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2026年度に導入予定?OTC類似薬77成分の追加負担と薬剤師が果たすべき新役割

執筆者・監修者:薬剤師

2026年度より医療用医薬品のうち市販薬と成分が類似する77成分に対し、薬剤費の4分の1を患者さんが自己負担する「特別の料金」制度が導入される予定です。医療保険制度の持続可能性を高めるための転換点であり、薬局の窓口業務や経営に影響を及ぼすことは避けられません。制度の施行を控え、現場では次のような疑問や不安を抱く方も多いでしょう。

「OTC類似薬で負担増となる背景は?」
「OTC類似薬の対象リストは?」
「OTC類似薬によりどのような影響がある?」

当記事では、新制度の仕組みや免除対象者の範囲、対象77成分のリスト、薬局経営に与える影響、患者さんの不満を解消するための説明術について解説します。最後まで読めば、制度改正に伴う収益減少のリスクを回避し、セルフメディケーション需要を取り込むための新たな薬剤師の役割を理解できるでしょう。

 

1.OTC類似薬77成分の保険外負担導入の背景と仕組み

2026年度より、医療保険制度の持続可能性を確保する観点から、市販薬と成分が類似する医療用医薬品への「特別の料金」導入が開始されます。対象となるOTC類似薬77成分は、薬剤費の4分の1相当を患者さん自身が追加で負担する仕組みへと切り替わる予定です。セルフメディケーションを促す新たなルールは、今後の外来受診や薬局での支払いに大きな影響を及ぼします。

本章では、OTC類似薬77成分の保険外負担が導入される背景や仕組みについて、詳しく見ていきましょう。

「特別の料金」導入で患者の薬剤費負担はどう変わるのか

2026年度から導入される新制度により、OTC類似薬を処方された患者さんの窓口負担は増加します。薬剤費の25%を「特別の料金」として保険外で徴収するため、通常の3割負担分と合わせると、実質的な支払額は薬剤費の47.5%に達する計算です。

具体的な負担増のイメージは、以下のとおりです。

  1. 薬剤費が1,000円の場合、250円が特別の料金
  2. 残り750円の3割にあたる225円が保険診療の自己負担額
  3. 上記合算すると支払額は475円

上記の場合では、従来の300円から1.5倍以上の負担となります。多くの外来の患者さんにとって、今回の仕組みは家計への直接的な影響が避けられない変更点といえるでしょう。

子どもや難病患者は対象外?追加負担を免除される「配慮が必要な者」

OTC類似薬の追加負担には、「配慮が必要な者」として免除対象が設定される予定です。医療上の必要性や経済的状況を考慮し、すべての患者さんに一律の負担を求めるわけではありません。

具体的な免除対象者は、以下のとおりです。

  • 小児(子ども)や難病患者などの慢性疾患を抱えている方
  • 生活保護受給者をはじめとする低所得層
  • 入院中の患者さん

医療機関での適切な受診を妨げないよう仕組みが検討されています。また、医師が医学的判断に基づき医療用医薬品の使用が不可欠と認めた場合も徴収対象から外れる予定です。

2.OTC類似薬77成分の対象リスト

特別の料金の対象となるOTC類似薬は、市販薬として広く普及している成分を中心に合計77成分が選定される予定です。厚生労働省は、スイッチOTCが存在し、かつセルフメディケーションが可能な効能・効果を持つ薬剤をリスト化しています。

代表的な対象成分は、以下のとおりです。

  • 抗アレルギー薬:フェキソフェナジン塩酸塩、ロラタジン
  • 解熱鎮痛薬:ロキソプロフェンナトリウム水和物、イブプロフェン
  • 緩下剤:酸化マグネシウム、ビコスルファートナトリウム水和物

なお、全77成分の詳細な一覧は、厚生労働省の資料で公開されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001621851.pdf

薬局窓口では、多岐にわたる対象品目を把握し、患者さんへ適切に周知する準備が求められるでしょう。

3.OTC類似薬の保険外負担増加による影響

新たな費用負担の仕組みは、薬局経営や処方箋枚数の動向に変化をもたらします。患者さんの受診行動が変容することで、従来の調剤だけでは対応しきれないこともあるでしょう。将来的な経営リスクを軽減し、多角的な視点から活路を見出す姿勢が求められています。

本章では、OTC類似薬の保険外負担増加により薬局へもたらす影響について解説します。

受診控えや処方薬削減による収益減少

OTC類似薬への「特別の料金」導入は、薬局の調剤報酬や薬価差益の減少を招くリスクがあります。窓口での支払額が増加するため、患者さんが受診や特定の処方を断る動きが加速する可能性があります。

収益に悪影響を及ぼす要因は、主に以下のとおりです。

  • 自己負担増による患者さんの受診控えや処方辞退の増加
  • 技術料の算定回数減少に伴う調剤報酬総額の減少
  • 対象薬剤の備蓄コスト増とデッドストック化の懸念

処方箋枚数が減るだけでなく、1枚あたりの単価低下も避けられないでしょう。薬剤師は調剤業務以外の付加価値を模索し、経営基盤の安定化を図る必要があります。

セルフメディケーション需要による収益獲得の可能性

「特別の料金」導入は、薬局における物販や健康相談の需要を拡大させる機会となります。処方薬の負担増を避ける患者さんが、利便性の高い市販薬へ流れるためです。

以下の方法により、新たな収益源の確保が期待できます。

  • OTC類似薬の成分を含む市販薬のラインナップ拡充
  • 処方からセルフメディケーションへの切り替え提案の実施
  • 健康サポート機能を活用した受診勧奨と市販薬販売の併用

薬剤師が専門知識を活かして適切に助言すれば、物販収益の向上と地域住民の信頼獲得を同時に実現できます。保険外負担を機会に、薬局全体で患者さんを支える体制を構築しましょう。

4.OTC類似薬の負担増加への不満を解消する説明術

窓口での追加負担に対し、不満を抱く患者さんの増加が予想されます。現場の薬剤師が制度の本質を理解し、誠実に伝える技術を磨くことは欠かせません。

本章では、信頼関係を崩さずに新制度を受け入れてもらうための効果的なコミュニケーション方法について解説します。

納得感を生む「不公平感の解消」という説明軸

制度の目的が「公平性の確保」にあると伝えることで、患者さんの不満を和らげることが可能です。自ら市販薬を購入する方との負担差を縮小し、保険制度を維持するための処置であることを説明しましょう。

納得感を引き出す説明のポイントは、以下のとおりです。

  • ドラッグストアなどで全額自己負担して購入する層との公平性を図る施策であること
  • 限られた保険財源を重症疾患の治療へ優先的に配分するための見直しである背景
  • セルフメディケーションを国全体で推進していくという方針の共有

単なる値上げではなく、社会全体で医療費を支え合うための合理的な改革だと位置づけます。薬剤師が制度の公益性を丁寧に伝えることで、個人の損得勘定を超えた理解を得やすくなるでしょう。

待ち時間や診察料を含めたトータルコストのメリットを提示

OTC類似薬の代わりに、同成分を含む市販薬を薬局で直接購入することは、金銭的・時間的コストの両面で合理的な選択肢です。処方箋を利用する場合、薬剤費以外に診察料や処方箋料といった諸費用が発生します。

トータルコストを比較すると、以下のメリットが得られるでしょう。

  • 受診に伴う診察代や処方箋発行手数料の支払いを回避できる 
  • 医療機関での長い待ち時間や移動の手間を削減できる 
  • 軽微な症状であれば、必要な分だけを迅速に入手して即座にケアを始められる 

2026年度からは薬剤費の4分の1が「特別の料金」として加算されるため、受診の金銭的優位性は低下します。薬剤師が上記のような総費用や利便性の差を具体的に示すことで、患者さんは自身の生活スタイルに最適な購入方法を判断できるでしょう。

5.まとめ

2026年度に開始予定のOTC類似薬への「特別の料金」導入は、患者さんの薬剤費負担を実質47.5%まで引き上げる変革です。免除対象となる小児や難病患者、低所得層への配慮を理解し、窓口で適切な案内をおこなう準備が求められます。受診控えによる収益減少を懸念するだけでなく、セルフメディケーション需要を物販や健康相談へつなげる視点が重要です。診察料や待ち時間を含めたトータルコストのメリットを提示し、患者さんの納得感を生む説明術を磨きましょう。当記事を参考に、新制度の本質を捉え、地域住民の健康を支える専門家としての職能を最大限に発揮してください。

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