35歳以下でも高血圧に。隠れ高血圧・若年性高血圧とは

健康・予防

執筆者:看護師・監修者:薬剤師

「高血圧は中高年の病気」このようなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。高血圧は中高年だけのものと思われがちですが、実は20〜30代でも発症する「若年性高血圧」や、健診では正常でも家庭で高くなる「隠れ高血圧」が増えています。

これらは自覚症状が少ないまま進行するため、放っておくと動脈硬化や心疾患のリスクを高めることも。この記事では、若い世代に増える高血圧の原因と予防法をわかりやすく解説します。

そもそも高血圧とは?

高血圧について知るには、まず血圧がどう体に影響しているのか、またどのような仕組みなのかを知ることが大切です。ここではまず、血圧とはそもそも何か、そして高血圧はどのような状態を指すのかについて詳しく解説していきます。

血圧とは?

血圧とは、血液が血管の中を流れる際に血管の壁へかかる圧力のことを指します。また、心臓が全身に血液を送り出すときの圧力が「収縮期血圧(最高血圧)」、次の拍動に備えて血液をためているときの圧力が「拡張期血圧(最低血圧)」です。

血圧は一定ではなく、運動や気温、ストレス、睡眠など、日々の生活の中で変動しています。たとえば寒い朝や緊張しているときは上昇し、入浴中や睡眠中には下がることも。

つまり血圧は、心身の状態や環境の変化を映し出す体のバロメーターといえるでしょう。

高血圧とは?

高血圧とは、血管にかかる圧力が慢性的に高い状態を指します。日本高血圧学会によると、最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上の場合に「高血圧」と診断されます。

自覚症状がほとんどないまま進行し、気づかないうちに血管や臓器に負担をかけることから、「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」とも呼ばれているのです。

若年性高血圧とは?そして注意すべき“隠れ高血圧”とは?

若年性高血圧や隠れ高血圧は、気づかないうちに進行するのが特徴です。ここでは、35歳以下でも注意が必要な高血圧のタイプと、その背景について見ていきましょう。

若年性高血圧とは?

若年性高血圧とは、一般的に35〜40歳未満で高血圧と診断された場合を指します。以前は、高血圧=中高年の病気というイメージが一般的でした。しかし、近年では20〜30代の若い世代でも、発症するケースが増えています。

その背景には、ストレスの多い労働環境や、外食・コンビニ食に偏った食生活、運動不足、睡眠の乱れといった現代的な生活習慣が深く関わっていると考えられています。こうした要因が重なることで、自覚のないまま血圧が上昇し、若くして生活習慣病のリスクを抱える人も少なくありません。

隠れ高血圧とは?

「健康診断では正常値なのに、自宅で測ると高い」そんな方は隠れ高血圧かもしれません。

正式な医学用語では「仮面高血圧」といい、医療機関では正常でも、家庭や職場などの日常生活で血圧が上昇している状態を指します。

隠れ高血圧を放置すると、知らないうちに血管へのダメージが蓄積し、動脈硬化をはじめとした疾患のリスクが高まるため注意が必要です。

高血圧が続くとどうなる?

高血圧の状態が長く続くと、血管の壁が厚く・硬くなり、いわゆる「動脈硬化」の状態が進行します。動脈硬化が進むと、血管の内側にプラーク(コレステロールなどの沈着物)がたまって血管が狭くなったり、プラークが破れて血の塊(血栓)ができやすくなります。その結果、脳卒中や心筋梗塞、腎障害など、命に関わる疾患を引き起こす原因となります。

そのため、「まだ心配しなくても大丈夫」と思わずに、若いうちから血圧を意識しておくことが将来の生活習慣病予防にもつながります。

若くても高血圧になる原因とは?

日頃、仕事や家事に忙しく、健康状態についてつい後回しにしてしまうという方も多いのではないでしょうか。ここからは、若年層で高血圧が起こる主な原因を具体的に見ていきます。

食生活の乱れ

塩分の摂りすぎは、最大の原因のひとつです。ラーメンや惣菜、加工食品などの塩分量は想像以上に多く、一般の人の食塩摂取量目安である「男性7.5g/日未満・女性6.5g/日未満」を超える人も少なくありません。

運動不足

運動不足は、血圧の上昇だけでなく、肥満や内臓脂肪の増加を招きます。これらの状態が進行すると、心臓・血管疾患のリスクを増加させるため注意が必要です。

睡眠不足

夜更かしや不規則な生活は、自律神経のバランスを崩す一因に。交感神経が過剰に働くと、常に体が緊張状態になり血圧が上がりやすくなることがあります。

ストレス

ストレスが生じると、アドレナリンなどの血圧を上げるホルモンが分泌されます。そのため、慢性的なストレスのある環境では、血管の収縮による血圧上昇を引き起こしやすくなるのです。

喫煙・飲酒

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、一時的に血圧を上昇させます。アルコールも過剰摂取すると血圧を上げるため、摂取量には注意が必要です。

遺伝的要因

家族に高血圧の人がいる場合、体質の遺伝により、若いうちから血圧が高くなりやすい傾向があります。また、遺伝だけでなく、家庭での食生活やストレスのかかり方、また生活習慣も影響します。

これから始められる予防方法

高血圧は、生活の中の小さな工夫から予防対策を講じることができます。予防のうちは、大きな工夫は必要なく、食事・運動・睡眠などの習慣を少し見直すだけでも効果的ですよ。ここでは、無理なく続けられる実践的な予防のコツを紹介します。

食生活を改善する

高血圧の予防として、まずは日々の食事や塩分量の見直しから始めましょう。味気ないと感じるときには、だしやスパイス、レモン汁などを活用すると、塩分を減らしても味の満足度を保てます。

また、アメリカで開発された「DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)」は、血圧を下げる食事法として注目されています。野菜、果物、豆類、魚類、低脂肪乳製品を中心とした食事を心がけてみてくださいね。

運動習慣をつける

1日30分程度のウォーキングや軽いジョギングなど、有酸素運動を継続することで血圧の安定に役立ちます。また、通勤時に階段を使ったり一駅歩いたりなど、日常にひと工夫の運動習慣を取り入れるだけでも効果が期待できますよ。

睡眠を確保する

規則正しい生活リズムと十分な休息は、血圧を安定させるために欠かせません。睡眠が不足すると交感神経が優位になり、血圧が上がりやすい状態が続いてしまいます。そのため、就寝前のスマートフォン使用を控え、照明を落としてリラックスできる環境を整えるとよいでしょう。

また、入眠の質を高めることで、自律神経のバランスが整い、翌日の血圧変動も穏やかになります。

血圧の測定を習慣化

日々の血圧を把握することは、高血圧の早期発見につながります。家庭用血圧計を使い、朝起きてすぐや就寝前など、同じ条件で測定する習慣をつけましょう。

また、記録を続けることで、体調や生活習慣との関連も見えやすくなります。測定の方法や数値の見方に不安がある場合は、薬局で薬剤師に相談するのもおすすめですよ。近年は店内に血圧測定コーナーを設けている薬局も多く、手軽に健康チェックができます。

まとめ

高血圧は、若年層でも起こり得る生活習慣病です。知らないうちに進行するのを防ぐために、無理のない範囲で生活習慣を整え、自分の血圧を知ることから始めてみましょう。

もし、「どのように工夫したらよいのかわからない」という方は、薬剤師などの医療従事者に健康に関する相談ができるサービスを利用するのもおすすめです。

たとえば「つながる薬局」というサービスでは、LINEを使って薬局の薬剤師へチャットで相談ができる機能があります。正しい血圧測定の方法や生活改善のアドバイスも受けられるでしょう。

さらに、「つながる薬局」のサービスでは、薬局での待ち時間を短縮できる処方箋送信機能や電子お薬手帳、オンライン服薬指導といった便利な機能も。スマホから気軽に利用できるため、忙しい方や健康管理を始めたい方にぴったりのサービスですよ。健康維持のパートナーとして、ぜひ「つながる薬局」をご活用ください。

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