執筆者:看護師 監修者:薬剤師
「子どもの背がなかなか伸びない」
「骨を丈夫にしたい」
このような悩みはありませんか?
成長期にカルシウムが不足していると、骨の発達が遅れたり将来的な健康にも影響が出ることがあり、心配になりますよね。この記事では、カルシウムの役割や不足による影響、日常生活のなかで取り組める工夫など、子どもの成長を支えるための情報を紹介しています。ぜひご参考にしてください。
カルシウムの役割とは?
カルシウムには、大きくわけて以下の3つの役割があるといわれています。
● 骨や歯をつくる重要なミネラル
● 筋肉や神経の働きにも関わる
● 成長期にはとくに多くのカルシウムが必要
それぞれ詳しく解説していきます。
骨や歯をつくる重要なミネラル
カルシウムは、人間の体内で最も多く存在するミネラルであり、骨や歯の主要な構成成分です。とくに子どもの成長期には、骨の密度を高めるために欠かせない栄養素といえます。たとえば、身長が急激に伸びる小学校高学年から中学生の時期には、骨の形成が活発に行われます。しかし、カルシウムが不足すると、その形成に支障が出る可能性もあり、成長発達に欠かせない栄養素なのです。
筋肉や神経の働きにも関わる
カルシウムは骨や歯だけでなく、筋肉の収縮や神経伝達にも重要な役割を果たします。心臓のリズムを安定させたり、神経の興奮を抑える働きもあるため、健康な体の維持に不可欠です。たとえば、カルシウムが不足すると、足がつりやすくなったり、イライラや不眠といった症状が現れることがあります。とくに成長期の子どもにとっては、身体面だけでなく精神面の安定にも大切な栄養素といえるでしょう。
成長期には特に多くのカルシウムが必要
子どもが成長期を迎えると、体内での骨の形成が急激に進むため、大人以上に多くのカルシウムが必要になります。たとえば、厚生労働省が示す「食事摂取基準(2020年版)」では、第二次成長期にあたる10〜14歳の子どもには、1日あたり約700〜1,000mgのカルシウム摂取が推奨されています。
また、成長期に十分なカルシウムを摂っておくことで、骨の強度が高まり、将来的な骨粗しょう症や骨折リスクの低減にもつながります。日々の食生活の中で、意識的にカルシウムを取り入れていくことが大切です。
子どもにカルシウムが不足すると?
つぎに、子どものカルシウム摂取量が不足するとどのような状態を招くのか、説明していきます。
● 骨の発達が遅れ、身長の伸びへの影響
● 将来的な骨粗しょう症リスク
● イライラが続き、集中力が続きにくい
それぞれ解説していきます。
骨の発達が遅れ、身長の伸びへの影響
成長期にカルシウムが不足すると、骨の伸びや密度の発達が遅れ、身長の伸びにも影響を及ぼす可能性があります。骨が十分に強くならないと、運動時などの衝撃に耐えきれず、骨折のリスクも高まります。さらに、骨の発達が不十分なままだと、猫背などの姿勢の乱れや、体格バランスの偏りにもつながる可能性も。成長を妨げる要因を避けるためにも、日々の食事でしっかりカルシウムを補給することが大切です。
将来的な骨粗しょう症リスク
カルシウムの摂取不足は、成長期の問題にとどまらず、将来的な骨粗しょう症のリスクにも関係します。骨密度は20代前半をピークに減少していくため、子どもの頃から骨の土台をしっかり築いておくことが大切です。とくに、女性は閉経後にホルモンの影響で骨密度が減りやすいため、若年期からの日常的なカルシウム摂取が大切です。将来の骨折予防や生活の質を守るためにも、成長期からの対策が欠かせません。
イライラが続き、集中力が続きにくい
カルシウムは、骨や歯だけでなく、神経の働きを安定させる役割も担っています。そのため、体内のカルシウムが不足すると、イライラしやすくなったり集中力が続かなくなったりすることがあります。
たとえば、ちょっとしたことでイライラしたり、集中力が続かなくなったりするのは、カルシウム不足の影響かもしれません。このような状態が長く続くと、学習効率の低下やメンタルの不調など、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。成長期の子どもにとって、心の安定を保つためにもカルシウムは欠かせない栄養素といえるでしょう。
カルシウムを上手に摂るコツ
ここからは、カルシウムを上手に摂るコツについて紹介します。
● 牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品を摂取
● 小魚・豆腐・青菜なども効果的
● 外遊びや日光浴でビタミンDを補う
ぜひご自身に合うものを日常生活に取り入れてみてください。
牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品を摂取
カルシウムを効率よく摂るには、吸収率の高い乳製品を活用するのが効果的。たとえば、コップ1杯(200ml)の牛乳には220mgのカルシウムが含まれており、日々の不足分を補うのにはとてもおすすめです。また、ヨーグルトやチーズも手軽に食べられるうえに、カルシウムの吸収を助けるビタミンDや乳酸菌も一緒に摂れるというメリットも。これらの乳製品には、カルシウムの吸収を促進するビタミンDや腸内環境を整える乳酸菌も含まれており、栄養バランスの面でも優れています。
小魚・豆腐・青菜なども効果的
乳製品が苦手な子どもには、小魚や豆腐などからカルシウムを補う方法があります。たとえば、しらすや煮干しには豊富なカルシウムが含まれており、ご飯やおやつに混ぜると手軽に摂取できるためおすすめです。また、小松菜やモロヘイヤなどの青菜類もカルシウムが豊富に含まれているため、味噌汁や炒め物に活用すると日常的に摂取しやすいでしょう。
外遊びや日光浴でビタミンDを補う
カルシウムの吸収を助ける栄養素として、ビタミンDの働きは欠かせません。ビタミンDは食事からも摂取できますが、おもに紫外線を浴びることにより皮膚で生成されます。そのため、子どもが外で遊ぶ時間をしっかり確保することは、骨の健康を保つうえでとても重要です。生活リズムの中に自然な日光浴の時間を取り入れることが、カルシウムをより効果的に活かすポイントとなります。
子ども向けサプリメントの活用も有効
日々の食事から十分なカルシウムを摂ることが理想ですが、食が細かったり、偏食があったりする子どもにとっては難しいことも。そんなとき、栄養補助として子ども向けのサプリメントを取り入れるのも一つの方法です。ここでは、子どもがサプリメントを摂取するうえで押さえておきたい知識や、サプリメントをはじめとした栄養補給などに関する相談先について紹介します。
子どものサプリメント摂取
食事だけでは十分なカルシウム摂取が難しい場合、子ども向けのカルシウムサプリメントを活用するのも一つの方法です。たとえば、偏食傾向がある、乳製品が苦手、食が細いなどの場合には、必要量を満たせるよう工夫してあげるとよいでしょう。ただし、過剰摂取には注意が必要であり、摂取目安量を守ることが大切です。
また、カルシウムだけでなく、ビタミンDやマグネシウムなどもバランスよく含まれている製品を選ぶとよいでしょう。子どものサプリメント摂取に関する正しい知識は、同サイトの以下の記事に詳しくまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
子どものサプリメント摂取の正しい知識|成長期に必要な理由と選び方ガイド
お悩みや相談は薬剤師に
カルシウムサプリメントを取り入れる際には、種類の選び方や摂取タイミングなど、迷うこともあるかもしれません。そうしたときは、薬剤師に相談するのが安心です。たとえば、薬との相互作用や、子どもの体調・体質に応じた製品選びについて、専門的なアドバイスが得られます。
また、サプリメントはあくまで補助的な役割であり、基本的な栄養は日々の食事からしっかりと摂ることが前提です。家庭だけで判断するのではなく、専門家の知識を活用しながら、無理のない方法で子どもの健康を支えていけるとよいでしょう。
なお、「つながる薬局」というサービスには、摂取しているサプリメントの情報の記録が行える電子お薬手帳機能があります。お薬手帳機能のほか、LINEひとつで薬剤師に服薬相談が行える機能や処方箋が送れる機能もあるので、ぜひ活用してください。
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まとめ
今回は、カルシウムの役割や不足することによる体への影響、上手に摂取するための工夫などを紹介しました。この記事を参考にカルシウムを日常的に摂取することで、子どもの健やかな成長をサポートしていきましょう。