執筆者:看護師・監修者:薬剤師
「妊娠に気づかず薬を飲んでしまった」
「妊娠中でも薬を飲んでいいのか不安」といった悩みはありませんか?
赤ちゃんへの影響が気になり、お薬を飲むかどうか迷うのはとてもつらいことですよね。この記事では、妊娠中のお薬に関する基本的な知識と、不安を減らすためのポイントを紹介します。本記事を参考に、安心して妊娠期間を過ごすヒントにしてください。
妊娠中にお薬が影響を及ぼす理由
妊娠中はお薬の成分が母体から赤ちゃんへ届く可能性があり、時期や種類によっては赤ちゃんの発育に影響を及ぼすことがあります。ここでは、妊娠中にお薬が影響を及ぼす具体的な理由について、詳しく解説します。
お薬の成分が胎盤を通じて赤ちゃんに届く可能性がある
妊娠中は、服用したお薬の成分の一部が母体の血液を通じて胎盤に移行し、赤ちゃんに届くことがあります。胎盤は赤ちゃんに酸素や栄養を届ける役割を担っていますが、お薬の成分も通過する可能性があるのです。たとえば、一部の風邪薬や鎮痛剤に含まれる成分には、赤ちゃんの臓器形成に影響を及ぼすリスクが指摘されています。もちろん、すべてのお薬が危険というわけではありませんが、妊娠中のお薬の選択には注意が必要です。
妊娠の時期によって影響の出やすさが異なる
妊娠中のお薬の影響は、どの時期に服用したかによって大きく異なります。以下の表に、妊娠週数ごとのお薬の影響と主なリスクを簡潔にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
妊娠週数 | 特徴 | 主なリスク |
0〜3週 | 着床前の時期 | 胎芽死亡の可能性(胎芽死亡がなければ先天異常のリスクは低い) |
4〜7週 | 主要臓器が形成される重要な時期 | 形態異常(心形態異常・神経管閉鎖障害など) |
8〜12週 | 口蓋や性器などを形成する時期 | 先天異常のリスクは下がるものの可能性は残る |
13週以降 | 器官の成熟と成長の時期 | 形態異常は引き起こさないが、胎児毒性の可能性がわずかにある |
※出典:産婦人科 診療ガイドライン ―産科編 2023より
特に妊娠初期の4〜7週は、赤ちゃんの主要な臓器が形成される大切な時期であり、お薬の影響を受けやすい期間です。一方、妊娠後期では臓器の形はほぼ完成しているものの、成長や機能の成熟が進むため、お薬が赤ちゃんの成長や分娩、出生後の健康に影響を及ぼすことがあるといわれています。
このため、妊娠中のどの時期であっても自己判断での服薬は避け、医師や薬剤師に相談するのが安心です。
よくある相談のケース
ここでは、妊娠中の服薬に関するよくある相談について紹介します。
● 妊娠に気づく前に頭痛薬を数日間服用してしまい、影響がないか心配
● 妊娠中に体調が悪くなったらお薬は飲めないのか
● 自己判断で内服を中止してもよいか
ぜひ参考にしてみてください。
妊娠に気づく前に頭痛薬を数日間服用してしまい、影響がないか心配
妊娠初期は体調の変化に気づきにくく、市販の頭痛薬や風邪薬を服用してしまうことは珍しくありません。たとえば、妊娠判明前に数日間イブプロフェンなどの鎮痛薬を飲んでしまい、不安を感じて相談に来られる方が多くいます。
このような場合、お薬の種類や服用期間によって影響の可能性は異なりますが、単発または短期間の服用で重大な影響が出ることは少ないとされています。とはいえ、服薬履歴をきちんと伝え、必要に応じて主治医の指示を受けることが大切です。不安な気持ちを抱えたままにせず、早めに専門家に相談することが安心につながるでしょう。
妊娠中に体調が悪くなったらお薬は飲めないのか
妊娠中の服薬は慎重であることが望ましいですが、必要なお薬の服用を避けることで、かえって母体や赤ちゃんに悪影響を及ぼす恐れがあります。たとえば、高熱や感染症を放置し重症化すると、母体の病状悪化や赤ちゃんの発育を妨げてしまうリスクがあるのです。そのため、自己判断でお薬を控えるのではなく、医師に相談し、妊婦さんに安全とされるお薬を選んでもらうことが重要です。適切な治療によって、母体と赤ちゃんの健康を守れるでしょう。
自己判断で内服を中止してもよいか
妊娠がわかったタイミングで自己判断のもと服薬を中止する方もいますが、お薬の種類や状態によっては危険な場合もあります。たとえば、持病の治療薬を急にやめることで、母体の状態が悪化し、妊娠の継続や赤ちゃんの正常な発育へのリスクが高まる可能性もあるでしょう。そのため、妊娠がわかった時点で、服薬内容を必ず医師や薬剤師に相談し、必要な治療と調整を受けることが大切です。
妊娠がわかったら
妊娠したことがわかった段階で、以下の3つのポイントに沿って確認しましょう。
● 服薬しているお薬がある場合は、早めに医師・薬剤師に相談を
● 妊婦健診時に、お薬手帳を持参して伝える
● 市販薬・サプリメントも自己判断せず、確認を
それぞれ解説していきます。
服薬しているお薬がある場合は、早めに医師・薬剤師に相談を
妊娠がわかった時点で、これまで服用してきたお薬について、できる限り早く医師や薬剤師に相談することが重要です。たとえば、持病の治療薬は継続が必要な場合があるほか、妊婦さんへの安全性が確認されたお薬に切り替える必要が出てくることもあります。なお、自己判断で服薬を中止したり続けたりするのは危険を伴うため、専門家の意見をもとに正しい対応を取るようにしましょう。相談によって安心して妊娠期間を過ごすための選択肢が広がります。
妊婦健診時に、お薬手帳を持参して伝える
妊婦健診の際にはお薬手帳を必ず持参し、既往歴や現在服用しているお薬について、きちんと医師に伝えることが大切です。こうして情報を整理しておくと、過去の処方薬が妊娠中の服薬に適さないことが分かるなど、思わぬトラブルを予防できるでしょう。また、緊急時や別の医療機関を受診した際にも、お薬手帳の情報が正確な治療判断の助けとなり、母体と赤ちゃんを守る重要な手段となります。
市販薬・サプリメントも自己判断せず、確認を
市販薬やサプリメントでも過剰摂取が赤ちゃんに悪影響を与える可能性があり、妊娠中は特に注意が必要です。たとえば、目の機能をサポートする成分として知られるビタミンAは、妊娠中の過剰摂取により赤ちゃんの先天異常が起こるリスクがあるといわれています。
このように、健康のためにと思い手に取ったものでも、リスクが隠れていることは少なくありません。手に取りやすい市販薬やサプリメントであっても、自己判断で使用するのではなく、購入前に医師や薬剤師に確認し、必要であれば適切な製品を選んでもらうと安心でしょう。
妊婦さんに便利な「つながる薬局」
妊娠中は体調やお薬に関する不安がつきものですが、LINEの「つながる薬局」というサービスはそんな妊婦さんの心強い味方です。ここでは、妊婦さんにおすすめなサービスや機能について紹介します。
チャットで相談
LINEのつながる薬局のサービスでは、LINEがあれば新たなアプリをインストールしなくても利用できるサービスです。このサービスは、友だち登録後にお好きな薬局をかかりつけ薬局として登録するだけで、妊娠中の薬に関する悩みや不安を、薬局の薬剤師にチャットを通じて気軽に相談ができる機能を備えています。たとえば、「市販薬を飲んでも良いか」「今飲んでいる薬を続けて大丈夫か」といった質問も、チャットを使えば早く解決でき、安心できるでしょう。
また、時間や場所を選ばず利用できるのも便利です。外出が難しい妊婦さんでも、自宅からスマートフォンひとつで相談できるため、早めに不安を解消するための手段としてもご利用いただけます。
オンライン服薬指導
つながる薬局では、妊婦さん向けにオンラインで服薬指導を受けられるのもおすすめのポイントです。外出が難しい場合でも自宅で安全な服薬方法についてアドバイスを受けられるため、体調に不安がある方や小さなお子さんがいる妊婦さんにも安心してご利用いただけます。また、ビデオ通話によって、顔を見ながら相談できる点も安心のポイント。健診などで何かと忙しい妊娠期のサポートとして、時間と手間をかけずに適切な対応が受けられるのは大きなメリットといえるでしょう。
オンライン服薬指導の後に、処方されたお薬を自宅に配送してくれる薬局もあります。体調が不安定になりやすい妊婦さんにとって、自宅にいながら必要な薬が受け取れるのは安心感につながります。外出せずに必要な処方薬をきちんと受け取れる仕組みが整っているため、妊娠中の感染症予防や外出の負担も軽減できるでしょう。配送に関しては事前に対応可能か薬局に確認することをおすすめします。
つながる薬局のサービスは、妊娠中の外出が負担になる方や、市販薬や服用中の薬について専門家の意見を聞きたい方にとって、安心して利用できる便利なサービスです。日々の体調管理や薬のことで迷ったときは、ぜひつながる薬局のサービスを活用してみてください。
つながる薬局は、薬局への処方箋送信から健康・お薬相談、お薬手帳までLINEひとつでご利用いただけるサービスです!
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