お役立ちコラム

USEFUL COLUMNS

2026年調剤報酬改定で変わる在宅業務!薬局経営の生き残り戦略とは

執筆者・監修者:薬剤師

2026年調剤報酬改定では、在宅業務の評価が大きく見直され、対応できる薬局だけが収益を確保できる構造へ変化しています。在宅点数の要件厳格化や人員基準の強化により、従来の運用では加算算定が難しくなっています。

しかし、以下のようにお考えの方もいらっしゃるでしょう。

「在宅業務の変更点が多く、何から対応すべきかわからない」
「人員基準や実績要件をどうクリアすればよいか悩んでいる」
「在宅強化が必要とわかっていても具体的な戦略が描けない」

本記事では、2026年調剤報酬改定における在宅点数の変更点や、新設された評価、点数見直しの背景、実務に直結する戦略まで解説します。

最後まで読めば、在宅業務の評価構造を正しく理解でき、加算取得と収益向上を両立させる実践的な方針が明確になるでしょう。

 

1.2026年調剤報酬改定における在宅点数の変更点

2026年(令和8年度)の調剤報酬改定では、在宅薬学総合体制加算を中心に在宅業務の評価体系が見直されました。従来の体制評価に加え、高度な管理実績の要件化や人員基準が厳格化され、より一層薬局の在宅対応力が問われる流れとなっています。

本章では、調剤報酬改定における在宅点数の変更点について解説します。

在宅薬学総合体制加算|高度な薬学的管理実績の要件化

在宅薬学総合体制加算2は、設備要件から実績要件へと大きく転換し、在宅での高度な薬学的関与が求められます。無菌調剤設備の有無ではなく、実際の対応実績が評価の中心となりました。

具体的には、個人宅(単一建物1人)などへの一定の訪問実績に加え、以下いずれかの実績が必須条件として設定されています。

  • 麻薬管理指導:年10回以上
  • 無菌製剤処理:年1回以上
  • 小児在宅対応:年6回以上

上記の算定実績は、在宅医療への関与の質と専門性を示す指標です。訪問件数だけでなく、重症度や専門性の高い患者への対応力を含めて総合的に評価される仕組みになっています。

在宅薬学総合体制加算|個人宅訪問への手厚い評価と要件化

在宅薬学総合体制加算では、個人宅訪問の実績が高く評価される仕組みに見直されています。単一建物1人の訪問は100点に設定され、施設中心の運用から個人宅重視へと評価が転換しました。

加算2では、訪問実績に占める個人宅の割合が全体の訪問回数に応じて1〜2割超必要とされ、単なる訪問件数ではなく患者単位での関与が重視されています。

個人宅への対応体制を整備できるかが、在宅分野で評価を得るための重要な分岐点といえるでしょう。

在宅薬学総合体制加算|人員基準の厳格化

在宅薬学総合体制加算2では、人員基準が厳格化され、安定した在宅対応体制の確保が求められます。24時間対応や高度な薬学的管理を担保するため、人的リソースの充実が前提となりました。

具体的には、保険薬剤師の配置に明確な基準が設定されています。常勤換算3名以上の体制に加え、開局時間中は原則2名以上の常駐により、常態として調剤応需および在宅患者の急変などに対応可能な体制をとることが必要です。

少人数運営の薬局では算定ハードルが高まり、人員配置の見直しが不可欠といえるでしょう。

在宅患者訪問薬剤管理指導料|週1回への算定間隔の緩和

在宅患者訪問薬剤管理指導料は、算定間隔の制限が緩和され、より柔軟な訪問計画が立てられるようになりました。従来の6日以上という算定間隔の制約が見直され、週1回の算定が認められる形へ変更されています。

日程調整の自由度が高まり、患者状態や多職種連携に応じた対応がしやすくなります。急変時の早期介入や訪問看護との連携強化にもつながる設計です。

画一的な訪問から個別最適化へと移行し、在宅医療の質向上を後押しする改定と位置付けられます。

在宅患者訪問薬剤管理指導料|夜間・休日対応と協力薬局との連携要件化

在宅患者訪問薬剤管理指導料では、夜間・休日を含めた対応体制の整備が算定要件として明確化されました。開局時間外も含め、継続的に在宅患者を支える体制構築が求められています。

具体的には、自局または在宅協力薬局による対応体制の確保に加え、患者へ緊急連絡先を文書で交付することが必要です。また、電話などの問い合わせにすぐに応じられなかった場合でも、速やかに折り返し連絡することが求められます。

単独対応が難しい場合でも、連携体制の構築が前提となる設計です。

2.2026年調剤報酬改定で新設される在宅業務関連の評価

2026年調剤報酬改定では、多職種連携の強化と医療DXの推進を背景に、在宅業務の評価が新たに見直されました。従来の個別対応の評価に加え、医師との同時訪問などのチーム医療やデジタル活用をさらに評価する体制へと拡充されています。

本章では、新設された在宅業務関連の評価について解説します。

医師・薬剤師の同時・複数名訪問に対する評価の新設

医師・薬剤師の同時・複数名訪問に対する評価が新設され、在宅医療における連携強化が制度として位置付けられました。ポリファーマシーや残薬への対策、および安全管理を目的とした新たな評価が追加され、在宅での対応力がより手厚く評価される体系へと拡充されています。

医師・薬剤師の同時・複数名訪問に対する主な新設評価は、以下のとおりです。

  • 訪問薬剤管理医師同時指導料:150点(医師と同時訪問での指導)
  • 複数名薬剤管理指導訪問料:300点(行動面リスクのある患者対応)

専門職が同時・複数で関与する体制が評価対象となり、チーム医療の実効性を高める改定といえます。

オンライン服薬指導の一本化

オンライン服薬指導は外来と同一の枠組みに統合され、運用の簡素化と活用促進が図られました。在宅患者オンライン薬剤管理指導料や在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料は服薬管理指導料4へ整理され、提供形態の違いによる区分が解消されています。

小児在宅への評価拡充

小児在宅への評価が拡充され、無菌製剤処理加算の高点数区分が適用される対象が広がりました。従来は6歳未満が対象でしたが、15歳未満まで対象が拡大されています。

年齢要件の見直しにより、これまで通常評価となっていた体重による投与量調整等の手間が発生する学童期の患者も高い評価区分で算定可能です。そのため、同一業務でも算定点数が上がるケースが増えています。とくに、中心静脈栄養法用輸液の無菌製剤処理をおこなった場合の点数は大幅に引き上げられました。

対象範囲の拡張により小児在宅の収益性が改善し、対応薬局の参入を促す設計へと拡充されています。

3.2026年調剤報酬改定で在宅関連点数が見直しされる背景

2026年調剤報酬改定では、在宅関連点数の見直しが制度全体の流れと密接に連動しています。薬局機能の再定義と社会的要請の変化が背景にあり、従来の評価体系から、質の高い在宅医療の確保や連携をさらに推進する評価体系へと見直しが進められています。

本章では、調剤報酬改定の背景にある政策意図を確認していきましょう。

患者のための薬局ビジョンの現在地と地域医療への移行

調剤基本料をはじめとする評価体系の見直しは、門前依存から地域密着型への転換を加速させる政策的意図によるものです。患者のための薬局ビジョン策定から約10年が経過した現在でも、門前薬局中心の構造が多々あります。

国は立地依存のビジネスモデルを是正し、薬剤師の職能発揮を促進するとともに、在宅医療を担う体制整備を強く求めています。

評価体系の再設計により、地域医療へ関与できる薬局が選ばれる構造へ移行しているといえるでしょう。

医療従事者の賃上げと物価高騰への特例的対応

2026年調剤報酬改定では、改定率の多くが医療従事者の賃上げや物価高騰への特例対応に充てられています。限られた原資の中で、在宅分野の評価は選択的に強化される構造となりました。

在宅業務での加算算定が収益確保の柱となる一方で、新設された調剤ベースアップ評価料や調剤物価対応料の算定により、得られた収益が人件費へ還元される設計となっています。

厳格な要件を満たす体制整備が、薬局経営とスタッフ待遇の双方を支える重要な要素といえるでしょう。

4.2026年調剤報酬改定を乗り切る在宅関連戦略

2026年調剤報酬改定では、在宅業務の評価強化により薬局経営の方向性が大きく変化しています。従来の延長では対応が難しく、体制や運用の見直しが求められます

本章では、薬局が生き残るために必要な在宅関連戦略について、詳しく見ていきましょう。

施設在宅と個人在宅の再編

在宅戦略では、施設中心の運用から個人在宅へ軸足を移す再編が不可欠です。単一建物1人の評価が高まったことや、上位加算の要件において個人宅への訪問割合が必須化されたことで、効率重視の施設依存では収益確保が難しくなっています。

地域包括支援センターやクリニックと連携し、個人宅患者の紹介経路を構築することが重要です。訪問件数の確保だけでなく、高度な薬学的管理など患者単位での関与を増やし、加算取得の強化も欠かせません。

評価構造の変化を踏まえ、営業戦略を地域密着型へ転換できるかが経営の分岐点といえるでしょう。

人員基準クリアに向けた採用強化

人員基準を満たすには、計画的な薬剤師採用と配置戦略の見直しが不可欠です。常勤換算3名以上の確保に加え、原則として開局時間中の2名常駐が要件となり、従来の人員体制では算定が難しくなっています。

採用強化では、正社員採用だけでなく非常勤の活用も含めた設計が重要です。常勤換算や2名常駐を意識したシフト構築や在宅対応可能な人材の確保が求められます。

人員配置と採用を一体で最適化できるかが、加算算定と収益確保を左右する重要なポイントといえるでしょう。

在宅協力薬局との連携ネットワーク構築

在宅協力薬局との連携ネットワーク構築は、厳格化した要件に対応する有効な戦略です。休日・夜間を含めた24時間対応や無菌調剤を単独で担う体制には限界があり、人的負担の増大が課題です。

地域薬局と役割分担をおこない、相互補完できる体制を整えることで要件充足と負担軽減を両立できます。今回の改定では、一定の条件下(同一グループを除く)で在宅協力薬局として連携した訪問実績の合算も認められており、連携の重要性がより高まっています。

連携体制の構築により持続可能な在宅医療提供が可能となれば、スタッフの疲弊を防ぐ経営基盤の強化にもつながるでしょう。

対物業務のタスクシフト・効率化

対人業務へ注力するには、対物業務のタスクシフトと効率化が不可欠です。薬局・薬剤師業務の対人業務の充実化という改定の方向性を踏まえ、薬剤師が在宅対応などに専念するため、調剤補助やICT活用による業務再設計が求められています。

具体的には、以下の業務の切り分けが重要です。

  • ピッキングや在庫管理:薬局事務員へ委譲
  • 一包化や監査補助:機械化で省力化
  • 記録や報告書作成:ICTで効率化

なお、「つながる薬局」の在宅サポート機能を活用すれば、在宅業務の報告書や計画書の作成・共有をデジタル化し、在宅の業務負担を軽減できます。

対物業務の最適化により対人業務へ集中できる体制が整い、在宅医療の質と収益性を両立できる運用が実現できるでしょう。

5.まとめ

在宅業務の評価強化により、個人宅対応や高度な薬学的管理、人員体制の充実が収益確保の前提となりました。施設依存からの脱却や多職種連携、ICT活用による業務効率化が、薬局経営を安定させる重要な要素となります。また、在宅協力薬局との連携やタスクシフトを進めることで、要件を満たしながらスタッフ負担の軽減も図れます。本記事を参考に、在宅業務の体制と戦略を見直し、改定後も選ばれる薬局運営へつなげてください。

記事一覧に戻る

CONTACT

つながる薬局の活用方法を
もっと知りたい方へ

お問い合わせはこちら

タイトルとURLをコピーしました