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地域医薬品提供体制強化のためのアクションリストとは?知っておくべきポイントを解説

地域医薬品提供体制強化のためのアクションリストは、日本薬剤師会が示した地域全体で安定した医薬品供給を実現するための行動計画です。
薬局経営者にとっては、在宅医療や休日・夜間対応の整備など、経営と地域貢献を両立する重要な取り組みを明確に示す指針となっています。
しかし、次のように感じる方も多いのではないでしょうか。

「地域医薬品提供体制強化のためのアクションリストとは?」
「具体的にどのようなことが記載されているの?」
「薬局としてとくに重視すべき取り組みは?」

この記事では、アクションリストの概要から、薬局経営者が実践すべき重点アクション、さらに薬剤師会に期待される役割までを解説します。最後まで読むことで、持続可能な医薬品提供体制を築くための具体的な行動の道筋を理解でき、地域で信頼される薬局経営に役立てられるでしょう。

 

1.地域医薬品提供体制強化のためのアクションリストとは?

日本薬剤師会が公表した「地域医薬品提供体制強化のためのアクションリスト」は、地域全体で薬局と薬剤師が協力し、安定した医薬品供給を実現するための行動計画です。背景には、人口減少や過疎化に伴う医療資源の不足があり、薬局単体ではなく地域の薬剤師会が主体となり、行政や医療機関と連携して体制を整えることを重視しています。内容としては、「現状把握」「体制構築」「定期的な見直し」の三段階に分かれます。薬局経営者にとって、在宅医療や休日・夜間の対応など、地域の信頼と経営安定に直結する取り組みです。

2.地域薬剤師会・薬局が取り組むステップとアクションの概要

薬局経営や地域連携を進めるうえで、段階的に取り組む視点が欠かせません。最初に求められるのは全体像を整理し、順序立てて対応する姿勢です。段階ごとに役割や課題は異なり、薬剤師会と薬局が連携するための基盤となります。
ここでは、薬剤師会・薬局が取り組むステップとアクションを3つのステップに分けて、詳しく見ていきましょう。

STEP① 現状把握(アクション1〜3)

地域医薬品提供体制を強化するには、現状把握が不可欠です。具体的には以下の3点を確認し、地域の基盤を明確にします。

  • 薬局機能のリスト化と最新化
  • 医薬品の品目・在庫など情報の収集と共有(地域医薬品集の作成)
  • 地域の医療提供体制(一次救急など)の実態と課題の整理

これらを通じて薬剤師会と薬局が協働し、実態を「見える化」します。そのうえで次のステップへ進めていきましょう。

STEP② 対策実行(アクション4〜6)

地域住民に安心して医薬品を届けるには、現状把握で見えた課題を着実に対応へつなげる必要があります。対応策として取り組むのが、休日・夜間に対応する当番体制の整備と住民への広報活動です。次に、在宅医療対応を強化し、退院時の連携や協力薬局の活用で、患者さんの医薬品の入手を途切れさせないようにします。そして、離島や薬局がない地域には、オンライン服薬指導や派遣体制で対応し、地域ごとの実情に即した対応を実現していきます。以上の対応を整えていくことで、次のステップに移る準備が整ったといえるでしょう。

STEP③ 定期的な点検・見直し

薬剤師会と薬局が連携して実務に取り組んだ後、継続的な改善を図る姿勢が不可欠です。実施したアクション(休日・夜間対応、在宅医療、離島支援など)の効果や課題を定期的に振り返ります。そのうえで障壁となっている点を整理し、改善策や好事例を共有することで、取り組みの実効性を高められるでしょう。必要に応じて都道府県薬剤師会や日本薬剤師会に課題を相談し、地域を超えた連携で継続的な体制整備を進めていくことが重要です。

3.薬局経営者が重視すべきアクション3選

薬局経営の安定と地域貢献を両立させるには、重点的に取り組むべき行動を見極めることが重要です。優先度の高い施策に資源を集中させることで、経営の効率化と住民の信頼向上を同時に実現できます。
ここからは、アクションリストにある6つの項目のうち、薬局経営者が注目すべき3つの取り組みについて掘り下げていきましょう。

Action1 – 薬局機能のリスト化と更新

薬局経営者は、自薬局の機能や体制を正しく把握し、地域で共有できる状態に整える必要があります。自薬局の情報を定期的に確認し、変化があれば速やかに更新することが重要です。
さらに、自薬局だけで対応できない事例が発生した場合には、薬剤師会や他薬局との連携を通じて地域全体で支える姿勢が求められます。
そのためにも、以下のチェック項目を意識して取り組むと効果的です。

  • 地域や都道府県薬剤師会が示すリスト項目を参考に、自薬局のリソースを点検する
  • 薬局リストの目的を理解し、整備に参加する姿勢を持つ
  • 自薬局の機能・体制の情報を薬剤師会に報告する
  • 情報に変更があれば速やかに修正を届け出る
  • 対応困難な事例があれば、薬局リストを活用して他薬局と連携し解決に導く

このような取り組みを継続することが、地域からの信頼と経営安定の両立につながります。

Action4 – 休日・夜間対応の体制構築

休日や夜間も医薬品を届けられる体制は、地域に安心を与える大切な役割です。薬局経営者はまず自薬局の対応を整理し、地域の仕組みを理解して住民へ説明できるように備える必要があります。加えて、薬剤師会との協力を通じて緊急時の体制整備に参加する姿勢が求められます。
以下のチェックリストを参考に、自薬局での取り組みを確認してください。

  • 薬剤師会と連携し、地域の医薬品提供体制の整備に協力する
  • 自薬局の患者さん対応を再確認する
  • 地域の体制を理解し、地域住民・患者さんから相談があった際に説明できるようにする

これらを徹底することで、薬局は緊急時に信頼される存在となり、地域に不可欠な役割を果たし続けられます。

Action5 – 在宅医療対応と退院時カンファ連携

在宅医療に積極的に関わることは、薬局の地域貢献だけでなく経営の差別化にも直結します。薬局経営者は、自薬局の対応可能な範囲を把握し、医師や看護師など多職種と協力する体制を築く必要があります。とくに、退院時カンファレンスへの参加は患者さんの療養を切れ目なく支えるために欠かせません。
以下に示すチェック項目は、薬局経営に直結する重要な取り組みを抜粋したものなので、参考にしてください。

  • 自薬局の在宅医療対応リソースを再点検する(対応時間・患者数・距離など)
  • 研修参加や合同研修の実施により薬剤師のスキルアップを図る
  • 在宅対応体制を薬剤師会に報告し、地域全体の連携に参加する
  • 入院・退院の際は医療機関と連携し、退院時カンファレンスに積極的に関与する
  • 対応困難なケースは薬剤師会へ速やかに相談し、地域全体での解決を検討する

これらに取り組むことで、薬局は地域在宅医療の要としての役割を強化し、持続的な信頼と経営安定を実現できます。

4.地域薬剤師会に期待される役割とは?

地域で安定した医薬品提供を続けるには、薬局単体ではなく薬剤師会が中心となって体制を築くことが欠かせません。とくに、各薬局の機能や在庫情報を整理し、必要な情報を関係者へ届ける仕組みを持つことが重要です。
ここからは、薬剤師会が果たす役割を2つの観点から掘り下げて見ていきましょう。

薬局リストの整備と周知

薬剤師会が全薬局の機能を一覧化し、地域内で共有する取り組みは、医薬品提供体制の信頼性を左右します。各薬局の対応体制を薬剤師会が一元管理し、最新情報をリスト化することが重要です。上記の情報は、行政や医療機関、住民などに的確に周知するしくみを整備することに価値があります。こうした情報共有が進めば、来局前相談時や緊急時に複数薬局間で連携した支援が可能となり、地域全体の医療安心度を高められます。

地域医薬品集の作成・共有

薬剤師会が医薬品の品目・在庫情報などを一元化した「地域医薬品集」を作成して共有体制を整備することは、医薬品供給の安定化に直結します。地域内で取り扱われる医薬品情報を集約し、麻薬・高額薬・希少薬などのリスクある薬剤も含めて整理します。それらを過不足なく更新しつつ、関係者へ配布できる情報基盤を構築することが重要です。こうした情報集約が進めば、薬局間の融通や在庫切れ対応が迅速になり、地域医療全体の安心感が高まります。

5.地域医薬品提供体制の将来を見据えた継続的な体制強化のポイント

地域における医薬品提供体制を持続可能かつ公平に保つには、定期的な点検と情報の活用による効率化が不可欠です。構築された仕組みを継続的に検証し、課題を明らかにしつつ改善を重ねる体制を確立する必要があります。また、ICTを活用した情報共有システムの導入により、在庫状況や薬局間連携などをリアルタイムで管理し、業務負担を軽減しながら迅速な対応を可能にすることも重要です。こうした点検・見直しのループを定着させることで、地域全体の医薬品提供体制の信頼性と安定性を確保できます。

6.まとめ

地域医薬品提供体制を強化するには、薬局と薬剤師会が役割を分担し、段階的に仕組みを整えることが大切です。薬局経営者は、薬局機能の更新や休日・夜間対応、在宅医療連携などに注力し、地域からの信頼を確立する必要があります。薬剤師会は、薬局リストや地域医薬品集を整備・共有し、情報基盤を支える責務を担います。さらに、点検と見直しを継続し、ICTを活用した効率化を進めることで、地域に公平で持続可能な体制を築けるようになるでしょう。

 

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