「前に処方された風邪薬、まだ飲んでも大丈夫?」
「飲み忘れた薬が残ってるけど、薬にも期限ってあるの?」
こんな疑問を抱えたことはありませんか?
処方された薬を飲みきれずに残してしまうこと、意外とよくありますよね。でも、その医薬品がまだ使えるのか、飲むと問題がないのか気になってしまうものです。特に、医薬品の使用期限や正しい扱い方については、知っているようで知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、処方薬の使用期限や、余った医薬品の正しい取り扱い方法について詳しく解説します。この記事を読めば、処方薬の期限や安全に使うためのポイントがわかり、余った医薬品の扱いを知ることができます!ぜひ最後までご覧ください。
医薬品の使用期限とは?
2024年の前半、新型コロナウイルス用の飲み薬が、計560万人分のうち約430万人分も廃棄されるというニュースが注目を集めました。このようなニュースを受けて、家庭にも使い切れずに残った医薬品があることに気づいた方もいるでしょう。医薬品も他の製品、食品と同じく期限があります。医薬品の使用期限はどのように決められているのでしょうか。
医薬品の期限についての基本的な解説
医薬品は品質を確保するために多様な試験を行っており、未開封の状態では通常、製造日から3〜5年程度は有効性を保てるように設計されています。
まず、さまざまな環境条件のもとで時間の経過とともにどう変化するかを評価する試験を実施します。具体的には、温度や湿度、光の影響を考慮し、長期間にわたって変化の有無を確認するのです。また、医薬品の成分が、時間の経過とともに分解したり反応を起こさないかどうかを確認する試験も実施します。有効成分の濃度測定や分解生成物の特定がおこなわれ、安全性と有効性の観点から評価されるのです。さらに、固形剤であれば溶けやすさや体内に吸収される速度の維持、液体剤であれば沈殿や変色などの物理的な変化がないかを確認する試験も実施します。
これらの多様な試験に合格し、設定した有効期限内であれば効果が保証できる医薬品のみが市場に出回ることとなります。その結果、医薬品が未開封のままで適切に保存されていれば、製造から3〜5年程度は品質と効果が保証されるのです。
医薬品が残ったらどうする?
医薬品は製造から通常3〜5年程度の期限があることがわかりました。では、使い切れずに残った医薬品も3年程度使用できるということでしょうか。ここからは、医薬品が残った場合どうすればよいかを解説します。
別の症状での使用など、自己判断での服薬は危険
そもそも、余った医薬品を別の機会に使用することはお勧めできません。処方薬は、医師が診察した結果に基づいて処方されるため、症状が似ているように見えても、同じ医薬品が常に適しているとは限らないのです。全く効果が感じられなかったり、症状が悪化してしまうこともあります。
また、前提として医薬品の使用期限は、調剤してもらってからではなく製造日から未開封の状態で、ということです。開封している医薬品はそれよりも使用期限が短くなるということを念頭においておきましょう。時間が経つことで医薬品は劣化し、効果が弱まる可能性があります。また、保管条件によっては変質することもあります。さらに、医師は特定の期間にわたって医薬品を使用することを前提に治療計画を立ててくれています。余った医薬品があることを知らずに重ねて処方されてしまい、新しい医薬品と合わせて服薬すると、誤って多い量を服薬してしまうこともあるかもしれません。
これらの理由から、余った医薬品は自己判断で使用せず、まずは医師や薬剤師に相談することが必要です。
他人に譲らない、正しく処分
自己判断で余った医薬品を使うのは良くないことですが、さらにもっと良くないのが家族や他人に処方薬を譲ってしまうことです。医師は医薬品を処方する際、副作用を起こしたことがあるかどうかや、他の医薬品との飲み合わせに問題がないかどうかを精査しますし、調剤する薬剤師も同様のことについて最大限の注意を払います。
しかし、その医薬品を他人に譲ってしまうと医師や薬剤師の確認がない状態で服薬することになり、重大な健康被害を引き起こすことにもなりかねません。たとえ家族であっても、他の人に余った医薬品を譲るようなことは絶対にしないでください。
余った医薬品の取り扱いに困った場合は、薬局や医療機関に相談してみましょう。引き取って処分してくれます。
医師の指示に基づいて使い切ることが基本
処方薬は、医師の指示に基づいて、最後まで使い切ることが基本です。医師は、患者さんの健康状態に合わせて医薬品を処方しています。この医薬品の量や期間は、病気を効果的に治すために計画されています。途中で服薬をやめてしまうと、完全に良くならない可能性がありますし、慢性疾患や心の病気の治療薬などの場合は、症状が悪化してしまうこともあります。
また、抗生物質の場合はさらに注意が必要です。途中でやめてしまうと、感染が治りきらずに再発することがあります。抗生物質を最後まで使い切らないことによって、その抗生物質に抵抗性を持った菌が生き残り、「耐性菌」が発生して抗生物質が効きにくくなったり効かなくなったりすることもあるのです。
期限切れの医薬品を服薬したらどうなる?
医薬品は余らせることなく使い切るのが基本です。市販薬を購入した際は、外箱に書かれている使用期限を確認してください。病院での処方薬については、薬局で調剤する際に使用期限内に服薬が終わるように確認しています。
基本的には、医師に指示された期間内に医薬品を最後まで飲み切るのが大切です。「必要な時だけ」という頓服薬は残ることがよくありますが、使用期限をしっかりチェックするようにしましょう。
しかし、飲み忘れていた医薬品を保管していて、病院に行く暇がなく、ついつい使用期限切れの医薬品を使ってしまうこともあるかもしれません。
では、期限切れの医薬品を服薬してしまったらどうなるかを解説しましょう。
効能低下の可能性
使用期限が切れた医薬品は、ただちに効果が無くなるわけではありませんが、メーカーの品質保証がされていない状態です。そのため、化学的に変質してしまい、本来の効果が減少していることがあります。
医薬品によってはリスクが生じる場合も
医薬品によっては、使用期限が切れることでリスクが生じる場合があります。特に液剤、例えばシロップ剤や点眼剤などは、開封後に空気中の細菌や湿気などにさらされやすく、変質しやすい性質があります。医薬品の有効成分が劣化したり、成分が分離したりすることがあるだけでなく、細菌が繁殖しやすい環境になるため、安全性に問題が生じることもあります。液剤は開封後に指定された使用期間内に使用を終えることが重要です。使用期限や保管方法を守り、開封後はできる限り速やかに使用しましょう。
特に点眼剤は眼に直接接触するものなので、衛生面にも十分注意が必要です。必要に応じて医師や薬剤師に相談してください。
自己判断で使用せず、必ず薬剤師に相談してほしい
少しくらい期限が切れていても大丈夫だろうと、自己判断での服薬は絶対にやめてください。先にも説明したように効果が弱い可能性だけでなく、医薬品によっては安全性に問題がある場合があります。余った頓服薬を使いたい場合や使用期限が知りたい場合などは、薬剤師に相談してみると良いでしょう。期限が書かれてない医薬品でも、製造番号などで期限を知ることができるかもしれません。
薬剤師に気軽に相談する手段として、LINEの「つながる薬局」というサービスがあります。医薬品の使用期限を知りたい時や保管していた薬を使っていいかどうか知りたい時には、ぜひサービスを利用して薬剤師に相談してみてください。
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