冬に悪化しやすい!?脂質異常症の基本やお薬との付き合い方を紹介

健康・予防

執筆者・監修者:薬剤師

「冬になると油っこい食事が増えてしまう。どうしたらいいかな?」
「寒いから外に出たくない、運動不足だけどどうしたものかな・・・」

このように、寒い季節になると、運動量が減ったり食生活が乱れたりと、体調管理が難しくなるものです。なかでも「脂質異常症」は自覚症状が少なく、気づかないうちに発症して数値が悪化してしまうケースもあります。生活習慣や環境の変化が重なりやすい冬は、とくに注意が必要な時期です。

本記事では、脂質異常症の基礎知識・寒さによる影響・治療方法・お薬との向き合い方などを整理して解説します。日常生活で意識すべきポイントや薬局を上手に活用するヒントを知るきっかけとしてご活用ください。

冬に悪化しやすい脂質異常症とは

まずは脂質異常症の基本的な知識を押さえておきましょう。この疾患を理解することが、効果的な予防や治療の第一歩になります。

脂質異常症の基本

脂質異常症は、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が基準値から外れた状態を指します。具体的には、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が高い状態、またはHDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い状態を指します。

長期間放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中などの重大な疾患のリスクを高めるため、早期発見・早期治療が重要です。

原因

脂質異常症の主な原因は、高脂肪・高カロリーの食事や運動不足といった生活習慣です。また、肥満、加齢、喫煙、お酒の飲みすぎなども影響します。

遺伝的要因もあり、家族性高コレステロール血症のように遺伝で脂質代謝に異常がでやすい場合もあります。

治療方針

治療の基本は食事療法と運動療法による生活習慣の改善です。これらを継続しても改善が見られない場合や、動脈硬化性疾患のリスクが高い場合には、医師の判断により薬物療法が開始されます。

冬に脂質異常症が悪化しやすい理由

寒い季節には脂質異常症が悪化しやすい傾向があります。なぜ悪化しやすいのか理由を知ることで効果的な対策を立てることができるので、確認していきましょう。

寒さによる血管収縮

気温が下がると、体は熱を逃がさないよう皮膚表面の血管を収縮させ、体の中心部に血液を集中させます。この血管収縮により、同じ量の血液が通る血管が狭くなり、結果的に血圧が上昇します。

また、寒い環境では体温維持のためにエネルギーが多く必要となります。そのため、体内の脂肪組織から脂肪が血液中に多く放出され、血中の脂質が上昇することがあります。

さらに、体が寒さに対応するためにホルモンバランスも変化し、アドレナリンやノルアドレナリンなどのストレスホルモンが増加します。これらのホルモンは脂質代謝にも影響を与え、血中の脂質の値を上昇させる要因となります。

寒くて外出が減ることによる運動量低下

気温の低下で外出機会が減少し、日常的な身体活動量が低下します。運動不足は脂質代謝を悪化させる大きな要因となるため、冬場は意識的に運動する機会を作ることが重要です。

高脂肪食を食べる機会が増加しがち

寒い季節には体を温めるために高カロリー・高脂肪の食事を摂りやすくなります。鍋物や煮込み料理、揚げ物など、油脂分の多い料理が増えがちです。また、クリスマスや忘年会、新年会など、食事や飲酒の機会も増える傾向にあります。

年末年始の生活リズムの乱れ

年末年始の長期休暇期間は生活リズムが乱れやすく、不規則な食事や睡眠、運動不足などが重なりやすい時期です。

このような複合的な要因により、冬季は脂質異常症が悪化しやすく、特に心臓病や脳卒中などを起こすリスクが高まる時期として注意が必要です。

脂質異常症を予防・改善する生活習慣

脂質異常症の予防や改善には、日々の生活習慣が大きく影響します。特に冬場は意識的に以下のポイントに気を配りましょう。

脂質や糖質を摂りすぎない

脂肪分の多い肉類・バター・マーガリン・チョコレート類・スナック菓子・アルコールなどの過度な摂取を避けましょう。脂質異常症の改善には、食事内容の見直しが不可欠です。具体的には以下のポイントを意識しましょう。

 動物性脂肪(飽和脂肪酸)の摂取を控え、魚や植物油(不飽和脂肪酸)を適度に摂る
 食物繊維を多く含む野菜や海藻、きのこ類を積極的に取り入れる
 糖質の過剰摂取を避ける(特に砂糖や、コーラ、ジュースなどの甘い飲み物)
 アルコール摂取は適量にとどめる(日本酒なら1日1合程度)
 1日3食、規則正しく食べる習慣を身につける

冬でも無理のない運動を継続する

寒い季節でも継続できる運動を取り入れることが大切です。

 室内でできるストレッチや軽い筋トレ
 ウォーキングマシンやエアロバイクの活用
 温水プールでの水中ウォーキングや水泳
 買い物や通勤時に一駅分歩くなど、日常生活に運動を組み込む

理想的な運動量としては、毎日(最低でも週3回)一回30分程度の有酸素運動を継続することが推奨されています。

定期的な健康診断で数値の変化を早めに把握する

年に1回は健康診断を受け、脂質の数値をチェックすることが重要です。特に冬の時期は意識的に数値の変化に気を配りましょう。また、すでに脂質異常症と診断されている方は、医師の指示に従って定期的に検査を受けることが大切です。

脂質異常症の治療で使われるお薬

脂質異常症の治療には様々な種類のお薬が用いられます。それぞれのお薬の特徴や働き方を理解しておくことで、治療への理解が深まります。

スタチン系薬剤

スタチンは、脂質異常症治療の第一選択薬として広く使用されています。肝臓でコレステロールが作られるのを抑えることで、血液中のコレステロールを下げる作用があります。主に総コレステロールとLDLコレステロールの低下に効果があります。

代表的なお薬:アトルバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチンなど

エゼチミブ

小腸からのコレステロール吸収を妨げる作用があります。スタチンとは異なる働き方のため、スタチンとの併用で相乗効果が期待できます。エゼチミブ単剤でもLDLコレステロールを低下させる効果があります。

代表的なお薬:エゼチミブ

フィブラート系薬剤

主に中性脂肪の低下とHDLコレステロールの増加に効果を発揮します。肝臓での脂質の代謝を整える働きがあり、その結果、血液中の中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを増やします。中性脂肪が高く、HDLコレステロールが低い方に適しています。

代表的なお薬:フェノフィブラート、ベザフィブラートなど

PCSK9阻害薬

比較的新しいタイプのお薬で、肝臓が血液中のLDLコレステロールを取り込みやすくすることで、LDLコレステロールを大きく下げる薬です。スタチン系薬剤で効果が不十分な場合や、スタチン系薬剤が適さない患者さんに処方されることがあります。

代表的なお薬:アリロクマブ、エボロクマブなど

EPA製剤

魚油に含まれるオメガ3脂肪酸の一種であるエイコサペンタエン酸(EPA)を主成分とするお薬です。中性脂肪の低下効果だけでなく、血小板が固まるのを防ぐ作用や抗炎症作用なども持ち合わせています。

代表的なお薬:イコサペント酸エチルなど

陰イオン交換樹脂

コレステロールから作られる胆汁酸と腸内で結合して体に吸収されるのを防ぎ、体外への排泄を促進します。その結果、肝臓は胆汁酸を新たに合成するためにコレステロールを消費するため、血中コレステロール値が低下します。

代表的なお薬:コレスチラミン、コレスチミドなど

薬局で買える脂質対策のお薬

処方薬だけでなく、薬局で購入できる市販薬やサプリメントも脂質対策に活用できます。ただし、効果や使用方法については薬剤師に相談することが大切です。

高コレステロール改善薬 第3類医薬品

薬局やドラッグストアでは、医師の処方箋なしに購入できる第3類医薬品として、高コレステロール改善を目的とした製品が販売されています。これらの多くは、植物性ステロールや食物繊維などの成分を含み、腸内でのコレステロール吸収を抑制する効果が期待できます。

ただし、効果は処方薬に比べて穏やかであり、すでに医療機関で治療を受けている場合は、必ず医師や薬剤師に相談してから使用することが重要です。

EPAを含むお薬、サプリメント

EPAを含む市販薬やサプリメントも、中性脂肪の改善に役立つ可能性があります。魚油由来のEPAやDHAは、血中の中性脂肪を低下させ、血液の流れを改善する効果が期待されます。

機能性表示食品やサプリメント

脂質異常症対策として、様々な機能性表示食品やサプリメントが販売されています。
例を挙げると下記の通りです。

 緑茶カテキン
 大豆イソフラボン
 レシチン
 紅麹(ベニコウジ)由来成分
 グルコマンナンなどの水溶性食物繊維

ただし、これらの製品は医薬品ではないため、効果の保証はありません。使用前には薬剤師に相談することをおすすめします。

脂質異常症の方のお薬との付き合い方

お薬を効果的に活用するには、正しい服用方法と継続が重要です。脂質異常症のお薬は症状がなくても継続することで効果を発揮します。

症状がないからといって服用をサボらない

脂質異常症は、自覚症状がほとんどありません。そのため、「薬を飲んでも体調が変わらない」と感じ、服用を中断してしまうケースがあります。

しかし、継続的な服用が動脈硬化の進行を防ぎ、将来的な心疾患や脳血管疾患のリスクを低減させます。特に冬場は血中脂質が上昇しやすい時期なので、服用の継続が一層重要になります。

数値が下がったからといって自己判断でやめない

検査で脂質の数値が改善したからといって、自己判断でお薬の服用を中止するのは危険です。お薬の効果で一時的に数値が下がっていても、服用を中止すれば再び上昇する可能性が高いためです。治療の中止やお薬の変更は、必ず医師と相談の上で行いましょう。

特に季節の変わり目や冬場は、生活環境の変化により数値が再上昇するリスクが高まります。一時的な改善を維持するためにも、処方されたお薬は医師の指示通りに服用し続けることが大切です。

不安は我慢せず相談する

お薬の副作用や飲み方に関する疑問、生活習慣との関連性など、不安に思うことがあれば、医師や薬剤師に相談しましょう。「こんな小さな疑問で…」と躊躇せず、気になることは早めに専門家に相談することが、治療を円滑に進める鍵となります。

特に冬場は体調変化も起こりやすいため、お薬の効果や副作用に関する不安があれば、我慢せずに医療機関や薬局に相談することをおすすめします。

お薬のことは、薬局で相談しよう

薬局の薬剤師は、お薬に関する専門家として様々な相談に対応しています。脂質異常症の管理において、身近な薬局を上手に活用しましょう。

医療機関で処方されたお薬の服用方法のフォロー

処方薬の正しい飲み方や、食事との関係、日常生活での注意点など、細かいことでも薬剤師に相談することができます。特に脂質異常症のお薬は長期間服用するものが多いため、継続しやすい服用のタイミングや方法についてアドバイスをもらうとよいでしょう。

冬場は風邪薬など複数のお薬を服用することも増えるため、処方薬との相互作用についても確認しておくと安心です。

副作用や飲み合わせについての相談

脂質異常症のお薬には、筋肉痛や肝機能への影響など、注意すべき副作用があります。気になる症状が現れたり、他のお薬や健康食品との飲み合わせが心配な場合は、薬剤師に相談しましょう。

特に複数の医療機関を受診している場合は、服用しているすべてのお薬について薬剤師に伝え、飲み合わせをチェックしてもらうことが重要です。

飲み忘れ対策アドバイス

長期間服用を続ける脂質異常症の薬は、飲み忘れが課題になることもあります。薬剤師は、服用するタイミングが同じ複数のお薬を一回分ずつ一つの袋にまとめる「一包化」や服薬カレンダーの活用、スマートフォンのアプリ利用など、個々の生活スタイルに合わせた飲み忘れ防止策を提案してくれます。

年末年始など生活リズムが変わる時期は特に飲み忘れが増えやすいので、事前に対策を相談しておくと良いでしょう。

生活習慣や食生活改善のアドバイス

薬剤師はお薬だけでなく、脂質異常症の改善に役立つ食事や運動についてもアドバイスしてくれます。冬場の食事の工夫や、室内でできる運動方法など、季節に応じた生活習慣の改善策について相談することができます。

また、薬局で販売されている脂質対策の健康食品やサプリメントについても、処方薬との関係を踏まえた適切なアドバイスを受けられます。

近年、薬局のサービスもデジタル化が進み、より便利に利用できるようになっています。
たとえば、LINEの「つながる薬局」のサービスを活用すれば、スマートフォンから簡単に薬局の薬剤師にお薬や健康に関する相談ができる機能があり、脂質異常症の管理にも役立ちます。

利用開始も簡単で、LINEで「つながる薬局」を友だち追加し、お好きな薬局をかかりつけ薬局として登録するだけ。

「この薬、食後すぐに飲んだほうがいいの?」「風邪薬と一緒に飲んでも大丈夫?」といった疑問は、LINEを通じて薬剤師に直接相談できます。お薬について気になることがあれば、外出せずに専門家のアドバイスが受けられるため、忙しい方や寒い時期の外出が難しい方にとって便利です。

また、「つながる薬局」のサービスには処方箋送信機能もあるため、LINEで事前に処方箋の情報を薬局に送信しておけば、お薬の準備が整ったタイミングで薬局に行くことができ、混雑する冬場でもスムーズにお薬を受け取れます。

定期的に通院が必要な脂質異常症の管理において、薬局での待ち時間を短縮できるのは大きなメリットです。特に脂質異常症のように継続的な管理が必要な疾患では、「つながる薬局」のようなサービスを活用して、専門家のサポートを上手に取り入れることが、健康維持の強い味方になるでしょう。

利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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