薬剤師が解説!「漢方薬と西洋薬」何が違う?特徴や使い分けのポイント

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執筆者・監修者:薬剤師

「漢方薬って何がいいの?」
「西洋薬とどう違うの?」

薬局やドラッグストアで目にする「漢方薬」と「西洋薬」。どちらを選ぶべきか迷ったことはありませんか?それぞれに特徴や得意な症状、使い方の違いがあります。この記事では、薬剤師の視点から、両者の基本的な違いと、症状や体質に応じた使い分けのヒントをわかりやすく解説します。

西洋薬の特徴

西洋薬は科学的な根拠に基づいて開発された医薬品で、特定の症状や疾患に対して素早く効果を発揮するのが特徴です。原因となる病原体や症状を引き起こす物質に直接働きかけ、ピンポイントで治療します。

西洋薬は有効成分が明確で、その作用機序(どのように効くか)が科学的に解明されています。例えば、解熱鎮痛薬は痛みの原因物質の生成を抑えるということや、抗生物質の中には細菌の細胞壁合成を阻害して殺菌するものがあるということです。効果の発現が速く、投与量と効果の関係も比較的予測しやすいため、急性の症状や重篤な疾患の治療に適しています。

一方で、特定の標的に強く作用するため、副作用のリスクも伴います。また、症状を抑えることに焦点を当てていて対症療法であることが多く、体質改善や根本的な治療という点では限界があることもあります。

漢方薬の特徴

漢方薬は古来中国から伝わり日本で発展した伝統医学に基づく薬で、複数の生薬(植物や動物、鉱物由来の原料)を組み合わせて作られています。個々の症状だけでなく、体全体のバランスを整えるというアプローチが特徴です。

漢方薬は「証(しょう)」と呼ばれる、その人の体質や症状の現れ方に合わせて処方されます。例えば、同じ風邪でも、熱が高く喉が痛い人と、寒気があり疲れやすい人では異なる漢方薬が適しています。複数の生薬の相乗効果により、体の自然治癒力を高め、徐々に体質を改善していく効果が期待できます。

漢方薬の効果はいつから現れるのかという点では、症状や体質によって個人差がありますが、慢性的な症状では服用を始めてから2週間~1か月程度で変化を感じ始める方が多いようです。即効性を求めるというよりは、継続的に服用することで体質改善を目指すお薬といえるでしょう。

適している症状や使い分け方

西洋薬と漢方薬は、それぞれ得意とする症状や適した使用方法が異なります。患者さんの状態や希望に合わせて、適切に選択・併用することが大切です。

急性症状には西洋薬が得意。ただし漢方薬が選ばれる場合も

高熱や強い痛み、感染症など、早急な対応が必要な急性症状には、即効性のある西洋薬が適しています。例えば、38度以上の発熱時の解熱剤、ひどい頭痛時の鎮痛剤、細菌感染症に対する抗生物質などは、西洋薬の特性を活かした選択といえるでしょう。

一方で、症状によっては短期処方や頓服として漢方薬が用いられることもあります。代表的な例としては、風邪のひき始めに使われる「葛根湯」や、急なこむら返りに用いられる「芍薬甘草湯」などです。急性症状は西洋薬を基本としながら、状況によって漢方薬を取り入れるケースもあることを知っておくと安心です。

西洋薬は症状を素早く抑える力がありますが、根本的な体質改善までは期待しにくい場合もあります。急性期の症状が落ち着いた後、再発防止や体質改善を目指す場合は、漢方薬への切り替えや併用を検討するとよいでしょう。

体質改善や慢性的な症状には漢方薬

慢性的な不調や、体質そのものに起因する症状には漢方薬が向いています。例えば、冷え性、疲れやすさ、月経前症候群、更年期障害、アレルギー体質など、体の根本的なバランスを整えることで改善が期待できる症状に効果的です。

漢方薬は即効性よりも継続的な効果を重視するため、効果が現れるまでに時間がかかることがあります。しかし、根気よく続けることで、西洋薬では対処しきれなかった慢性的な症状が改善したり、体質そのものが変わったりすることもあります。

併用のケース

西洋薬と漢方薬の併用は、それぞれの長所を活かした治療法として注目されています。例えば、がん治療では西洋医学の手術や抗がん剤治療と並行して、副作用軽減や体力回復を目的とした漢方薬を用いることがあります。

また、更年期障害ではホルモン補充療法と漢方薬を併用したり、アレルギー疾患では抗ヒスタミン薬と体質改善のための漢方薬を併用したりするケースも増えています。

ただし、西洋薬と漢方薬の併用にあたっては、薬の相互作用に注意が必要です。必ず医師や薬剤師に相談し、安全な併用方法を確認しましょう。

よくある誤解と注意点

漢方薬と西洋薬についてはさまざまな誤解が存在します。正しい知識を持ち、安全に薬を活用するためのポイントをご紹介します。

漢方薬は副作用がない?

「漢方薬は自然由来だから副作用がない」と思われることもありますが、これは正確ではありません。漢方薬もお薬である以上、副作用のリスクはあります。例えば、胃腸障害、肝機能障害、アレルギー反応などが報告されています。

副作用を疑うような症状が現れたら、自己判断は避け、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。体調の変化には注意しながら使用することが大切です。

すぐ効く西洋薬に頼りすぎない方がいい?

西洋薬の即効性は大きなメリットですが、一方で「頭痛薬の乱用が原因の頭痛」のように、痛み止めなどに頼りすぎることで症状が悪化するケースもあります。また、根本的な原因へのアプローチが遅れる可能性もあります。

ただし、西洋薬に頼りたくないからといって一切使用しないのも問題です。西洋薬は適切な場面で適切に使用することが重要です。慢性的に症状が続く場合は、対症療法だけでなく、原因を探り根本的な治療を検討する必要があります。
医師や薬剤師と相談しながら、最適な治療法を選びましょう。

薬剤師に相談するメリット

薬の専門家である薬剤師に相談することで、より安全で効果的な薬の使用が可能になります。薬局やドラッグストアで迷ったときは、積極的に薬剤師に声をかけてみましょう。

自分の体質や症状に合った薬を提案してもらえる

薬剤師は薬の特性を熟知しているプロフェッショナルです。あなたの症状や体質、生活習慣などを総合的に考慮して、最適な薬を提案することができます。特に漢方薬は「証」に合わせた選択が重要なため、専門家のアドバイスが役立ちます。また、市販薬で対応可能か、それとも医療機関の受診が必要かの判断もサポートしてくれます。

服用中の薬との飲み合わせも確認してもらえる

漢方薬と西洋薬の併用、または複数の薬を服用している場合、薬同士の相互作用が問題になることがあります。薬剤師に相談することで、安全な併用方法や注意点を確認できます。特に、処方薬を服用中の方が市販の漢方薬を検討する場合は、必ず薬剤師に現在服用中のお薬を伝えましょう。お薬手帳を持参すると、より正確なアドバイスが受けられます。

継続的な服薬管理や体調変化のサポートも可能

薬剤師は薬の提供だけでなく、継続的な健康サポートも行っています。薬剤師に相談することで、薬の効果や副作用の確認、用量調整の提案、長期的な体調管理のアドバイスなど、幅広いサポートが受けられます。

漢方薬は効果が現れるまでに時間がかかることが多いため、継続的なフォローが重要です。服用中の体調変化や気になる症状があれば、遠慮なく相談しましょう。

薬局の薬剤師にお薬の相談をする方法の一つとして、LINEの「つながる薬局」というサービスを活用してみませんか。処方箋を受け取った後にお薬をもらうだけでなく、薬局でお薬相談や健康相談をしたい場合は、「つながる薬局」のサービスを活用するのがおすすめです。LINEを利用してお薬や健康について薬局の薬剤師に気軽に相談することができます。

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