執筆者・監修者:薬剤師
薬局における感染症対策では、物理的防御は欠かせないものの、それだけでは限界があります。
デジタル技術を活用することで、接触機会の削減と業務効率の向上を同時に実現することこそ、これからの薬局に求められる姿です。
しかし、次のように不安を抱える方も多いでしょう。
「薬局で徹底すべき感染症対策は?」
「薬局での感染症対策は物理的対策で十分?」
「デジタル化で感染症対策はできる?」
当記事では、薬局における基本的な物理的対策の基本やオンライン服薬指導・処方箋送信・WEB問診といったデジタル施策の具体的な活用方法を解説します。さらに、DXツール導入による業務効率化のメリットや導入時の注意点まで紹介します。最後まで読むことで、安全性・効率性・患者満足度を高める薬局DXの全体像が理解できるでしょう。
目次
1.薬局の感染症対策の基本と物理的な限界
感染症の流行時には、薬局は患者さんとスタッフの双方が感染リスクにさらされる環境となりやすいため、安全性の確保は最優先事項です。
衛生管理を強化しても、人と人との距離が近い場面や接触頻度の高さには限界があるため、まずは感染対策の基本的な考え方と物理的な対策の役割を理解する必要があります。
ここでは、薬局における感染対策の基礎について、詳しく見ていきましょう。
徹底すべき基本的な予防策
すべての来局者を潜在的な感染源と想定することで、薬局の現場は手指衛生・換気・清拭消毒といった標準予防策を一層厳格に実践すべきです。
手洗いやアルコール擦式手指消毒を患者接触前後に確実におこなうだけでなく、待合室や服薬指導カウンターでは定期的な外気導入による換気が欠かせません。さらに、ドアノブ・椅子・筆記用具など頻繁に手が触れる物品に対して清拭消毒を習慣化することで、交差感染のリスクを小さく抑えられます。これらの手法が薬局における感染拡大防止の土台となります。
服薬指導時の物理的防御策
服薬指導に伴う飛沫感染のリスクを抑えるには、物理的防御策の導入が効果的です。
アクリル板やパーテーションをカウンターに設置することで、患者さんとの会話時に発生する飛沫を直接遮断可能です。さらに、マスクとフェイスシールドを併用することで、口・鼻・目の粘膜まで保護でき、曝露機会を大幅に減らせます。加えて、手袋やガウンは接触頻度が高い業務やハイリスクの患者さんへの対応時に有効であり、状況に応じた適切な選択が必要です。物理的防御策の組み合わせが、安全性を高める重要な手段になります。
物理的対策の限界|待合室の密集とスタッフの曝露
物理的対策だけでは、感染拡大を完全に防げません。
待合室では来局者が集中しやすく、座席の間隔確保や人数制限をおこなっても、混雑時には距離が保てず空気中の飛沫を防ぎ切れません。また、薬剤師法では正当な理由なく服薬指導を拒否できないため、発熱や咳のある患者さんにも対面で応対する場面が発生します。結果として、スタッフには飛沫と接触の感染リスクが残ります。物理的対策は重要でありながら、限界を踏まえて活用する姿勢が重要です。
2.薬局の感染症対策をDXで加速!3つの主要デジタル施策
感染症の脅威が長期化するなか、薬局には物理的対策だけでなく、接触機会や来局頻度自体を減らす発想が求められています。デジタル技術を活用すれば、対面中心の業務構造を見直し、安全性と業務効率の両立が可能です。
ここでは、薬局の感染対策を支える主要なデジタル施策について、詳しく見ていきましょう。
オンライン服薬指導|来局不要で感染リスクをゼロに
オンライン服薬指導は、患者さんが自宅で薬剤師から指導を受けられるため、薬局への移動や待合室での滞在を不要にし、感染リスクを根本から断つ方法として有効です。ビデオ通話を活用することで、対面に近い形で服薬状況の確認や副作用の相談が可能となり、高齢者や慢性疾患の患者さんにも安心して利用してもらえます。加えて、移動負担の軽減、感染回避、在宅療養支援、商圏の拡大といった複数のメリットを同時に得られる点も特徴です。
一方で、通信環境の整備や配送料の発生といった課題もありますが、安全性と継続性を確保できる有用性の高い手段といえるでしょう。
処方箋送信|待合室の「密」と待ち時間を解消
処方箋送信の活用は、待合室での密集と長時間滞在を防ぐ手段として有効です。
患者さんが来局前に処方箋を画像で薬局へ送信することで、調剤準備を事前に進められ、来局後の待ち時間を大幅に短縮可能です。待合室の混雑を避けられるだけでなく、発熱している患者さんや高齢者の感染リスク低減にもつながります。
さらに、薬局側では調剤スケジュールの調整や受け渡し時間の分散が可能になり、業務効率も向上します。処方箋送信は、感染対策と業務最適化を同時に実現する施策です。
WEB問診|接触と対面ヒアリングの機会を最小化
WEB問診は、接触機会と対面時間を最小限に抑えられる感染防止策として有効です。
患者さんがスマートフォンやタブレットで事前に症状や服薬状況を入力すれば、紙の問診票やペンの受け渡しが不要となり、物理的接触リスクを大きく減らせます。さらに、薬局外で問診を完了できるため、来局後のヒアリング時間や滞在時間を短縮し、待合室の密集も回避可能です。受付前の情報共有により対応の優先度も判断しやすくなり、業務効率と安全性の両立を実現できる点がWEB問診の強みです。
なお、「つながる薬局」では、オンライン服薬指導・処方箋送信・WEB問診すべてに対応しています。感染症対策と薬局業務効率化の両立を考えるなら、ぜひ「つながる薬局」をご検討ください。
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3.薬局の感染症対策DXがもたらす業務効率化のメリット
感染症対策の目的で導入したデジタル施策は、業務効率化にも効果を発揮します。データの共有や入力の自動化によって薬剤師の負担を軽減でき、対人業務に集中できる体制を整えられます。
ここでは、業務効率化につながる具体的なデジタル施策について、詳しく見ていきましょう。
処方箋データの自動取り込みによる入力業務の削減
処方箋データの自動取り込みは、入力業務の負担を大幅に軽減し、転記ミスの防止にもつながる効果的なDX施策です。
電子処方箋や処方箋の読み取りに対応している処方箋送信システムを利用すると、処方内容を薬局システムへデータとして反映でき、手入力の手間とヒューマンエラーを削減できます。入力作業にかかる時間を短縮し、薬剤師は服薬指導や患者さん対応に時間を振り向けられるでしょう。
さらに、患者情報・処方薬・用法用量が自動連携されれば、確認作業の効率も向上します。データの自動取り込みは、感染症対策と業務品質の向上を両立できる手段です。
WEB問診によるヒアリング時間と薬歴転記作業の削減
WEB問診の導入は、ヒアリング時間と薬歴転記作業の双方を効率化できるDX施策として有効です。
患者さんがスマートフォンなどで事前に症状や服薬状況、副作用の有無を入力すると、情報がデータとして薬局で閲覧できるため、紙の問診票の記入や回収が不要になります。
さらに、薬剤師は内容を確認するだけで問診を完了でき、対面での聞き取り時間を短縮できます。入力された情報を薬歴に自動反映やコピーする機能を活用すれば、転記の手間とミスのリスクも減らせるでしょう。WEB問診は、安全性と業務効率の両面で価値を発揮します。
4.薬局の感染症対策DXツール導入で押さえるべき注意点
感染症対策としてデジタル施策を導入する際は、安全性や効率性だけでなく、現場での運用や患者さんへの対応力も重要です。導入効果を最大化するには、利用環境や支援体制を整える視点が欠かせません。
ここでは、感染症対策DXツール導入前に押さえておきたい注意点について、詳しく見ていきましょう。
患者のITリテラシーへの配慮とサポート体制の構築
患者さんのITリテラシーに配慮した運用をおこなうことが、デジタル施策の定着と安全な情報管理につながります。
スマートフォン操作に不慣れな高齢者や視覚障害のある来局者には、店頭でスタッフが入力補助をおこなう体制を整えることが重要です。また、紙の問診票や口頭ヒアリングも併用できるようにし、患者さんが選べる環境を用意すれば安心感と利便性を高められます。加えて、タブレット端末の貸し出しやQRコードを利用した入力案内など、段階的なサポートも有効です。利用者に合わせた柔軟な対応こそが、DXの価値を支える基盤になります。
既存システムとの連携確認
DXツールを導入する際は、既存システムとの連携性を事前に確認することが重要です。
薬歴管理システムやレセプトコンピューターとデータ連携ができなければ、入力が二重になり、業務効率の向上効果が低下し、転記ミスの可能性も高まります。導入前には、連携方式(API連携・CSV連携など)や対応可能な項目を一覧で整理し、運用に支障がないか検討する必要があります。また、メーカーによるサポート体制やアップデートの頻度も確認しておくと安心です。既存システムとの連携確認は、DXツール導入の効果を最大限発揮するための不可欠な工程です。
5.まとめ
薬局の感染症対策では、物理的な防御策だけでなく、接触機会を減らすデジタル施策の導入が重要です。オンライン服薬指導・処方箋送信・WEB問診を活用すれば、安全性と業務効率を両立しながら、患者さんとスタッフの負担を軽減できます。さらに、DXツール導入時にはITリテラシーへの配慮や既存システムとの連携確認が欠かせません。当記事の内容を参考に、患者さんやスタッフが安心して利用できる薬局の環境づくりに役立ててください。

