受験シーズンの体調管理と感染症対策

健康・予防

「いよいよ受験の本番だけど、塾でもインフルエンザが流行っていて不安だ」
「電車で感染症をうつされたらどうしよう」

このような悩みはありませんか?
せっかく受験のために何年も取り組んできたのに、インフルエンザなどに感染して当日に本領を発揮できないばかりか、受験ができなかったら大変ですよね。受験本番に向けて無理をしがちな受験生にとっては、疲労やストレスが重なる中で感染症予防も含めての体調管理が欠かせません。
この記事では、感染症のリスクと予防となる対策について、薬剤師の視点を交えながら具体的な解説とアドバイスをお届けします。体調を万全にして受験するために、ぜひご参考にしてください。

受験シーズン中に注意が必要な感染症

受験シーズンの本番がやってくる冬は、インフルエンザをはじめとする感染症が流行しやすい時期でもあります。特に流行しやすいのがインフルエンザや新型コロナウイルスなどの呼吸器感染症と、集団食中毒の原因となりやすいノロウイルスによる消化器感染症です。これらは出席停止や外出しにくい症状になるなど、注意が必要です。

インフルエンザ

一般的な風邪の症状は、くしゃみ・鼻水・高熱ではない発熱ですが、インフルエンザは比較的急激に38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が現れる特徴があります。子どもや高齢者では重症化しやすく、毎年のワクチン接種が推奨されています。インフルエンザにかかった場合は、出席停止期間が設けられており、日本学校保健会「学校において予防すべき感染症の解説 令和5年度改訂」によると、感染時には「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」とされています。

新型コロナウイルス

令和5年(2023年)5月から第5類感染症に移行した新型コロナウイルスは、法律に基づく外出自粛は求められなくなりました。しかし、特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことから、発症日を0日目として5日間は外出を控えることが推奨されています。無症状でも感染している事がある新型コロナウイルスですが、感染がわかった際でもやむを得ず外出する場合は、マスク着用を徹底しましょう。また、症状が続いている場合には、解熱して症状が軽快した24時間後まで外出を控えましょう。日本学校保健会「学校において予防すべき感染症の解説 令和5年度改訂」によると、「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」を新型コロナウイルス感染症による出席停止期間としています。

ノロウイルス

冬になると、ニュースでもたびたびノロウイルスによる集団食中毒や感染性胃腸炎について耳にすると思います。ノロウイルス感染症は、手指や食品などを介して、口からウイルスが入って感染し、腸の中でウイルスが増えるので、嘔吐、下痢、腹痛などが起こります。子どもや高齢者などは、抵抗力が弱いと重症化したり死亡することもあるので、特に注意が必要です。詳しくは、厚生労働省のノロウイルスQ&Aをご覧ください。

同じく感染性胃腸炎の原因となるロタウイルスについては、小児に対してワクチンがありますが、ノロウイルスにはワクチンがありませんので予防が大切です。ノロウイルスは回復後も数週間以上便から排出されることもあります。出席停止日数の定めはありませんが、症状が改善していても手洗いや便の処理には注意しましょう。

感染対策法

インフルエンザ・新型コロナウイルス・ノロウイルスなどによる感染対策はどうしたらよいのでしょうか?大切なのは手洗い・マスク着用(咳エチケット)・換気です。

正しい手洗いの手順、マスクの着用方法を実践

換気については、自宅では自分でおこなうことができますが、学校や会社など自分の意思ではどうにもならない場合もあります。手を洗うだけ、マスク着用なら普段からおこなっているから大丈夫だと思っている方でも、今一度、正しい方法を確認しましょう。
特に手洗いは、ノロウイルス感染予防の基本の対策にもなります。下記のように、「手洗いの時間・回数」と「菌の数」についてのデータがあり、ハンドソープで10秒洗って15秒すすぐことを2回繰り返すと、手についたほとんどの菌が落ちることが分かっています。

手洗いの時間と回数 菌の数
手洗い前 100万個の菌
流水15秒 1万個の菌
ハンドソープ10秒-30秒もみ洗い後、15秒流水ですすぐ 数百個
ハンドソープ60秒もみ洗い後、15秒流水ですすぐ 数十個
ハンドソープ10秒もみ洗い後、15秒流水ですすぐ ×2回繰り返す 数個

国立医薬品食品衛生研究所「手洗いの時間・回数による効果」より

次に、マスクの着用について解説します。マスクの目的は感染症にうつらないためとうつさないための2つになります。

 1.他の人に感染させない:会話や咳をしたときに、飛沫を飛ばさないため
 2.自分が感染しない:周囲からウイルスなどを吸い込まないため

大切な受験シーズンに、人混みで感染しないようにマスクを活用するのは有効です。そこで重要になるのが「マスクのサイズ」です。サイズが合っていないと耳が痛くなって外してしまったり、隙間ができたり、鼻や口が出てしまったりなど、せっかくのマスクの効果が発揮できなくなります。正しい手洗い方法やマスクの着用法について、下記厚労省から出ているポスターをご覧ください。

感染の重症化を防ぐためのワクチン接種

様々な対策をしていても感染してしまうことがあります。手洗いやマスクは感染を減らしてくれますが、完全に防ぐことが難しいのが現状です。感染したときのためにも、重症化を防ぐためにワクチン接種が重要になります。
インフルエンザにはワクチンがあり、毎年の接種が推奨されています。ワクチンの効果が現れるまでに通常約2週間かかり、約5カ月間ワクチンの効果が持続します。2024年秋からは、2歳以上19歳未満を対象にインフルエンザワクチンに「点鼻ワクチン」が登場しました。接種は1回だけなので、注射に比べて子どもへの負担が軽くなり保護者の負担もぐっと軽くなりました。

ノロウイルスにはワクチンはありませんので、こまめな手洗いと食事の際の加熱処理が重要になります。
一方、新型コロナワクチンは、65歳以上が定期接種対象となり、小児は任意接種となっています。内科・小児科によって取り扱っていないこともあるので、保護者はかかりつけ医と相談するとよいでしょう。

十分な睡眠と栄養バランスの確保

感染予防のために、日ごろから十分な休養とバランスの取れた栄養を心がける事が大切です。抵抗力を高めてウイルスに感染しない体を作りましょう。

体調に不安がある時の対処法

感染症にかかってしまい、体調が良くないととても不安になりますよね。不安な時には、次のように医療機関や薬局を活用して専門家に相談するのがよいでしょう。

気になる症状が出たら早めに医療機関を受診

急に高熱が出た、関節痛があるなどインフルエンザの初期症状や、吐き気や下痢が続くなどノロウイルス感染などの症状に気づいた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。受診が難しい場合でも、自宅で診察が受けられるオンライン診療などのサービスがあるので活用するのもおすすめです。

薬の副作用など、受験を前に服薬について不安なことがあれば薬剤師に相談

受験を前に薬について不安なことがあった時には、薬剤師に相談しましょう。最近では、スマホを使ってオンラインで服薬指導や相談を受けられる薬局も増えています。例えば、LINEで気軽に薬剤師に相談ができるサービスとして、「つながる薬局」があります。つながる薬局は、LINEで友だち登録をするだけでサービスが利用開始できますし、薬局・薬剤師への健康・お薬相談のほか、処方箋送信機能やお薬手帳機能も備えています。ぜひご利用を検討してみてください。

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受験シーズン本番になり、感染症が気になる季節です。ぜひ、本記事でご紹介した予防法を実践していただき、体調が気になるときは無理をせずに休息しながら万全の体調で受験を迎えてくださいね。

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