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オンライン服薬指導の安全性を守る!セキュリティを重視したサービス選びのポイント

オンライン服薬指導の提供形態には、専用システムを使う場合と、LINEやZoomといった汎用ビデオ通話アプリを利用する場合があります。「件数が少ないため、コストを抑えるために汎用的なサービスで対応している」との声も多いですが、皆様の薬局ではいかがでしょうか。厚生労働省は、オンライン服薬指導を行う際に、セキュリティとプライバシー保護を確保するため、適切な通信環境の整備を求めています。本記事では、セキュリティの視点でサービス選びの要点を解説します。

1.オンライン服薬指導専用サービスと汎用サービスの違い

オンライン服薬指導専用サービスと汎用サービスそれぞれのメリットとデメリットをご紹介します。

オンライン服薬指導専用サービス

メリット

  • オンライン決済システムが付随しているサービスであれば、会計まで完結する
  • 予約管理機能を搭載しているサービスであれば、予約枠のコントロール、変更やキャンセル、確認などの管理が簡単
  • セキュリティ面をサービス事業者が担保している
  • サービス事業者によるサポートがある
  • 信頼できる専用ツールとして患者さんに利用を勧められる

デメリット

  • 有料
  • 利用開始までの契約や準備の手間がかかる

汎用サービス

メリット

  • 無料で利用できる
  • 利用開始が簡単ですぐに始められる

デメリット

  • セキュリティ面を薬局・薬剤師側が担保する必要がある
  • 患者さんが利用可能、または希望するツールを都度確認する必要がある
  • 予約枠のコントロールや管理が難しい
  • 費用の請求を薬局側で行う必要があり、後払いになるため未収金リスクも発生する

2.汎用サービス利用時のセキュリティと運用責任

オンライン服薬指導を実施するにあたっては、法的な規制やガイドラインを遵守し、情報漏洩を防ぐために、セキュリティを含めた適切な環境の整備と運用体制の確立が求められます。汎用サービスは無料で気軽に始められることが大きな利点ではありますが、使用する場合は薬局側でセキュリティの確保と運用の構築を行わなければなりません。

「オンライン服薬指導の実施要領」には、以下の記載があります。

第2 オンライン服薬指導の実施要件(施行規則第15条の13第2項第1号及び第2号関係) (2)患者に対し明らかにする事項(第2号関係)
(イ)オンライン服薬指導に係る情報の漏えい等の危険に関する事項
オンライン服薬指導時の情報の漏洩等に関する責任の所在が明確にされるようにすること。 なお、オンライン服薬指導に関する必要事項を説明するに当たっては、以下について留意すべきであること。
・ 患者に重度の認知機能障害がある等により薬剤師と十分に意思疎通を図ることができない場合は、説明の際に、患者の家族等を患者の代わりに指導の対象とすることができること。
・ 必要事項に変更が生じた場合には、改めて患者に明らかにすること。

第4 オンライン服薬指導に関するその他の留意事項
(4)通信環境(情報セキュリティ・プライバシー・利用端末)
オンライン服薬指導の実施における情報セキュリティ及びプライバシー保護等の観点から、「「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の策定について」(平成30年3月30日付け医政発0330第46号厚生労働省医政局長通知。以下「オンライン診療指針」という。)に示された内容を参考に、必要な通信環境を確保すること。なお、医療情報システムに影響を及ぼす可能性があるシステムを用いる場合、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に沿った対策を行うこと。特に「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」では、個人所有端末の業務利用については、一定の要件が求められていることに留意すること。患者側の通信環境については、患者の希望に応じたデバイスやネットワークに対応できるよう配慮すること。

(出典:厚生労働省「オンライン服薬指導の実施要領について」

「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、汎用サービスを用いる場合の留意事項について以下のように示されています。

2.オンライン診療の提供体制に関する事項
(5) 通信環境(情報セキュリティ・プライバシー・利用端末)
1-2)医療機関が汎用サービスを用いる場合に特に留意すべき事項
医療機関が汎用サービスを用いる場合は、1-1)に加えて下記の事項を実施すること。
・ 意図しない三者通信を防ぐため、医療機関から患者側につなげることを 徹底し、また通信の管理者権限を患者に委譲しないこと。
・ 医療機関又は医療機関から委託を受けた者は、汎用サービスのセキュリティポリシーを適宜確認し、患者の問い合わせに対応できるようにする こと。
・ 個別の汎用サービスに内在するセキュリティリスクを理解し、必要な対 策を講じる責任は医療機関にあり、委託を受けた者が存在する場合は、委 託契約に基づき協力する責務が委託を受けた者に課されることを理解す ること。
・ 端末立ち上げ時、パスワード認証や生体認証などを用いて操作者の認証 を行うこと。 

(出典:厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」

つまり、オンライン服薬指導を実施するにあたって、薬局や薬剤師に求められる要件は次の通りです。

  • オンライン服薬指導時の情報の漏洩等に関する責任の所在が明確にされるようにすること。
  • セキュリティ観点から、必要な通信環境を確保すること。
  • 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に沿った対策を行うこと。

汎用サービスを用いてオンライン服薬指導を行う際には、そのサービスに潜むリスクを把握し、必要な対策を講じる責任が薬局や薬剤師にあります。さらに、汎用サービスのセキュリティポリシーを適宜確認し、必要に応じて患者への説明も求められます。情報システムの専門職員が不在の薬局では、これらの法的規制やガイドラインを理解し、遵守するための業務フローを構築するのは大きな負担となることが予想されます。

一方で、オンライン服薬指導システムを使用する場合、システム提供者がセキュリティ対策を実施し、医療機関や薬局が安全に利用できるようにする責任があります。

3.オンライン服薬指導専用サービスのセキュリティ対策とガイドライン

前述したように、汎用サービスはオンライン服薬指導に特化したものではないため、必要なサポートが得られにくく、これが薬局が運用を構築する際の懸念となります。一方、オンライン服薬指導専用システムでは、医療情報の安全管理に関するガイドラインに従った設計が行われていることが一般的です。

例えば、「つながる薬局」はLINEを介するサービスですが、LINE上には個人情報を残さない独自のシステムを構築し万全のセキュリティの下、運用・管理しています。

さらにオンライン服薬指導実施においては、以下のようなフローや機能を整備することによって、ガイドラインに沿った運用を構築しています。

  • 実施前に患者側に利用規約・プライバシーポリシーへの同意を得る
  • 実施前に薬局側によって患者のユーザー承認(かかりつけ薬局登録)が必要
  • オンライン服薬指導の開始は薬局側からのみ可能
  • LINE自体の通話機能ではなく、オンライン服薬指導開始の通知リンクを開き、弊社サーバー上から通話を開始できる(万が一LINE側で情報漏洩があったとしても安心)

4.まとめ:専用サービスが理想的な理由

オンライン服薬指導専用サービスは、導入に初期費用がかかり、手続きも多く、サービスを利用開始するまでに時間を要する場合が多いですが、これはガイドラインに準拠した設計になっており、各薬局のシステム環境を確認し、十分なセキュリティ対策と効率的な運用体制を構築する必要があるためです。汎用サービスを用いて実施する場合、薬局や薬剤師にはそのサービスが持つリスクを理解し、適切な対策を講じる責任が求められます。セキュリティ対策や情報漏洩リスクの面では、オンライン服薬指導専用サービスの方が多くのメリットがあると言えるでしょう。

つながる薬局は、患者にとって親しみやすいLINEを利用したサービスであるという汎用サービスのメリットを享受しつつ、オンライン服薬指導システムとしてのセキュリティ対策も万全です。

オンライン服薬指導システムを検討する際には、ぜひセキュリティ面を考慮して選定を行うことをお勧めいたします。

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