執筆者:看護師・監修者:薬剤師
「予防接種のあとに赤ちゃんが熱を出して心配になった」
そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。赤ちゃんの予防接種後には、発熱やぐずり、眠りがちになるなど一時的な反応が見られることがあります。多くは免疫がつくられる過程で自然に起こるものですが、なかには医療機関の受診が必要な場合もあるのです。
この記事では、0〜1歳の赤ちゃんによく見られる予防接種後の副反応、その経過と自宅でできるケア、さらに受診の目安についてわかりやすく解説します。
予防接種後に起こる「副反応」とは?
副反応とは、ワクチンに含まれる成分に体が反応し、免疫をつくる過程で一時的に起こる体の変化のことです。予防接種は赤ちゃんを感染症から守る大切な手段ですが、接種後に副反応が見られることがあります。
代表的な副反応は、発熱・接種部位の腫れや赤み・不機嫌・眠気など。ただし、ごくまれに重いアレルギー反応やけいれんなどが出ることもあり、経過をよく観察する必要があります。
ワクチンに対する自然な免疫反応
ワクチンが体に入ると、抗原に対する免疫が誘発され、それが体温上昇や炎症などを引き起こすことがあります。これは、ワクチンそのものが持つ毒性とは異なり、むしろ体が免疫を学習している証拠でもあるのです。
もちろん過度な反応や長引く症状は別の原因が絡む可能性もあり、見極めが重要です。症状が心配な場合には、予防接種を受けたかかりつけ医などに相談するとよいでしょう。
よくある副反応の症状と経過
赤ちゃんが予防接種を受けたあとに、発熱や注射した部分の赤み、ぐずりといった変化が見られることは珍しくありません。こうした反応は、多くの場合ワクチンによって免疫が働き始めたサインであり、一時的なものであることがほとんどです。
もちろん症状が強く出ると心配になりますが、多くは数日以内に落ち着いていきます。ここでは、代表的な副反応とその経過について具体的に解説していきます。
発熱(38〜39℃)
予防接種後の赤ちゃんに最も多い副反応が発熱です。多くは38〜39℃程度で、接種当日や翌日に出ることが一般的。2日以内に落ち着くケースが多く、機嫌がよく水分もとれていれば自宅で様子を見ても問題ありません。
接種部位の腫れ・赤み・痛み
針を刺した部位が赤く腫れたり、押すと痛がったりすることもよくあります。腫れは数日で引くことが多く、冷たいタオルで軽く冷やすと赤みや痛みが和らぎやすいでしょう。
ただし、腫れが広がったり膿がたまったように見える場合は受診が必要です。
ぐずる・機嫌が悪い・よく眠る
予防接種後は赤ちゃんが泣きやすくなったり、逆に普段より眠りがちになることがあります。これも一時的な副反応のひとつで、通常は1〜2日で自然に落ち着くことが多い反応です。
稀に出るアレルギー反応
ごく稀に、蕁麻疹や呼吸困難などのアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こることがあります。通常は接種後30分以内に現れることが多いため、予防接種のあと一定時間は医療機関で様子をみることが推奨されています。
自宅でできるケアと注意点
予防接種のあとに見られる発熱やぐずりの多くは、自然な免疫反応によるものです。とはいえ、赤ちゃんが不機嫌だったり熱が出たりすると、不安になる保護者の方も多いでしょう。
まずは慌てず、自宅でできるケアを取り入れて様子を見守ることが大切です。ここでは、熱があるときの対応や水分補給の工夫、眠りやすいときの過ごし方など、日常の中でできる具体的なポイントをご紹介します。
熱があっても機嫌がよければ様子見でOK
発熱していても、遊ぶ元気があり母乳やミルクを飲めている場合は過度に心配する必要はありません。体が免疫を作るための正常な反応と捉えてよいでしょう。予防接種後はとくに、赤ちゃんの顔色や授乳・ミルク量が普段と変わりないか注意して観察するようにしてくださいね。
こまめな水分補給(母乳やミルク)
発熱すると汗や呼吸で水分が失われやすいため、こまめに母乳やミルクを与えましょう。離乳食が始まっている子どもは、水や麦茶を与えるのもよいでしょう。
ちなみに、おしっこの色がいつもより濃い・回数が少ないなど、普段と比べて排泄に変化があった場合は、脱水症状が心配されるため医療機関へ相談しましょう。
眠そうなら無理に起こさず寝かせる
予防接種後はよく眠ることもあります。これは、免疫の獲得や体力を回復させているサインでもあるので、無理に起こさずゆっくり眠らせてあげましょう。
ただし、普段よりも様子がおかしい場合は(ゼーゼーした呼吸・唇の色が紫色など)すぐに医療機関へ相談してみてください。
解熱剤は医師の指示に従って使用
予防接種のあとに赤ちゃんが発熱すると、「すぐに熱を下げてあげたい」と感じる保護者の方も多いでしょう。ですが、乳幼児に安全に使用できる解熱成分はアセトアミノフェンに限られており、なかでも生後3か月未満の赤ちゃんには使用できません。
そのため、解熱剤を使う場合は必ず小児科で処方された薬を使用しましょう。医師の指示を守って使用することが、赤ちゃんの体を守るために大切です。
こんな時は迷わず病院へ!
予防接種後の発熱やぐずりの多くは自然に落ち着きますが、中には重大な病気が隠れているケースもあります。特に赤ちゃんや小さな子どもは症状が急に悪化することがあるため、「いつもと違う」と感じたときは早めの受診が安心です。
ここでは、ただちに小児科や救急を受診すべき症状の目安を紹介します。
ぐったりして呼びかけに反応しない
授乳量が少ない、元気がなく、抱っこしても反応が鈍いときは緊急性が高い状態です。すぐに医療機関を受診してください。
高熱が2日以上続く
予防接種後の発熱は1〜2日で落ち着くことが多いですが、2日以上高熱が続く場合は別の感染症の可能性もあるため、かかりつけ医などに相談しましょう。
けいれんを起こした
熱性けいれんは6か月〜6歳に多い症状ですが、長引くけいれんや繰り返す場合はほかの病気のサインであることも。15分以上続く場合にはけいれんを止めるための処置が必要になるので、救急要請し受診してください。
発疹や呼吸の異常、顔色が悪いなどの変化
全身に発疹が出たり、ゼーゼー呼吸や顔色不良が見られるときは、アレルギー反応や重い感染症の可能性があります。ためらわず救急要請しましょう。
安心して予防接種を受けるために
予防接種は感染症から赤ちゃんを守る大切な機会ですが、副反応への不安から接種前に迷う保護者の方も少なくありません。接種を安全に行うためには、あらかじめ体調や副反応について理解しておくことが大切です。
ここでは、安心して予防接種に臨むために押さえておきたいポイントを紹介します。
接種前の体調チェック
予防接種当日は、赤ちゃんの体調をよく観察しましょう。発熱や下痢、強い咳など体調不良がある場合は、延期を提案されることもあります。また、前日の睡眠や食欲の様子もチェックしておくと、医師に伝える際に役立ちますよ。
副反応の可能性を知っておく
予防接種後に見られる発熱やぐずり、接種部位の腫れなどは、自然な免疫反応の一つです。多くは数日で改善しますが、まれに強い副反応が出ることもあります。事前にどんな症状が出やすいのかを知っておくことで、落ち着いて対応できるでしょう。
不安がある場合は事前に小児科医や薬剤師に相談を
「予防接種を受けられる体調なのか心配」「副反応についてちゃんと説明してもらいたい」といった不安があるときは、予防接種を受ける前に小児科医や薬剤師など、医療従事者に相談しておきましょう。
普段の健康状態やお薬の使用状況をふまえて、接種が可能かどうか判断もしくはアドバイスをもらえるので安心です。
まとめ
赤ちゃんの予防接種は、感染症から身体を守るための大切なものです。その予防接種での副反応は多くの場合軽度で自然におさまりますが、注意が必要なサインを理解しておくことが大切です。
接種前の体調チェックや正しい情報の集め方、そして不安があるときには医師や薬剤師に相談することで、安心して予防接種を受けられるでしょう。
たとえば「つながる薬局」というサービスでは、LINEを使って薬剤師に相談できるチャット機能や、オンラインでの服薬指導を受けられる機能を提供しています。LINEで気軽に利用できるので、自宅にいながら気になる症状や解熱剤などのお薬について相談できるのが魅力です。
さらに、薬剤師への相談だけでなく、薬局での待ち時間を短縮できる処方箋送信機能や、お薬の情報を記録・管理できる電子お薬手帳の機能もあるので、ぜひご利用ください。
つながる薬局は、薬局への処方箋送信から健康・お薬相談、お薬手帳までLINEひとつでご利用いただけるサービスです!
つながる薬局を利用できる薬局はこちら!


