執筆者・監修者:薬剤師
「逆流性食道炎とは?」
「なんで逆流性食道炎になるの?」
「逆流性食道炎の治し方は?」
胸やけやのどの違和感、長引く咳が気になる方は、上記のような疑問を抱えているのではないでしょうか。
逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が食道へ逆流し、粘膜に炎症を起こす疾患です。食生活や姿勢、ストレスなどの生活習慣が発症や悪化に関係します。
本記事では、逆流性食道炎の症状や重症化リスク、若い世代にも増えている背景、胃酸の逆流を招く生活習慣、食事・睡眠時の姿勢による予防法を解説します。
最後まで読めば、胸やけや咳への不安を減らし、今日から生活習慣の見直しを始められるでしょう。
逆流性食道炎とは?症状とリスク
逆流性食道炎は、胃の内容物や強い酸性の胃酸が食道へ逆流し、粘膜に炎症を起こす疾患です。胸やけなどの症状の現れ方には個人差があり、軽い不調と思って放置すると危険につながる場合もあります。
本章では、逆流性食道炎の基礎知識について解説します。
若い世代にも急増する理由
逆流性食道炎は高齢者だけの病気ではなく、20代〜40代でも発症する可能性があります。若い世代に見られる背景には、食生活の欧米化や脂肪分の多い食事、食べ過ぎなどが関係しています。
脂肪の多い食事は胃にとどまる時間が長く、胃の内容物が食道へ逆流しやすくなるため注意が必要です。また、肥満による腹圧の上昇や、夕食後すぐに横になる習慣も症状を招く原因となります。
夜遅い食事や不規則な生活が続く若い世代も、年齢にかかわらず発症リスクを意識することが大切です。
逆流性食道炎の症状
逆流性食道炎は、胃の内容物が食道やのどへ逆流することで、現れる症状や痛みを感じる場所は異なります。代表的な症状は、以下のとおりです。
● 胸の中央やみぞおち付近に焼けるような痛みを感じる胸やけ
● 酸っぱい液体や苦い液体が口まで込み上げる呑酸
● のどに何か詰まっているような違和感や頻繁なのど払い
● 胃液による刺激で起こる声枯れや声の出しにくさ
● 風邪が治った後も続く原因不明の咳や喘鳴
のどの症状が中心となる状態は咽喉頭逆流症と呼ばれ、胸やけや呑酸が目立たないケースもあります。長引く咳や声枯れが続く場合は、呼吸器疾患だけでなく逆流性食道炎も考慮し、医療機関へ相談することが大切です。
重症化リスクと合併症
のどの痛みや長引く咳を風邪と思い込み、逆流性食道炎を放置すると、夜間の症状で眠りが妨げられ、睡眠の質や日中の活動性が低下する場合があります。
食道粘膜への刺激が続けば炎症が悪化し、ただれや潰瘍、出血を起こす可能性もあります。さらに、傷ついた食道が狭くなる食道狭窄へ進むと、食べ物を飲み込みにくくなるでしょう。
慢性的な胃酸の逆流は、食道粘膜が腸に似た組織へ変化するバレット食道の一因です。バレット食道は食道腺がんにつながる可能性があるため、症状が続く場合は放置せず、医療機関で原因を調べてもらいましょう。
逆流性食道炎を引き起こす生活習慣
逆流性食道炎は、日々の何気ない習慣が原因となって発症や悪化を招くことがあります。症状を繰り返さないためには、生活の中に潜む負担を知ることが大切です。
本章では、逆流性食道炎で注意したい生活習慣について解説します。
デスクワークや猫背による腹圧の上昇
デスクワークで前かがみの姿勢が続くと、腹部が圧迫され、胃の内容物が食道側へ押し上げられやすくなります。特に食後は胃の中に食べ物が多いため、猫背のまま作業を続けると胸やけや呑酸が起こりやすい傾向です。
きついベルトや補整下着も腹部への圧力を高め、胃酸の逆流を招く一因となります。実際に、逆流症状は前屈時に悪化しやすく、腰回りを締めつける服装を避けることが勧められています。
パソコン作業中は背筋を伸ばし、食後すぐの前傾姿勢や腹部を締めつける服装を控えると、物理的な逆流を防ぎやすくなるでしょう。
脂っこい食事や遅い夕食による胃酸の逆流
揚げ物やラーメンなどの脂っこい食事は胃にとどまりやすく、胃の内容物が食道へ逆流するきっかけになります。脂肪の摂取によって分泌されるホルモンは、胃と食道の境目にある下部食道括約筋を緩める作用もあるためです。
一度に多く食べ過ぎると胃が膨らみ、内側からの圧力が高まって胃酸を含む内容物が押し上げられます。飲酒も症状を招く要因となるため、胸やけを繰り返す場合は量や頻度を見直したほうがよいでしょう。
さらに、夕食後すぐに横になると重力による逆流防止が働きにくくなるため、就寝の3時間ほど前までに食事を終えるのが有効です。
カフェインの過剰摂取とストレスの影響
仕事中にコーヒーやエナジードリンクを何杯も飲む習慣は、逆流性食道炎の症状を悪化させる場合があります。コーヒーやカフェインを含む飲料は、胸やけを引き起こしやすい飲食物の一つとして挙げられています。
ただし、摂取した人全員に症状が現れるわけではなく、影響の程度には個人差がある点にも注意が必要です。ストレスが続くと胃腸の動きが乱れるほか、食道が刺激を敏感に感じ、同じ逆流でも胸やけが強く現れる可能性があります。
症状が気になる場合は、摂取量や時間帯を記録し、コーヒーやエナジードリンクを減らした日の変化を確かめる方法が現実的です。休息や睡眠時間も確保しながら、症状を招きやすい習慣を無理のない範囲で見直しましょう。
今日からできる!逆流性食道炎を防ぐ食事と生活習慣
逆流性食道炎は、症状の原因となる生活習慣を見直すことで、悪化や再発を防げます。毎日の過ごし方を少し変えるだけでも、胃酸の逆流を抑えられるでしょう。
本章では、逆流性食道炎を防ぐ食事と生活習慣について解説します。
胃に優しい食事のポイント
逆流性食道炎の症状を抑えるには、脂肪分を控え、一度に食べ過ぎないことが基本です。主菜には揚げ物より白身魚や豆腐、納豆などを選ぶと、脂質を抑えながらたんぱく質を補えます。
キャベツをはじめとする野菜も取り入れ、刺激の強い香辛料や甘いものは、症状に合わせて量を調整しましょう。牛乳は一時的に飲みやすく感じても、高脂肪の製品では胸やけを招く人がいるため、体調を見ながら選ぶ必要があります。
食後すぐに横になると胃の内容物が逆流しやすいため、就寝や横になる時間まで3時間ほど空けるのがおすすめです。
睡眠時の姿勢で逆流を予防
夜間の胸やけや咳を抑えるには、胃酸が食道へ流れ込みにくい姿勢で眠ることが有効です。ベッドの頭側を10〜20cmほど高くすると、重力によって胃の内容物が逆流しにくくなります。枕だけを重ねるより、上半身全体に傾斜をつける方法がおすすめです。
左側を下にする姿勢(左側臥位)も、仰向けや右向きより食道への酸の逆流を減らせる場合があります。胃の位置関係により、左向きでは胃の内容物が食道側へ戻りにくくなるためです。
一方、うつ伏せは逆流予防の効果が明確ではなく、首や腰への負担も生じるため、無理に続ける必要はありません。夜間症状がある場合は、頭側を上げることと左向きを取り入れ、楽に眠れる姿勢を選びましょう。
腹圧を下げる工夫
腹圧を下げるには、姿勢や衣服を見直し、適正体重を目指すことが大切です。長時間のデスクワークでは、休憩のたびに背筋を伸ばし、前かがみで腹部を圧迫する時間を減らしましょう。
肥満は腹部から胃を押し上げる圧力を強めるため、過体重の場合は減量によって逆流症状の改善が期待できます。ウォーキングなどの有酸素運動を無理なく続け、食後すぐの激しい運動は避けるのが適切です。
また、きついベルトや補整下着ではなく、腰回りにゆとりのある衣服を選ぶと腹部への圧迫を減らせます。日常生活で腹部を締めつけない工夫を重ねることが、胃酸の逆流予防につながるでしょう。
逆流性食道炎の治し方とは?市販薬での対処法と受診の目安
逆流性食道炎の症状は、軽い段階で対処できる場合がある一方、自己判断を続けると悪化を見逃すおそれがあります。症状の強さや続く期間に応じて、適切な対応を選ぶことが重要です。
本章では、逆流性食道炎の治療の考え方と受診判断のポイントについて解説します。
市販薬の選び方
市販薬は逆流性食道炎そのものを治療するお薬ではなく、胸やけなどの症状を一時的に和らげる目的で使用します。主な商品例は、以下のとおりです。
| 種類 | 市販薬の例 | 働き |
| PPI | パリエットS | 胃酸の分泌を強く抑える |
| H2ブロッカー | ガスター10 | 胃酸の分泌を抑える |
| 制酸薬 | 太田胃散S | 胃酸を中和する |
| 粘膜保護薬 | スクラート胃腸薬 | 荒れた胃粘膜を保護する |
お薬ごとに使用できる年齢や期間が異なるため、購入時は薬剤師へ症状を伝えましょう。胸やけや呑酸を繰り返す場合は、市販薬だけで対処せず医療機関を受診してください。
医療機関を受診するタイミング
市販薬は一時的な症状を和らげる対処法ですが、改善しないまま使い続けるのは適切ではありません。受診を考えたいタイミングは、以下のとおりです。
● 2週間以上服用しても、胸やけや呑酸が改善しないとき
● 3日ほど使っても変化が乏しい、または服用をやめるとすぐ再発するとき
● 強い胸痛や息苦しさ、冷や汗を伴うとき
● 食べ物がつかえる、飲み込むと痛む、吐血や黒い便が見られるとき
上記に当てはまる場合は、逆流性食道炎の悪化だけでなく、別の病気が隠れている可能性もあります。市販薬で様子を見続けず、消化器内科などで原因を確認してもらうことが大切です。
逆流性食道炎の相談なら「つながる薬局」が便利!
仕事が忙しく薬局へ立ち寄る時間を取りにくい方には、LINE公式アカウント「つながる薬局」のサービスが便利です。友だち追加後にお好きな薬局をかかりつけ薬局として登録すれば、薬局の薬剤師へ、胸やけの症状や市販薬の選び方などをLINEから相談できます。
普段利用しているLINEからメッセージを送れるため、電話や対面よりも相談のきっかけをつくりやすい点が特徴です。服用中のお薬がある場合も、薬剤師に伝えることで、飲み合わせや使用上の注意を確認してもらえます。
症状の経過や困っている内容を伝えれば、市販薬の選び方から医療機関への相談が必要なケースまで、状況に合った助言を受けられるでしょう。
つながる薬局は、薬局への処方箋送信から健康・お薬相談、お薬手帳までLINEひとつでご利用いただけるサービスです!
つながる薬局を利用できる薬局はこちら!
まとめ
逆流性食道炎の原因や症状を理解することで、胸やけや呑酸だけでなく、のどの違和感や長引く咳にも早めに気づきやすくなります。
食事内容の見直しや就寝時の姿勢、腹圧を下げる工夫を取り入れることも、症状の予防や軽減に役立つでしょう。また、市販薬の特徴や受診の目安を把握しておけば、症状に応じた対処を選びやすくなります。
本記事を参考に生活習慣を整え、症状が続く場合は薬剤師や医療機関へ相談しながら改善を目指してください。
なお、逆流性食道炎について相談したい場合には、LINE公式アカウント「つながる薬局」の利用が便利です。「つながる薬局」であれば、友だち追加後にお好きな薬局をかかりつけ薬局として登録すれば、薬局・薬剤師へLINEから気軽に相談できます。
逆流性食道炎の不安や市販薬について相談したい方は、ぜひ「つながる薬局」をご活用ください。
つながる薬局は、薬局への処方箋送信から健康・お薬相談、お薬手帳までLINEひとつでご利用いただけるサービスです!
つながる薬局を利用できる薬局はこちら!

執筆者:佐藤 恒一
資格:薬剤師
経歴:総合病院門前薬局、精神科クリニック門前薬局にて勤務。
調剤業務・服薬指導を経験後、薬局チェーン本部のDI(医薬情報)部門に所属し、医薬品情報提供や安全性対応に従事。
医療や健康に関する情報は専門家には当たり前でも、一般の方には難しい場面が多いと感じています。執筆では専門用語をできるだけかみ砕き、読者が理解しやすい内容にすることを心掛けています。最新の医薬品情報や薬物療法の動向にも関心があり、日々情報収集を続けています。




