執筆者・監修者:薬剤師
「最近、耳の奥でキーンという音が続いている気がする」
「片耳だけ聞こえにくいけれど、疲れのせいかな?」
このような耳の違和感を、忙しさや疲労のせいだと見過ごしていませんか。耳鳴りは、突発性難聴など早期治療が重要な疾患のサインとなっていることもあります。とくに片耳だけに症状が出る場合や、めまいを伴う場合は注意が必要です。
本記事では、耳鳴りの主な原因・突発性難聴の前兆・ストレスとの関係をはじめ、すぐに受診すべきサインについて解説します。また、受診の目安や薬局で受けられるサポートもご紹介します。
耳鳴りが続くときに考えられる原因
耳鳴りは一時的なものから、重大な疾患のサインまでさまざまな原因で起こります。「耳鳴りが続く原因」として代表的なものを4つご紹介します。心当たりがないか確認してみてください。
一時的な疲労や睡眠不足
身体や脳が疲れていると、聴覚を司る神経の働きが不安定になり、耳鳴りを感じやすくなります。とくに長時間のデスクワークや徹夜明けなど、心身の疲れが溜まっているときに「キーン」「ジーン」といった音が聞こえることがあります。
十分な休息をとることで自然に治まる場合も多く、軽度であれば過度に心配する必要はありません。
自律神経の乱れ
耳鳴りとストレスの関係は深く、強いストレスや緊張状態が続くと自律神経のバランスが崩れ、内耳の血流や神経の働きに影響が及びます。その結果、耳鳴りやめまい、耳が詰まったような感覚(耳閉感)が現れることがあります。
生活リズムの乱れや慢性的なストレスを抱えている方は、耳鳴りが慢性化しやすい傾向にあります。
加齢や騒音による内耳へのダメージ
加齢に伴い内耳の有毛細胞(音を感じ取る細胞)が減少すると、聴力が低下し耳鳴りが起こりやすくなります。また、大音量での音楽鑑賞やイヤホンの長時間使用、工事現場などの騒音環境も、内耳にダメージを与える原因となります。
一度壊れた有毛細胞は再生しないため、日頃から耳を守る意識が大切です。
突発性難聴などの急性疾患のサイン
耳鳴りが急に始まった、片耳だけ聞こえにくい、めまいを伴うといった場合は、突発性難聴やメニエール病など急性疾患の可能性があります。これらは早期治療が回復のカギを握るため、放置は禁物です。
「ただの耳鳴り」と判断せず、症状の現れ方をよく観察することが重要です。
突発性難聴とは
突発性難聴は、ある日突然耳が聞こえにくくなる疾患で、耳鳴りを伴うことが多いのが特徴です。ここでは突発性難聴の基本的な情報、早期治療の重要性、原因について解説します。
突発性難聴の基本
突発性難聴は、ある日突然片耳が聞こえにくくなる疾患です。多くの場合、数時間から1日以内に急激な難聴が起こり、「耳が詰まった感じ」「片耳だけ音がこもる」といった症状が現れます。さらに、耳鳴りやめまい、吐き気を伴うことも多く、突発性難聴と耳鳴りの関係は非常に密接です。
前兆として軽い耳鳴りや耳閉感を感じる方もいますが、明確な前触れがなく発症するケースも珍しくありません。
突発性難聴は早期治療が重要
突発性難聴は、発症からできるだけ早く治療を開始することが聴力回復の可能性を高めるといわれています。一般的に発症から48時間以内、遅くとも1週間以内の治療開始が望ましいとされ、治療が遅れると聴力が戻りにくくなる可能性があります。
「少し様子を見よう」と判断せず、急に耳が聞こえにくくなったと感じたら、その日のうちに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
突発性難聴の原因
突発性難聴の明確な原因は特定されていませんが、内耳の血流障害やウイルス感染などが一因と考えられています。
また、強いストレスや過労、睡眠不足が発症のきっかけになるケースも多く報告されています。働き盛りの30〜60代に多く見られ、生活習慣や精神的負担と無関係ではない疾患といえるでしょう。
耳鳴りや耳の症状ですぐに受診すべきサイン
耳鳴りや聞こえにくさは、放置すると回復が難しくなる疾患のサインである可能性があります。次のような症状がある場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。
耳の聞こえに左右差を感じる
片耳だけ音がこもる、相手の声が聞き取りにくいなど、左右で聞こえ方に差を感じる場合は注意が必要です。聞こえに差がある状態は、片側の内耳や聴神経に何らかの異常が起きている可能性を示しています。
電話を耳に当てたときに「いつもと違う」と感じたら、放置せず受診しましょう。
片耳が急に聞こえにくくなった
耳が急に聞こえにくくなった場合、突発性難聴の典型的な症状である可能性があります。朝起きたら片耳が聞こえなくなっていた、会話中に突然音がこもったなど、明確なきっかけがなく聞こえが悪化した場合は、48時間以内の受診を目指しましょう。早期治療が聴力回復に直結します。
耳鳴りと同時にめまいや吐き気がある
耳鳴りに加えて、ぐるぐると周囲が回るようなめまいや吐き気を伴う場合は、突発性難聴やメニエール病、前庭神経炎などが疑われます。
これらは内耳の異常が関係する疾患で、早期に適切な治療を受ける必要があります。歩行が困難なほどの強いめまいがある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
数日たっても改善しない
耳鳴りや聞こえにくさが数日たっても改善しない、あるいは悪化している場合は、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。「そのうち治るだろう」と先延ばしにすると、治療のタイミングを逃してしまうことがあります。
とくに突発性難聴は、発症から時間が経つほど回復率が下がるため、早めの判断が重要です。
完全に聞こえなくなった場合は一刻も早く受診を
片耳がまったく聞こえなくなった場合は、一刻を争う状態です。可能であれば当日中に耳鼻咽喉科を受診してください。
週末や夜間であっても、救急外来や休日診療を活用しましょう。突発性難聴は、できるだけ早く専門医の診察を受けることが大切です。
薬局で受けられるサポート
耳鳴りや耳の不調を感じたとき、いきなり病院に行くのはハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。そんなときは、身近な薬局を相談窓口として活用してみてはいかがでしょうか。ここでは、耳が聞こえにくい症状について、薬局で受けられるサポートの一例をご紹介します。
耳に違和感がある方への一般用医薬品の提案
ちょっとした耳鳴りや、疲労・ストレスが原因と思われる不調に対しては、ビタミン剤や血流を改善するタイプの一般用医薬品、漢方薬などが選択肢になることもあるでしょう。
薬局では薬剤師が症状をうかがい、体質や生活習慣に合わせて適切なお薬選びをサポートしてくれます。
耳鳴りがする際の受診判断サポート
「この耳鳴りは病院に行くべき?」と迷ったときも、薬局で相談することができます。症状の経過や、聞こえ方の左右差、めまいの有無などを薬剤師がヒアリングし、すぐに耳鼻咽喉科を受診すべき状態か、しばらく様子を見てもよい状態かをアドバイスしてもらえます。
受診のタイミングに迷ったときの最初の相談先として、ぜひ薬局を活用してください。
ストレスケアや生活改善のアドバイス
耳鳴りとストレスの関係は深く、自律神経のバランスを整えることが症状の緩和につながる場合があります。薬局では、睡眠の質を高める工夫、カフェインやアルコールの摂りすぎへの注意、リラックス法など、日常生活で取り入れやすいセルフケアのアドバイスをもらうこともできます。
お薬以外のアプローチについても気軽に相談してみるとよいでしょう。
耳鳴りや耳の調子が悪いなど、つらいときほど外出が億劫に感じられるものです。そんなときに頼れるのが、LINE公式アカウント「つながる薬局」のサービスです。
「つながる薬局」のサービスには、処方箋送信機能があります。耳鼻咽喉科でお薬が処方された場合、このサービスを使って薬局に行く前に処方箋の情報を送信すれば、薬局での待ち時間がぐっと短くなります。
めまいや体調不良で長く待つのがつらいときに、とても便利な仕組みです。
「つながる薬局」というサービスは、薬局への処方箋送信のほか、LINEから気軽に薬局の薬剤師に健康・お薬相談ができたり、電子お薬手帳の機能を使えたりと、日常的なサポートをLINEひとつで手軽に利用できます。
「この耳鳴りは受診すべき?」「市販薬を飲んでも大丈夫?」といった、ちょっとした疑問の相談窓口としてもご活用いただけます。
また、「つながる薬局」のサービスからオンライン服薬指導を受けることもできます。オンライン服薬指導は、スマートフォンやパソコンを使い、ビデオ通話で薬剤師からお薬の説明などを受けられるサービスです。
自宅にいながら、対面と同様にお薬の飲み方・注意点・飲み合わせなどの説明を受けることができます。めまいや体調不良で外出が難しいときや、忙しくて薬局での待ち時間を減らしたい場合に特に便利です。
「つながる薬局」のサービスが使える薬局を探したい方は、つながる薬局検索サイトからご確認いただけます。耳の違和感や健康の不安を抱えたときの最初の一歩として、ぜひ活用してみてください。
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執筆者:下田 篤男
資格:薬剤師
経歴:京都大学薬学部総合薬学科卒業。 卒業後は薬剤師として調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務。 総合病院門前などで管理薬剤師として経験を積んだのち、マネジメント業務にも携わる。現在は医療機関で薬剤師として働く傍ら、医療記事の執筆、編集や薬局経営コンサルタントなどをおこなっている。
薬剤師としての現場経験をベースに、医療記事の執筆・編集や薬局経営コンサルタントなど多方面で活動しています。執筆では「難しい医療情報を、日常の言葉でわかりやすく届ける」ことを信条にしています。薬局の窓口で患者さまからいただく素朴な疑問が、記事づくりの大きなヒントになっています。



