執筆者・監修者:薬剤師
地域支援・医薬品供給対応体制加算は、対人業務と医薬品供給体制を一体で評価する新たな制度です。調剤報酬改定により要件や評価構造が変化したため、以下のように対応に悩む場面も増えているでしょう。
「地域支援・医薬品供給対応体制加算はどんな点数?」
「地域支援・医薬品供給対応体制加算の施設基準や算定要件は?」
「どのような対策をするべき?」
本記事では、制度変更の背景から算定要件、調剤基本料との関係、実務で求められる対策まで解説します。最後まで読めば、体制整備と実績管理のポイントが明確になり、現場での具体的な対応方針を検討できるでしょう。
目次
1.地域支援・医薬品供給対応体制加算とは?
地域支援・医薬品供給対応体制加算は、地域医療への関与と安定的な医薬品供給体制を評価する新たな点数です。地域支援体制加算からの見直しにより、対人業務の充実に加え、医薬品供給不安に対応するための供給体制の確保を狙いとして制度設計が進められています。
本章では、地域支援・医薬品供給対応体制加算への変更の全体像について確認していきましょう。
地域支援体制加算から変更ポイント
地域支援・医薬品供給対応体制加算では、評価軸として従来の平時の地域医療貢献に加え、医薬品の安定供給体制が組み込まれました。地域支援体制加算との主な違いを、以下にまとめました。
| 項目 | 地域支援体制加算(旧) | 地域支援・医薬品供給対応体制加算(新) |
| 評価の中心 | 平時の地域医療への貢献 | 平時の地域医療貢献に加え、供給不足時を含む対応力 |
| 重視される機能 | 在宅対応、健康相談、地域活動 | 従来の機能に加え、安定供給・他薬局との連携・代替提案・情報提供 |
| 制度の狙い | 日常的な地域支援の評価 | 日常的な支援に加え、有事でも機能を維持する体制の評価 |
地域支援体制加算からの変更ポイントは、薬局の役割を平時対応だけでなく、レジリエンス(回復力)重視へと広げた点にあるといえるでしょう。
後発医薬品調剤体制加算の廃止・統合
後発医薬品調剤体制加算は独立した評価区分として廃止され、地域支援・医薬品供給対応体制加算の中で評価される仕組みに再編されました。
従来の後発医薬品調剤体制加算では、後発医薬品の使用割合に応じて段階的に評価されていましたが、報酬改定により地域医療への貢献や供給体制とあわせて総合的に評価される形へ整理されています。なお、地域支援・医薬品供給対応体制加算への統合により、一定割合(85%以上)の使用実績が必須要件と設定されています。
後発医薬品調剤体制加算の廃止は、評価指標の分散を解消し、薬局機能を一体的に捉える制度設計への転換といえるでしょう。
4段階の評価から5段階へと再編
地域支援・医薬品供給対応体制加算は、従来の地域支援体制加算の4段階から5段階へ再編されました。2026年調剤報酬改定では、医薬品の安定供給体制を評価する新設区分がベースとして追加された点が特徴です。
5段階に再編された点数は、以下のとおりです。
| 区分 |
点数 |
| 加算1 | 27点 |
| 加算2 | 59点 |
| 加算3 | 67点 |
| 加算4 | 37点 |
| 加算5 | 59点 |
地域支援・医薬品供給対応体制加算1の新設により、供給不安下でも対応できる体制を備えた薬局が独立して評価されます。また、加算2〜5を算定する際にも加算1の要件クリアが必須となる「二階建て」の構造へ見直されています。
2.地域支援・医薬品供給対応体制加算の施設基準と算定要件
地域支援・医薬品供給対応体制加算は、薬局の体制や実績を多面的に評価する施設基準と算定要件で構成されています。地域支援体制加算からの見直しにより、従来の対人業務の評価に加え、医薬品の供給対応力を含めた総合的な評価へと転換が進みました。
本章では、地域支援・医薬品供給対応体制加算で求められる要件を解説します。
全区分で必須となる後発医薬品数量シェア
後発医薬品数量シェア85%以上が、すべての加算区分で求められる共通要件となりました。従来は区分ごとに基準が分かれていましたが、改定により一律基準へ統一されています。
なお、令和8年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算の届出をおこなっていた保険薬局については、令和9年5月31日までは経過措置として基準未達でも算定が認められます。後発医薬品の安定的な活用が、地域支援・医薬品供給対応体制加算の算定には欠かせません。
医薬品の安定供給確保に向けた体制整備と情報公開
医薬品の安定供給確保に向けた体制整備と他薬局との連携が、地域支援・医薬品供給対応体制加算の要件として組み込まれています。医薬品の供給不安に備え、計画的な調達や在庫管理に加え、同一グループ外薬局への分譲実績の確保が求められます。
さらに、自局欠品時の他薬局案内や処方医への変更照会など、地域で完結する連携フローの構築も必要です。重要供給確保医薬品(内用薬および外用薬)は1か月分程度の備蓄が努力義務とされ、後発医薬品調剤に積極的である旨の掲示も求められます。
供給制約下でも患者対応を継続できる体制と情報発信の両立が、薬局機能の評価に直結する設計といえるでしょう。
対人業務加算の実績化
対人業務加算の実績化は、地域支援・医薬品供給対応体制加算において薬剤師の臨床関与を数値で示す要件として導入されました。重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の廃止に伴い、評価は以下2つの加算へ再編されています。
- 調剤時残薬調整加算:残薬確認と調整による適正化
- 薬学的有害事象等防止加算:副作用や相互作用の未然防止
地域支援・医薬品供給対応体制加算では上記加算の実績の確保が求められるため、単なる体制整備ではなく実際の介入成果が評価対象として必要です。対人業務の質と量の両面を示す運用が、地域支援・医薬品供給対応体制加算の算定要件として重要です。
機器設置などの物理的要件
機器設置などの物理的要件は、セルフメディケーション支援を具体化する基準として位置づけられました。来局者が健康状態を把握できる環境整備として、健康測定機器の設置が求められています。
設置が求められる機器は、以下から3つ以上です。
- 体重計
- 体温計
- 血圧測定器
- 体組成計(体脂肪率、BMI等を含む)
- 血中酸素飽和度測定器(パルスオキシメータ)
- 握力計
- 骨密度測定器
患者さんの求めに応じて使用できるよう複数機器を備え、来局者が利用しやすい配置と説明体制の整備が必要です。設備整備による測定を通じて健康管理支援機能を担う役割が、薬局に求められています。
3.調剤基本料と地域支援・医薬品供給対応体制加算の関係性
地域支援・医薬品供給対応体制加算は、調剤基本料の区分により算定可能な区分と要件水準が分岐します。調剤基本料1では高点数区分の対象となり、実績や体制要件も厳格に設定されています。
各区分の主な対象・条件は、以下のとおりです。
| 区分 | 点数 | 主な対象・条件 |
| 加算1 | 27点 | 安定供給体制を満たす薬局(共通要件) |
| 加算2 | 59点 | 調剤基本料1で一定の地域対応実績を有する薬局 |
| 加算3 | 67点 | 調剤基本料1で高水準な実績・体制を備える薬局 |
| 加算4 | 37点 | 調剤基本料1または特別調剤基本料B以外で一定の体制・実績を満たす薬局 |
| 加算5 | 59点 | 調剤基本料1または特別調剤基本料B以外で高水準の体制・実績を有する薬局 |
調剤基本料の違いにより対象区分が変わる点は、地域支援体制加算と同様です。
4.地域支援・医薬品供給対応体制加算算定に向けた対策
地域支援・医薬品供給対応体制加算は、体制整備と実績管理を両立させる運用が求められる評価制度です。
本章では、地域支援・医薬品供給対応体制加算算定に向けた具体的な対策について解説します。
後発品85%クリアを見据えたコミュニケーション
後発医薬品数量シェア85%の達成には、在庫管理と患者対応の両面からの取り組みが不可欠です。後発品を揃えるだけでなく、処方動向をふまえた採用品目の最適化や欠品リスクを見据えた在庫調整が欠かせません。
長期収載品の選定療養化により患者負担が増すことをふまえ、コミュニケーションに以下の工夫を取り入れることも有効です。
- 価格差を具体的な金額で提示する
- 供給不安による切替メリットを伝える
- 医師の処方意図をふまえた説明をおこなう
- 初回説明時に後発品を前提として案内する
押し付けではなく納得を促す対話が、後発品選択の定着につながります。
かかりつけ・対人業務実績の確実な積み上げ
かかりつけ・対人業務実績の積み上げには、加算取得を前提とした業務フローの設計が不可欠です。服薬管理指導料の再編により評価対象が拡大し、日常業務の中で実績を確実に把握する運用が求められます。
算定もれを防ぐ運用上のポイントは、以下のとおりです。
- 算定対象業務を事前にチェックリスト化
- 薬歴入力時に加算候補を確認する仕組みを構築
- 日次または週次で実績を可視化し共有
- かかりつけ患者のフォロー対象を明確化
記録と算定を連動させるオペレーション整備が、対人業務の実績の安定的な確保につながります。
ITツールの導入・活用
ITツールの導入・活用は、地域支援・医薬品供給対応体制加算の実務負担を軽減し、業務の質を高める有効な手段です。電子処方箋やオンライン資格確認を活用することで、重複投薬や相互作用の把握、残薬確認の精度向上が期待できます。
実務で有効なITツールの活用例は、以下のとおりです。
- 電子処方箋による処方情報の即時共有
- 在庫管理システムによる欠品リスクの可視化
- アプリやLINEを活用した服薬フォロー
たとえば、「つながる薬局」のようなDXツールの導入も有効です。「つながる薬局」であれば、LINEひとつで処方箋送信・オンライン服薬指導・服薬フォローまで完結でき、かかりつけ化につながる患者対応をオールインワンでおこなえます。患者さんとの情報共有が円滑になり、対人業務の質向上と供給対応力の強化を同時に実現できるでしょう。
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5.まとめ
地域支援・医薬品供給対応体制加算は、対人業務と医薬品供給体制を一体で評価する新たな制度として、薬局機能の高度化を求める内容へ見直されました。
算定するための施設基準や要件として、後発医薬品85%の達成や安定供給体制の整備、対人業務実績の積み上げなど、実務対応の幅も広がっています。こうした複雑な要件に対応するには、電子処方箋や在庫管理、アプリやLINEなどのIT活用が有効です。
本記事を参考に、制度要件を正しく理解し、自薬局に適した体制整備と運用の見直しに取り組んでみてください。
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