執筆者:看護師・監修者:薬剤師
「立ちくらみやめまいがするけれど、脱水症状かもしれない」
「病院を受診した方がいいのか、自宅で様子を見ても大丈夫なのか分からない」
と、不安に感じたことはありませんか。
脱水症状は、対応が遅れると重症化し命に関わることもあるため、早めに気づいて適切に対処することが大切です。
この記事では、看護師が脱水症状のセルフチェック方法や正しい対処法、水分補給のポイントを分かりやすく解説します。また、受診の目安や判断に迷ったときの相談先についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
脱水症状とは?なぜ「単なる水分不足」ではないのか
脱水症状は、水分が足りないだけでなく、体内の電解質(ナトリウムやカリウムなど)のバランスも崩れた状態です。まずは、脱水症状が起こる仕組みと身体への影響について見ていきましょう。
水分と電解質(ミネラル)のバランスが鍵
体内の水分量は、一般的に成人男性で約60%、成人女性や高齢者では約55%とされています。大量の発汗や下痢・嘔吐では、水分と電解質が同時に失われるため、水分だけでなく電解質も補給することが大切です。
脱水は、水分と電解質の失われ方によって、以下の3つに分類されます。
| タイプ | 特徴 |
| 高張性脱水 | 電解質より水分が多く失われ、体液が濃くなる |
| 等張性脱水 | 水分と電解質がほぼ同じ割合で失われる |
| 低張性脱水 | 水分より電解質が多く失われ、体液が薄くなる |
汗を大量にかいたあとに水だけを大量に飲むと、電解質不足を補えず、状態が悪化することがあります。そのため、脱水症状が疑われる場合は、水分とあわせて電解質も補給しましょう。
軽度・中等度・重度:重症度でみる身体の変化
脱水症状は、失われた体液量や現れる症状によって、軽度・中等度・重度に分類されます。体重減少率は重症度を判断する目安の一つですが、体重だけでなく症状もあわせて確認することが大切です。
| 重症度 | 体重減少率の目安 | 主な症状 |
| 軽度 | 2%以上5%未満 | のどの渇き、尿量の減少、軽い下痢・嘔吐、微熱 |
| 中等度 | 5%以上10%未満 | 全身の倦怠感、頭痛、めまい、嘔吐、血圧低下 |
| 重度 | 10%以上 | 意識障害、心臓・腎臓・呼吸機能の障害。死に至ることもある |
脱水症状は進行すると短時間で重症化することがあります。特に、意識がもうろうとしている、水分を自力で摂れない、けいれんがあるなどの症状がみられる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
【セルフチェック】今すぐ確認!脱水症状のサイン
脱水症状は、初期の段階では気づきにくいことがあります。ここでは、症状や身体の変化から確認できるセルフチェックのポイントを紹介します。
こんな症状は危険(めまい、ふらつき、意識もうろう)
以下のような症状がある場合は、すでに中等度〜重度の脱水症状が疑われます。
● 立っていられないほどの強いめまい・ふらつき
● 呼びかけへの反応が鈍い、会話がかみ合わない(意識もうろう)
● 頭痛や吐き気が強く、水分を口から摂ることも難しい
● 手足のけいれん、こむら返りが繰り返し起こる
これらの症状がある場合は、自宅で様子を見るのではなく、早めに医療機関への受診を検討しましょう。
身体から読み解くサイン(皮膚の乾燥、脈拍の変化)
脱水症状は、身体の変化からも気づけることがあります。
● 口や唇が乾いている
● 尿の色が濃く、回数や量が減っている
● 脈が普段より速い
● 皮膚の張りが低下している
特に、乳幼児や高齢者ではのどの渇きを感じにくいことがあるため、周囲がこうした変化に気づくことも大切です。
脱水症状かも?と思った時の「正しい対処法」
脱水症状が疑われたら、できるだけ早く適切な対応をとることが大切です。自宅で実践できる対処法と、避けるべき行動を確認しましょう。
安静と休息
まずは涼しい場所や横になれる場所に移動し、衣服を緩めて身体を休めましょう。無理に動いたり、我慢して活動を続けたりすることは症状の悪化につながります。
水だけでは不十分?正しい水分補給のポイント
脱水症状が疑われる場合は、水分だけでなく電解質も補給することが重要です。「経口補水液とスポーツドリンクはどちらを選べばよいの?」と迷ったときは、次の表を参考にしてください。
| 経口補水液 | スポーツドリンク | |
| 適した場面 | 脱水症状があるとき | 運動時などの水分補給 |
| 特徴 | 電解質を補給しやすい | 適度な電解質・糖分を含み、日常の発汗や運動 |
スポーツドリンクは運動時の水分補給には適していますが、脱水症状がみられる場合には経口補水液が適しています。また、一度に大量に飲むのではなく、少量ずつこまめに補給しましょう。
なお、暑い時期の水分・塩分補給のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:水だけじゃ防げない!熱中症対策に必要な塩分&ミネラル補給
やってはいけない「NG行動」
脱水症状が疑われるときは、次のような行動は避けましょう。
● 無理な運動を続ける
● カフェインの過剰摂取
● 一度に大量の水を飲む
このように、脱水症状が疑われる際は、安静にし水分は少量ずつこまめに補給することが大切です。なお、症状が改善しない場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関を受診してください。
病院へ行くべき「判断のライン」
脱水症状の中には、自宅で様子を見てよい場合と、早めに医療機関を受診した方がよい場合があります。ここでは、受診を検討する目安を確認しましょう。
緊急受診が必要なケース(意識障害、改善が見られないなど)
以下のような症状がある場合は、自宅で様子を見ず、速やかに医療機関を受診、または救急要請を検討してください。
● 意識障害がある
● けいれんがある
● 水分が摂れない
● 症状が改善しない、あるいは悪化する
なお、日本救急医学会は、意識障害が少しでもみられる場合は中等症以上と判断し、医療機関の受診が必要としています。
ためらわずに専門家へ相談しよう
「これくらいで病院に行っていいのか」と迷う気持ちは自然なことですが、脱水症状は進行が早く、様子を見ている間に重症化するケースもあります。
もし判断に迷うのなら、その迷い自体が専門家に相談すべきサインだと捉え、早めに医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
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まとめ
脱水症状は水分と電解質のバランスが崩れた状態です。めまいや皮膚の乾燥、体重減少率などのセルフチェックで早めに気づき、安静にして経口補水液での水分・電解質補給を行いましょう。
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執筆者:隈﨑 愛樹
資格:看護師
経歴:聖マリアンナ医科大学看護専門学校卒業後、救命センターや集中治療室から在宅といった幅広い現場で約10年勤務。現在は医療ライターをメインにフリーランスとして活動しています。
看護師として救命センターや集中治療室、在宅医療などで約10年間勤務。臨床経験を活かし、2023年より医療ライターとして活動しています。医療・ヘルスケア分野を中心に記事執筆やコンテンツ制作を行い、医療現場の視点から正確で分かりやすく、読者の疑問や不安に配慮した情報発信を心がけています。プライベートでは5歳と1歳の母。料理や薬膳茶づくりが趣味です。




