「セルフメディケーション税制って実際どういうことなのかな」
「市販薬の購入でも所得控除の対象になるって本当なの?」
このように、セルフメディケーション税制という制度の名称は知っているものの、実際にはどんな制度なのかよくわからないという悩みはありませんか。健康診断などを受けている人が、対象の市販薬を年間12,000円以上購入した場合に、所得控除を受けられる制度です。条件を満たしていれば、確定申告を行うことで控除が適用されますが、実際に申請するのは難しいですよね。
そこでこの記事では、セルフメディケーション税制について解説します。確定申告の締切が近づいている今、制度の詳細をわかりやすく説明しますので、ぜひ参考にしてください。
セルフメディケーション税制とは
セルフメディケーション税制は、医療機関を受診することなく、自身で健康維持を促進するための制度です。市販薬の購入費用が一定額を超えると、所得控除が受けられる仕組みで、個人の医療費負担の軽減を目的として制定されました。
市販薬の購入金額が所得控除の対象となる制度
日本では、一定の条件を満たした市販薬の購入額が年間12,000円を超えると、所得控除を受けられる制度があります。この制度は、「セルフメディケーション税制」として知られており、自己負担で購入した市販薬の費用が控除対象となります。医療機関に行かずに市販薬で治療を行う際の費用負担が軽減され、自身での健康管理でも控除が受けられるようになりました。対象となる医薬品は、厚生労働省の定める一定の基準を満たしたものである必要があります。医薬品の詳細は厚生労働省:セルフメディケーション税制についてをご確認ください。
健康診断や予防接種などを受けていることが条件
この所得控除の適用を受けるには、市販薬の購入に加えて、個人が健康維持や病気予防のための取り組みを行っていることが条件です。具体的には、定期的な健康診断や特定健診、予防接種を受けることが求められています。健康診断や予防接種を受けることで、早期の病気発見や予防が期待できます。セルフメディケーション税制は、市販薬の購入との相乗効果で、自身の健康維持に役立つ制度といえるでしょう。
年間の医療費が10万円に満たない場合も適用可能
セルフメディケーション税制は、特に年間の医療費が10万円に満たない場合でも適用可能な制度です。通常の医療費控除では、年間10万円以上の医療費負担が必要ですが、セルフメディケーション税制ではその制限がないため、多くの国民が恩恵を受けることができます。市販薬を利用している家庭にとっては、日常的な健康管理のコストを実質的に軽減することができるため、家計への負担を和らげます。セルフメディケーション税制は、国民が健康に留意し、病気予防を積極的に行うきっかけ作りとしても重要な役割を果たしているのです。
セルフメディケーション税制を利用するメリット
セルフメディケーション税制は、市販薬購入費用の所得控除を受けられる点が最大のメリットです。また、健康診断や予防接種を受けることで病気の予防や早期発見も期待でき、健康意識の向上につながる点も大きなメリットといえるでしょう。ここからはそれらのメリットについて解説します。
税負担の軽減
セルフメディケーション税制を利用することで、特定の条件を満たした市販薬の購入費用が12,000円を超えると、確定申告を通じて所得税や住民税の控除が受けられるため、節税につながります。医療機関にかかった場合、医療費が年間で100,000円を超えないと控除対象にならない(※)のに対し、セルフメディケーション税制では、年間12,000円以上で控除の対象になるため、普段医療機関にかかることなく、市販薬での治療がメインの方にはおすすめの制度といえるでしょう。
※所得合計額が200万円未満の場合、医療費の合計額が所得金額の5%を超えれば医療費控除が受けられます。
健康意識の向上
セルフメディケーション税制を活用するための条件として、健康診断や予防接種を受けることが求められます。健康診断や予防接種を定期的に受けることで、自分自身への健康意識が高まり、健康チェックや予防策を積極的に実施するきっかけになるでしょう。健康診断を受けることは、潜在的なリスクを早期に発見し、適切な対応を取るために重要ですし、予防接種を受けることで感染症を回避したり、重症化を防いだりすることにつながります。
セルフメディケーション税制を通じて、個人が自分自身の健康管理に興味を持ち、継続的な健康維持を目指すモチベーションが高まります。セルフメディケーション税制を活用することは、単に節税できるだけでなく、自身の健康意識を向上させるための有効な手段となるのです。
セルフメディケーション税制でおさえておきたい注意点
自身での健康管理をおこなうことで節税となるセルフメディケーション税制ですが、利用する際には、以下の注意点に留意することが重要です。それぞれについて詳しく説明します。
領収書(レシート)の保管
セルフメディケーション税制を利用するために、対象となる医薬品の購入を証明する領収書(レシート)を確定申告書に添付する必要はありませんが、税務署から求められた際に提示又は提出できるよう保管しておくことが重要です。紛失を避けるために、専用のファイルやフォルダーを用意し、購入した順に保管するとよいでしょう。
家族分の購入費用も合算可能
セルフメディケーション税制では、本人だけでなく家族のために購入した対象医薬品の費用も合算して申告できます。これにより、より多くの薬代を控除対象にできる可能性があります。ただし、家族分を含める場合は誰のために購入したかがわかるように整理し、申告漏れが無いよう確認することが大切です。
健康維持に関する証明書類の保管
この税制を適用するには、確定申告の際に健康維持を目的とした取り組みの証明が必要です。定期健康診断の結果通知表や予防接種済証明書などの書類を準備し保管しておきましょう。これらの証明書は、税制の条件を満たしていることを示すために重要な書類となります。
医療費控除との併用不可
注意したいのは、セルフメディケーション税制と通常の医療費控除は同時に適用することができないということです。どちらの制度がより有利かを事前にしっかりと検討することが必要です。医療費控除を選ぶ場合は、通常の医療費が多くかかる場合が適しています。一方で、セルフメディケーション税制は、日常的に市販薬を多く購入する方に適していますので、年間の医療費総額を基に慎重に判断しましょう。
これらのポイントをしっかりと理解し準備することで、セルフメディケーション税制を適切に活用することができます。詳しい条件や手続きについては、税務署や専門の相談窓口で確認してください。
まとめ
今回の記事では、セルフメディケーション税制について解説しました。対象の市販薬購入金額が年間12,000円を超える場合は確定申告をおこなうことで、所得税や住民税の控除が受けられます。医療費控除と比べて少ない金額からでも控除の対象となりますので、普段市販薬を購入することが多い方はぜひ申告するようにしてください。また、申請する際に健康診断や予防接種などの健康維持への取り組みが必要となることにも注意しておきましょう。
定期的な健康チェックや予防接種をすることは自身の健康管理のためにも大切です。セルフメディケーション税制を利用することは、自身の健康を維持するモチベーションにもなるので、積極的に活用していきましょう。