偏頭痛の原因は?予兆・改善方法・受診目安・セルフケアを解説

健康・予防

執筆者・監修者:薬剤師

「また頭が痛い……」と感じる日が増えていませんか?
「痛みが始まると何も手につかない」など、仕事や家事を中断せざるを得なかった経験はないでしょうか?

よく頭痛がするという方は偏頭痛に対して「いつもの頭痛」と片づけてしまいがちです。でも、ケアすることで改善できるのが偏頭痛です。痛みの背景には、脳内物質や血管の変化・日々の生活リズム・食習慣が関係していることも少なくありません。

本記事では、偏頭痛が起こる仕組みや、痛みの前に現れやすいサイン、つらいときの過ごし方や予防策について整理します。また、受診を考える目安や薬局で受けられるサポートについてもご紹介します。

偏頭痛の主な原因

偏頭痛は単なる疲れや気のせいではなく、脳や血管で起きている生理的な変化が痛みを引き起こしています。ここでは、偏頭痛の仕組みとして代表的な3つの要因を見ていきましょう。

脳内物質と血管の変化

偏頭痛の仕組みを理解するうえで、まず知っておきたいのが脳内物質「セロトニン」の関与です。

セロトニンは、気分の安定や血管の収縮・拡張に関わる神経伝達物質です。何らかのきっかけでセロトニンの量が急激に変動すると、それまで収縮していた頭部の血管が一気に拡張します。

拡張した血管が周囲の三叉神経(さんさしんけい)を圧迫・刺激し、そこから発せられる痛みの信号が脳に届くことで、ズキズキと脈打つような強い頭痛として感じられるのです。

さらに、刺激を受けた三叉神経からは炎症を起こす物質が放出され、血管周辺の炎症が広がります。この炎症がさらなる痛みを生むという悪循環が、偏頭痛の痛みを長引かせる一因になっています。

偏頭痛が「ただの頭痛」ではなく、脳と血管の連鎖的な反応であるという点を理解しておくと、なぜ安静や早めの対処が大切なのかが見えてきます。

ストレスと生活リズム

偏頭痛とストレスには密接な関係があります。注目したいのは、強いストレスを感じている最中よりも、緊張状態が解けたタイミングで発作が起こりやすいという点です。

仕事が忙しい平日を乗り越えた週末や、大きなプレゼンが終わった直後などに偏頭痛が始まるのは、緊張で収縮していた血管がリラックスとともに一気に拡張するためと考えられています。いわゆる「週末頭痛」と呼ばれる現象です。

また、生活リズムの乱れも大きな引き金です。睡眠不足はもちろん、寝だめのような睡眠時間のばらつきも偏頭痛を誘発することがあります。脳は一定のリズムを好むため、就寝・起床時間が日によって大きく変わると、自律神経やセロトニンの調整がうまくいかなくなるのです。

そのほか、気圧の急激な低下や天候の変化、女性の場合は月経前後のホルモン変動も、偏頭痛のストレス要因として知られています。自分がどのような状況で頭痛が起きやすいかを把握しておくことが、予防の第一歩になります。

食事や嗜好品との関係

意外に見落とされやすいのが、食事や嗜好品と偏頭痛の関係です。

まず気をつけたいのが「空腹」です。食事を抜いて長時間空腹の状態が続くと、血糖値が急激に低下します。この血糖値の変動が脳の血管に影響を与え、偏頭痛を引き起こすきっかけになることがあります。忙しい日でも食事を極端に抜かないことが大切です。

アルコールも代表的な誘因のひとつです。アルコールを摂取することで血管が拡張するため、飲酒後に偏頭痛が始まるケースは少なくありません。

また、チョコレート・熟成チーズ・加工肉・柑橘類など、特定の食品を摂取した後に毎回のように頭痛が起こるという方もいます。これらの食品に含まれるチラミンや亜硝酸塩といった成分が、血管の収縮と拡張に影響を与えるためと考えられています。

「食後にいつも頭痛がする」と感じたら、何を食べたかを記録しておくと、自分にとっての誘因食品を特定しやすくなります。

偏頭痛の予兆・前触れ症状

偏頭痛には、痛みが本格的に始まる前に現れる予兆があることをご存じでしょうか。この偏頭痛の予兆に気づけると、早めの対処が可能になり、痛みの強さや持続時間を軽減できる場合があります。ここでは、代表的な3つのタイプの予兆を紹介します。

視覚の変化

偏頭痛の予兆として最もよく知られているのが、視覚に現れる変化です。「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる現象がその代表で、視界の一部にギザギザした光やモザイク状の模様が現れ、それが徐々に広がっていきます。数分から数十分ほど続いたあとに消え、その後に頭痛が始まるというパターンが典型的です。

このほかにも、視界の一部が欠けたように見える、急にまぶしさが強く感じられる、物がぼやけて見えるといった変化が起こる方もいます。

これらの視覚症状は「前兆のある偏頭痛」と分類され、痛みが起こる数十分前に現れることが多いため、この段階で対処を始められると発作を軽く抑えられる可能性があります。初めてこのような症状を経験した場合は、脳の別の疾患との区別が必要になるため、一度医療機関を受診しておくと安心です。

体の変化

偏頭痛の予兆は視覚だけでなく、体全体のコンディションにも現れます。

よく報告されるのが、理由のない強い眠気です。十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に抗えないほどの眠気に襲われる場合は、偏頭痛の前触れかもしれません。

また、首や肩がいつもより重く感じる、こわばるといった症状を訴える方も多くいます。これは偏頭痛そのものの前段階で筋肉の緊張が高まるためと考えられており、「肩こりが原因で頭痛になった」と感じる方の中には、実は偏頭痛の予兆として肩の症状が先に出ていたというケースもあります。

そのほか、あくびが頻繁に出る、体がだるくなる、のどの渇きを感じやすくなるといった微妙な体調変化も、偏頭痛の数時間前から半日前に現れることがあります。「なんとなくいつもと調子が違う」という感覚を見逃さないことが、早期対処のカギになります。

気分の変化

偏頭痛の予兆は、精神面にも影響を及ぼすことがあります。

たとえば、普段は気にならないような些細なことにイライラしやすくなる、集中力が急に低下して仕事や読書が続けられなくなるといった変化が挙げられます。また、理由なく気分が落ち込む、逆に妙に気分が高揚するなど、感情の振れ幅が大きくなるという方もいます。

これらの気分の変化は、セロトニンをはじめとする脳内物質のバランスが崩れ始めているサインだと考えられています。周囲から見ると「機嫌が悪い」「やる気がない」と誤解されやすいのですが、本人にとってはコントロールしづらい生理的な反応です。

「イライラしたり集中できないという症状のあと、いつも頭痛がする」というパターンに気づくことができれば、頭痛ダイアリー(詳細は後述)などに記録しておくことで、自分なりの予兆パターンを把握しやすくなります。

自分でできるセルフケア

偏頭痛の対処法は、発作が起きたときの過ごし方と、発作を起こしにくくするための日常的な予防策の2つに分けて考えると整理しやすくなります。ここでは、すぐに実践できるセルフケアの方法をまとめます。

発作時の過ごし方

偏頭痛の発作が始まったら、最も大切なのは「刺激を減らす」ことです。偏頭痛の対処法として基本となるポイントを押さえておきましょう。

まず、できるだけ暗く静かな場所に移動し、横になりましょう。偏頭痛は光や音の刺激で悪化しやすいため、カーテンを閉め、テレビやスマートフォンの画面も避けるのが望ましいです。目を閉じて安静にするだけでも、脳への刺激を大幅に減らすことができます。

次に、痛む側のこめかみや首の後ろを冷たいタオルや保冷剤で冷やしてみてください。冷却には拡張した血管を収縮させる効果が期待でき、痛みが和らぐ方が多くいます。反対に、温めると血管がさらに拡張して痛みが増すことがあるため、発作時は温める行為は避けましょう。

「少し我慢すれば治るかもしれない」と無理に動き続けると、動き続けたことによって血流が増え、痛みを強めてしまう場合があります。可能であれば作業や外出を中断して体を休めることが、結果的に回復を早めます。

日常でできる予防策

偏頭痛の発作を減らすには、日頃から脳と体に「急激な変化」を与えない生活を心がけることが重要です。

最も基本的な予防策は、毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることです。平日と休日で就寝・起床時間が2時間以上ずれると、自律神経のリズムが乱れやすくなります。休日に寝だめをしたくなる気持ちはわかりますが、起床時間のずれは偏頭痛の大きな引き金になるため、できるだけ一定に保ちましょう。

食事を抜かないことも大切です。空腹による血糖値の急降下は偏頭痛を誘発するため、3食をなるべく規則正しく摂るようにします。忙しくて食事の時間が確保しにくい場合は、ナッツやバナナなど手軽に口にできるものを持ち歩いておくと安心です。

適度な運動も予防につながります。ウォーキングや軽いストレッチなど、激しすぎない運動は、ストレスの解消と自律神経の安定に役立ちます。ただし、急に激しい運動をすると逆に発作を誘発することがあるため、自分のペースで無理なく続けられるものを選びましょう。

天候の変化が大きい日や、気圧が下がる予報が出ている日は、予定を詰め込みすぎずゆっくり過ごすことも、実践しやすい予防策のひとつです。

お薬を使う

発作時の対処や日頃の予防だけでは痛みが抑えきれないとき、市販の鎮痛薬が助けになることがあります。ポイントは、痛みが本格化する前のできるだけ早い段階で服用することです。偏頭痛の予兆を感じ取れるようになると、この「早めの服用」が格段にしやすくなります。

ただし、鎮痛薬の使い方にはいくつか注意が必要です。まず、パッケージに記載されている用法・用量を必ず守りましょう。「お薬の効きが悪いから多めに飲む」「念のために毎日飲んでおく」といった使い方は、薬物乱用頭痛(薬の使いすぎによって起こる頭痛)を招くおそれがあります。

一般的に、鎮痛薬を月に10日以上使用している場合は、薬物乱用頭痛のリスクが高まるとされています。

市販薬を飲んでも痛みが十分に改善しない場合には、自己判断で飲む量や回数を増やすのではなく、医療機関の受診や薬剤師への相談を検討してください。処方薬には偏頭痛に特化した薬剤など、市販薬とは異なるアプローチのお薬があります。

お薬の選び方や飲むタイミングに迷ったときは、薬局の薬剤師に相談するのも有効な方法です。例えば、LINEのつながる薬局のサービスでは、友だち登録後にお好きな薬局をかかりつけ薬局として登録するだけで、LINEを使って気軽に薬局の薬剤師に健康やお薬に関する相談ができます。

忙しくてなかなか薬局に足を運べないという方でも、スマートフォンから手軽に相談できるので活用してみてください。

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受診を考える目安

偏頭痛の多くはセルフケアで対応できますが、中には医療機関を受診すべきケースもあります。ここでは、偏頭痛の受診の目安として、特に注意が必要な2つの状況を解説します。「いつもの頭痛」と軽く考えず、以下に当てはまる場合は早めに医師の診察を受けましょう。

いつもと違う強い痛みがあるとき

これまでに経験したことがないような激しい頭痛が突然起こった場合は、偏頭痛ではなく、くも膜下出血や脳出血など、命に関わる疾患の可能性があります。「バットで殴られたような痛み」と表現されることもあるこの突然の激痛は、ためらわず救急車を呼ぶべき症状です。

また、以前から偏頭痛がある方でも、頻度が明らかに増えている、痛みの強さが以前とは比較にならないほど増している、痛みの性質がいつもと違うと感じる場合は、別の疾患が隠れている可能性があるため、受診の目安と考えてください。

特に注意すべきは、頭痛と同時に手足のしびれ・麻痺、言葉が出にくい・ろれつが回らない、意識がもうろうとするといった神経症状を伴うケースです。これらは脳卒中の初期症状である可能性が高く、一刻も早い対応が求められます。このような症状が現れたら、迷わず119番に電話してください。

お薬が効かないとき

市販の鎮痛薬を何度か服用しても頭痛が改善しない場合も、偏頭痛の受診の目安のひとつです。

「このお薬はもう効かないから、別の市販薬を試そう」とお薬を次々に変えたり、服用回数を増やしたりし続けると、先述した薬物乱用頭痛に陥るリスクが高まります。お薬を使う回数が月を追うごとに増え続けている、頭痛がない日がほとんどなくなってきたという状態は、すでに頭痛のコントロールがうまくいっていないサインです。

医療機関(頭痛外来・脳神経内科・脳神経外科など)を受診すると、偏頭痛に特化した処方薬を使った治療や、発作の回数そのものを減らす予防的な処方を受けることができます。近年は新しいタイプの予防薬も登場しており、治療の選択肢は広がっています。

受診の際には、頭痛が起きた日時・持続時間・痛みの強さ・服用したお薬の種類と回数を記録した「頭痛ダイアリー」を持参すると、医師が症状を把握しやすくなり、より適切な治療につながります。

偏頭痛について薬局ができるサポート

偏頭痛は日常生活に大きな影響を及ぼすにもかかわらず、「たかが頭痛」と我慢してしまう方が少なくありません。実は、薬局は医療機関を受診する前の段階から、さまざまなサポートを提供できる身近な存在です。ここでは、薬局で受けられる具体的なサポートをご紹介します。

症状の整理

自分の偏頭痛がどのような状態なのか、客観的に把握するのは意外と難しいものです。薬局の薬剤師に相談することで、次のような情報を一緒に整理してもらえます。

 痛みが起こりやすい時間帯はいつか。朝に多いのか、夕方に多いのか。
 どれくらいの頻度で発作が起きているか。週に1回なのか、月に数回なのか。
 予兆の有無はどうか。
 どのような生活状況のときに起きやすいか。

こうした情報を言葉にして整理するだけでも、自分の偏頭痛のパターンが見えてくることがあります。また、受診を決めた際にも、薬剤師と整理した内容をそのまま医師に伝えることができるため、診察がスムーズになります。

お薬の使い方指導

現在使用している市販薬や処方薬について、薬剤師から専門的なアドバイスを受けることができます。

たとえば、今飲んでいるお薬の成分が偏頭痛に適しているかどうか、服用するタイミングは適切か(痛みのピーク時ではなく予兆の段階で飲んだほうがよいなど)、ほかに服用しているお薬やサプリメントとの飲み合わせに問題がないかなど、自分では判断しにくい点を確認してもらえます。

「なんとなく薬局で鎮痛薬を買って飲んでいる」という方は、一度薬剤師に使い方を相談してみると、同じお薬でもより効果的な使い方が見つかるかもしれません。

受診につなぐ判断

「この頭痛は病院に行くべきなのか、それとも様子を見てよいのか」という判断に迷うことは多いものです。薬剤師は、症状の内容やお薬の使用状況を聞き取ったうえで、医療機関の受診が必要と考えられるケースと、しばらくセルフケアで様子を見てよいケースの判断をサポートしてくれます。

もちろん薬剤師が診断をおこなうわけではありませんが、「こういう症状があるなら早めに受診されたほうがよいですよ」「頭痛外来のある医療機関を探してみてください」といった助言を受けることで、適切なタイミングで医療機関を受診することができます。

オンライン支援

偏頭痛の発作が起きているときは、外出すること自体が大きな負担になります。光や音の刺激がつらい状態で薬局まで足を運ぶのは難しいという方も多いでしょう。

そのような場合に活用したいのが、オンライン服薬指導です。自宅にいながらビデオ通話などを通じて薬剤師からお薬の指導を受けることができます。薬局によってはお薬を配送してもらうことも可能です。

例えば、LINEのつながる薬局のサービスには、オンライン服薬指導の機能があります。つながる薬局を友だち登録し、お好きな薬局をかかりつけ薬局として登録するだけで、LINEでオンライン服薬指導を受けることができます。

また、つながる薬局のサービスには処方箋送信機能があるので、LINEを使って処方箋の情報を薬局に事前に送信すれば、薬局での待ち時間も短縮され、頭痛で体調が優れないときでもスムーズにお薬を受け取ることが可能です。

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まとめ

偏頭痛は、仕組みを知り、自分の予兆パターンを把握し、適切な対処法を実践することで、つき合い方を大きく変えられる頭痛です。「いつもの頭痛」と我慢するのではなく、セルフケアで改善できる部分は積極的に取り組み、それでもつらい場合は薬剤師や医師の力を借りることを選択肢に入れてみてください。

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