執筆者・監修者:薬剤師
「とびひってどんな病気?」
「とびひに使える市販薬はある?」
「とびひの受診目安は?」
子どもの皮膚に水ぶくれやただれを見つけると、家庭で様子を見てよいのか、早めに受診すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。とびひは夏場に広がりやすい皮膚の細菌感染症で、初期対応や家庭内での感染対策が重要です。
本記事では、とびひの原因や症状の特徴、市販薬を使う際の注意点、受診目安、登園やプールの考え方、家庭でできる予防策まで解説します。
最後まで読めば、とびひへの正しい対応を理解でき、子どもの症状に落ち着いて向き合えるようになるでしょう。
とびひとは?夏に流行する2つの種類の原因と特徴
とびひとは、皮膚に起こる細菌感染症のひとつで、夏場に子どもを中心にうつることがあります。大人にも広がる場合があり、種類によって皮膚の変化や経過が異なるため、初期段階で違いを把握しておくことが大切です。
本章では、とびひの代表的な種類について解説します。
水ぶくれができる水疱性膿痂疹
水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)は、とびひの中でも夏場の乳幼児や小児に多く、主に黄色ブドウ球菌が皮膚の小さな傷から入ることで起こります。虫刺されやあせもを掻きこわした部分から始まり、短い期間で周囲へ広がる場合があります。
水疱性膿痂疹の主な症状の特徴は、以下のとおりです。
● かゆみを伴う水ぶくれができる
● 水ぶくれが破れてただれた状態になる
● 膿や患部から出る液がついた手で触ると別の部位へ広がる
水ぶくれの中身が周囲の皮膚につくと、火が移るように症状が広がるため、とびひと呼ばれています。患部を触らない、爪を短く切る、皮膚を清潔に保つなどの対応を行い、広がりが早い場合は早めに医療機関へ相談しましょう。
かさぶたができる痂皮性膿痂疹
痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)は、季節を問わず発症しやすいとびひで、主な原因はA群β溶血性レンサ球菌です。小児より大人に多い傾向もあり、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している部位に起こる場合があります。
痂皮性膿痂疹の主な症状の特徴は、以下のとおりです。
● 小さな膿の溜まった水ぶくれが破れて、厚いかさぶたになる
● 患部に赤みや腫れ、痛みが出る
● 発熱、のどの痛み、リンパ節の腫れを伴う場合がある
水ぶくれが目立つタイプより炎症が強く出ることがあり、体調不良を伴う場合は市販薬だけで様子を見る判断は避けたほうが安全です。かさぶたが広がる、熱が出る、痛みが強い場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
とびひの初期症状に使える市販薬の種類と注意点
とびひの初期で範囲が狭い場合は、化膿性皮膚疾患に使える抗菌成分入りの塗り薬が選択肢になります。市販薬には抗生物質のみのタイプと、炎症を抑えるステロイド配合タイプがあります。
抗生物質を選ぶ際は、患部の状態に合わせた判断が必要です。
● 抗菌薬のみ:化膿やじゅくじゅくが中心の場合(例:ドルマイシン軟膏など)
● ステロイド配合:赤みやかゆみ、炎症が強い場合(例:ベトネベートN軟膏ASなど)
手持ちの湿疹用の塗り薬や強いステロイドを自己判断で塗ると、感染が広がるおそれがあります。使用する前に薬剤師等に相談 すると良いでしょう。また、5日前後使っても改善しない場合や悪化する場合は、皮膚科を受診してください。
とびひで受診する目安とタイミング
とびひは短期間で周囲へ広がりやすいため、水ぶくれやただれを見つけた段階で早めに受診する判断が重要です。とびひの治し方を自己判断すると、感染範囲が広がったり、家族や保育園・学校でうつしたりするおそれがあります。
とびひで受診を急ぎたい症状は、以下のとおりです。
● 水ぶくれやただれが広がっている
● 発熱、だるさ、強い痛みがある
● 皮膚が赤く腫れ、やけどのようにむける
まれにブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群へ進むと、広範囲の水ぶくれや皮膚の剥離、発熱、悪寒などを伴います。異変がある場合は市販薬で様子を見ず、皮膚科や小児科へ相談しましょう。
とびひが完治するまでの治療期間
とびひが完治するまでの期間は、症状の範囲や治療開始の早さによって変わります。軽い段階で適切な治療を受けた場合は4〜5日ほどで改善しますが、広がってから治療を始めると1週間以上かかる場合もあります。
治療中は、以下の治りを遅らせる行動を避けることが大切です。
● 患部を掻いて水ぶくれやかさぶたを破る
● 処方されたお薬を自己判断で中止する
● 患部を覆わず、皮膚同士の接触を増やす
適切に治療しても改善が見られない場合は、原因菌にお薬が合っていない可能性もあります。見た目が落ち着いても細菌感染が残る場合もあるため、医師の指示に沿って治療を続けましょう。
とびひの登園基準とプールに関するルール
とびひは、症状の程度や患部の状態によって、園や学校での過ごし方に配慮が必要です。周囲への感染を防ぎながら子どもの生活を守るには、家庭だけで判断せず、施設側の方針も確認することが大切です。
本章では、とびひにかかった場合の登園やプールに関する考え方を解説します。
出席停止の基準
とびひは保育園や学校でうつる可能性がありますが、一般的には一律の出席停止は求められていません。医師の診察を受けて適切に治療し、患部をガーゼや包帯で覆って露出していなければ、基本的には登園・登校が可能とされています。
ただし、水ぶくれやただれが多い場合や広範囲に広がっている場合は、休ませたほうがよいとされています。水ぶくれやじゅくじゅくした部分が覆いきれない状態では、接触によって周囲へ広がるおそれがあるためです。
保育園によって登園許可証の提示や独自の基準が設けられている場合もあるため、登園前に保育園の方針も確認して判断しましょう。
プール遊びが禁止される理由
プールの水自体でとびひがうつるわけではありませんが、治るまではプール遊びを控える必要があります。
水中では肌同士が触れやすく、患部から出る液が別の子どもの皮膚につくおそれがあるためです。ビート板やタオルなどを共用すると、接触感染のリスクも高まるため注意が必要です。また、泳いでいる最中に水ぶくれやただれをこすると、患部が広がったり悪化したりする場合があります。
プールに入れる目安は、患部が乾いて水ぶくれやただれがなくなった状態です。再開時期は自己判断せず、医師や園・学校の方針を確認して決めましょう。
家庭内でとびひの二次感染を防ぐホームケア
とびひは患部に触れた手や日用品を介して、家庭内でも広がる場合があります。兄弟がいる家庭では、治療とあわせて生活場面ごとの感染対策を続けることが大切です。
本章では、家庭で実践しやすい二次感染予防の方法について解説します。
兄弟への感染を防ぐお風呂の入り方
とびひがある子どものお風呂は、湯船に浸からずシャワーで済ませるのが基本です。患部から出る液が兄弟の皮膚や浴槽内の物品に付くと、家庭内でとびひがうつる原因になります。タオルやバスタオルは必ず分け、使用後は洗濯して清潔な状態を保ちましょう。
また、兄弟と同じ時間に入浴せず、とびひがある子どもを最後に入れると接触の機会を減らせます。洗う際は石けんをよく泡立て、患部をこすらずやさしく洗い流すことが大切です。
入浴後はタオルでこすらず、水分を押さえるように拭き取り、お薬を塗ったうえでガーゼなどで覆いましょう。
患部を清潔に保つ洗い方とガーゼでの保護
患部を清潔に保つには、発熱などの全身症状がなければシャワーで洗い流すことが大切です。日本皮膚科学会でも、症状が出ている部分は石けんを泡立てて、そっと洗ってよいとされています。
洗う際は爪を立てず、泡で包むように汚れや患部から出る液を落とすと、皮膚への刺激を抑えやすくなります。入浴後は清潔なタオルで押さえるように水分を拭き取り、医師や薬剤師の指示に沿ってお薬を塗りましょう。
患部から出る液が周囲につかないよう、お薬を塗った後はガーゼなどで覆って保護することが重要です。
とびひの再発を防ぐ日常的な予防策
とびひの再発を防ぐには、細菌が入り込む傷を作らず、皮膚を清潔に保つ習慣が大切です。あせもや虫刺されを掻きこわすと発症のきっかけになるため、かゆみ対策も早めに行いましょう。
日常的に意識したい予防策は、以下のとおりです。
● 爪を短く切り、掻いたときの皮膚への傷を減らす
● 汗をかいた日はシャワーで洗い流し、清潔を保つ
● 虫刺されやあせもを放置せず、早めにケアする
● タオルや衣類を共用せず、肌に触れる物を清潔にする
小さな傷や湿疹を放置しないことが、とびひを繰り返さないための基本です。かゆみが強い、湿疹が長引く、何度も再発する場合は皮膚科へ相談しましょう。
とびひのお薬を受け取る際の待ち時間を短縮する「つながる薬局」
小児科や皮膚科の受診後は、機嫌の悪い子どもを連れて薬局で待つ負担が大きくなりがちです。LINE公式アカウント「つながる薬局」のサービスなら、LINEから処方箋画像を送信でき、お薬の準備完了通知も受け取れるため、待ち時間短縮におすすめです。
LINEで「つながる薬局」を友だち追加して、処方箋を事前に送っておけば、薬局内での待ち時間を減らせます。お好きな薬局をかかりつけ薬局として登録してお薬手帳の機能を使用すると、子どものお薬の履歴をLINEで管理でき、家族のお薬情報もまとめて確認可能です。
とびひのお薬を受け取る際は、受診後すぐに処方箋の画像を送信し、準備状況を確認してから来局すると負担軽減につながります。
まとめ
とびひは、皮膚の小さな傷から細菌が入り、夏場を中心に広がりやすい感染症です。
水ぶくれやかさぶたなど症状の出方は種類によって異なり、広がりが早い場合や発熱を伴う場合は早めの受診が必要になります。初期で範囲が狭い場合は市販薬も選択肢になりますが、自己判断で手持ちの塗り薬を使うと悪化するおそれがあるため避けましょう。
本記事を参考に、とびひの特徴や受診目安、家庭での感染対策を押さえ、子どもの皮膚トラブルへ落ち着いて対応しましょう。

執筆者:佐藤 恒一
資格:薬剤師
経歴:総合病院門前薬局、精神科クリニック門前薬局にて勤務。
調剤業務・服薬指導を経験後、薬局チェーン本部のDI(医薬情報)部門に所属し、医薬品情報提供や安全性対応に従事。
医療や健康に関する情報は専門家には当たり前でも、一般の方には難しい場面が多いと感じています。執筆では専門用語をできるだけかみ砕き、読者が理解しやすい内容にすることを心掛けています。最新の医薬品情報や薬物療法の動向にも関心があり、日々情報収集を続けています。




