷剤を活用する
 帰宅後すぐに冷蔵庫へ入れる
 冷蔵は10℃以下、冷凍は−15℃以下を保つ
 生肉・魚は汁が他の食品に触れないよう分ける
 賞味期限・消費期限を確認する

基本を守ることで、子どもを細菌から守ることにつながります。

調理時に気をつけたい衛生習慣

調理時の衛生習慣を徹底することは、子どもの食中毒予防に直結します。
調理する際は、以下のポイントを実践しましょう。

 まな板や包丁の使い分け:生肉・魚用と野菜・果物用で分け、交差汚染を防ぐ
 正しい手洗い:調理前・食材に触れた後・トイレの後など、石けんで手のひら・指の間・爪の間まで丁寧に洗う
 十分な加熱:食材の中心部を75℃で1分以上加熱し、食中毒菌を死滅させる
 調理器具の洗浄・消毒:使用後は洗剤で洗い、熱湯や消毒剤で消毒し、清潔に保つ

これらの衛生習慣を日常的に実践することで、家庭内での食中毒リスクを減らせるでしょう。

お弁当や外食時に注意すべきこと

夏場のお弁当や外食時には、食中毒のリスクが高まります。特に子どもは抵抗力が弱いため、以下のポイントを意識して予防に努めましょう。

 おかずはしっかり加熱し、冷ましてから詰める
  中心部まで加熱し、粗熱を取ってから詰めることで、菌の増殖を抑えます。
 素手での調理を避け、清潔な箸やラップを使用する
  直接手で触れることを避け、清潔な調理器具を使いましょう。
 保冷剤や保冷バッグを活用し、低温を保つ
  保冷剤はお弁当の上に置くと効果的です。
 水分の多い食材は避け、汁気をしっかり切る
  煮物や和え物などは水分をしっかり切ってから詰めましょう。
 抗菌シートや梅干しなどの抗菌効果のある食材を利用する
  抗菌シートや梅干し、大葉などを活用すると効果的です。

これらの対策により、夏場のお弁当や外食時の食中毒リスクを下げられます。子どもを食中毒から守るためにも、各対策を活用しましょう。

食中毒かも?子どもに症状が出たときの対応方法

子どもに発熱・嘔吐・下痢などの症状が見られる場合、食中毒の可能性があります。食中毒が疑われる場合には、初期対応と受診の判断が重要です。まずは以下の対応をとりましょう。

 安静にし、無理に食事をとらせない
 経口補水液などで少量ずつ水分を補給する
 嘔吐物や便の処理後は手洗いを徹底する

以下の症状があれば、医療機関への受診を検討してください。

 水分が摂れない、吐いてしまう
 ぐったりしている、尿が少ない
 血便がある、高熱が続く

脱水の兆しが見られる場合も、早めに受診するようにしてください。子どもの状態を観察し、適切な対応をとりましょう。

なお、症状について相談したい場合は、「つながる薬局」のサービスを利用すると薬局・薬剤師へLINEで相談することができます。
LINEでの相談は、「つながる薬局」を友だち登録した後にお好きな薬局をかかりつけ薬局として登録するだけで始められるため、ぜひご利用を検討してみてください。

まとめ

夏は食中毒のリスクが高まり、特に免疫力の弱い子どもは重症化する恐れがあります。日常の食材管理や調理時の衛生習慣、外出時の対策を徹底することで、多くの食中毒は予防可能です。
万が一、発熱や嘔吐などの症状が出た場合は、医療機関への受診を含めた早めの対応が重要となります。当記事を参考に、家族全員で食中毒への備えを見直し、安心して夏を過ごしましょう。

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