執筆者・監修者:薬剤師
「夏の便秘はどうして起こるの?」
「夏の便秘改善につながる方法は?」
「夏の便秘対策で注意することは?」
このように夏の便秘に困っている方もいらっしゃるでしょう。夏の便秘は、水分不足や腸の冷え、自律神経の乱れなどが重なって起こりやすくなります。とくに冷え対策と腸活の両立が、夏の腸内環境を整えるうえで欠かせません。
当記事では、夏特有の便秘の原因や仕組み、実践的な水分補給法や腸温を守る生活習慣、効果的な食材の選び方まで解説します。さらに、便秘を悪化させないための注意点や、薬に頼らず排便を促す日常ケアも取り上げています。最後まで読むことで、夏の体調変化に負けず、快適な毎日を過ごすための腸活習慣が自然と身につくでしょう。
夏の便秘の原因とメカニズム
気温や湿度が大きく変動する夏は、冬とは異なる便秘のリスクを生みやすく、腸内環境が崩れがちです。季節特有の影響を理解することで、対策も立てやすくなります。ここでは、夏に便秘が起こる要因を詳しく見ていきましょう。
脱水と便の水分減少
夏は汗が止まらないほど分泌され、1日あたり最大で3L以上の水分が体外に失われることがあります。水分補給をしても、多くは腎臓や皮膚などで消費され、大腸まで届くのはわずか2%程度です。このように体内の水分が不足すると、大腸では便からより多くの水分が吸収され、便がコロコロと硬くなりやすくなります。
水分の巡りが悪い状態が続くと排便が困難になり、慢性的な便秘につながるおそれもあるため、夏こそ水分補給と腸内環境の維持が重要です。
冷房・飲食による腸の冷え
夏場は冷房で室内温度が下がり、冷たい飲料や食事により腸の温度も低下します。腸が冷えると血流が悪化し、酸素や栄養の供給が滞る恐れがあります。結果として蠕動運動(ぜんどううんどう)が鈍化し、便秘のリスクが高まるでしょう。
さらに、腸内に存在する免疫細胞の活動も冷えによって抑制されやすくなります。冷房の温度を見直すことや、温かい飲み物を意識してとる習慣が腸の冷え対策として有効です。
夏の生活習慣による自律神経の乱れ
夏は冷房の効いた室内で長時間過ごすことが多く、薄着や冷たい飲食の習慣が重なります。これらの影響で体温調節が乱れ、自律神経のバランスが崩れやすくなるでしょう。とくに交感神経が優位になると腸の蠕動運動が抑制され、排便が滞る原因となります。
さらに、自律神経の乱れは睡眠の質にも影響を与え、腸の回復力を低下させる一因にもなります。冷房の設定温度を見直したり、温かい食事を取り入れたりすることで、神経の安定を図ることが可能です。生活習慣の見直しが、夏の便秘対策には欠かせません。
食欲不振や野菜摂取不足
夏バテによって食欲が落ちると、食事量そのものが減少しやすくなります。とくに野菜の摂取量が減ると食物繊維と水分の不足につながり、腸の内容物にかさが出ず、蠕動運動が弱まりやすくなるでしょう。
また、水分が不足すると便が硬くなり、排出がさらに困難になります。夏は食事を軽く済ませがちですが、温野菜や汁物を取り入れることで対策が可能です。バランスの取れた食生活が、腸内環境を整える基本といえるでしょう。
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夏の便秘改善の基本は水分補給と温活
夏は体温調整が難しく、腸の働きが乱れやすい季節です。とくに便秘を防ぐには、内側からのケアが欠かせません。季節の変化に負けず快適に過ごすためにも、基本的な対策を押さえておくことが重要です。ここからは、夏に必要な身体の整え方や対策について解説します。
水分補給の具体的な方法と注意点
便秘対策として水分補給は欠かせません。とくに夏は発汗量が増えるため、体内の水分が不足しやすくなります。のどが渇く前に、100〜150mLずつこまめに飲むことが効果的です。水分摂取の際は、利尿作用の少ない飲み物を選ぶようにしましょう。
たとえば麦茶やルイボスティー、ミネラル入りの炭酸水は体にやさしい水分補給に適しています。一方で、コーヒーや緑茶などカフェインを含む飲料は控えめにするとよいでしょう。習慣として定期的に飲むタイミングを決めておくことで、自然と水分摂取量を維持しやすくなります。
正しい方法で水分をとることが、夏の腸内環境の安定につながります。
腸温を守る温活の実践
便秘改善には、腸を冷やさず温めることが重要です。とくに冷え性の方は、腸の血流が滞りやすくなり、蠕動運動が低下する傾向があります。腸を温めるための場所として効果的なのは下腹部や腰まわりで、温熱グッズの活用がおすすめです。たとえば、腹巻きやストール、湯たんぽを使うことで腸の温度を保てます。
さらに、食事面でも加熱した生姜やしょうが紅茶などを取り入れると、体の内側から温まります。これらの工夫を続けることで、温活と腸活を両立し、便秘改善へとつなげられるでしょう。冷えを防ぐ生活習慣が、夏の腸内環境を整えるには重要です。
夏の便秘改善に欠かせない栄養と腸活対策
腸の調子を整えるには、日々の食べ物の選び方が欠かせません。夏は冷たいものに偏りやすく、便秘を招きやすい時期です。腸活につながる栄養素を意識し、体に合った食べ方を工夫することが重要です。ここからは、腸内環境を支える食べ物の活用法について確認していきましょう。
発酵食品で腸内善玉菌をサポート
腸内環境を整えるには、発酵食品を継続して取り入れることが大切です。善玉菌を補う手段として、以下の食品が推奨されます。
● ヨーグルト
● 納豆
● キムチ
これらは腸に届きやすい菌を含み、日々の習慣にしやすい食品です。種類を変えて摂取することで、腸内の多様性を保つことにもつながります。毎日の食事に取り入れる工夫が、便秘の予防と腸内の安定に役立ちます。
食物繊維のバランス摂取と摂取目安
便秘対策には、食物繊維を適切にとることが基本です。不溶性食物繊維は腸の内容物を増やし、水溶性食物繊維は便をやわらかく保つ役割があります。
成人女性の食物繊維の目標摂取量は1日18g以上とされています。不溶性・水溶性の両方をバランスよくとるには、以下のような食材を組み合わせると効果的です。
● 不溶性:ごぼう、切り干し大根、玄米
● 水溶性:オクラ、わかめ、果物類
腸の状態に応じて種類と量を調整し、日々の食事に取り入れる工夫が大切です。
レジスタントスターチを活かした食材活用
腸内環境を整えるには、善玉菌のエサとなるレジスタントスターチの活用が効果的です。冷やすことで増える性質があり、加熱後に冷ました食材が適しています。たとえば、以下のような食品が挙げられます。
● 冷やご飯
● 冷やし焼き芋
● 小倉トースト(あんこ+トースト)
これらを日常的に取り入れることで、腸内の善玉菌が増えやすくなります。便秘の予防や腸活の一環として、レジスタントスターチの摂取はおすすめです。
夏の便秘時にも使える簡単排便促進ケア
排便リズムが乱れやすい夏は、日常の小さな工夫で腸の働きを助けることが重要です。薬を使わずにおこなえるケアでも、排便を促す手段はいくつかあります。快適な生活を維持するために、簡単に取り入れられる方法を確認してみましょう。
トイレでの姿勢は膝を高くする
夏の便秘時には、洋式トイレで膝を高くすると排出がスムーズになります。たとえば、踏み台を使用して膝を約35度上げると、直腸と肛門の角度が改善されて排便しやすくなります。実際、膝と腰の角度が浅いと便が留まりやすいと報告されており、簡単な調整で効果が期待できるでしょう。日常のトイレ動作を見直しながら実践してみましょう。
軽い運動と腹部マッサージ
便秘を予防・改善するには、腸の動きを促す軽い運動と腹部マッサージが効果的です。とくにウォーキングは腸に適度な刺激を与え、排便リズムを整えるのに役立ちます。
加えて、みぞおちから右下腹部に向かって「の」の字を描くようにお腹をやさしくマッサージすることで、腸の蠕動運動を促します。朝や就寝前の数分間でも十分ですので、日常に取り入れてみてください。
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夏の便秘対策を実施する際の注意点
夏の便秘対策では、腸の働きを妨げる行動を避けることが大切です。とくに次のような習慣には注意が必要です。
● 冷たい飲食物のとりすぎ:腸が冷えて蠕動運動が弱まり、排便が滞る原因になります
● 下剤の過剰使用:腸が刺激に慣れてしまい、自力で排便しにくくなるおそれがあります
● 極端な食事制限:食物繊維や水分が不足し、腸内環境が悪化します
以上の点を避け、体を冷やさず、腸の自然な動きを促す生活習慣を意識しましょう。
まとめ
夏の便秘は、水分不足・腸の冷え・生活習慣の乱れなどが重なりやすい季節特有の不調です。水分補給の工夫や温活、発酵食品や食物繊維を意識した食事が、腸内環境の安定につながります。また、薬に頼りすぎず、排便姿勢や運動、マッサージなど日常の習慣を見直すことも効果的です。当記事で紹介した内容を実践しながら、夏特有の便秘への対策を継続してみてください。
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