執筆者:看護師・監修者:薬剤師
「暑いわけでもないのに、なんだか体がだるい」
「頭が痛くてめまいがする」
そんな不調を感じたら、それは“梅雨型熱中症”のサインかもしれません。真夏の熱中症とは異なり、気温がそこまで高くなくても、湿度の影響で体内に熱がこもりやすくなるのが梅雨型熱中症の特徴です。エアコンを使わない日や室内にいるときこそ要注意。本記事では、見過ごしがちな梅雨型熱中症の原因、症状、そして効果的な対策までをわかりやすくご紹介します。
梅雨型熱中症とは
梅雨の時期になると、ニュースなどでも報道されるようになる梅雨型熱中症という言葉。「熱中症は知っているけど、梅雨型熱中症って一体どんな症状なの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。ここでは、梅雨型熱中症と熱中症の違いやリスクのほか、気になる原因や症状についてくわしく解説していきます。実は真夏だけでなく梅雨の時期にも注意が必要な熱中症が梅雨型熱中症。これからの季節をすこやかに過ごすために、ぜひ参考にしてください。
梅雨の時期に気温がそれほど高くなくても、湿度が高い環境で発症する熱中症
梅雨型熱中症とは、気温が真夏のように高くなくても、湿度が高いことで体温調節がうまくいかずに発症する熱中症の一種です。通常の熱中症は炎天下や猛暑といった高温の環境下で、体温が上昇し続けることにより起こります。その一方で、梅雨型熱中症は「湿度の上昇」によってリスクが高まるのが違いです。
また、高湿度の環境では、汗がうまく蒸発せず、体内の熱が放出されにくくなるため、体温が上がり続けてしまいます。特にエアコンを使わない室内や、風通しの悪い場所では注意が必要です。湿度が高いときは気温がさほど高くなくても熱中症が起こり得るため、症状を自覚しにくい分、発見が遅れがちなのも特徴。こまめな水分補給や室内の湿度管理など、気温だけでなく湿度にも目を向けた対策が大切になります。
原因
梅雨型熱中症の主な原因は、湿度の高さによって汗が蒸発しにくく、体温調節機能がうまく働かなくなることにあります。人間の体は、汗が蒸発することで体温を下げる仕組みですが、梅雨の時期は湿度が非常に高く、汗をかいても蒸発しにくいのです。そのため、体の熱が逃げにくくなり、体に熱がこもることで熱中症のリスクが高まります。
さらに、梅雨時期は気温がそれほど高くないために油断しやすく、エアコンを使わずに過ごしてしまう人も。風通しの悪い室内や、湿気のこもった環境では、気づかないうちに梅雨型熱中症になってしまうリスクがあります。特に、高齢者や子どものほか、持病のある方は、体温調節機能が低下しやすくわずかな湿度の変化でも影響を受けやすい傾向があり、注意が必要です。
症状
梅雨型熱中症は、湿度の高い環境で体温調節機能が正常に働かず体の熱がたまりやすくなることにより、熱中症の症状を引き起こします。主な症状は、頭痛やめまいのほか、立ちくらみ・体のだるさ・吐き気・異常に汗をかく(もしくは汗をかかない)といった症状です。さらに症状が悪化すると、けいれんや意識障害など、命に関わる重篤な状態に陥る可能性があります。特に高齢者や子どものほか、持病のある方は体温調節機能が低下しやすく、症状が急速に悪化することがあるため注意しましょう。
また、梅雨の時期は気温がそれほど高くないため、熱中症対策への意識が薄れやすいほか、症状に気づきにくいといった特徴があります。そのため、湿度の高さが体に与える影響を理解し、早めの対策を心がけることが重要です。
効果的な熱中症対策
梅雨型熱中症は、症状を自覚しにくいのも特徴のひとつ。そのため、体調が悪化する前からしっかりと対策しておくことが大切です。ここでは、日常生活の中で無理なく取り入れられる、室内の湿度管理の方法や水分・塩分補給のコツをご紹介します。熱中症に限らず脱水症状予防にもつながるので、ぜひ参考にしてください。
室内の湿度管理
梅雨時の高湿度環境では、汗が蒸発しにくくなり体温調節が困難になります。そのため、室内での熱中症予防として、温度だけでなく湿度の管理も大切です。ちなみに、室温は28℃、湿度は40〜60%程度が快適に過ごせる環境の目安といわれています。
具体的な予防方法としては、エアコンの除湿機能を活用し、室内の湿度を下げる方法がおすすめ。このほかにも、サーキュレーターや除湿機を併用すると、空気の循環が促され、より効果的に湿度管理ができるでしょう。これらの対策により、気温や湿度による体への負担が軽減され、熱中症を予防しやすくなります。
こまめな水分・塩分補給
軽い熱中症だとのどの乾きを感じにくいため、いわゆる「かくれ脱水」の状態に陥ることも少なくありません。そのため、熱中症を防ぐにはのどが乾く前からの、こまめな水分・塩分補給がとても大切です。特に大量に汗をかいたときには、水だけでなく塩分やミネラルも失われるため、経口補水液やスポーツドリンクを上手に活用しましょう。これらの飲料にはナトリウム(塩分)が含まれており、体内の水分バランスを保つのに役立ちます。
また、カフェインを多く含む飲料(コーヒー、紅茶、緑茶など)は利尿作用があり、かえって脱水を促してしまう可能性があるため、摂りすぎには注意が必要です。
体調管理が難しい梅雨の時期だからこそ、水分・塩分補給を“予防の一環”として意識することが、梅雨型熱中症を防ぐカギといえるでしょう。
なお、「かくれ脱水」の詳細については、同サイトの別記事「冬のかくれ脱水症状に要注意!」に載せておりますのでぜひご覧ください。
お困りごとは薬剤師に相談
熱中症の予防のほか、日々の体調管理に不安があるときは、身近な健康の専門家である薬剤師に相談してみましょう。症状が軽い段階でも適切なアドバイスを受けられますよ。また、体調の異変を感じた場合には、我慢せずに早めに医師や薬剤師へ相談することが大切です。ここでは、薬剤師への相談内容や相談のタイミングについて、くわしく紹介します。
熱中症の予防や体調管理について薬剤師に相談
熱中症の予防や体調管理について不安がある場合は、医師のほかにも薬剤師に相談するのがおすすめです。薬剤師は薬の専門家であると同時に、日常の健康管理についての知識も豊富に持っています。
たとえば、「水分補給はどのくらいが適切か」「経口補水液とスポーツドリンクはどちらを選ぶべきか」など、疑問に感じることを気軽に相談できます。また、高血圧や糖尿病などの持病を抱えている人が熱中症予防を行う際には、使用中の薬との相互作用や注意点も含めてアドバイスを受けられるのもメリットのひとつです。
さらに、薬局では熱中症対策グッズや補水製品なども取り扱うことがあるため、自分の生活スタイルに合ったアイテムを選ぶ手助けもしてくれるでしょう。
熱中症は、日常のちょっとした工夫で防ぎやすくなる病気です。だからこそ、健康に関する専門的な視点からのサポートを活用し、安心して梅雨の時期を乗り越えましょう。
気になる症状がある場合はすぐに医師や薬剤師に連絡を
熱中症の症状は、軽いめまいや倦怠感から始まり、進行すると頭痛や吐き気、さらには意識障害に至ることもあります。特に梅雨時は湿度が高く、体温調節が難しいため、屋内で過ごしていても油断できません。「なんとなくだるい」「汗のかき方がおかしい」と感じたら、それは体からの重要なサインです。そのようなときは自己判断せず、できるだけ早く医師や薬剤師に相談しましょう。症状が軽いうちに適切なアドバイスや処置を受けることで、重症化を防ぎやすくなります。
また、日頃からの健康管理や、いざという時のサポート体制を整えておくことも大切な予防策のひとつ。もし、熱中症に関する不安やそのほかのお悩みがある方は、オンラインで薬局の薬剤師に相談ができる「つながる薬局」というサービスがおすすめです。
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