薬剤師が解説!子どもの便秘の原因や解消法

子育て

執筆者・監修者:薬剤師

「子どもの便が出ていなくて食事量が減って心配」
「お腹が張ってぽんぽんになっているのに、排便がなくミルクを吐いてしまった」

このような悩みはありませんか?乳幼児など自分でうまく体の不調を伝えられない子どもの便秘は、機嫌が悪くなったり、食欲不振や嘔吐などにつながって大変ですよね。この記事では、自身も子どもの便秘で苦労した2児の母でもある薬剤師が、子どもの便秘の主な原因や解消法を分かりやすく紹介します。ぜひご参考にしてください。

子どもの便秘 原因と解消法

一般的に、一週間に3回以上の排便がない状態が便秘症と言われています。子どもの便秘の原因には、大人と同じ原因に加えて、排便機能が十分に育っていないという点があります。
便秘の原因は大きく5つあり、1つ目は水分不足、2つ目は食物繊維不足、3つ目はトイレを我慢してしまうこと、4つ目はストレスや生活リズムの乱れ、そして、5つ目が子ども特有の原因として排便機能が育っていないことです。次から詳しく原因と解消法を解説します。

①水分不足

子どもはこまめに水を飲むという習慣付けが難しい場合があります。また、喉が渇いても自ら訴えられない年齢の子どもは、保護者が気を付けて飲ませないと水分補給をしないこともあります。そのため、水分不足で便が硬くなりやすいという特徴があります。朝起きたら、コップ1杯の水や牛乳、あるいは白湯を飲むことで、胃腸に刺激となり腸の動きが活発になります。水分補給もかねてぜひ試してみてください。

≪解消法≫
朝起きたらコップ1杯の水などを飲むことを家族で習慣にしましょう

②食物繊維不足

子どもは野菜嫌いな子も多いため、食物繊維が不足しがちです。お肉中心で野菜をあまり食べない大人と同じで、食物繊維を摂れるように食事を工夫しましょう。食物繊維の摂取におすすめの食材は、雑穀、野菜、海藻、果物、芋類、豆類です。ワカメや海苔などの海藻類、リンゴやバナナなどの果物は子どもが好きな場合が多い食材です。また、ヨーグルトなど乳酸菌を含む発酵食品も腸内環境を整えるのにおすすめできます。

≪解消法≫
野菜や果物、発酵食品をバランスよく食事に取り入れましょう

③トイレを我慢する癖

オムツをつけている子どもはトイレを我慢するという事はあまりありませんが、トイレトレーニングが終了した子どもは我慢することを覚えています。大人でも我慢をしていて便秘になることがありますね。子どもの場合は、遊びたい、学校のトイレが和式で嫌だ、恥ずかしい、からかわれたなどの理由で便意を我慢して便秘につながることがあります。

そのため、朝に排便を済ませておくことが不安の解消にもつながります。朝食後に排便の習慣をつけるため、出なくても5分程度トイレに座る時間を確保しましょう。更にその時間を作るため、早寝早起きの習慣を作ることが大切です。トイレに座れたら褒めてあげましょう。

≪解消法≫
朝食後にトイレに座って排便する習慣をつけましょう

④ストレスや生活リズムの乱れ

大正製薬:子どもの便秘についてによると、叱られたり、環境の変化によって自律神経が乱れると、腸の動きが鈍くなり便秘へとつながることがあります。規則正しい生活を送れるように生活環境を整え、リラックスできる余裕のある時間を増やすことが大事です。また、睡眠を整えるためには、しっかり体を動かして遊ぶことも大切です。

≪解消法≫
一日3食、早寝早起きなど生活習慣を整え、リラックスできる時間を増やしましょう

⑤排便機能が育っていない

排便機能は小学校高学年でやっと大人並みに育つといわれています。排便機能というのは、トイレに座り、便を出すために肛門の筋肉が開き、便が出て、終わると肛門の筋肉が閉じるという排便に関わる一連の働きです。子どもの排便機能が徐々に育っていくのを気長に応援してサポートしていきましょう。

便秘薬の選び方と注意点

子どもに使うことができる便秘薬の選び方と注意点について解説します。子どもであっても便秘が改善しない場合は、整腸剤や緩下剤などを使用するのも選択肢の一つです。子どもの場合は、大人が使用するような下剤を始めから使用しません。もし便秘薬の使用を迷ったときには薬局で相談をしたり、小児科で診察を受けることをお勧めいたします。
次から便秘薬の種類や飲み方、注意点などについて解説します。

改善しない場合は便秘薬の使用も選択肢の一つ

子どもでも便秘薬を使用することを検討しましょう。食事や水分摂取、運動をしても排便が乏しい場合は、すでに固まった便が詰まってしまい、更に出にくくなってしまっていることもあります。また、硬い便で痛い思いをした子供は、排便を我慢してしまうこともあるため子どもの状態を確認して、便秘薬の使用を検討するとよいでしょう。

便秘薬の種類と成分

子どもに使用できる便秘に用いる薬の種類と成分を紹介いたします。日本小児栄養消化器肝臓学会:こどもの便秘によると、通常は塩類下剤や糖類下剤などを用いて、腸内の浸透圧を調整することで、便を軟らかくして治療していきます。これらは、刺激性下剤で長期間使用していると起こりやすい「段々と効きにくくなる薬への慣れ」が、起こりにくいと言われています。

それでも改善しない場合は、刺激性下剤や坐剤、浣腸などを用います。子どもの場合、すでに固い便がいっぱい溜まった状態では刺激性下剤は辛い上に、思ったような結果が得られないこともあるため、まず浣腸によって出していきます。
実際に子どもが生後2ヶ月で5日間排便がなく、ミルクを飲む量が減ってしまった際に、その場で浣腸剤を使用して排便させた上で整腸剤が処方されたことがあります。

1.整腸剤
ビフィズス菌製剤、乳酸菌製剤によって腸内の善玉菌を補充することで腸内環境を整えて便秘を改善していきます。市販では「指定医薬部外品」として販売されています。

2.糖類下剤
麦芽糖などの腸から吸収されにくい糖類を用いた便秘薬です。浸透圧により便に水分を含ませて軟らかくしていきます。また腸の善玉菌の栄養にもなります。甘くて飲みやすく、赤ちゃんから使用できます。個人差がありますが、即効性はなく穏やかに効いていきます。

3.塩類下剤
酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムなどです。便に水分を含ませて軟らかくしていく働きがあります。個人差がありますが穏やかに効いていきます。

4.刺激性下剤
大黄などの生薬を含む漢方薬やセンノシド、ピコスルファートナトリウムなどです。子どもの場合は、液体で使用しやすいピコスルファートナトリウム液が処方されることが多いでしょう。即効性があり、ピコスルファートは飲んだ後7-12時間程度で効果を発揮するといわれています。いずれも寝る前に飲んで翌朝効いてくるように処方されることが多い薬です。

5.坐剤
ビサコジルや炭酸水素ナトリウムが含まれる坐剤が処方されることがあります。使用してから15-30分程度で効果を発揮します。坐剤の下剤は市販にもありますが、12歳以上など使用年齢が限られているため、薬局で相談するとよいでしょう。

6.浣腸
グリセリン浣腸液は即効性のある下剤で赤ちゃんから使用できます。だいたい3-10分程度便意が強まるのを待つ必要があります。子どもの場合は、詰まった便を最初に取り除くために使用されることがあります。

服用方法と使用時の注意点

子どもによく用いられる整腸剤や浸透圧下剤は、便が硬くなってからだと効果が表れるのに時間がかかるため、便秘がちの子どもの場合は、少量ずつでも毎日飲むようにしていきましょう。しっかりと水分を摂取するのも忘れないようにしましょう。

1.整腸剤
続けて使用しましょう。子どもでは粉等を使用します。錠剤は5歳以上で使用が可能です。

2.糖類下剤
即効性はありません。量を調節しながら続けて使用しましょう。水分もしっかり摂れるようにしましょう。麦芽糖液剤は、0-3歳の乳幼児に使用できます。医療用医薬品のラクツロースは、乳幼児だけでなく小児の便秘にも処方されます。

3.塩類下剤
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムは5歳以上で使用ができます。便の硬さにより調節しながら続けて使用します。量が多いと下痢になることがあります。便が柔らかくなってきたら、減量するなど調節するのが通常です。

4.刺激性下剤
漢方薬も含め、市販薬があります。ただし、習慣になりやすいことや、先に浣腸などで出した方が良い場合もあるため、使用に際しては小児科医や薬剤師に相談しましょう。

5.坐剤
市販薬では使用できる年齢が12歳以上などと限られているため、薬局で相談するとよいでしょう。

6.浣腸
グリセリン浣腸液は乳幼児用のものも含め市販薬があります。薬局や医療機関で相談の上使用しましょう。排便を行うのに十分な刺激がおきるのを待つために3-10分程度必要です。待たずに排泄してしまうと、液だけが排泄されることがあります。小さな子どもは我慢が難しいので、使用後にすぐに排泄しないようにトイレットペーパーやオムツで肛門を抑えてあげましょう。

迷った時は気軽に薬剤師に相談を

子どもの便秘への対応をどうしたらよいのかわからない、薬は何が良いかわからないなど迷ったときには、気軽に薬剤師に相談しましょう。薬剤師は、薬のことだけでなく健康相談や受診のタイミングなどの相談にも応じることができます。

薬局の薬剤師に相談する手段として、LINEの「つながる薬局」というサービスがあります。このサービスを利用すると、LINEで気軽に薬局の薬剤師に健康の相談ができます。LINEであれば、自宅にいながら相談ができるので、例えば悪天候の中などに子どもを連れていく必要もなく、とても便利です。また、このサービスでは処方箋をLINEで薬局に送信することができるので、診察後に子どもがぐずっていても、薬局の中で長時間待たずにお薬を受け取ることができます。

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気になる症状がある場合は早めに医療機関の受診を

薬を使用して数日経っても改善が見られない、子どもがミルクが飲めなくなった、お腹が痛いと訴えているなどの場合は、早めに医療機関を受診しましょう。硬い便で肛門に傷がついてしまっていると、排便時に痛みを感じるため、便を我慢してしまって便秘が改善しないこともあります。医療機関で一度排便が促されて症状が改善した後も、基本的な便秘の予防方法を生活に取り入れることが大切です。

便秘の予防方法についても薬剤師が気軽に相談に応じてくれますので、もしよければLINEで相談できる「つながる薬局」のサービスもご利用くださいね。

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