執筆者:看護師・監修者:薬剤師
「咳や鼻水は出ているけど、すぐに病院へ行くべき?」
このように、お子さんの風邪への対応に悩む方も多いのではないでしょうか。赤ちゃんや子どもは風邪をひきやすく、軽い風邪のように見えても、年齢や症状によっては早めの対応が必要になることも。保護者にとって「どのタイミングで受診するべきか」は悩ましいポイントですよね。
この記事では、子どもの風邪でよく見られる症状や、病院に行くべき受診の目安、自宅でできるケアの方法についてわかりやすく解説します。
こどもの風邪の特徴
赤ちゃんや子どもがかかる風邪は、大人とは少し違った特徴があります。症状の出方や繰り返しやすさの理由を理解しておくと、日常の対応や受診の判断がしやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
発熱・鼻水・咳・喉の痛みなどが主な症状
子どもの風邪は、鼻水や咳、発熱、喉の痛みといった症状が典型的です。大人に比べて体力や免疫力が未発達なため、症状が急に悪化することも珍しくありません。とくに赤ちゃんは体温調節機能が未熟で、熱が上がりやすい傾向があるのが特徴です。
風邪を繰り返す原因
子どもは免疫機能がまだ発達途中にあるため、風邪を何度も繰り返してしまうのはごく自然なことです。特に保育園や幼稚園など集団生活の場では、多くの子ども同士が接するため、ウイルスが広がりやすくなります。実際、月に数回風邪をひく子も少なくありません。
生後3ヶ月未満の赤ちゃんは特に注意
赤ちゃんは生後6ヶ月頃まで受動免疫(母子免疫)によって守られていますが、感染・発症する場合もあります。生後3ヶ月未満の赤ちゃんは体温調節機能が未熟で、体温の変化にも対応しにくい時期です。そのため、38℃以上の発熱が見られる際には、すぐに受診が必要です。
特に、新生児期(生後28日以内)ではリスクが高いため、ミルクを飲む量がいつもより少ない、おしっこがほとんど出ないなどの症状が見られたら迷わず救急外来へ相談しましょう。
1〜2歳でも高熱が続く場合は要注意
1〜2歳の子どもは風邪を繰り返しやすい時期ですが、38.5℃以上の発熱が3日以上続く場合は注意が必要です。単なる風邪ではなく、肺炎や中耳炎、尿路感染症などの細菌感染が隠れているケースもあります。
また、川崎病など小児特有の疾患は「発熱が5日以上続く」「発疹や目の充血がある」といった特徴を示すこともあるため、高熱が長引くときは必ず医師の診察を受けましょう。
受診が必要な症状の目安
「このまま様子を見ても大丈夫?」「すぐに病院へ行った方がいい?」このように、受診のタイミングに迷ったときは、以下の目安を参考にしてください。
生後3ヶ月未満の赤ちゃんの発熱(38℃以上)
生後3ヶ月未満の赤ちゃんは体温調節機能も未熟で、急な体温上昇でぐったりすることがあります。38℃以上の発熱がある、または機嫌が悪い、母乳やミルクを飲まないといった様子がある場合は、夜間や休日であってもすぐに医療機関を受診しましょう。
呼吸が苦しそう/息が早い/唇が紫色
呼吸の仕方に異常があるときは要注意です。息がゼーゼーしていたり、胸やお腹が大きくへこむような「陥没呼吸」が見られる場合、気管支炎や喘息、また肺炎やRSウイルス感染症などが疑われます。
また、呼吸が速い、苦しそう、唇や爪が紫色になる(チアノーゼ)のは酸素不足のサインで、緊急性が非常に高い状態です。このようなときは救急要請を含め、すぐに医療機関へ連れていきましょう。
水分がとれない/ぐったりしている
子どもは体内の水分量が大人より多く、脱水に陥りやすいのが特徴です。水分や母乳・ミルクをほとんど口にしない、半日以上おしっこが出ていない、涙が出ないなどは脱水のサイン。嘔吐や下痢を繰り返しているときも、短時間で脱水が進行します。
さらに、ぐったりして反応が鈍い、呼びかけに反応しにくい場合は、脱水だけでなく脳炎や重い感染症が隠れている可能性があるため、すぐに受診してください。
咳がひどくて眠れない/嘔吐を繰り返す
風邪による咳であっても、夜眠れないほど続く場合は注意が必要です。風邪が悪化すると気管支炎や肺炎を招く可能性もあります。また、嘔吐が続く場合も要注意。嘔吐すると水分不足から脱水や低血糖につながるリスクもあるのです。
そのため、「何度も吐く」「水分を受け付けない」といった様子があるときは、ためらわずに受診してください。
熱が3日以上続く
通常の風邪であれば、2〜3日ほどで熱が落ち着くことがほとんど。ところが、3日以上高熱が続く場合は、肺炎や中耳炎、尿路感染症など細菌感染の可能性があるため注意が必要です。
また、まれに小児特有の病気(例:川崎病)でも発熱が長引くことがあり、発疹や目の充血などが見られることもあります。いずれにしても、熱が3日以上続いた時点で小児科を受診することが大切です。
けいれんを起こした
子どもに突然のけいれんが起こると、多くの保護者が強い不安を感じるでしょう。けいれんの中で最も多いのは熱性けいれんで、特に6ヶ月〜5歳ごろの子どもによく見られます。1回だけで数分以内に自然に治まり、その後すぐ意識が戻れば、多くは大きな問題にはなりません。
ただし、けいれんが10分以上続く、何度も繰り返す、熱がないのにけいれんした場合は脳炎やてんかんなど別の病気の可能性があるため、すぐに救急受診が必要です。
こんなときは慌てず様子を見てもOK
子どもが発熱すると、心配で慌ててしまうのはごく自然なことです。しかし、以下のポイントを押さえておくと、いざというときに慌てずに済むので、ぜひ参考にしてくださいね。
熱があっても元気・食欲がある
子どもは大人より体温が高めで、37.5〜38℃程度の発熱はよくあります。発熱があっても、遊ぶ元気がある・食欲が落ちていない場合は、すぐに受診しなくても経過観察で大丈夫です。特にウイルス性の風邪は自然に回復することが多いため、安静と水分補給を心がけてください。
ただし、生後3ヶ月未満や38.5℃以上の高熱が長引くときは例外ですので注意しましょう。
軽い咳や鼻水のみ
鼻水や咳は風邪の初期症状としてよく見られるもので、子どもの免疫がウイルスと戦っている証拠です。透明でさらさらした鼻水や、夜だけ軽く咳き込む程度であれば自宅でのケアで様子を見てかまいません。
また、鼻水はこまめに拭き取り、加湿器で空気を潤すと楽になります。咳止めを自己判断で使うのは避け、苦しそうでなければ経過観察が基本です。
1日で症状が軽快している
子どもは回復力が高く、短期間で症状が落ち着くことも少なくありません。たとえば「昨日は発熱したけれど、今日は平熱で元気に遊んでいる」「一晩眠ったら鼻水も減っている」といった場合は、病院へ駆け込まず様子を見てもよいでしょう。
ただし、解熱後もぐったりしてたり、発疹など他の症状が出てきたりといった新しい症状が現れるときは、別の病気の可能性もあります。症状が長引く場合は、迷わず医師に相談しましょう。
迷ったらかかりつけ医や薬剤師に相談を
「受診すべきか迷う…」そんなときに一人で判断するのは不安ですよね。普段から子どもの成長や体質をよく知っているかかりつけ医にまず電話で相談すれば、受診が必要か、自宅で様子を見てよいかを判断してもらえます。病院に行くべきかどうかの基準を、専門家に直接聞けるのは大きな安心材料になりますよ。
電話相談や「子ども医療電話相談(#8000)」も活用
夜間や休日は病院が閉まっていることも多く、保護者は不安になりやすい時間帯です。そんなときに心強いのが、全国共通の「子ども医療電話相談(#8000)」。小児科医や看護師が、症状を聞きながら受診の必要性や応急対応をアドバイスしてくれます。
もしも症状が急変した際にも「救急車を呼ぶべきか」「翌朝の受診でよいか」といった判断をサポートしてくれる仕組みです。
市販薬の使用についても薬剤師に相談を
「熱を下げてあげたいけど、市販薬を使っても良いの?」と悩む方もいるかもしれませんが、子どもは大人とは代謝や体重が異なるため、安全な成分かどうかや用量の判断が難しいのが実情です。特に解熱剤や風邪薬は、月齢や体重に応じた適切な量を超えると副作用のリスクが高まります。
そんなときは、薬局の薬剤師に相談すると、使用できるかどうか、また正しい使い方まで具体的に教えてもらえるでしょう。自己判断で与えるのではなく、必ず専門家のアドバイスを得てから使用することが大切です。
また、「つながる薬局」のサービスでは、LINEを使って薬局の薬剤師とチャット相談ができる機能や、オンラインで服薬指導を受けられる機能があります。自宅からLINEひとつで相談できるため、小さなお子さんを連れて外出する負担を減らしつつ、安心してお薬の使い方を確認できますよ。
受診の目安を知って、子どもの風邪に備えましょう
子どもの風邪は多くの場合自然に回復しますが、年齢や症状によっては早めの受診が必要になるケースもあります。受診の目安を理解しておくことで、いざというときに対応できるよう、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
また、体調の変化やお薬に関して気になることがあるときは、薬局を気軽に相談できる窓口として利用するのもおすすめです。
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