新型コロナウイルスの流行や、大手ドラッグストアの急速な調剤併設店の出店、さらにはAmazonやスーパーマーケットといった他業界からの参入と、薬局業界は目まぐるしい変化を迎えています。こうした中で、処方箋枚数の減少や患者さんの流出、高い集中率といった課題にどう対応していくかは、薬局経営において不可欠な問題です。
本記事では、処方箋枚数減少や集中率に関わる問題と、その解決策としてのDXツールの活用事例について解説していきます。
こんなお悩みをお持ちの方におすすめの記事です。
- 新型コロナウイルス以降、減少した処方箋枚数が戻らない
- 大手チェーンのドラッグストアが近隣でオープンし、患者さんが流出するのではと危惧している
- 門前クリニックの患者さんが多く、集中率が高い
1.処方箋枚数減少の要因と影響
まず、処方箋枚数減少の要因を振り返り、それによる影響を確認しましょう。
<主な要因>
大手ドラッグストア・薬局チェーンの出店加速
大手チェーンの近隣にある小規模薬局は、集客やマーケティング力に対抗するのが難しい状況です。
他業界からの参入
Amazonやスーパーマーケットが薬局事業に進出し、処方箋送信やオンライン服薬指導のサービスを開始。より利便性を重視する患者さんが、門前という立地重視の薬局選びから脱却しています。
<影響>
これらの要因に対策をしない状況が続けば、以下の問題が発生する可能性があります。
- 他薬局への患者流出が加速
- 既存患者の離脱
- 利益減による事業縮小
2.新規処方箋獲得と集中率低下のためにできること
こうした事態を回避するためには、積極的な「新規処方箋獲得」と「集中率低下」のための施策が必要です。これを実現するためには、主に次の2つのアプローチがあります。
- 新規患者の獲得
- 既存患者の他科処方箋獲得
1. 新規患者の獲得
薬局の認知度を高め、集患を行うためには、以下のような施策が有効です。
- ポスティング:近隣の住民にチラシを配布し、薬局の存在やサービスを周知します。
- 健康フェアの開催:地元の健康イベントやフェアに参加し、薬局・薬剤師の存在や信頼性をアピール。
- ウェブサイトの作成やGoogleビジネスプロフィールの設定:オンラインでの情報発信は、特に若い世代の新規患者を引き寄せる鍵となります。
2. 既存患者の他科処方箋獲得
既存患者を対象とした施策は明確なターゲットに向けて取り組むことが可能なため、効果的です。
- かかりつけ薬局化の促進:複数の医療機関を受診している患者さんに声をかけ、継続的なフォローや情報提供を行います。
- 患者さんの利便性向上:待ち時間を減らしたり、LINEなどの連絡手段を整備し、より簡単に相談できる環境を提供します。
3.DXツールを活用した新規処方箋獲得施策
DXツールを導入することで、効率的に患者さんの利便性向上を図り、結果として新規患者の獲得や集中率低下に貢献できます。特に、処方箋送信機能やオンライン服薬指導が有効です。
処方箋送信機能
患者さんが処方箋画像をスマートフォンで薬局に送信できる機能です。薬局ではあらかじめ調剤の準備ができるため、スムーズなお渡しが可能になります。
<患者さんの利便性向上の例>
- 薬局内での待ち時間の短縮
- 家族分の薬をまとめて受け取れる
- 患者さんが薬局にいなくても、チャット機能を用いて処方内容について薬剤師とやりとりが可能
オンライン服薬指導
スマートフォン等のデバイスを使って服薬指導ができる機能です。
<患者さんの利便性向上の例>
- オンライン決済機能が付随しているサービスであれば、会計や薬の受け取りまで自宅で完結できるため、来局の負担が軽減
- 自宅に残った薬の状況をすぐに確認できる
- プライバシーの確保
- 感染リスクの軽減
- 自宅等から家族も一緒に薬の説明が聞ける
4.DXツール導入で成功した事例
例えば、A薬局ではDXツールを活用し、集中率を下げることに成功しました。
- 導入前の集中率: 75-80%
- 導入後の集中率: 70%前半
この薬局は、「つながる薬局」の処方箋送信機能を利用して月に130件以上の処方箋送信を受け付けるようになりました。その中でも特に、既存の患者さんからの他科処方箋が増加しました。また、オンライン服薬指導を利用することで、遠方に転勤した患者さんとも継続的にかかりつけ薬局として関わり続けることができました。
5.まとめ
薬局業界は急速に変化しています。患者さんの流出を防ぎ、事業を成長させるためには「新規処方箋獲得」と「集中率低下」の施策が必要不可欠です。その一環として、薬局DXツールの活用は非常に有用な手段です。成功の鍵は、患者さんの利便性を向上し選ばれる薬局になることです。自社に合ったDXツールを活用し、今後の薬局経営を強化しましょう!
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