執筆者・監修者:薬剤師
2026年度の調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師指導料が廃止され、実績評価を重視する新体系へ統合されます。長年取り組んできた点数がなくなるため、以下のように不安を感じている現場の方もいるのではないでしょうか。
「かかりつけ薬剤師の点数はどう変わる?」
「新設される加算の算定要件を知りたい」
「対人業務へのシフトをどう進めればよいか」
本記事では、評価体系の再編内容や、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算・かかりつけ薬剤師訪問加算といった新設項目の詳細、経営を支える具体策まで解説します。最後まで読めば、制度変更の本質を捉えた算定戦略が明確になり、改定後も収益を維持しながら質の高い地域医療を実践できるでしょう。
目次
1.かかりつけ薬剤師指導料が廃止!2026年調剤報酬改定における評価体系の再編
2016年度の創設以来、かかりつけ薬剤師指導料は、特定の薬剤師が患者さんの服薬状況を一元的に把握し、24時間対応や在宅指導をおこなう役割を評価してきました。重複投薬の防止や残薬解消といった対人業務の核として機能し、地域医療における薬局の存在意義を示す重要な算定項目です。
しかし、2026年度の調剤報酬改定により、かかりつけ薬剤師指導料は廃止され、新たな評価体系へと組み込まれる方針が示されました。
本章では、現場の運用に直結する変更点を整理し、理解を深めていきましょう。
独立点数から服薬管理指導料へ統合
2026年調剤報酬改定により、独立した区分であったかかりつけ薬剤師指導料は廃止され、服薬管理指導料へ統合されます。上記の変更は、単なる形式的な同意取得ではなく、個々の処方箋に対する具体的な介入実績を標準的に評価する方針への転換を意味します。
評価体系の主な変更点は、以下のとおりです。
- かかりつけ薬剤師指導料(76点)の廃止
- 服薬管理指導料1のイ(かかりつけ薬剤師による指導)の新設
- かかりつけ薬剤師訪問加算などの実績に応じた評価の充実
点数体系が整理された結果、算定にはこれまで以上の専門性と継続的なフォローアップが求められます。薬剤師は、患者さんの治療アウトカムに直結する質の高い対人業務を実践しなければなりません。
具体的な介入実績をより評価する仕組みへ
2026年調剤報酬改定では、同意に基づく体制評価に加え、具体的な介入実績を上乗せで重視する体系へ移行しました。同意を得たうえでの指導に加え、患者さんの薬物治療に直接寄与する業務がこれまで以上に求められています。
評価の対象となる主な介入実績は、以下のとおりです。
- 医師への処方提案や疑義照会による処方最適化
- 残薬確認および服薬カレンダー等の活用による残薬調整
- 薬剤服用歴に基づいた継続的なフォローアップの実施
実績が点数に直結する仕組みに変わるため、介入内容を記録し可視化する重要性が高まります。質の高い対人業務の実践こそが、新制度下での正当な評価につながるでしょう。
2.対人実績を評価する2026年改定の新加算とは
2026年調剤報酬改定では、従来の点数体系が再編され、患者さんへの実質的な介入成果を評価する新たな加算が導入されました。薬局には単なる調剤業務を超え、療養生活を支える能動的な関わりが求められます。算定要件を満たすには、個別のニーズに応じた専門的なアプローチを実践しなければなりません。新設された評価項目の詳細を整理し、現場での運用方法を確認しましょう。
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算は、調剤後の継続的な状況確認と適切な指導を評価する新設項目です。残薬調整や処方変更などの介入をおこなった患者さんに対し、その後の経過を確認することを目的としており、3か月に1回を限度に算定できます。
算定にあたって守るべき主な要件を、以下に整理しました。
- 対象患者:調剤時残薬調整加算や服用薬剤調整支援料などを算定した患者
- 電話やICT機器を用いた非対面での状況確認
- 処方薬の服用状況や残薬の有無に関する把握
- 確認結果に基づいた必要な薬剤管理指導の実施
薬剤師には、来局時以外も患者さんの療養生活に深く関与する役割が期待されています。計画的なフォローアップ体制を構築し、質の高い薬学的管理を実践しましょう。
かかりつけ薬剤師訪問加算
かかりつけ薬剤師訪問加算は、在宅での薬学的管理を通じた対人業務を評価するために新設されました。患者さんや家族の依頼に基づき自宅を訪問し、生活環境に即した指導をおこなうことで6か月に1回算定可能です。
かかりつけ薬剤師訪問加算における具体的な活動内容は、以下のとおりです。
- 自宅に保管されている残薬の正確な把握と整理
- 処方薬の服用状況や保管状況の直接的な確認
- 訪問結果に基づく医療機関へのフィードバック
薬剤師が居住空間へ直接足を運ぶことで、外来では把握困難な治療課題の発見につながります。医師への迅速な情報提供を欠かさず、多職種連携を強化する機会として運用してください。
3.2026年調剤改定後の薬局経営|対人業務へのシフトを成功させる具体策
調剤報酬の評価体系が大きく変わる中、薬局経営を安定させるには業務構造の抜本的な見直しが避けられません。対人業務の実績を積み上げるための環境整備をおこない、質の高いサービスを継続できる体制を整える必要があります。これからの時代に勝ち残るための組織づくりと運用手法について、確認していきましょう。
タスクシフトによる対人業務時間の創出と実績づくり
新加算の算定実績を積み上げるには、タスクシフトによる対人業務時間の創出が不可欠です。調剤補助員の活用や調剤機器の導入を推進し、対物業務の効率化を徹底しなければなりません。
時間の捻出に向けて優先すべき施策は、以下のとおりです。
- 調剤補助員へのピッキング業務などの委譲
- 自動分割分包機等の導入による調剤精度の向上と迅速化
- 法施行を見据えた、調剤業務の外部委託の検討を含む業務フローの再構築
薬剤師が本来担うべき服薬フォローアップや訪問指導に注力できる環境を整えましょう。業務構造を根本から見直すことが、改定後の収益基盤を安定させるうえで重要です。
DX活用によるフォローアップの標準化と証跡管理
新加算の算定要件を満たすには、DX活用によるフォローアップの標準化が不可欠です。対人業務の質を均一化し、算定の根拠となる証跡を効率的に管理する体制を構築しなければなりません。
デジタルツールの導入によって実施する主な施策は、以下のとおりです。
- 電子薬歴と連携したフォローアップ記録の自動テンプレート化
- ICTツールを活用した患者さんへのメッセージ送信と既読管理
- トレーシングレポートの電子送付による医療機関との情報共有
記録作業の負担を軽減することで、薬剤師は患者さんとの対話に専念できます。エビデンスを残す仕組みづくりが、適正な報酬算定と地域医療への貢献を両立させる基盤となるでしょう。
なお、「つながる薬局」であれば、LINEを活用したフォローアップや処方箋送信機能により、新加算の算定に不可欠な対人業務の標準化と証跡管理を効率化します。オンライン服薬指導やWeb問診にも対応した薬局経営を支えるDXツールである「つながる薬局」の導入を、ぜひご検討ください。
LINEで対人業務を効率化して算定戦略を支える「つながる薬局」
4.まとめ
2026年度の調剤報酬改定は、かかりつけ薬剤師指導料の廃止と服薬管理指導料への統合され、対人業務の実績をより厳格に評価する仕組みへと変わります。新設されたフォローアップ加算や訪問加算を算定するには、ICT活用やタスクシフトによる業務時間の創出が不可欠です。質の高い指導を継続し、適切な証跡を残す体制を整えることが、改定後の薬局経営において重要です。本記事を参考に、具体的な介入実績を積み上げるための環境整備を進め、地域に必要とされる薬局としての収益基盤を強固にしてください。

