執筆者:看護師・監修者:薬剤師
「なんとなく不調が続く…もしかして腸内環境の乱れかも?」
便通の乱れや肌荒れ、疲れが取れにくいと感じるのは、腸内環境の乱れが原因かもしれません。腸は第二の脳とも呼ばれ、消化・吸収だけでなく免疫や心の健康にも深く関わる重要な臓器なのです。
この記事では、腸活の基本から腸内環境が乱れたときに現れやすいサイン、そして日常でできる改善・予防のヒントまで、やさしく解説していきます。ぜひ日々の健康習慣のひとつに、腸活を取り入れてみてください。
腸活とは?
「腸活」とは、腸内環境を整えて心身の健康を保つための生活習慣や食事の工夫のことを指します。腸内には約100兆個ともいわれる腸内細菌が存在しており、これらが集まって「腸内フローラ」と呼ばれるバランスのとれた生態系をつくっているのです。
この腸内フローラが整っていると、栄養の吸収や免疫機能が正常に働きやすくなり、心身の不調も起こりにくくなるとされています。また、近年では腸は「第二の脳」とも呼ばれ、脳と密接に関係していることもわかってきました。
腸活は、腸の調子だけでなく心の健康にもつながることから、日々の食生活や生活習慣の中で気軽に始められるヘルスケアとして人気を集めています。
腸内環境が乱れると?
腸内環境が乱れると、体や心にさまざまな不調が現れやすくなります。以下の症状は、腸内環境が乱れたときに起こりやすいサインです。
● 便秘や下痢などの排便トラブル
● 肌荒れ、疲労感、集中力の低下
● ストレス・睡眠不足
● 気分の落ち込み・強い不安感
それぞれ詳しく解説します。
便秘や下痢などの排便トラブル
腸内環境の乱れで最もわかりやすいのが排便に関するトラブルです。腸内の悪玉菌が増えると、便の水分バランスが崩れやすくなり、便秘や下痢が起こることがあります。
特に便秘が長引くと、腸内に老廃物やガスが溜まり腹部の張りや不快感を引き起こすほか、腸壁から有害物質が吸収されて全身の倦怠感や肌荒れの原因になることもあります。下痢の場合も、必要な水分や栄養素が十分に吸収されず、脱水や栄養不足に陥るおそれがあるため注意が必要です。
肌荒れ、疲労感、集中力の低下
腸内環境と肌の健康は密接に関わっています。便秘や悪玉菌の増加によって老廃物の排出が滞ると、体内で発生した有害物質が血流に乗って全身を巡り、ニキビやくすみなどの肌トラブルとして現れることがあるのです。
さらに、腸内環境が乱れると栄養素の吸収効率が低下し、エネルギー不足による慢性的な疲労感を招きやすくなります。その結果、仕事や勉強に必要な集中力や判断力にも影響が及び、日常生活のパフォーマンス低下につながることも少なくありません。
ストレス・睡眠不足
精神的なストレスや慢性的な睡眠不足も、腸内環境の乱れにより引き起こされる大きな要因のひとつです。これらの状態が続くと自律神経のバランスが崩れ、腸の蠕動運動が弱まり、便秘や下痢といった排便トラブルを引き起こしやすくなります。
一方で、腸内環境が整っていると自律神経の働きも安定しやすく、ストレス耐性が高まる傾向があります。心と腸は相互に影響し合っているため、十分な休養とリラックスできる時間を確保することが、腸活の効果を高めるうえでも大切です。
気分の落ち込み・強い不安感
腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれるネットワークで密接につながっています。腸内環境が悪化すると、脳内のセロトニン(幸せホルモン)の分泌量が減少し、気分の落ち込みや不安感が強まることがあるのです。
また、ストレスや精神的な負担がかかると腸の働きにも影響し、便秘や下痢などの症状が出やすくなるのも特徴のひとつ。こうした双方向の関係性から、心の健康を守るためにも腸活を取り入れることは有効なアプローチとなるでしょう。
積極的に摂取したい食材
腸内環境を整えるためには、毎日の食事に善玉菌を増やしたり働きを助けたりする食材を取り入れるのがおすすめです。ここからは、腸活に役立つ代表的な食材を3つのカテゴリーに分けて紹介します。
● 発酵食品
● 食物繊維
● オリゴ糖を含む食品
どれも手に取りやすい食品なので、日々の食生活にぜひ取り入れてみてください。
発酵食品
発酵食品には、腸内の善玉菌を増やす働きがあります。たとえば、ヨーグルトや味噌、ぬか漬け、キムチなどが代表的です。毎日の食事に少しずつ取り入れることで、腸内環境の改善が期待できます。
食物繊維
野菜、豆類、海藻類などに多く含まれる食物繊維は、腸内の老廃物を排出する役割があり、腸の働きをサポートします。特に水溶性食物繊維は、善玉菌のエサにもなるため、腸内フローラのバランスを整えるのに効果的です。
ただし、玄米や大豆といった不溶性食物繊維を摂りすぎるとかえって便秘やお腹の張りを招くことがあるため、水分をしっかり取りながらバランスよく摂取するようにしましょう。
オリゴ糖を含む食品
バナナ、玉ねぎ、はちみつ、ごぼうなどには、腸内の善玉菌の栄養源となるオリゴ糖が含まれています。オリゴ糖は、消化吸収されにくく大腸まで届くため、腸内環境を整えてくれるのも特徴のひとつです。
また、甘味料として活用できるオリゴ糖製品もあるため、煮物やデザートなどの料理に取り入れやすいのも魅力です。
整腸剤・サプリメントの活用
忙しい日々の中で、毎回の食事から十分な量の発酵食品や食物繊維、オリゴ糖などをバランスよく摂るのは簡単ではありません。そんなときは、整腸剤やサプリメントを活用して、不足しやすい成分や菌を補うのもひとつの方法です。
たとえば、乳酸菌やビフィズス菌のサプリは、効率的に腸まで菌を届けられるよう工夫されており、忙しい方でも手軽に腸活を継続しやすいといった特徴があります。また、整腸剤にはいくつか種類があり、それぞれ含まれる菌や作用が異なります。
次に、代表的な整腸剤のタイプとその特徴を見ていきましょう。
整腸剤の種類と違い
整腸剤には、乳酸菌製剤・ビフィズス菌製剤・酪酸菌製剤など、さまざまなタイプがあります。それぞれの菌には特性があり、便秘気味の方や下痢をしやすい方など、目的や症状に応じて選ぶことが大切です。
種 類 | 特 徴 |
乳酸菌製剤 | 腸内を酸性にして悪玉菌を減らし、便通を整える |
ビフィズス菌製剤 | 大腸で働き、便秘やお腹の張りを和らげる |
酪酸菌製剤 | 腸の粘膜を保護し、下痢や便秘などの不調を予防する |
このほか、乳酸菌やビフィズス菌にオリゴ糖を組み合わせた「シンバイオティクス」製剤など、複数成分を配合した製品もあります。
また、サプリメントでは乳酸菌やビフィズス菌を手軽に摂取できるカプセルタイプや粉末タイプがあり、食事と併用することで腸活の効果を高めることが可能です。どれが自分に合うか分からない場合は、薬局の薬剤師に相談しながら選ぶと安心でしょう。
薬局で受けられるサポート
「腸内環境を整えたいけれど、どんな整腸剤やサプリを選べばいいかわからない」そんなときは、薬局で薬剤師に相談するのもおすすめです。ここでは、薬局で受けられるサポートについて紹介します。
整腸剤やサプリの選び方の相談
薬局では、整腸剤やサプリの特徴を把握した薬剤師が、個々の体質や症状に応じた製品選びをサポートしてくれます。たとえば、便秘傾向なのか、下痢が続いているのかなど、悩みに合わせた相談が可能です。
また、普段から服用しているお薬がある場合も、飲み合わせなどを考慮したアドバイスをくれるのも安心のポイントです。
抗生物質服用後の腸内ケアアドバイス
抗生物質は必要な治療ですが、お薬の特性上、同時に腸内の善玉菌も減少させてしまうことがあります。そのようなとき、薬局では抗生物質の服用後に必要な「腸活」や、善玉菌を補う食品やサプリについてもアドバイスを受けるとよいでしょう。
便秘薬・下痢止めの相談・飲み合わせ相談
自己判断で便秘薬や下痢止めを使うのは、かえって腸内環境を悪化させることがあります。薬局では、他のお薬との飲み合わせも含めて適切な使用方法についての相談が可能です。特に気になる症状が続いている場合は、専門的なアドバイスがもらえると安心でしょう。
なお、LINEで使える「つながる薬局」のサービスには、便秘薬や下痢止めのほか、お薬同士の飲み合わせなどについて薬局の薬剤師に相談できる機能があります。友だち登録後にかかりつけ薬局としてお好きな薬局を登録すると薬剤師へLINEで相談できるようになるので、ぜひ活用してみてください。
まとめ
腸内環境を整えるためには、特別なケアよりも、毎日の小さな心がけが大切です。自分の腸の状態を知り、食事・生活習慣・整腸剤などを上手に活用しながら、無理なく腸活を続けていきましょう。気になる症状があるときは、薬局の薬剤師にも気軽に相談してみてください。
「つながる薬局」のサービスでは、LINEを使って薬剤師にチャット相談ができる機能や、オンラインで服薬指導を受けられる機能があります。忙しくて薬局に行く時間が取れないときや、自宅でゆっくり相談したい場合にも便利な機能です。その他、薬局での待ち時間を短縮できる処方箋送信機能や、電子お薬手帳の機能もあります。ぜひ日常のヘルスケアのひとつとしても「つながる薬局」をご活用ください。