執筆者・監修者:薬剤師
「虫刺されの症状で効果的な塗り薬は違う?」
「年齢別で使用できる塗り薬は?」
「塗り薬の効果的な使い方はある?」
虫刺されに悩む方であれば、こうした疑問を感じたことがあるのではないでしょうか。虫刺され用塗り薬は、症状や年齢に応じて適切な製品を選ぶことで症状の改善に差が出ます。本記事では、虫刺されの症状別・年齢別におすすめの塗り薬を紹介し、正しい使い方まで解説します。記事を読み終えるころには、自分や家族に合った塗り薬を選び、早めの対処ができるようになるでしょう。
虫刺されの症状と適切な塗り薬とは
蚊やダニなどに刺されると、かゆみや赤みなどの皮膚トラブルが現れ、日常生活に支障をきたすこともあります。症状の現れ方は個人差があるため、まずは基本的な状態を理解することが重要です。ここでは、虫刺されの症状と対処の基本について解説します。
虫刺されの症状
虫刺されは、蚊やダニ、ノミなどの虫によって皮膚が刺激され、さまざまな症状を引き起こします。主な症状として、以下のようなものが挙げられます。
● かゆみ:虫刺されで最も一般的な症状。刺された直後から数時間後にかけて強く感じることがある。
● 赤みや腫れ:刺された部位が赤くなり、腫れることがある。特にダニやノミによる刺咬(しこう)では、炎症が強く出ることも。
● 水ぶくれ:ノミに刺された場合、1〜2日後に水ぶくれができることあり。
● 痛みや熱感:炎症が進行すると、患部に痛みや熱感をともなうことがある。
これらの症状は、虫の種類や個人の体質によって異なります。特に、ダニやノミによる刺咬は、かゆみや炎症が強く出る傾向があります。適切な対処をおこなわないと、症状が悪化し、色素沈着や感染症を引き起こす可能性もあるため早期の対応が重要です。
症状に応じた塗り薬の選択目安
虫刺されの症状に応じた塗り薬の選び方は、症状の程度や部位、使用者の年齢によって異なります。薬局で適切なお薬を選ぶ際の目安を、以下の表にまとめました。
症状の程度 | おすすめ成分 | 選び方のポイント |
軽度 (軽いかゆみ、赤み) |
抗ヒスタミン成分 (ジフェンヒドラミンなど) |
ステロイドではないお薬で、敏感な部位や子どもにも使用しやすいものを選択 |
中等度 (強いかゆみ、腫れ、赤み) |
ステロイド成分 (プレドニゾロンなど) |
炎症が強い場合はステロイド配合薬を選び、使用部位や年齢に応じて適切な強さのものを選択 |
重度 (化膿、かき壊し、水ぶくれ) |
抗生物質成分 (フラジオマイシンなど) |
感染予防のため、抗生物質配合薬を選び、症状が改善しない場合は医療機関を受診 |
薬局では、症状に合わせて適切な成分を含む塗り薬を選ぶことが重要です。特に、顔やデリケートな部位に使用する場合や子どもが使用する場合は、成分の強さや刺激性に注意が必要です。症状が改善しない場合や悪化する場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
なお、使用するお薬について相談したいなら、「つながる薬局」の利用が便利です。
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虫刺され用塗り薬の種類と特徴
虫刺され用の塗り薬には、かゆみや炎症、痛みなどの症状に応じて異なる成分が使われています。中でも抗ヒスタミンを含む薬は、初期のかゆみに適しています。以下に主な虫刺され用塗り薬の種類と成分を表にまとめました。
種類 | 主な症状 | 代表的な成分例 |
抗ヒスタミン系 | かゆみ | ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン |
ステロイド系 | 赤み、腫れ、炎症 | プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン |
非ステロイド系 | 軽度の痛みや炎症 | イブプロフェンピコノールなど |
それぞれの特徴などについて、詳しく見ていきましょう。
かゆみを抑える抗ヒスタミン系塗り薬
虫刺されによるかゆみは、ヒスタミンという物質が皮膚で放出されることで生じます。抗ヒスタミン系塗り薬は、このヒスタミンの働きを抑えることで、かゆみを軽減します。市販薬の塗り薬に含まれる代表的な抗ヒスタミン成分は以下のとおりです。
● ジフェンヒドラミン
● クロルフェニラミン
これらの成分を含む塗り薬は、虫刺されによるかゆみを抑えるのに効果的です。使用する際は患部を清潔にし、適量を塗布してください。症状が改善しない場合や悪化する場合は、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
炎症や腫れを抑えるステロイド系塗り薬
虫刺されによる炎症や腫れが強い場合、ステロイド系塗り薬の使用が効果的です。ステロイドは、炎症を引き起こす物質の生成を抑えることで、赤みや腫れ、かゆみを軽減します。市販のステロイド外用薬は、作用の強さに応じて以下のウィーク・ミディアム・ストロングの3ランクに分類されており、症状や使用部位に応じて適切なものを選ぶことが重要です 。
ランク | 主な成分例 |
ウィーク | プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル |
ミディアム | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル |
ストロング | ベタメタゾン吉草酸エステル、フルオシノロンアセトニド |
なお、ベリーストロング(とても強い)やストロンゲスト(最強)クラスのステロイド外用薬は、医療機関に受診しないと入手できません。
ステロイド系塗り薬を選ぶ際は症状の程度や使用部位、年齢などを考慮し、適切なランクの製品を選択してください。また、使用期間や用量を守り、長期間の連続使用は避けるようにしましょう。不明な点がある場合は、薬剤師や医師に相談してください。
痛みを抑える非ステロイド系塗り薬
虫刺されによる痛みや炎症を抑える際、非ステロイド系塗り薬はステロイドを避けたい方や敏感肌の方に適した選択肢です。非ステロイド成分は、炎症や痛みの原因となる物質の生成を抑えることで、症状を和らげます。市販薬に含まれる代表的な非ステロイド成分は、以下のとおりです。
● イブプロフェンピコノール
● ウフェナマート
● グリチルレチン酸
● アズレン(ジメチルイソプロピルアズレン)
非ステロイド系塗り薬は、ステロイドに比べて副作用のリスクが低く、顔やデリケートな部位にも使用しやすい特徴があります。ただし、症状が改善しない場合や悪化する場合は、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
【年齢・症状別】使用できる虫刺され用塗り薬
虫刺され用塗り薬を選ぶ際は、年齢や皮膚の状態によって適した製品が異なります。体の成長や肌質の変化に応じて、安全かつ効果的な市販薬を選ぶのがおすすめです。ここでは、年代ごとの虫刺され用塗り薬の選択ポイントについて解説します。
乳幼児(0~6歳)に安心して使える塗り薬
乳幼児の肌は薄くて刺激に弱いため、虫刺され用塗り薬は成分と安全性に配慮して選ぶことが重要です。以下は安心して使える市販薬の例として、参考にしてください。
商品名 | 主な成分 | 特徴 |
ムヒ・ベビー | ジフェンヒドラミンなど | 無香料・無着色・エタノール成分フリーで低刺激 |
ポリベビー | ジフェンヒドラミンなど | ビタミン配合で肌修復もサポート |
オイラックスソフト | クロタミトン・ジフェンヒドラミンなど | 非ステロイド性抗炎症成分で、炎症やかゆみに穏やかに作用 |
使用前には対象年齢や用法の確認が大切です。
なお、乳幼児に使用する塗り薬に関して相談したい方は、ぜひLINEの「つながる薬局」というサービスをご利用ください。「つながる薬局」であれば、LINEで友だち登録後、お好きな薬局をかかりつけ薬局登録することで、薬局・薬剤師にLINEで相談することが可能になります。
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子ども(7~12歳)向けの塗り薬
子ども(7~12歳)の肌は乳幼児期よりも強くなり、使用できる虫刺され用塗り薬の選択肢が広がります。症状の程度や使用部位に応じて、適切な薬を選ぶことが大切です。以下に、子ども向けの市販薬の例を挙げます。
商品名 | 主な成分 | 特徴 |
リンデロンVsクリーム | ベタメタゾン吉草酸エステル | ストロングランクのステロイドで、強い炎症やかゆみに効果的 |
アレルギールクリーム | クロルフェニラミン、リドカインなど | 抗ヒスタミンと局所麻酔成分で、かゆみと痛みを緩和 |
液体ムヒS | ジフェンヒドラミン塩酸塩、ℓ-メントールなど | 清涼感のある液体タイプで、かゆみを素早く抑える |
使用前には、製品の対象年齢や使用方法を確認し、適切に使用してください。症状が改善しない場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
大人におすすめ!早く効く塗り薬
大人は虫刺されによるかゆみや炎症に対し、即効性のある塗り薬を選ぶことで早期の症状緩和が期待できます。以下は使用しやすい市販薬の例です。
商品名 | 主な成分 | 特徴 |
ムヒアルファEX | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、ジフェンヒドラミンなど | 効き目にこだわったステロイド+抗ヒスタミン系の組み合わせ |
新ウナコーワクール | ジフェンヒドラミン・ℓ-メントールなど | 清涼感でかゆみを素早くしずめ、スーッとした使い心地 |
アレルギールクリーム | クロルフェニラミン、リドカインなど | 麻酔成分配合、敏感肌にも使いやすい |
即効性を求める場合は、成分と使用目的を確認しながら選ぶことが大切です。
高齢者の皮膚に配慮した塗り薬
高齢者の皮膚は乾燥しやすく、刺激に弱いため、虫刺され用塗り薬は低刺激で保湿性のある製品が適しています。以下に使用しやすい市販薬を紹介します。
商品名 | 主な成分 | 特徴 |
オイラックスソフト | クロタミトン・ジフェンヒドラミンなど | 非ステロイド成分で炎症を穏やかに抑え、皮膚刺激が少ない |
ポリベビー | ジフェンヒドラミン、酸化亜鉛など | 皮膚を保護しながらかゆみや赤みを和らげ、乾燥肌にも対応 |
新レスタミンコーワ軟膏 | ジフェンヒドラミン | 抗ヒスタミン成分でかゆみを抑え、ステロイド不使用で安心して使用可能 |
使用後にかぶれや悪化が見られる場合は、医師または薬剤師に相談することが大切です。
虫刺され用塗り薬の効果的な使い方
虫刺され用塗り薬は、正しく使うことでかゆみや炎症を効果的に抑えられます。以下に使用時のポイントをまとめます。
● 使用前に刺された部分を清潔にし、水分をよくふき取る
● 患部より少し広めの範囲に薄く塗る
● かきむしる前に素早く塗ることで悪化を防ぐ
● 決められた回数や期間を守る
● 強い症状が続く場合は早めに医師や薬剤師へ相談する
塗り薬の効果を最大限に活かすには、塗るタイミングと方法が重要です。添付文書をよく読んで適切に使い、肌を守るようにしましょう。
市販の塗り薬で症状が治まらない?病院へかかる目安とは
虫刺され用の市販塗り薬で改善が見られない場合は、病院の受診を検討する必要があります。以下のような症状があれば医師の診察を受けてください。
● 数日使っても赤みや腫れが引かない
● 強いかゆみや痛みが続いている
● 化膿やただれが見られる
● 発熱やリンパの腫れなど全身症状が出ている
● アレルギー体質や皮膚疾患の持病がある
悪化を防ぐためにも、異常を感じた時点で早めに皮膚科などの医療機関を受診することが大切です。なお、医療機関を受診する際は、今使用中のお薬を記録した電子お薬手帳があると適切な医療を受けられます。
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まとめ
虫刺され用塗り薬は、症状や年齢に応じて成分や強さを見極めて選ぶことが重要です。かゆみや炎症を抑えるには、抗ヒスタミンやステロイド、非ステロイドなど目的に合った薬の使い分けが効果的です。また、患部を清潔にし、用法・用量を守ることで薬の効果を高められます。本記事を参考に、自分や家族に適した塗り薬を選び、早期に症状を和らげる対策を実践してください。