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薬局スタッフ必見!カスタマーハラスメントから身を守るテクニック

近年、薬局現場では理不尽な要求や暴言など、カスタマーハラスメントの被害が増加しています。
そのような中、以下のようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。

「薬局でのカスタマーハラスメントにはどのような事例がある?」
「カスタマーハラスメントから身を守るにはどうすればよい?」
「カスタマーハラスメントを防止する方法は?」

薬局特有のカスタマーハラスメントは存在しますが、適切に対応すればリスクの軽減は可能です。
記事では、薬局特有のハラスメント事例とその対処法、スタッフを守るための実践的な対応策を解説します。安心して働ける職場環境づくりの一助となる情報をお届けします。

1.薬局で増加するカスタマーハラスメントの現状

薬局を訪れる患者さんとの対応には、時に高いストレスや精神的負担がともなう場面もあります。近年ではその傾向が強まり、現場スタッフの対応力がより一層問われているのが現状です。
ここでは、薬局でカスタマーハラスメントが起こりやすい背景や変化について解説します。

薬局特有のカスタマーハラスメントとは

薬局特有のカスタマーハラスメントは、調剤業務の特性や患者さんとのコミュニケーションの難しさから発生しやすい傾向があります。特に、待ち時間の長さや薬剤師の説明不足が、カスタマーハラスメントが発生する主な原因です。患者さんは体調不良や時間的制約から、些細なことでも不満を抱きやすくなり、これが暴言や過剰な要求といったハラスメント行為に発展することがあります。薬局スタッフは、患者さんの立場を理解しつつも、適切な対応を心がけることが求められます。

コロナ禍以降の顧客トラブルが増加傾向

コロナ禍以降、薬局ではマスク着用や消毒液の不足などが原因で顧客トラブルが増加していました。感染予防に必要な対応であっても、患者さんそれぞれに事情があるため、理解が得られない場面も少なくありません。特にルールに反発する一部の利用者からは、理不尽な要求や暴言が見られるようになりました。薬局スタッフにとって、こうした対応の積み重ねは心身の負担となり、カスタマーハラスメントの深刻化を招く要因となっています。

2.薬局におけるカスタマーハラスメントの具体例

薬局におけるカスタマーハラスメントの具体例は多岐にわたります。
厚生労働省が公表しているカスタマーハラスメント事例集でも、以下のような行為が挙げられています。

  • 身体的暴力・物理的被害
  • 暴言・威圧的言動
  • セクシャルハラスメント
  • ストーカー・プライバシー侵害

これらの行為は、スタッフの精神的・身体的な健康を害し、職場環境を悪化させる要因となります。
特に、最近のカスタマーハラスメントに多いネット上での誹謗中傷は拡散力が高く、個人や薬局の評判に深刻な影響をおよぼす可能性もあるでしょう。薬局スタッフが安心して働ける環境を整えるためには、これらの具体例を把握し、適切な対策を講じることが重要です。

ここからは、特に薬局でも多いカスタマーハラスメントの具体例や対策について紹介します。

待ち時間に関するクレームとその対応

薬局では調剤や確認作業に時間がかかることがあり、「早くしろ」「なんでこんなに待たせるんだ」といった待ち時間に関するクレームが発生しやすくなります。特に混雑時には怒声や威圧的な態度をとられることもあり、スタッフへの精神的負担が大きくなります。
これらの対策としては、以下のような方法が有効です。

  • 待ち時間の目安を掲示する
  • 混雑状況を事前に説明する
  • 個別に声かけをおこなう

スタッフ間で情報を共有し、対応方針を統一しておくこともトラブルの回避につながります。

また、処方箋送信サービスを活用して待ち時間対策を行うことも効果的です。
「つながる薬局」では、LINEを介して来局前に処方箋を送信できるため、薬局ではあらかじめ調剤の準備ができ、スムーズな薬のお渡しが可能になります。

 

SNSや口コミサイトでの誹謗中傷への対処法

SNSや口コミサイトでの誹謗中傷は、薬局スタッフにとって深刻なカスタマーハラスメントの一つです。たとえば、根拠のない悪評や個人攻撃がネット上に広がることで、スタッフの精神的負担が増し、職場環境の悪化を招く恐れがあります。
このような事態に対処するには、以下のような対策が有効です。​

  • 投稿内容の記録と保存:問題となる投稿のスクリーンショットやURLを保存し、証拠として保管
  • サイト運営者への削除依頼:誹謗中傷の内容を含む投稿に対して、該当するSNSや口コミサイトの運営者に削除を要請
  • 法的措置の検討:悪質な場合は、弁護士に相談し、名誉毀損や業務妨害として法的手段を講じることも検討

これらの対応を迅速かつ適切におこなうことで、被害の拡大を防ぎ、スタッフの安心・安全な職場環境を守ることが可能です。

医薬品の調剤や説明に関するトラブル事例

医薬品の調剤や説明に関するトラブルは、薬局で起こりやすいカスタマーハラスメントの一例です。たとえば、用法・用量や副作用の説明を「聞いていない」と強い口調で否定される、ジェネリック医薬品への変更に不満を持ち「勝手に変えるな」と激昂されることがあります。
こうした場面では、以下の工夫により、トラブルの防止につながります。

  • 事前に選択肢の有無を明確に伝える
  • 説明時はパンフレットや文書を活用して証拠を残す
  • 対応を複数人でおこなう

誤解や不信感を減らすためには、丁寧で一貫性のある対応が求められます。

3.薬局でカスタマーハラスメントから身を守る基本テクニック

薬局で働くスタッフが安心して業務に取り組むには、日々の対応力を高めることが欠かせません。トラブル時の立ち回りや判断力が、その後の対応の質を左右します。
ここでは、カスタマーハラスメント発生時の基本となる対処の考え方について解説します。

冷静な対応と感情コントロール

薬局でカスタマーハラスメントに直面した際は、冷静な対応と感情コントロールが不可欠です。感情的な反応は状況を悪化させるおそれがあります。
感情をコントロールし、冷静な対応を摂るためには、以下の工夫が有効です。

  • 深呼吸をして、落ち着いて対応する
  • 共感の言葉を使い、相手の気持ちを受け止める
  • 対応できる範囲を明確にし、無理な約束は避ける
  • 必要があれば一時的に間をおく

冷静さを保つことで、不要な衝突を防ぎやすくなるでしょう。

クレーム対応の基本ステップ

薬局でのクレーム対応では、対応の流れを意識することが重要です。順を追って行動することで、相手の不満を冷静に受け止めやすくなります。
クレーム発生時の基本ステップは、以下のとおりです。

  • 傾聴:話をさえぎらず、最後まで丁寧に聞く
  • 共感:相手の気持ちに寄り添い、理解を示す
  • 謝罪:事実確認前でも不快な思いに対して謝る
  • 説明:状況やお薬の内容などを簡潔に伝える
  • 解決策の提示:可能な対応策を明確に伝える
  • 感謝:話してくれたことへの感謝を言葉にする

このステップを守ることで、トラブルを最小限に抑えることが期待できるでしょう。

エスカレーションのタイミングと適切な報告ライン

カスタマーハラスメントが疑われる場合、早期のエスカレーションが被害拡大を防ぎますエスカレーションすることに迷った場合も、ためらわずに相談する姿勢が大切です。
以下にエスカレーションの判断と報告ラインの具体例を示します。

【エスカレーションのタイミング例】

  • 暴言・威嚇が繰り返される
  • 身体的な接触や威圧行為があった
  • 要求が自身の判断を超えている
  • SNSでの誹謗中傷に発展した

【報告ラインの例】

  • 管理薬剤師
  • 店舗責任者やSV(スーパーバイザー)
  • 法務・人事部門
  • 外部の相談窓口や警察(必要に応じて)

早めの報告がスタッフを守る第一歩となります。

自己防衛のための記録の取り方

薬局でカスタマーハラスメントが発生した際には、事実を正確に記録しておくことが重要です。記録はスタッフの身を守る証拠となり、社内共有や第三者への相談にも役立ちます。
以下の項目を押さえて記録を残すと効果的です。

記録項目 内容のポイント
日時 年月日・時間帯まで明記
患者さんの特徴 性別・年代・服装など、個人が特定されない範囲で記載
状況・発言 問題となる言動や態度を具体的に記録
対応者・対応内容 応対したスタッフ名、どのような対応をおこなったかを記録
第三者の証言 同席していたスタッフや目撃者の名前と証言内容を記録

記録はできるだけ当日中に残し、共有フォーマットなどで保管しておくと安心です。

4.薬局特有のカスタマーハラスメント防止策

薬局特有のカスタマーハラスメント防止策として、調剤業務中の接遇と情報提供の工夫が効果的です。誤解や不満を招かない対応がトラブルの抑止につながるため、以下にポイントをまとめました。

【調剤時の対応ポイント】

  • 説明不足を防ぐため、服薬指導は簡潔かつ丁寧におこなう
  • 患者さんが不安を感じないよう、表情や声のトーンに配慮する

【トラブル防止の工夫】

  • 待ち時間が発生しそうな場合は、目安時間を明確に伝える
  • 在庫切れ時は、代替薬の案内や取り寄せ対応を丁寧に説明する
  • 混雑時は受付時に状況を説明し、他の用事を済ませられるよう提案する

日常業務の中に防止策を組み込むことで、患者さんのストレスや誤解の軽減に寄与します。

5.危険な状況への対処法と緊急時の行動指針

薬局における危険な状況への対処法と緊急時の行動指針は、スタッフの安全を守るために欠かせません暴力的な患者さんに対しては無理に対応せず、状況に応じた判断が必要です。
以下のポイントを参考に、緊急時の対処法や行動指針を薬局内で共有しておきましょう。

【警察通報が必要なケース】

  • 顧客が暴力や器物破損などの行為におよんだ
  • 脅迫的発言や身体的接触があった
  • 退店要求に応じない、威圧的に居座る場合

【緊急時の店舗内連携のポイント】

  • 事前に合図や避難経路をスタッフ間で共有
  • ボタン式通報装置や内線連絡手段を確認
  • 一人で対応せず、すぐに応援を求める

冷静な初期対応と迅速な連携が、被害の拡大を防ぐでしょう。

6.デジタル時代のカスタマーハラスメント対策

デジタル活用が進む薬局では、オンライン服薬指導やLINEなどのやりとりにおける誤解や感情的な反応を防ぐ工夫が求められます。画面越しのコミュニケーションは温度感が伝わりにくく、少しの行き違いがトラブルへ発展することもあります。通信機器の不具合が加わると、ストレスの増加や理不尽な対応を招く恐れもあるでしょう。
そのため、以下の対策を講じておくことが重要です。

  • 開始前に通信環境の確認と連絡手段の予告をおこなう
  • トラブル時の代替手段(電話など)を明示しておく
  • LINE等の返信には目安時間を設定し、即時対応の誤解を防ぐ
  • 記録として残すことを前提に、言葉遣いや表現を慎重に選ぶ

丁寧な準備と情報共有が、デジタル時代のカスタマーハラスメント抑止につながります。

7.まとめ

薬局におけるカスタマーハラスメントは、薬局スタッフの心身に大きな負担を与える深刻な問題です。しかし、カスタマーハラスメントは、冷静な対応や記録の徹底、報告ラインの明確化により被害を最小限に抑えることが可能です。調剤時の説明や待ち時間対応を工夫することもトラブルの予防につながります。オンライン対応の際は、事前説明と記録管理をおこなうことが重要です。当記事を参考に、カスタマーハラスメントが発生しにくい安心して働ける環境づくりに向けた行動を始めてください。

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