副鼻腔炎とちくのう症の違い。症状の見分け方・治療方法・市販薬の付き合い方は?

健康・予防

執筆者・監修者:薬剤師

鼻づまり・鼻水・顔の重さが続く疾患に、副鼻腔炎やちくのう症があります。しかし、どんな症状がどちらにあてはまるのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。

「鼻水が黄色く出るのは副鼻腔炎?それともちくのう症?」
「市販薬で治せるの?それとも病院に行くべき?」
といった疑問を抱える方も少なくありません。

副鼻腔炎とちくのう症は、症状の出方や治療方法などに違いがあります。自己判断で市販薬を使い続けず、薬局に相談したり医療機関を受診したりするほうが安心です。

本記事では、副鼻腔炎とちくのう症の基本的な違いを整理し、症状による見分け方・医療機関での治療方法・効果的な市販薬・薬局で受けられるサポートについてご紹介します。

副鼻腔炎とちくのう症の基本的な違い

副鼻腔炎とちくのう症は、混同されがちですが、実は症状の経過や状態に違いがあります。まずは、それぞれがどのような状態を指すのかを理解することが、適切な対処の第一歩です。ここでは、それぞれの特徴をわかりやすく解説します。

副鼻腔炎

副鼻腔炎とは、鼻の周囲にある空洞「副鼻腔」に炎症が起こった状態の総称です。副鼻腔は、頬・額・目の周囲・鼻の奥にある4種類の空洞で構成されており、ここに細菌やウイルスが入り込むことで炎症が生じます。

主な症状は、鼻水・鼻づまり・顔の重さや痛みなどです。多くの場合、風邪やアレルギー性鼻炎をきっかけに発症し、急性副鼻腔炎として比較的短期間で症状が現れます。早めの治療によって改善することが多く、適切に対応すれば慢性化を防ぐことができます。

ちくのう症

ちくのう症は、正式には「慢性副鼻腔炎」と呼ばれ、副鼻腔炎が慢性化した状態を指します。一般的に症状が3か月以上続く場合に、ちくのう症と診断されることが多いです。

炎症が長期間続くことで、副鼻腔内に膿がたまりやすくなり、症状が軽くなったり悪化したりをくり返すのが特徴です。急性のような強い痛みは少ないものの、鼻づまりやにおいを感じにくいといった不快な症状が慢性的に続きます。

日常生活への影響も大きく、放置せず医療機関での治療を受けることが大切です。

症状の違いと見分けるポイント

副鼻腔炎とちくのう症は、症状の出方や強さに違いがあります。自分の状態を正しく把握することで、適切な治療を受ける目安になります。ここでは、それぞれに多くみられる症状の特徴を整理してご紹介します。

急性副鼻腔炎に多い症状

急性副鼻腔炎では、黄色や緑色の粘り気のある鼻水、強い鼻づまり、発熱、頬や額・目の周りの顔の痛みなどが現れます。とくに、頭を前に傾けたときに痛みが強くなることが特徴の一つです。

これらの症状は比較的短期間で強く現れる傾向があり、風邪をひいた後に鼻症状が長引いていると感じたら、急性副鼻腔炎を疑うとよいでしょう。発熱や強い痛みを伴う場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

ちくのう症に多い症状

ちくのう症では、慢性的な鼻づまり、後鼻漏(こうびろう:鼻水がのどに流れ落ちる症状)、においを感じにくくなる嗅覚障害などが目立ちます。鼻水は粘り気が強く、黄色や緑色を帯びることもあります。

急性期のような強い痛みや発熱は少ないものの、不快感が長期間続き、集中力の低下や睡眠の質の悪化につながることもあります。「なんとなく鼻の調子が悪い状態が何か月も続いている」という場合は、ちくのう症の可能性を考えて医療機関を受診しましょう。

医療機関での治療法

副鼻腔炎とちくのう症では、症状の状態や経過に応じた治療が行われます。急性か慢性かによって治療方針が異なるため、医療機関で正しく診断を受けることが重要です。ここでは、それぞれの代表的な治療法を紹介します。

副鼻腔炎の治療

急性副鼻腔炎の治療は、症状や原因に応じて複数の方法を組み合わせて行われます。

薬物療法では、細菌感染が疑われる場合に抗生物質が処方され、炎症や痛みを抑える消炎鎮痛薬も使用されます。点鼻・吸入治療では、ステロイド点鼻薬や血管収縮性点鼻薬(短期間のみ)を用いて、鼻の腫れや炎症を軽減します。

また、鼻処置として鼻腔や副鼻腔内の洗浄、分泌物の除去が行われることもあります。これに加え、安静・水分補給・加湿といった生活管理も、回復を後押しする保存的治療(手術をせずにお薬や日常のケアで治す方法)として大切です。

ちくのう症の治療

ちくのう症の治療は、長期的な視点で炎症をコントロールしていくことが基本となります。

薬物療法としては、少量のマクロライド系抗菌薬を長期間服用する「長期少量マクロライド療法」が広く行われており、ステロイド点鼻薬も併用されます。鼻処置では、定期的な鼻洗浄や副鼻腔の排膿処置を継続して行います。

アレルギー性鼻炎を合併している場合は、抗アレルギー薬を併用することで症状の改善が期待できます。薬物療法でも改善しない場合や、鼻茸(鼻ポリープ)がある場合には、内視鏡下副鼻腔手術が検討されます。

副鼻腔炎やちくのう症に使える市販薬

軽い症状であれば、市販薬で一時的に症状を緩和することも可能です。ただし、市販薬はあくまで対症療法であり、根本的な治療にはなりません。ここでは、副鼻腔炎やちくのう症の症状緩和に役立つ市販薬の成分と代表的な商品をご紹介します。

抗ヒスタミン成分(アレルギー抑制)

抗ヒスタミン成分は、鼻水・くしゃみ・鼻づまりを抑える目的で使われます。アレルギーが背景にある場合や、鼻水が多くて困っているときに効果が期待できます。

代表的な市販薬としては、「ロートアルガード鼻炎内服薬ゴールドZ」「パブロン鼻炎カプセルSα」「新コンタック600プラスs」などが挙げられます。

ただし、副鼻腔炎そのものを治すというより「症状緩和」が中心であり、眠気が出る成分が含まれることがあるため、運転前や仕事中の使用には注意が必要です。

鼻粘膜の血管を収縮させる成分(点鼻)

鼻粘膜の血管を収縮させる成分を含む点鼻薬は、鼻の腫れを一時的に引かせ、空気の通りをよくする即効性が魅力です。代表的な商品には「ナザールスプレー」「コールタイジン点鼻液a」などがあります。

ただし、連用すると逆に鼻づまりが悪化する「薬剤性鼻炎」を引き起こすことがあるため、使用は1週間程度を目安にとどめましょう。長期間症状が続く場合は、自己判断で使い続けず、医療機関を受診することが大切です。

鎮痛・解熱成分

副鼻腔炎に伴う頭痛や顔面痛、発熱の対症療法として、鎮痛・解熱成分を含む市販薬を使用することができます。代表的な商品には「ロキソニンS」「イブA錠」「バファリンプレミアム」などがあります。

これらは痛みや熱を抑える効果がありますが、炎症の原因そのものを治すことはできません。症状が長引く場合や強い痛み・高熱がある場合は、市販薬に頼りすぎず、早めに医療機関を受診しましょう。

薬局で受けられるサポート

市販薬の選択に迷ったときや、症状が改善しないときには、薬局の薬剤師に相談するのが安心です。薬剤師は、症状や体質に合わせたお薬の選び方や、受診のタイミングなどを的確にアドバイスしてくれます。ここでは、薬局で受けられる具体的なサポートをご紹介します。

症状に合わせたお薬の選択

市販薬には多くの種類があり、どれを選べばよいか迷うことも多いものです。薬剤師に相談すれば、鼻水が中心なのか、鼻づまりがひどいのか、痛みや発熱があるのかなど、症状の特徴に合わせて最適なお薬を提案してもらえます。

また、現在服用中のお薬や持病、アレルギーの有無なども考慮したうえで、安全に使えるお薬を選んでもらえる点も大きなメリットです。自己判断で選ぶよりも、効果的かつ安心してお薬を使うことができます。

市販薬と受診の切り替え判断

市販薬で様子をみてよいケースと、すぐに医療機関を受診すべきケースの判断は、自分では難しいことがあります。薬剤師は症状の経過や程度をヒアリングしたうえで、「もう少し市販薬で様子をみても大丈夫か」「すぐに耳鼻咽喉科を受診したほうがよいか」を客観的にアドバイスしてくれます。

とくに、症状が1週間以上続く場合や、発熱・強い痛み・嗅覚障害がある場合は、受診を勧められることが多いでしょう

服薬指導

市販薬や処方されたお薬を正しく使うためには、用法・用量を守ることが基本です。薬剤師による服薬指導を受けることで、お薬の効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを減らすことができます。

たとえば、点鼻薬の連用による副作用、抗ヒスタミン薬の眠気、鎮痛薬の胃への負担などについても、丁寧に説明を受けられます。気になる点や不安なことがあれば、遠慮なく相談しましょう。

薬剤師に相談する際、LINE公式アカウント「つながる薬局」のサービスを使ってお好きな薬局をかかりつけ薬局として登録すれば、わざわざ薬局に行かなくてもLINEから薬局の薬剤師に気軽に健康・お薬相談ができます。

「副鼻腔炎の症状に合う市販薬を知りたい」「鼻炎薬を長く使っているけど大丈夫?」「持病があるけど点鼻薬を使えるか不安」といった疑問も、自宅にいながら相談できるので、忙しい方にも便利です。

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また、ビデオ通話でのオンライン服薬指導にも対応しており、薬局によってはオンライン決済やお薬の配送にも対応しているため、オンライン服薬指導からお薬の受け取りまですべてLINEで完結できます。

サービスに対応している薬局はつながる薬局検索サイトからお探しいただけます。鼻の不調が続くときの心強い相談相手として、ぜひご活用ください。

下田 篤男

執筆者:下田 篤男

資格:薬剤師

経歴:京都大学薬学部総合薬学科卒業。 卒業後は薬剤師として調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務。 総合病院門前などで管理薬剤師として経験を積んだのち、マネジメント業務にも携わる。現在は医療機関で薬剤師として働く傍ら、医療記事の執筆、編集や薬局経営コンサルタントなどをおこなっている。

薬剤師としての現場経験をベースに、医療記事の執筆・編集や薬局経営コンサルタントなど多方面で活動しています。執筆では「難しい医療情報を、日常の言葉でわかりやすく届ける」ことを信条にしています。薬局の窓口で患者さまからいただく素朴な疑問が、記事づくりの大きなヒントになっています。

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