「元気だから健康診断は後回し!」
「退職してから何年も健診を受けていない…」
このように、日々の生活でご自分の健康診断を後回しにしていませんか?健康診断はただの健康チェックではなく、病気の予防や早期発見につながり、プライベートや仕事を充実させるための健康維持に欠かせない大切な機会です。元気だから問題ないという方や、健診を受けて何か見つかったら怖いという方もいるでしょう。
この記事では、健康診断の重要性や診断結果が出た後に意識したいポイントについてご紹介しています。健康診断は定期的に受診することで、あなたの体の健康を保つことに役立ちます!ぜひ参考にしてください。
健康診断が大切な理由
自分の体の中の状態は、自分ではわかりません。健康診断はその時の自分の状態を把握するためにも必要なものです。健康診断を受けることで、病気の早期発見、生活習慣の見直しのきっかけになります。
筆者は20代で腎機能が要チェックとなり、30歳で胃の検査や婦人科の健診で精密検査となり、その後手術にもなりました。健康診断は若いからと言って後回しにする事なく、1年に1回は自分の健康状態を知るために重要だと心から伝えられます。
40歳以上になると検査項目が増え、メタボリックシンドロームのチェック(特定健康診査)も始まります。政府広報:生活習慣病の予防と早期発見のためにによると、メタボリックシンドローム疑いの人・予備群は男女とも40歳以上から増加します。男性では50歳以上で半数以上、女性も60歳以上で5人に1人といわれており、健康診断による早期発見が重要であることが分かります。健康診断のたびに「1-2週間くらい節制する」「結果が良かったから安心して飲みに行ける!」という話もよく聞きますが、健康診断には、今の自分の健康状態を知りながら、病気の予防や早期発見という大切な意味があるので、ご自分の考え方を今一度見つめ直してみてくださいね。
病気の早期発見
健康診断の一番の目的は病気の早期発見です。特に初期に自覚症状があまりない死亡原因の上位のがんや心血管疾患、脳疾患などの早期発見のために重要視されています。実際、健診受診率が50%に満たない県において、他の都道府県に比べて糖尿病からの透析導入が1.3倍、脳卒中入院率が平均の2倍、壮年期の死亡率が高いというデータがあります。詳しくは全国健康保険協会:『知って得するDr.川﨑の気になる病気「【第26回】 健康診断の必要性について」」をご覧ください。
生活習慣見直しのきっかけ
健康診断では生活習慣に関するアンケートに答えるため、自分の生活を見直すきっかけにもなり、病気につながるリスクがあるかどうかもわかります。運動や食事、睡眠などの生活習慣を見直すことで、病気の早期治療あるいは予防につながります。40歳以上で特定健診を受けた人は、結果を受けて保健師や管理栄養士などによる運動習慣や食生活、喫煙、飲酒、睡眠などの生活習慣を見直すための「特定保健指導」が行われます。専門家からのサポートにより生活習慣を見直すことで、生活習慣病の予防・改善につなげることができます。
受診するだけでは不十分?!
健康診断は受診した後がとても大事です。結果に「要精密検査」「リスクが高い」などの診断結果が出ている場合は、この結果を活かして自分を後回しにせず医療機関を受診しましょう。生活習慣病は無症状のものが多いです。血液検査で傾向が出ている場合は早めの対策をとることで症状が発現する前に改善することも可能です。
診断結果をしっかり確認する
健康診断の結果、注意が必要な項目がある場合は、放置せずに医師に相談するようにしてください。最近の健康診断の結果は、分かりやすく評価が書かれており、「どの数値」が「何の病気」の可能性があるのかについて書かれています。詳しくは全国健康保険協会:3_健診結果の見方(情報提供書)を参考にしてください。何科を受診したらよいかわからない場合は、健診を受けた医療機関などに問い合わせるとよいでしょう。
40-74歳までのうち、健康診断で「生活習慣病のリスクが高いが、生活習慣を改善することで予防効果が期待できる」と判断された人は、「特定保健指導」を受けられます。「特定保健指導」とは、医師・保健師・管理栄養士と一緒に健診結果と生活習慣を振り返り、参加者それぞれが自分に合った実行可能な目標を立てて、その日から生活習慣の改善に取り組みます。その後、3-6か月後に生活習慣がどの程度改善したのか、状況を一緒に確認していきます。
この特定保健指導は、リスクの程度(血圧、血糖、脂質、喫煙歴など)に応じて支援の程度が変わり、「動機付け支援」と「積極的支援」(3ヶ月以上の継続サポートがある)の2つがあります。支援の違いは、電話やメールなどによる連絡の回数と評価回数で、評価内容ついては生活習慣、腹囲・体重などとなります。
● 動機付け支援:期間中1回の連絡、評価は最終の1回
● 積極的支援:毎月1回の連絡、評価は中間・最終の2回
改善に向けた行動を起こす
「まごわやさしい」という食育の言葉があるように、普段から自分でバランスの良い食事を心がけ、適度な運動、睡眠時間の確保、ストレスマネジメントなどを行って生活習慣を見直しましょう。自分で改善することが難しいと感じる場合は、医療機関や薬局などに相談するとよいでしょう。
健診の結果によって「特定保健指導」が勧められる場合は活用しましょう。医師や保健師、管理栄養士などによる、一人ひとりに合わせた生活習慣を見直すアドバイスなどの支援が行われ、健診時に申し込んでいない場合でも、後から申し込むことができます。
再検査や精密検査を後回しにしない
再検査や精密検査が必要となった場合、後回しにせずできるだけ早く医療機関を受診しましょう。例えば、隠れ腎臓病が多いといわれる日本では、国民の約1,480万人、成人7-8人に1人が慢性腎臓病患者です(生活習慣病予防協会より)。実際に、腎臓の働きを示す数値(血清クレアチニン値)が、20代から正常値よりも高かった筆者は、今でも定期的に診察を受けて、腎臓に負担がかかりにくい薬を選んだり、塩分などに気をつけて生活を送っています。早期の対策や治療がとても重要です。「けんぽれん:健康診断の結果をみてみよう」には、検査値と自分でできる生活習慣の見直しが分かりやすく書かれています。参考になさってください。
定期的な受診を心がける
自分の健康は自分でないと守ることができません。日々の生活で忙しいことで後回しになりがちな健康診断ですが、毎年の定期的な受診が、健やかに過ごすためにも重要ですので、ぜひご自分に時間を取ってあげてください。
まだ多くはありませんが、託児つきで健康診断が受けられる医療機関も増えています。ぜひ探してみてくださいね。
生活習慣病は年齢と共にリスクが上がっていきます。毎年受けることで、経年変化を知ることができるとともに、自覚症状がほとんどない状態で、病気の芽を早期発見することができます。早めに対処して、病気の予防をしながら、健康な時間を過ごせるようにしていきましょう。