執筆者・監修者:薬剤師
「秋に乾燥するのはなぜ?」
「秋の乾燥対策でできることは?」
「秋の乾燥は食事などでも予防できる?」
肌の不調や体の不安定さを感じる方であれば、このような疑問を抱くのではないでしょうか。秋は紫外線ダメージや湿度低下、生活習慣の乱れが重なり乾燥を招きやすい季節です。当記事では、肌トラブルの原因と特徴を整理し、加湿やスキンケア、栄養バランスを整える食事法まで解説します。
最後まで読めば、秋の乾燥を防ぎ、快適に過ごすための実践的な方法がわかるでしょう。
秋の乾燥の原因と特徴
空気が乾燥する時期は、肌や体調に大きな変化をおよぼしやすいため注意が欠かせません。とくに秋は気候の変化が重なり、肌の不調や体の不安定さを感じる方が増加します。どのような要因が関係しているのかを順に確認していきましょう。
夏の紫外線ダメージとターンオーバーの乱れ
夏の強い紫外線は角質層の保湿成分を破壊し、バリア機能を低下させる状態を招きます。弱った角質層では、肌がダメージを修復しようとしてターンオーバー周期(肌が新しく生まれ変わるサイクル)が通常よりも早まります。
結果として未成熟な角質細胞が増加し、水分を十分に保てない角質が肌表面に残りやすくなり、乾燥感やつっぱり、粉ふきなどの肌不調が現れやすくなるのです。そのため、秋の乾燥対策には、紫外線対策を含めたケアが重要です。
湿度の低下と気温差による自律神経の乱れ
秋になると空気中の湿度が徐々に下がり、朝晩や日中の気温差が大きくなります。こうした環境変化は体温調節や血管の収縮・拡張を司る自律神経に負荷をかけ、交感神経と副交感神経のバランスが崩れやすくなります。
その結果、肌内部の代謝機能が低下してバリア機能が弱まり、水分蒸発が進行しやすくなる状態が生じるのです。そのため、季節の変化に応じた生活習慣を整えることが乾燥対策につながります。
室内環境と加湿不足
秋から冬にかけて暖房を使用すると、室内の空気が温められる一方で湿度が大きく低下します。湿度が40%を下回ると皮膚表面の水分は蒸発しやすくなり、乾燥の進行を助長します。さらに温風暖房やストーブの輻射熱(ふくしゃねつ)は、皮脂を奪い、水分が失われて角質層のバリア機能を低下させる要因です。
乾燥した環境では肌のターンオーバー周期も乱れやすく、小じわやかゆみといった症状が出やすくなります。加湿器や室内干しを活用し湿度40〜60%を保つ工夫が必要です。
秋の乾燥が引き起こす肌トラブル
肌が乾燥する時期には、肌乾燥によってさまざまな不調が現れやすくなります。乾燥が長引くと表面だけでなく肌の内部の環境にも影響し、見た目の変化や不快感を招きやすくなります。秋の乾燥がどのような肌トラブルを起こすのか、詳しく見ていきましょう。
角質層のバリア機能低下と肌荒れ
乾燥が進むと角質細胞の成熟が不十分となり、保湿機能とバリア機能がともに弱まります。
たとえば、角質層に備わっている天然のうるおい成分や角質細胞の隙間を埋めている脂質が減少すると、水分保持力が低下してかゆみや肌荒れを引き起こす状態になります。正常なターンオーバー周期が崩れると、表皮の角質層は未熟な細胞で構成されてしまい、外部からの刺激に過敏になることが多いです。
そのため、保湿成分を含むスキンケアで角質層の成熟を促すことが乾燥対策では重要です。
過剰な皮脂分泌とニキビ・小じわ
乾燥が進むと肌内部の水分量が不足し、体はバランスを補うために皮脂を過剰に分泌します。分泌量が増えると毛穴には皮脂と古い角質がたまりやすく、毛穴詰まりからニキビが形成されやすくなるのです。
さらに乾燥によって角質層は硬くなり、表面の柔軟性が失われることで小じわが強調されます。乾燥はニキビと小じわという2つのトラブルを同時に悪化させる要因になります。
そのため、十分な保湿をおこなうことで皮脂の分泌を安定させることが欠かせません。
秋の乾燥対策は室内湿度と環境改善から
秋は空気の乾燥に加えて生活環境の変化も肌に影響を及ぼします。快適に過ごすには、外部刺激から守る工夫と日常の習慣を整えることが欠かせません。秋の乾燥対策につながる室内湿度と環境改善について、詳しく見ていきましょう。
室内湿度40〜60%を保つ加湿器の活用
乾燥対策の基本は、室内の湿度を40〜60%に安定させることです。湿度が40%を下回ると皮膚の水分が失われやすくなり、肌荒れやかゆみの要因となります。
一方で、過度に湿度が高すぎると結露やカビの原因になるため、適正範囲を守ることが大切です。加湿器の活用に加えて、洗濯物の室内干しや濡れタオルの設置も効果的な方法です。
日常的に湿度計を確認し、40〜60%を意識することが肌の健康維持につながります。
ぬるま湯洗顔と適度な入浴で血行促進
洗顔をするときはお湯の温度をぬるめ(30~34℃程度)に設定すると、必要な皮脂や保湿成分を過度に洗い流さず肌が保護されるでしょう。ぬるま湯は血行をじわっと促し、栄養や酸素の巡りがよくなり肌代謝が活性化します。
さらに、入浴時のお湯の温度を40℃以下、入浴時間を10〜15分以内に保つと皮膚の乾燥やかゆみを防ぎながらも温熱効果で血管が拡張され、肌の潤いとハリを保てます。肌の乾燥対策には、正しい温度と時間に気をつけたケアが重要です。
秋の乾燥から肌を守るスキンケア習慣
乾燥の季節は肌の潤いが奪われやすく、日々のスキンケアが欠かせません。基本的なケアを整えることで、外部刺激に強い健やかな肌を維持できます。ここでは、秋の乾燥から肌を守るスキンケア習慣について解説します。
化粧水と乳液の役割
乾燥対策では、化粧水と乳液を組み合わせた使用が基本です。化粧水は角質層に水分を補い肌を柔らかくして、次に使う保湿成分を浸透しやすい状態へ導きます。乳液は油分を補給することで角質層の隙間を埋め、水分蒸発を防ぎながら外部刺激から肌を保護します。
化粧水で水分補給した後に乳液で油分を補うという流れを徹底すると、潤いが長時間維持されやすいでしょう。水分と油分のバランスを取ることがバリア機能強化につながるのです。
保湿成分セラミド・ヒアルロン酸・コラーゲンを含むアイテムの活用
乾燥を防ぐには、角質層に潤いを補い維持する成分を取り入れることが重要です。とくにセラミド・ヒアルロン酸・コラーゲンは代表的な保湿成分として知られています。
● セラミド:角質内部で水分を挟み込み、バリア機能を強化
● ヒアルロン酸:水分を大量に抱え込み、長時間の保湿効果を発揮
● コラーゲン:肌表面に保護膜を形成し、外部刺激から潤いを守る
これらを併用すると、内部と表面の両方から水分保持をサポートでき、乾燥しやすい季節に効果的です。
乾燥しやすい目元・口元の重点ケア
目元や唇は専用クリームで集中的に保湿することが乾燥対策するうえで重要です。目元や口元には皮脂腺が少なく水分保持力が弱いため、秋の乾燥環境では小じわや荒れが目立ちやすくなります。
たとえば、目にはアイクリーム、唇にはリップバームのように部位ごとに適した製品を選ぶことがおすすめです。摩擦を避け、中指や薬指でやさしく塗布することが潤いを守る基本です。
秋の乾燥を防ぐ食事と栄養
秋の乾燥は肌だけでなく、体内の栄養バランスとも深く関係します。潤いを守るには、日々の食事から必要な成分を補うことが重要です。どのような栄養素や食材が乾燥対策に役立つのかを確認していきましょう。
発酵食品と食物繊維で腸内環境を整える
肌の潤いを保つためには、腸内環境を整えてターンオーバー周期を安定させることが重要です。発酵食品は乳酸菌などの善玉菌を増やし、腸内フローラを健全化します。食物繊維は便通を改善し、老廃物を排出することで肌に不要な負担を与えにくくします。
たとえば、ヨーグルトや納豆、味噌、野菜や海藻を組み合わせて摂ると効果的です。腸内からのアプローチが、乾燥しやすい秋の肌状態を改善する基盤になるでしょう。
コラーゲンやフコイダンを含む食材で保湿力を高める
肌の弾力や潤いを維持するには、コラーゲンやフコイダンを含む食材を積極的に取り入れることが効果的です。コラーゲンは皮膚の構造を支える成分であり、不足するとハリが失われやすくなります。フコイダンは海藻類に豊富で、保湿効果や肌の再生を助ける作用が報告されています。
たとえば、鶏の手羽先や魚の皮、わかめ・もずくといった食品が代表例です。日常の食事にこれらを組み合わせることで、乾燥しやすい季節に肌の潤いを守りやすくなるでしょう。
ビタミンA・C・E・オメガ3脂肪酸をバランスよく摂る
乾燥を防ぐには、抗酸化作用や炎症抑制に働く栄養素を日常の食事から摂ることが有効です。とくに以下のビタミン類やオメガ3脂肪酸は、肌の健康を支える重要な成分です。
● ビタミンA:皮膚や粘膜を保護し、乾燥によるダメージを防ぐ
● ビタミンC:コラーゲン生成を助け、ハリと潤いを維持
● ビタミンE:血行を促し、酸化ストレスを抑えて肌を守る
● オメガ3脂肪酸:炎症を抑制し、角質層のバリア機能を支える
緑黄色野菜や柑橘類、ナッツ類、青魚などを組み合わせると、秋の乾燥に負けない肌環境をつくれるでしょう。
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秋の乾燥と生活習慣の見直し
秋は気候の変化によって肌の乾燥が進みやすく、生活習慣の乱れも影響をおよぼします。そのため、体の内側から潤いを保ち、外部刺激に負けない肌を育てる工夫が求められます。秋の乾燥に対して、どのような生活習慣の見直しが効果的なのかを確認していきましょう。
水分補給と睡眠で体内から潤す
乾燥対策では外側のケアだけでなく、体内から潤いを支える習慣も欠かせません。水分をこまめに摂ることで血流が保たれ、栄養や酸素が肌に届きやすくなります。さらに質のよい睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、細胞修復やターンオーバーを整えます。
たとえば、1日1.5Lの水分摂取や7時間前後の睡眠を意識すると効果的です。体内環境を整えることが、肌の乾燥を防ぐ基盤となるでしょう。
紫外線対策と適度な運動で肌を守る
秋は日差しが和らいでも紫外線は存在し、シミや乾燥を引き起こす要因になります。日焼け止めや帽子で紫外線を防ぐことは、肌のバリア機能を守るために欠かせません。
さらに適度な運動を習慣にすると血流が改善し、栄養や酸素が肌細胞に届きやすくなります。運動は自律神経の調整にも役立ち、ストレス軽減を通じて肌環境を安定させます。
紫外線対策と運動を両立することが、秋の肌トラブル予防につながるでしょう。
まとめ
秋の乾燥対策では、紫外線や湿度低下による肌への影響を理解し、加湿やスキンケア、食事改善を組み合わせることが重要です。適度な室内湿度を保ち、保湿成分を含むケアを取り入れることで、肌のバリア機能を守れます。さらに発酵食品やビタミン類を含む食事は、体内から潤いを支える力を高めます。
この記事を参考に、生活習慣を見直して実践することで、秋を快適に過ごすための健やかな肌を維持してください。
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