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薬局で実践!セルフメディケーション支援による患者満足度向上

「セルフメディケーション支援ってなに?」
「薬局・薬剤師による支援の現状は?」
「支援するうえでのポイントは?」

上記のように考える薬局関係者もいるのではないでしょうか。
近年、薬局は単なる医薬品販売の場ではなく、地域のセルフケアを支える拠点として期待されています。
特に軽度な体調不良への対応や生活習慣のアドバイスなど、薬剤師が果たす役割は多様化しているのが実状です。
この記事では、セルフメディケーション支援の基本から制度との関係、薬局での具体的な支援事例、今後の展望について解説します。
最後まで読めば、患者さんの満足度向上のために必要な視点が見えてくるでしょう。

 

1.セルフメディケーション支援とは?

セルフメディケーション支援は、地域の薬局が果たすべき役割として注目されています。制度としての整備も進むなかで、薬剤師に求められる視点や対応は多様化しています。

まずはセルフメディケーション支援の基礎的な枠組みから整理していきましょう。

セルフメディケーションの定義

セルフメディケーションとは、軽い体調不良や予防的な対応に対し、自ら判断し適切な市販薬などを用いて対処する行為を指します。
厚生労働省も生活者自身が健康管理をおこなう手段として推進しています。背景には医療費抑制や医療機関の負担軽減があり、制度的な整備も進んでいる状況です。セルフメディケーションは自らの判断が必要なため、薬剤師など専門家のサポートも必要とされています。

薬局・薬剤師の役割

セルフメディケーション支援において、薬局・薬剤師の役割は極めて重要です。
薬局は一般用医薬品や衛生用品を提供する拠点として機能することが求められます。薬剤師はセルフメディケーションに関する相談を受け、利用者の訴えを正確に把握し、適切な一般用医薬品などの選定をサポートする役割を担います。
また、副作用や相互作用のリスクを説明し、安全な使用につなげる対応も不可欠です。継続的な健康支援をおこなう拠点として、薬局・薬剤師の活躍が期待されています。

セルフメディケーション税制との関係性

セルフメディケーション税制は、特定の成分を含む一般用医薬品を年間12,000円を超えて購入した場合、超過分について最大8万8,000円まで所得控除が受けられる制度です。健康診断や予防接種なども適用条件に含まれます。薬局・薬剤師は、対象医薬品の説明、レシートや領収書への対象品目の明示、制度利用に関する情報提供などを通じて、支援体制を整える必要があります。セルフメディケーションを経済的にも後押しする仕組みのため、セルフメディケーション支援の一環として捉えることが重要です。

2.薬局におけるセルフメディケーション支援の現状

薬局では、健康サポート薬局制度の導入により、セルフメディケーション支援が推進されています。
健康サポート薬局に登録された薬局では、一般用医薬品の販売に加え、生活習慣の改善や受診勧奨など、幅広い健康支援がおこなわれています。
しかし、全国の健康サポート薬局は全薬局の約5%にとどまり、要指導医薬品や一般用医薬品の販売実績が少ない薬局も多いのも実状です。
※出典:厚生労働省「地域における薬局・薬剤師のあり方について」

一方、セルフメディケーション税制の利用は依然として低水準です。
2020年3月時点の調査では、制度の認知度は72.1%であるものの、理解度は22.0%、利用意向は20.7%にとどまっています。
※出典:厚生労働省「セルフメディケーション税制 16万人調査の結果」

また、2023年の調査では、医療費控除を受けた方のうちセルフメディケーション税制は約6%の方の利用しかありませんでした。
※出展:厚生労働省「セルフメディケーション税制の設立経緯と現状」

上記より、薬局におけるセルフメディケーション支援は発展途上といえるでしょう。

3.効果的なセルフメディケーション支援を実施するためのポイント

効果的なセルフメディケーション支援には、薬局内の体制整備と利用者との信頼関係構築が欠かせません。
現場で実践可能な工夫や支援体制のあり方について、具体的に確認していきましょう。

ニーズを把握するためのコミュニケーション

セルフメディケーションを支援するうえで、利用者のニーズを的確に把握するコミュニケーションが不可欠です。
症状や希望を丁寧に聞き取ることで、適切な一般用医薬品の選定や受診勧奨につなげることが可能になります。一方的な情報提供ではなく、オープンな質問や反復確認を交えた対話を意識することで、潜在的な不安や要望も引き出せるでしょう。薬剤師は、服薬歴や生活背景にも目を向けながら、信頼関係を築く姿勢が求められます。コミュニケーション力の向上は、セルフメディケーション支援の質を高める重要な要素です。

一般用医薬品販売コーナーや相談コーナーの設置

一般用医薬品販売コーナーや相談コーナーの設置は、薬局におけるセルフメディケーション支援の実効性を高めるうえで重要です。
利用者の多くは、薬局で一般用医薬品を購入できることや、薬剤師に相談できることを十分に認識していない場合があります。明確な案内表示や、目に入りやすい配置に工夫を加えることで、セルフメディケーションに関して相談できるといった認知が広がります。
加えて、プライバシーに配慮した相談スペースの確保も信頼を得るうえで有効です。薬局内のレイアウトや掲示物を見直すことにより、来局者のセルフメディケーション意識を自然に引き出す環境づくりができるでしょう。

フォローアップ体制の構築

セルフメディケーションを継続的に実践してもらうには、薬局におけるフォローアップ体制の構築が欠かせません。
購入後の体調変化やお薬の使用状況を確認することで、誤った自己判断や副作用の見逃しを防げます。具体的には、来局時の聞き取りに加え、電話やLINEを使った来局していないときの確認が有効です。相談記録を共有し、薬剤師間での情報連携を図ることで、質の高い支援にもつながります。利用者の健康行動を長期的に支えるためにも、継続的なサポートの仕組みを整備する必要があります。

なお、LINEで患者さんのサポートをおこなうなら、「つながる薬局」がおすすめです。
メッセージのテンプレート登録や、患者さんがボタンをタップするだけで返信できる選択式の回答ボタンなど、充実したメッセージ機能を備えています。ぜひ「つながる薬局」の利用をご検討ください。

LINEでのコミュニケーションが可能!「つながる薬局」の服薬フォロー機能

4.患者満足度につながるセルフメディケーション支援の実践例

薬局では、日常的な相談対応のなかにセルフメディケーション支援の実践機会が数多く存在します。
身近な事例を通じて、満足度向上につながる支援のあり方を確認していきましょう。

湿疹症状への外用薬販売と生活アドバイスの提供

手の湿疹に対する外用薬を販売するだけでなく、湿疹の原因をヒアリングして生活アドバイスをおこない症状が改善した事例です。
ある利用者から手の湿疹に関する相談を受けた際、薬剤師が作業内容を丁寧に聞き取った結果、水仕事による刺激が要因と判明しました。保湿成分を含む外用薬を提案するとともに、ゴム手袋の着用や作業後のスキンケアも勧めました。こうした生活背景を踏まえた対応により、利用者の症状は改善し、薬局への信頼も高まっています。

胃腸薬の選び間違いを防いだ的確なヒアリング

「胃が重い」と胃腸薬を購入しようとした方に対して、ヒアリングにより便秘による腹部膨満感が原因と判明し、便秘薬の購入を促した事例です。
ある来局者が「胃が重い」と訴えて胃腸薬を求めた場面で、薬剤師が詳しく症状を確認した結果、実際は数日間排便がないことがわかりました。腹部膨満感の原因を便秘と推察し、便秘薬を提案したことで不調が改善したと後日連絡を受けました。
このように、胃腸薬の安易な販売ではなく、丁寧な聞き取りによって真の原因を見極めることがセルフメディケーション支援の質を高め、患者さんの満足度向上にも直結します。

鎮痛薬の乱用による薬剤性頭痛を見抜いて受診勧奨

頭痛薬購入時に頻繁な服用を確認し、薬剤性頭痛の可能性があるため頭痛薬は販売せず受診勧奨した事例です。
ある利用者が頭痛薬を購入しようとした際、薬剤師が使用状況を丁寧に聞き取ったところ、週に15回以上の頭痛薬の服用が続いていることが判明しました。これは薬剤性頭痛の可能性が高いと考えたため、一般用医薬品を販売せず医療機関の受診を強く勧めました。この対応により、鎮痛薬乱用による症状悪化や副作用を回避し、適切な医療を受けることに貢献しています。販売を控える判断には躊躇がともなう場面もありますが、誤ったセルフメディケーションの継続は症状の悪化を招く恐れがあります。
薬剤師として適切に判断し、必要時に専門医への橋渡しをおこなうことが、セルフメディケーション支援の質を担保するうえで不可欠です。

5.薬局薬剤師によるセルフメディケーション支援の今後

薬局薬剤師によるセルフメディケーション支援は、今後さらに重要性を増すと考えられます。
少子高齢化により医療費が国の財政を圧迫するなか、軽度な体調不良への対応だけでなく、生活習慣の改善を含めた支援が求められるようになるでしょう。

たとえば、食事・運動・睡眠といった生活習慣のアドバイスを通じて、病気の予防や健康維持に貢献する役割が拡大していくと考えられます。薬局薬剤師は、一般用医薬品の販売だけでなく、地域住民の健康支援者としての視点を持ち、継続的な関わりを通じてセルフケア意識を高めていくことが期待されます。

これからは、医療提供体制の一翼を担う存在として、より幅広い視野での実践が不可欠です。

6.まとめ

薬局におけるセルフメディケーション支援は、一般用医薬品の販売にとどまらず、生活習慣のアドバイスや受診勧奨を含む広範な支援が求められています。的確なヒアリングや相談環境の整備、継続的なフォローアップ体制の構築が、患者満足度の向上に直結するでしょう。
今後は制度理解の促進と実践事例の蓄積により、薬局の機能が一層強化されることが期待されます。
当記事を参考に、地域に根ざした実効性のある支援体制づくりに取り組んでください。

 

 

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