執筆者・監修者:薬剤師
「ハンタウイルスってなに?」
「ハンタウイルスはどのように感染する?」
「ハンタウイルス感染時の症状は?」
ハンタウイルスに関するニュースを見て、感染経路や重症化リスクが気になっている方もいるでしょう。ハンタウイルスは主にネズミなどのげっ歯類が保有するウイルスで、人から人へ広がるリスクは基本的に低い感染症です。
本記事では、ハンタウイルスの特徴や主な感染経路、日本国内での発生状況、ハンタウイルスの症状、新型コロナウイルスとの違い、治療法や予防策を解説します。
ハンタウイルスの正しい知識を身につければ、過度に不安を抱かず、必要な対策を冷静に選べるでしょう。
ハンタウイルスとは?
ハンタウイルスとは、主にネズミなどのげっ歯類が保有し、人に重い呼吸器症状や腎臓の障害などを起こすことがある感染症の原因ウイルスです。2026年にはクルーズ船で重症な呼吸器疾患の集団発生がWHOへ報告され、ニュースでも世界的に注目されました。
まれな感染症でありながら、重症化リスクを踏まえた正確な理解が必要です。
本章では、ハンタウイルスの基本的な情報について解説します。
ハンタウイルスの主な感染経路
ハンタウイルスの主な感染経路は、ウイルスを持つネズミの尿・便・唾液に触れることです。ネズミの尿や便などが乾いて細かなほこりになり、掃除や片付けの際に舞い上がります。舞い上がったウイルスを含むほこりを吸い込むと、体内に入り感染につながるおそれがあります。
汚れた手で目や口に触れたり、ネズミにかまれたりする行為や、排泄物で汚染された食品を食べてしまうことも、感染のきっかけとなるため注意が必要です。人から人へ広がる感染は基本的に少ないため、ネズミや排泄物に直接触れないことが大切です。
日本国内におけるハンタウイルスの発生状況とリスク
日本国内では、感染症法が施行された1999年以降、ハンタウイルスによる患者の発生は確認されていません。日本人にとって身近な感染症とはいえず、過度に不安を抱く必要は少ない状況です。
一方で、日本の一部地域では、ハンタウイルスに感染したことを示す抗体を持つネズミが確認されています。人への感染が広がっていない背景には、住環境や衛生管理の改善が関係していると考えられます。
日常生活ではネズミを近づけない環境づくりが、現実的な予防策になるでしょう。
ハンタウイルス感染時の主な症状
ハンタウイルスに感染した場合、症状のあらわれ方は原因となるウイルスの種類やからだへの影響によって異なります。重症化すると命に関わるケースもあるため、代表的な病型を知っておくことが大切です。
本章では、ハンタウイルス感染時に注意したい主な症状を解説します。
致死率が高いハンタウイルス肺症候群(HPS)の症状
ハンタウイルス肺症候群(HPS)は、発熱や咳、筋肉痛など、かぜに似た症状から始まることがあります。吐き気や下痢を伴う場合もあり、初期段階では他の感染症と見分けにくい点に注意が必要です。
症状が進むと息苦しさが強くなり、急に呼吸や血液の循環が保てなくなるおそれがあります。致死率は原因となるウイルスによって異なりますが、10〜50%程度とされ、中には約40〜50%に達するケースも報告されています。
ネズミのふん尿に触れた後、発熱や咳、息苦しさが出た場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。
アジアで多い腎症候性出血熱(HFRS)の症状
腎症候性出血熱は、急な発熱や頭痛から始まり、重症化すると腎臓の働きの低下や出血しやすい状態を招く感染症です。アジアやヨーロッパなどのユーラシア大陸でみられ、ハンタウイルス感染症の代表的な病型です。
感染後すぐに症状が出るわけではなく、多くは10〜20日ほどたってから体調の変化があらわれます。主な症状は、急な発熱、頭痛、寒気、吐き気、強いだるさのほか、顔の赤みや目の充血などの出血症状があらわれることもあります。
流行地域でネズミや排泄物に触れた後に体調不良が出た場合は、早めの受診が大切です。
ハンタウイルスと新型コロナウイルスの違い
ハンタウイルスと新型コロナウイルスは、同じ感染症であっても、広がり方や社会への影響は異なります。違いを正しく理解すると、必要以上に不安を抱かず、冷静にリスクを判断できるでしょう。
本章では、ハンタウイルスと新型コロナウイルスの違いについて解説します。
人から人への感染リスクの比較
新型コロナウイルスは人から人へ広がりやすい一方、ハンタウイルスは基本的にネズミ由来の感染症です。感染の広がり方が異なるため、両者を同じように恐れる必要はありません。
主な違いを整理すると、以下のとおりです。
| 比較項目 | 新型コロナウイルス | ハンタウイルス |
| 主な感染源 | 感染した人 | ウイルスを持つネズミ |
| 広がり方 | 飛沫、エアロゾル、接触で広がる | 尿・便・唾液に触れる、ほこりを吸い込む |
| 人から人への感染 | 起こりやすい | 基本的に起こりにくい |
| 例外 | 流行株により広がり方が変わる | アンデス型では密接な接触で報告あり |
ただし、南米でみられるアンデス型では、家族間などの非常に密接な接触(濃厚接触)による感染が報告されています。新型コロナウイルスのように日常的な会話や短時間の接触で広がりやすい感染症ではないため、感染源の違いを理解することが大切です。
パンデミック化の可能性
ハンタウイルスがパンデミック化する可能性は、新型コロナウイルスと比べて低いと考えられています。理由は、人から人へ広がりにくく、感染の多くがウイルスを持つネズミとの接触に関係するためです。
例外として、南米でみられるアンデス型では、人から人への感染が報告されています。ただし、WHO(世界保健機関)などは世界全体へのリスクは低いとの見方を示しており、専門家も新型コロナのように日常生活で急速に広がる性質とは異なるとしています。
ハンタウイルス感染症に関する正しい予防策を知れば、過度に恐れず冷静に対応できる感染症です。
ハンタウイルス感染症の治療法と予防策
ハンタウイルス感染症では、体調の変化に気づいた後の対応と、感染のきっかけを減らす備えが重要です。重症化を防ぐには、受診の判断と日常生活での衛生管理を切り分けて理解する必要があります。
本章では、ハンタウイルス感染症の治療法と予防策を解説します。
医療機関における対症療法と検査方法
ハンタウイルス感染症には、原因ウイルスを直接なくす特別な治療法はなく、症状を和らげながら全身状態を支える治療が中心です。発熱や脱水、血圧低下に対応し、息苦しさが強い場合は酸素投与や人工呼吸器を使うこともあるでしょう。
重症で呼吸や血液の流れを保てない場合は、ECMO(体外式膜型人工肺)が検討されるケースもあります。診断では、血液や唾液などを調べ、ウイルスの遺伝子や感染を示す反応を確認します。
早期に医療機関で状態を見極めることが、重症化への対応につながるでしょう。
家庭でできるネズミ対策と掃除の注意点
家庭でできる予防策は、ネズミを住まいに近づけず、排泄物を見つけても粉塵を舞い上げないことです。ネズミの尿や便、巣材が乾いている場所に掃除機やホウキを使うと、ウイルスを含むほこりを吸い込むおそれがあります。
処理する際は窓を開けて換気し、マスクや手袋を着けたうえで、粉塵が舞い上がらないよう水などで十分に湿らせてから拭き取りましょう。
食べ物を出したままにせず、すき間をふさぐ対策も、ネズミの侵入予防に役立ちます。
ハンタウイルスなどの感染予防に!便利な「つながる薬局」
感染予防では、受診やお薬の受け取りに伴う負担を減らし、体調に不安があるときに相談しやすい環境を整えることが大切です。薬局との接点を日常的に持てると、体調変化への対応も遅れにくくなります。
本章では、LINE公式アカウント「つながる薬局」が提供するサービスの便利な活用方法を紹介します。
処方箋の画像をLINEから送信して待ち時間を短縮
病院でもらった処方箋を事前に薬局へ送信すれば、待ち時間が短縮し、人混みで過ごす時間を減らせます。「つながる薬局」を友だち追加し、病院で受け取った処方箋をスマホで撮影すれば、LINEから薬局へ画像を送信可能です。
薬局側は送られた内容をもとにお薬の準備を進められるため、到着後の受け取りがスムーズになります。お薬の準備ができた通知も受け取れるため、体調がすぐれない日や感染症が気になる時期にも便利です。
「つながる薬局」を活用すれば、待合室で長く過ごす不安を減らし、必要なお薬を受け取りやすくなるでしょう。
ちょっとした体調の不安もLINEで気軽に相談
病院に行くほどではない体調の不安やお薬の疑問があるときは、LINEから薬剤師に相談できると安心につながります。「つながる薬局」では、お好きなかかりつけ薬局を登録すれば、お薬や体調で気になることを、薬局薬剤師へLINEで相談可能です。
たとえば、お薬の飲み合わせや飲み忘れ、症状があるときの市販薬選びなどを相談しやすくなります。体調に不安がある段階で薬剤師に相談できれば、受診が必要か迷う場面でも判断材料を得やすいでしょう。
身近な薬局とつながっておくことは、感染症が気になる時期の不安軽減にも役立ちます。
つながる薬局は、薬局への処方箋送信から健康・お薬相談、お薬手帳までLINEひとつでご利用いただけるサービスです!
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まとめ
ハンタウイルスは、主にネズミなどのげっ歯類が保有し、尿・便・唾液や乾いたほこりを通じて感染することがあります。
日本国内では1999年以降の患者発生は確認されておらず、過度に不安を抱く必要は少ない感染症です。一方で、感染すると重い呼吸器症状や腎臓への影響が出る場合もあるため、症状や受診目安の理解は欠かせません。
本記事を参考に、ネズミ対策や掃除時の注意点を押さえ、必要に応じて医療機関や薬局へ相談してください。

執筆者:佐藤 恒一
資格:薬剤師
経歴:総合病院門前薬局、精神科クリニック門前薬局にて勤務。
調剤業務・服薬指導を経験後、薬局チェーン本部のDI(医薬情報)部門に所属し、医薬品情報提供や安全性対応に従事。
医療や健康に関する情報は専門家には当たり前でも、一般の方には難しい場面が多いと感じています。執筆では専門用語をできるだけかみ砕き、読者が理解しやすい内容にすることを心掛けています。最新の医薬品情報や薬物療法の動向にも関心があり、日々情報収集を続けています。




