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電子カルテ情報共有サービスとは?薬局への影響や利用方法を徹底解説

電子カルテ情報共有サービスの導入・検討が進む中、以下のように感じる方もいるでしょう。

「電子カルテ情報共有サービスってなに?」
「電子カルテ情報共有サービスはもう使える?」
「電子カルテ情報共有サービス展開により薬局は影響を受ける?」

電子カルテ共有情報サービスは、診療情報を医療機関へ安全に共有できる仕組みであり、薬局でも新たな対応が求められています。
当記事では、電子カルテ情報共有サービスの基本から、薬局業務への具体的な影響、利用方法、注意点まで解説します。
最後まで読むことで、薬局が今後の医療連携の中で果たすべき役割や、準備に必要な知識を得られるでしょう。ぜひ最後までお読みください。

 

1.電子カルテ情報共有サービスとは?

医療のデジタル化が進む中、患者情報の一元管理や連携体制の強化が重要視されています。
薬局もその変化の波を受けており、業務の在り方にも影響が出始めている状況です。

ここでは、医療のデジタル化に大きく関与する電子カルテ情報共有サービスの基本情報について解説します。

電子カルテ情報共有サービスの概要

電子カルテ情報共有サービスは、患者さんが受診した診療情報を医療機関・薬局間で電子的に安全に共有できる仕組みです。
※参照:厚生労働省「電子カルテ情報共有サービス」
全国医療情報プラットフォームの一部として、FHIR(国際標準規格)を活用し、病名やアレルギーなどの臨床情報を効率よく連携可能です。これにより、紹介状や健診結果などを紙やFAXに頼らず、即時に提供できます。結果として薬局でも患者さんの最新情報を把握し、適切な調剤や服薬支援がおこなえます。

従来のオンライン資格確認システムとの違い

電子カルテ情報共有サービスは、既存のオンライン資格確認システムでは確認できなかった多様な医療情報の共有を可能にします。
以下に、従来のオンライン資格確認と電子カルテ情報共有サービスで確認できる主な情報の違いを整理しました。

確認可能な情報 オンライン資格確認システム 電子カルテ情報共有サービス
薬剤情報 レセプト由来の情報(最大5年分) 診療情報提供書・退院時記載の内容(最大100日分)
傷病名 閲覧可能(傷病開始日・医療機関・未告知の有無など)
アレルギー情報 食品・環境・薬剤アレルギーなど
感染症情報 梅毒・HBV・HCV・HIVなどの検査結果
検査情報 生活習慣病・救急対応向け43項目
健診結果 特定健診の一部 特定健診+事業者健診+追加項目
処方情報 電子処方箋利用時のみ 診療情報提供書・退院時サマリー記載内容

電子カルテ情報共有サービスは、医療の質向上と情報連携の効率化を推進する新たな基盤として位置づけられています。
これにより、多くの医療情報を即時に把握できるため、薬局や医療機関での判断の正確性と迅速性が高まるでしょう。今後の医療連携に欠かせないインフラとして注目されています。

2.電子カルテ情報共有サービスの展開状況

電子カルテ情報共有サービスは、2025年度中の全国展開を目指し、段階的な展開が進行中です。全国10地域でモデル事業が計画されており、複数の中核医療機関が参画しています。現場での実証を通じて運用体制やデータ連携の有効性を検証しており、本格稼働へ向けた環境整備が急がれています。

以下に、電子カルテ情報共有サービスの展開状況についてまとめました。

項目 状況
モデル事業実施地域 北海道、山形、茨城、千葉、静岡、愛知、三重、奈良、宮崎、石川
全国展開スケジュール 2025年度中に本格稼働予定

※参照:厚生労働省「電子カルテ情報共有サービスについて」

モデル事業の成果は、今後の全国展開における運用指針や課題整理にも直結します。診療情報の標準化や共有プロトコルの実装など、医療現場における対応も進められており、薬局との連携においてもデータ共有が見込まれています。医療の質と安全性を支える基盤整備として、着実な進展が期待されている状況です。

3.電子カルテ情報共有サービスがもたらす薬局への影響

医療情報の共有が進むことで、薬局の業務にも大きな変化が生まれています。患者さん一人ひとりへの対応がより精密になり、安全性と効率性の両立が求められる時代となりました。

ここでは、薬局現場における電子カルテ情報共有サービスがもたらす具体的な影響について開設します。

重複投薬や相互作用リスクの低減

電子カルテ情報共有サービスの導入により、薬局でも医療機関での処方履歴や検査値を把握できるようになります。これにより、同一成分や作用機序の重複投薬確認が可能となり、薬剤相互作用のリスクを事前に察知可能です。
たとえば、腎機能や肝機能に関連する検査値を参考にすることで、用量設定や薬剤選択の安全性が向上します。
電子カルテ情報共有サービスは、薬剤師が患者さんにとって適切な薬物療法を支援するための重要なツールとなり、調剤過誤の防止と薬物治療の質向上が期待されます。

服薬指導の質の向上

電子カルテ情報共有サービスの導入により、薬局では診断名や検査結果を確認したうえで、服薬指導が実施できるようになります。
たとえば、血糖値やHbA1cの結果が把握できれば、糖尿病治療薬の効果や服薬の重要性を患者さんに的確に伝えられます。また、傷病名をもとに治療の背景や目標を説明すれば、患者さんの理解と納得を得やすくなるでしょう。
電子カルテ情報共有サービスは、患者さん個々の状況に応じた対話を可能にし、薬剤師の専門性を活かす場面を広げます。結果として、服薬アドヒアランスの向上にもつながるでしょう。

疑義照会の削減

電子カルテ情報共有サービスの活用により、薬局では処方の背景情報を事前に確認できるようになります。
たとえば、診療情報提供書や退院時サマリーにより、用量調整や併用薬の意図を把握可能です。これにより、意図が不明な処方に対する疑義照会の必要性が減少するでしょう。疑義照会の頻度が下がることで、薬剤師は患者さん対応や服薬支援に時間を割けるようになります。
電子カルテ情報共有サービスは、情報の透明化と業務効率の向上を同時に実現する仕組みとして、薬局実務における負担軽減に寄与します。

在宅医療での連携強化

電子カルテ情報共有サービスは、在宅医療に関わる薬剤師の業務支援にも貢献します。
訪問薬剤管理指導をおこなう際、診療情報提供書や直近の診療記録を参照することで、医師の処方意図や治療経過を的確に把握できます。これにより、処方の整合性や生活環境に応じた提案がしやすくなるでしょう。加えて、医師や訪問看護師との連携もスムーズとなり、チーム医療の質が向上します。
電子カルテ情報共有サービスは、薬局が在宅医療において果たす役割を拡大し、継続的かつ安全な薬物療法の実現を後押しします。

患者との信頼関係の強化

電子カルテ情報共有サービスにより、薬局は患者さんの診療情報や服薬履歴をもとに、的確な服薬支援をおこなえるようになります。疾患名や治療方針を理解したうえで説明することで、患者さんからの信頼が得やすくなるでしょう。
さらに、症状の変化に応じた継続的なフォローが可能となり、かかりつけ薬局・薬剤師としての役割がより明確になります。
電子カルテ情報共有サービスは、患者さん中心の医療提供体制を支える重要な基盤であり、薬剤師と患者さんとの信頼関係を深める手段として大きな意義を持ちます。

4.電子カルテ情報共有サービスの利用方法

電子カルテ情報共有サービスは、薬局ではオンライン資格確認等システムを通じて利用可能です。マイナンバーカードを提示した患者さんから同意を得ることで、薬剤師が診療情報にアクセスできるようになります。

薬局での具体的な利用手順は、以下のとおりです。

  1. オンライン資格確認等システムを導入し、顔認証付きカードリーダーを設置する
  2. 患者さんに対して電子カルテ情報の閲覧に関する同意を取得する
  3. マイナンバーカードを用いて本人確認をおこなう
  4. システムを通じて、診療情報・薬剤情報・特定健診情報などを取得する

これにより、患者さんの病態や治療経過を把握したうえで、より根拠に基づいた服薬支援が可能になるでしょう。

5.電子カルテ情報共有サービスを利用するうえでの注意点

電子カルテ情報共有サービスを薬局で活用するには、いくつかの重要な注意点を理解しておく必要があります。医療情報の扱いには細心の配慮が求められるため、正しい理解と運用が不可欠です。

以下の点を遵守することで、安全かつ適切な利用ができるでしょう。

  • 情報提供には、患者さんから明確な同意を得る必要がある
  • 診療情報は個人情報であり、厳格な管理体制が求められる
  • 表示される情報は記録時点のもので、常に最新とは限らない
  • 利用目的に応じて情報の閲覧範囲を適切に限定する必要がある

電子カルテ情報共有サービスを信頼性高く運用するには、上記の理解と遵守を徹底する必要があります。

6.まとめ

電子カルテ情報共有サービスは、薬局における調剤・服薬支援の質と安全性を高める仕組みです。診療情報や検査結果を把握することで、重複投薬や相互作用のリスクを低減できます。また、服薬指導の的確性が増し、在宅医療や多職種連携にも有効です。薬局ではオンライン資格確認等システムを通じて情報を取得し、患者さんからの同意を得たうえで活用します。当記事をもとに、業務効率化と信頼性向上につながる電子カルテ情報共有サービスの運用を検討してみてください。

 

 

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