執筆者・監修者:薬剤師
「新しいお薬を飲み始めてから体がだるいけれど、これって飲み続けないといけないの?」
「副作用が怖いから、薬を飲むのをやめてもいいのかな?」
そんな不安や疑問を抱えていませんか?
お薬は治療に欠かせない一方で、体調の変化を感じると副作用ではないかと不安になることもあるでしょう。体調不良を我慢して飲み続けたり、自己判断で中止したりすると、体にとってかえって負担になってしまう場合もあります。
本記事では、副作用への不安を解消するために、症状を最小限に抑えるための解決策や、薬局で受けられる具体的なサポートについて解説します。安心してお薬と付き合い、適切に治療を続けていくためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
なぜ「副作用が怖い」と感じるのか
お薬を飲む際に「体に悪い影響があったらどうしよう」と不安になるのは、決して珍しいことではありません。薬剤師として働く中で、患者さんから「副作用が怖いからお薬は飲みたくない」と言われることもあります。
副作用に対して不安を抱いてしまうのには、私たちを取り巻く現代ならではの情報環境や、体調の変化を客観的に捉えることの難しさが大きく関係しています。
情報が多すぎて判断が難しい
インターネットが普及した現代では、一般の方であってもお薬に関する膨大な情報を簡単に得られます。特に注意したいのが、SNSの口コミや知人からの断片的な体験談です。
体験談は非常にインパクトが強いため、たとえそれが稀なケースであっても、自分にも同じことが起こるのではないかと考えてしまいがちです。
しかしながら、お薬が体に与える影響には個人差があり、同じお薬を服用したからといって、同様の副作用が出るとは限りません。
また、お薬の説明書(添付文書)には、万が一に備えてあらゆる副作用が記載されています。添付文書には起こりうる副作用が記載されており、一般の方にとっては「どのくらいの確率で」「どの程度深刻なことが」起きるのか、判断するのは難しいこともあります。
その結果、数字に基づいた客観的な判断よりも、「怖い」という感情だけが先行してしまうのです。
自分の症状が副作用なのか判断しにくい
体調に異変を感じたとき、それがお薬の副作用なのか、疾患によるものなのか、あるいはその日の体調やストレスによるものなのかを判断するのは簡単なことではありません。
たとえば、薬局で「これは副作用でしょうか?」とよく相談を受ける症状として眠気や吐き気、発疹などがあります。これらの症状は副作用として現れることもありますが、体調やストレスなど別の原因による場合もあり、副作用との見分けが難しい症状です。
このように、副作用が疑われる症状が現れたときに「我慢して飲み続けて良い範囲」なのかどうかを判断しづらいことが、お薬の副作用に対する心理的な負担を大きくしてしまう要因です。
副作用の緊急度をどう見極める?
お薬を服用後に副作用が疑われる症状が出たとき、最も迷うのが「今すぐ病院に行くべきか、それとも次の受診まで待っていいのか」という判断ではないでしょうか。
ここでは、専門知識がなくても自分の体調を客観的にチェックできる、緊急度を見極めるための5つのポイントを詳しく解説します。
いつもと違うかどうか
副作用に気づくための第一歩は、お薬を飲む前の自分と比較して明らかな体調変化があるかどうかを確認することです。
「なんとなく体が重い」「いつもより喉が渇く気がする」といった、ちょっとした違和感も大切なサインといえます。
急に出たかどうか
お薬を飲んでから数分〜数時間以内に、息苦しさや激しい動悸、全身に広がる真っ赤な湿疹などが急激に現れた場合は、アレルギー反応(アナフィラキシーなど)の可能性があり、極めて緊急度が高い状態です。
一方で、数日かけてじわじわと「少しお腹が緩くなってきたかも?」「なんとなく体がだるい」と感じる程度の症状であれば、症状が急激に悪化しない限り、次の受診まで様子を見ても問題ないケースが多いでしょう。
症状が強くなっているかどうか
時間の経過とともに、その症状がどのように変化しているかにも注目してみましょう。
たとえば飲み始めの頃に少し眠気が出たものの、数日経つと気にならなくなったというようなケースは、体がお薬に慣れてきた証拠といえます。しかし、お薬を飲み始めてから時間が経つにつれて、発疹の範囲が広がったり、吐き気が強くなって食事が摂れなくなったりする場合は注意が必要です。
副作用と思われる症状が時間の経過とともに悪化しているときは、治療を続けていいか判断する必要があるため、早めに医師や薬剤師へ相談しましょう。
よくある副作用かどうか
そのお薬を飲むことで「起こる可能性がある」とあらかじめ説明されている症状かどうかを知ることも、安心材料の一つになります。
たとえば、以下のような症状は、比較的頻度の高い症状です。
● 眠気、ふらつき(アレルギーのお薬や精神科薬、風邪薬など)
● 胃のむかつき、腹痛(抗生物質や解熱鎮痛剤など)
● 口の渇き(アレルギーのお薬や頻尿のお薬など)
これらは、日常生活に支障がない程度であれば、そのまま服用を続けても問題ない場合が多いとされています。
しかし、顔や目の粘膜が赤く腫れたり、高熱を伴う激しい発疹が出たりするなど、全身に強い症状が見られるときは早めの対応が必要です。医療機関で相談するようにしましょう。
我慢できるかどうかを基準にしないことが大切!
副作用の緊急度を判断する際に、症状を我慢できるかどうかを基準にしないことが大切です。なぜなら、たとえ本人が「我慢できる程度の体調不良」だと思っていても、体の中では肝臓や腎臓などに深刻なダメージが進行しているケースがあるからです。
「日常生活は送れるが、明らかに体の状態がいつもと違う」と感じたなら、それは放置するべきではありません。早めに医療機関に連絡し、お薬を継続してよいかどうかを相談しましょう。
副作用が怖いときに薬局で相談できること
「副作用かもしれない」と不安になったとき、真っ先に頭に浮かぶ相談先は病院かもしれませんが、薬局の薬剤師に相談することもできます。ここでは、副作用が怖いと感じたときに薬局でどのようなサポートが受けられるのかを解説します。
副作用かどうか
薬剤師が患者さんから副作用に関する相談を受けた際、まずは「お薬を飲み始めたタイミング」と「症状が出たタイミング」を確認します。
多くの場合、副作用には現れやすい時期があります。症状が出始めたタイミングを確認することで、今起きている症状がそのお薬に特有のものか、あるいは全く別の原因(季節の変わり目の体調不良など)によるものかを推測できるのです。
また、薬剤師は比較的頻度の高い副作用についての知識もあります。これらの情報をもとに、症状とお薬の関連性を判断します。
飲み続けていいかどうか
副作用の疑いがある場合でも、すぐに服用を中止するのが正解とは限りません。お薬の服用時間を変えたり、食事のタイミングを調整したりするといった飲み方の工夫で副作用と思われる症状が軽減するケースも少なくありません。
薬剤師は、できるだけ副作用の症状を軽減し、適切に治療を続けられるようにサポートします。
薬の組み合わせが原因になっていないか
複数のお薬を服用している場合、通常よりもお薬の血中濃度が高くなってしまい副作用が出ているというケースもあります。お薬だけでなく、健康食品やサプリメントなどとの飲み合わせにも注意が必要です。
お薬の飲み合わせに問題が見つかった場合、薬剤師は処方医に対して処方の変更を提案したり、患者さんに健康食品やサプリメントなどの飲み方についてアドバイスをしたりします。
今すぐ受診が必要か
薬剤師は、副作用の症状の緊急度を適切に把握し、必要に応じて受診を勧めることもあります。
特にまぶたや唇が腫れる、息苦しさを感じるといったアナフィラキシーが疑われる症状が出ているときは早めの対処が必要です。
副作用が怖い人のために薬局ができる対策
薬局では、単にお薬をお渡しするだけでなく、患者さんが抱く副作用に対する怖さを解消し、安全に治療を続けられるようにさまざまなサポート体制を整えています。
状況整理
患者さんから副作用の疑いについて相談を受けたら、薬剤師はいつから、どの症状が、どの程度出ているかを一緒に整理していきます。
お薬を飲み始めた時期と体調変化の関係を確認するとともに、症状の経過を客観的に整理することで、患者さんが抱えている悩みや困りごとを言語化できるように支援します。
情報整理と引き継ぎ
副作用の可能性が高いと判断した場合、その情報を医師に伝える必要があります。
薬局では、医師に伝えるべき内容を整理して、スムーズに診察を受けられるよう支援しています。場合によっては、薬剤師から処方医に直接連絡をしたり、処方医宛に報告書を作成したりすることもあります。
薬歴記録
薬局では患者さん毎にお薬に関する情報などを記録した「薬歴」を作成しています。患者さんからお薬についての相談を受けたときには、必ずその内容を薬歴に記録しています。
副作用の可能性があった事実を記録していくことで、患者さんが今後また同じお薬を使う場合に注意深く体調変化を確認したり、別のお薬への変更を提案したりできます。
副作用に関する情報を蓄積していくことは、安心して治療を受けられるようにするために重要です。
服薬指導
薬局では副作用への怖さを踏まえた服薬指導も行っています。
患者さんに初めて服用するお薬をお渡しする際は、頻度の高い副作用や副作用が起こりやすい時期、起こる頻度は少ないもののすぐに対処が必要な副作用などについての情報をわかりやすく説明しています。
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