執筆者:看護師・監修者:薬剤師
近年、スマートフォンの普及により、子どものゲーム依存(ゲーム行動症)が増加しているといわれています。
「ゲームをやめるように言っても、なかなかやめてくれない」
「最近、夜更かしや食事の乱れも増えてきたけれど、ゲームが原因なの?」
このように悩む親御さんもいるのではないでしょうか。子どもにとってゲームは身近な遊びの一つですが、ゲームを優先するあまり、睡眠や食事、学校生活などに支障が出ている場合は注意が必要です。
この記事では、ゲーム依存が子どもの体や学習、心に与える影響、家庭でできる対策、医療機関への相談目安について解説します。
ゲーム依存が子どもの体に与える影響
ゲームへの依存は、睡眠や視力、身体活動など、体にさまざまな影響を与える可能性があります。
睡眠不足による成長への影響
夜遅くまでゲームを続けると、睡眠時間が短くなったり、就寝時刻が遅くなったりすることも。また、睡眠不足が成長ホルモンの分泌の妨げとなり、、子どもの成長や発達に影響する可能性があります。
視力への影響
画面を30cm未満の距離で長時間見続けると近視が進行しやすく、学童期特有の視機能(目の総合的な働き)の発達にも影響を及ぼすとされています。また、長時間の画面使用では、目の疲れや乾燥などの症状が生じやすくなるのも影響のひとつです。
姿勢や身体活動への影響
ゲーム中に同じ姿勢を長時間続けると、首や肩、腰などへの負担が増加します。また、ゲームの時間が増えることで運動する機会が減ると、身体活動量の低下につながりかねません。
偏食や食事量の低下
ゲームに夢中になると、生活リズムの乱れから食事を後回しにしたり、急いで食べたりすることも。これらが偏食や食事量の低下につながり、栄養バランスの乱れにつながる可能性があります。
ゲーム依存が子どもの学習と認知機能に与える影響
ゲームそのものが認知機能を低下させるとは限りませんが、睡眠不足や学習時間の減少などを通じて、学習や認知機能に影響する可能性があります。
集中しにくくなることがある
必ずしも、ゲームそのものが集中力を低下させるというわけではありません。しかし、睡眠時間が削られたり、勉強や外遊びといった活動に使う時間が減ったりすれば、学習や認知機能に影響する可能性があります。
記憶や学習への影響
睡眠は、学習した内容を記憶として定着させるうえでも重要です。しかし、ゲームを夜遅くまで続けて睡眠不足になれば、翌日の眠気や集中力低下につながり、結果として学習に影響することがあります。
達成感の偏り
ゲームでは、クリアやレベルアップなどによって達成感を得られる仕組みがあります。一方で、ゲーム以外の活動に取り組む時間が極端に少なくなると、勉強やスポーツなどの時間をかけて成果を得る活動に取り組みにくくなる可能性も懸念されています。
ゲーム依存が子どもの心の発達に与える影響
ゲームへの依存が続くと、生活リズムや学校生活だけでなく、気分や感情、人との関わりにも影響がみられることがあります。
自己肯定感のゆらぎ
ゲーム内での成績や評価が自分自身の価値と捉えると、負けたときや思い通りの結果にならなかったときなどに、自己肯定感(ありのままの自分を肯定する感覚)がゆらぐようになることも。また、そのゆらぎによって、強い落ち込みを感じる場合があります。
感情コントロールが難しくなることがある
ゲームを中断させようとすると強く怒る、負けると激しく取り乱すなど、感情のコントロールが難しくなることがあります。また、ゲームをしていないと不安になったり落ち着かなくなったりと、離脱症状(禁断症状)が生じることも少なくありません。
対人関係に影響することがある
ゲームに費やす時間が増えて、家族や友人と過ごす時間が減ると、対面で人と関わる機会も少なくなります。こうした機会の減少は、コミュニケーションや協調性を育む経験にも影響するでしょう。
家庭でできる予防と対策
ゲームを完全に禁止するのではなく、睡眠や食事、学習、運動などとのバランスを保てるよう、家庭でルールを整えることが大切です。
使用時間をルール化し、見える化する
「ゲームは1日◯時間」「宿題や食事が終わってから」など、家庭で具体的なルールを決めてみましょう。また、子どもと一緒にルールを考え、タイマーや端末の利用時間設定などの機能もおすすめです。
就寝前はデジタル機器から離れる
就寝前はゲームを終える時間を決め、寝室にはゲーム機やスマートフォンを持ち込まないなど、眠りやすい環境を整えましょう。
親子のコミュニケーションを増やす
一方的に「ゲームをやめなさい」と制限するだけでなく、「どんなところが楽しいの?」「どんなゲームなの?」と子どもの興味に関心を持つことも大切です。こうした関わりのなかで、ゲーム以外にも楽しめる活動を一緒に見つけながら、生活全体のバランスを整えられるとよいでしょう。
子どものゲーム依存、医療機関を受診してもいい?
ゲームの時間が長いだけで、すぐに医療機関を受診しなければならないわけではありません。一方で、ゲームをめぐる問題が長引き、身体や学校生活、心の状態などに変化がみられる場合は、早めに医療機関へ相談することもひとつの選択肢です。
身体発育や体重の変化がみられる場合
食事を抜く、食欲が落ちる、睡眠不足が続くなど、生活習慣の乱れに伴って体重や成長に変化がみられる場合は、小児科などへの相談を検討しましょう。
不登校や引きこもり傾向がある場合
ゲームを理由に学校を休む状態が続く、外出や人との交流を避けるようになったなど、学校生活や社会生活に支障が出ている場合は、早めの相談が大切です。
抑うつや不安がみられる場合
気分の落ち込み、不安、意欲低下などが続いている場合も、ゲームだけを原因と決めつけず、医療機関などに相談しましょう。
薬局ができる支援
ゲーム依存そのものを直接治すお薬はありませんが、ゲームによって生じた体調面の悩みや、普段のお薬の使用については薬局でも相談できます。
市販薬を子どもに使ってよいかの確認
子どもは年齢や体重などによって使用できるお薬や用量が異なります。たとえば、「目の疲れが気になって目薬を使いたい」「疲労感があるため内服薬を使いたい」といったお悩みも、そもそも子どもに使用できるお薬なのか、また市販薬を用いるのが適切なのかについて薬剤師や登録販売者に確認するとよいでしょう。
お薬を嫌がる子どもへの対処法アドバイス
錠剤が飲めない、お薬の味を嫌がるなど、服薬に関する困りごとも薬剤師に相談できます。また、「長時間のゲームで目が疲れているので目薬を使いたい」「生活リズムが乱れて朝起きられないのでビタミン剤を使いたい」など、市販薬を使って症状に対処したい場合も、まずは相談することが大切です。
お子さまの状態にあわせ、必要に応じて医療機関への相談をすすめてもらえるでしょう。
病院へ行くべきタイミングの指導
ゲーム以外にも体調不良がある、症状が長引いているなどの場合には、受診が必要かどうか迷うこともあります。こうしたときにも、薬局では症状や経過を確認したうえで、セルフケアで様子をみてよいのか、医療機関に相談したほうがよいのかについて薬剤師に相談できますよ。
家族のお薬の管理方法のアドバイス
薬局では、子どもだけでなく家族全員のお薬をまとめて管理する方法や、飲み忘れを防ぐ工夫についても、薬剤師に相談できます。
なお、LINE公式アカウント「つながる薬局」のサービスを活用すると、友だち追加後にお好きな薬局をかかりつけ薬局として登録するだけで、薬局の薬剤師にお子さまの体調やお薬についてLINEから気軽に相談できます。また、お薬手帳機能を使えば、家族分の服薬情報もまとめてスマホで管理できるため、ご家族の服薬管理にも役立つでしょう。
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執筆者:隈﨑 愛樹
資格:看護師
経歴:聖マリアンナ医科大学看護専門学校卒業後、救命センターや集中治療室から在宅といった幅広い現場で約10年勤務。現在は医療ライターをメインにフリーランスとして活動しています。
看護師として救命センターや集中治療室、在宅医療などで約10年間勤務。臨床経験を活かし、2023年より医療ライターとして活動しています。医療・ヘルスケア分野を中心に記事執筆やコンテンツ制作を行い、医療現場の視点から正確で分かりやすく、読者の疑問や不安に配慮した情報発信を心がけています。プライベートでは5歳と1歳の母。料理や薬膳茶づくりが趣味です。



