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2027年5月施行!地域連携薬局の在宅実績引き上げと健康増進支援薬局の認定要件

執筆者・監修者:薬剤師

2027年5月20日から、地域連携薬局の認定基準が見直され、健康サポート薬局は健康増進支援薬局として認定制度へ再編されます。

薬局には、在宅対応や情報連携の実績管理、人員体制、研修修了状況、地域活動実績の確認が求められるため、早めの準備が欠かせません。

制度改正を前に、以下のような疑問を抱く薬局関係者もいるでしょう。

「薬機法が改正された背景は?」
「地域連携薬局の基準はどう変わった?」
「健康増進支援薬局とは?」

本記事では、制度改正の背景、地域連携薬局の在宅実績や情報連携要件、健康増進支援薬局の認定基準、施行前に確認すべき準備項目について解説します。

最後まで読めば、両制度の違いと新たな認定要件を把握でき、2027年5月20日の施行に向けた対応を具体化できるでしょう。

 

1.地域連携薬局・健康増進支援薬局に関する制度改正の全体像

地域連携薬局と健康増進支援薬局をめぐる制度改正では、認定基準の見直しと薬局機能の整理が進められています。改正の意図を理解するには、法改正の背景と機能分化の方向性を押さえることが重要です。

本章では、制度改正の全体像を解説します。

改正薬機法と認定基準見直しの背景

2025年5月公布の改正薬機法では、国民への医薬品の適正な提供を支えるため、薬局機能の強化が制度改正の柱に位置付けられました。認定薬局については、患者さんや地域住民、医療・介護関係者が役割を判断しやすい仕組みへの見直しが進められている状況です。

地域連携薬局では、地域の医薬品提供体制を支える薬局として、在宅対応や医療・介護関係者との連携を重視した認定基準へ改められます。健康サポート薬局は、法令上の名称を健康増進支援薬局へ改め、届出制から都道府県知事による認定制へ移行します。

制度改正は、各薬局の機能を明確に示し、住民や関係職種が適切な薬局を選びやすくすることが目的です。

薬局の機能分化の明確化

制度改正では、地域連携薬局と健康増進支援薬局が担う役割を整理し、地域住民や関係職種が機能を判断しやすい仕組みへ見直されました。

両薬局の主な役割は、以下のとおりです。

区分 主な役割
地域連携薬局 ・在宅医療への対応
・医療・介護関係者との情報連携
・地域の医薬品提供体制への貢献
健康増進支援薬局 ・地域住民からの健康相談
・受診勧奨
・医療機関や関係機関への紹介

地域連携薬局には、患者さんの療養を継続的に支えるため、多職種と連携しながら地域医療へ貢献する役割が求められます。一方、健康増進支援薬局は、治療中の患者さんを含む地域住民から健康や医薬品に関する相談を受け、必要に応じて医療機関や関係機関へつなぐ身近な窓口として位置付けられます。

機能が明確になることで、住民は健康状態や相談内容に合った薬局を選びやすくなるでしょう。

2.地域連携薬局の主な認定基準変更|在宅実績と情報連携

地域連携薬局の認定基準は、2027年5月20日から在宅対応や情報連携の実績を重視する内容へ改められます。居宅での調剤・指導、入退院時の連絡、ターミナルケアや小児への在宅対応、地域薬局との協力体制が主な変更点です。

本章では、地域連携薬局で見直された認定要件を項目別に解説します。

居宅等での調剤・指導実績が年48回以上に引き上げ

地域連携薬局には、過去1年間に、居宅等での調剤、情報提供および薬学的知見に基づく指導を48回以上行った実績が求められます。

現行の基準は月平均2回以上であるため、標準的な年間回数は24回から48回へ引き上げられる形です。認定取得を目指す薬局には、継続的な在宅訪問と実績管理の強化が欠かせません。

一方、訪問診療を受ける患者さんが少ない地域などでは、標準基準を満たすことが難しい場合もあります。地域の実情を踏まえて都道府県知事が必要と判断した場合は、対象地域と回数を別に定めることが認められています。

入退院・在宅療養時の報告・連絡実績は年60回以上に再編

医療関係者への報告・連絡実績は、回数だけでなく、実績として認められる情報の範囲も見直されます。主な変更点は以下のとおりです。

比較項目 現行基準 改正後の基準
実績回数 月平均30回以上 過去1年間で60回以上
対象となる情報 利用者の薬剤・医薬品の使用に関する情報 入院時・退院時・居宅等での療養時に関する情報
評価の重点 日常的な報告・連絡の実績 入退院・在宅療養の場面における情報連携

改正後は回数基準が年間60回へ変更されますが、一般的な外来患者への情報提供を、幅広く実績に算入できる仕組みではありません。

入院時、退院時または居宅等での療養時に、服薬状況や薬学的な留意点を地域の医療機関関係者等へ報告・連絡した実績が重視されます。認定取得には、件数の確保に加え、患者さんの療養状況に応じて必要な情報を共有する体制整備が求められます。

ターミナルケア・小児在宅へ対応できる体制を整備

地域連携薬局には、ターミナルケアを要する患者や小児のうち、居宅等での調剤・情報提供・薬学的指導が必要な人へ対応できる体制が求められます。

単に在宅訪問の年間回数を満たすだけでなく、終末期や小児特有の薬学的課題へ継続的に対応できる人員配置や連携体制が必要です。また、対応可能な体制について、関係行政機関、医療提供施設、介護サービス事業者などへ情報提供する必要があります。

他薬局から依頼を受けて一時的に在宅対応を代行する体制も求められますが、ターミナルケアを要する患者と小児は代行対象から除かれます。終末期や小児の在宅医療については、他薬局による一時対応を前提とせず、自局として必要な調剤・情報提供・薬学的指導を行える体制を整えることが重要です。

地域の薬局との連携・医薬品融通に関する要件も追加

地域連携薬局には、自薬局の患者対応だけでなく、地域全体の医薬品提供体制を支える役割が求められます。新たに重視される主な要件は、以下のとおりです。

  • 地域包括ケアシステムに関する会議へ過去1年間に3回以上参加した実績
  • 地域の他の薬局へ医薬品を過去1年間に24回以上提供した実績
  • 地域の他の薬局との連携に必要な取組を立案・実施する体制
  • 災害や感染症の発生時に、他薬局と連携して医薬品を供給する体制
  • 常勤換算で2.5人以上の薬剤師を配置する体制

追加要件では、平時から地域の薬局や医療・介護関係者と協力する姿勢が重視されます。医薬品の融通や連携策を一時的な対応で終わらせず、継続的に運用する仕組みも欠かせません。

地域連携薬局には、平時から非常時まで、地域の他薬局と連携して医薬品提供体制の構築・維持に積極的な役割を担うことが期待されています。

3.2027年5月20日に施行される健康増進支援薬局の認定基準

健康増進支援薬局は、2027年5月20日から認定制度として新たに運用されます。認定には、薬剤師の勤務・研修要件に加え、相談対応や受診勧奨、地域連携の実績が必要です。

本章では、健康増進支援薬局の認定基準と地域連携薬局との違いを解説します。

健康サポート薬局制度から認定制度へ再編

現行の健康サポート薬局は、国が定める基準を満たした薬局が都道府県へ届け出て、表示できる仕組みです。2027年5月20日からは、名称を健康増進支援薬局へ改め、都道府県知事による認定制度へ再編されます。

認定を受けるには、新たな基準への適合を示す書類を添えて申請する必要があります。既存の健康サポート薬局が、施行日に健康増進支援薬局へ自動移行する制度ではありません。

現在の健康サポート薬局も、健康増進支援薬局を表示するには新制度の認定を受ける必要があります。施行日前から認定申請を行える準備行為が設けられているため、自治体が示す受付時期や必要書類を確認し、勤務体制や活動実績を計画的に整えることが重要です。

常勤薬剤師の勤務・研修要件と健康増進支援活動の実績

健康増進支援薬局の認定には、常勤薬剤師の勤務状況や実務経験、研修修了に関する要件を満たす必要があります。主な基準は以下のとおりです。

区分 主な認定要件
継続勤務 常勤薬剤師の半数以上が、同一薬局で1年以上継続して常勤勤務している
実務経験 常勤薬剤師の半数以上が、一定期間以上の薬事実務経験を有している
研修修了 常勤薬剤師の半数以上が、健康保持増進支援に関する研修を修了している 
活動実績 過去1年間に行政機関や医療提供施設、関係団体などと連携した健康増進支援活動を行っている

勤務や研修の要件は、地域住民からの相談へ継続的かつ専門的に対応する体制を確保するために設けられています。

認定申請に向けては、人員配置や研修修了証だけでなく、地域と連携した活動内容や実施日を記録し、実績を確認できる状態に整えることが重要です。

相談対応・受診勧奨・関係機関との連携体制

健康増進支援薬局には、地域住民から寄せられる健康や医薬品の相談へ、継続的に対応できる体制が求められます。相談内容から医療上の対応が必要と判断した場合は、適切な医療機関への受診勧奨を行います。

介護や生活支援が必要な場合には、地域包括支援センターをはじめとする関係機関へ紹介する対応も重要です。受診勧奨や関係機関への紹介を行った後は、紹介先に相談内容や薬剤・医薬品の使用状況を提供し、その記録を保存した実績も求められます。相談を受けるだけでなく、必要な支援へつなげた後まで連携する体制が必要です。

なお、LINEで利用できるサービスの「つながる薬局」なら、患者さんは友だち追加・かかりつけ薬局登録を行えば、来局時以外にもLINEから薬局・薬剤師へ相談可能です。対面相談とデジタルツールを組み合わせることで、継続的に相談しやすい窓口づくりにつながります。

LINEを活用した相談体制づくりができる「つながる薬局」

地域連携薬局との違い

地域連携薬局と健康増進支援薬局は、評価される中心機能が異なります。主な違いは以下のとおりです。

比較項目 地域連携薬局 健康増進支援薬局
中心となる支援 外来・入退院・在宅療養を通じた薬物治療の支援 地域住民や患者さんの健康保持・増進の支援
重視される機能 ・入退院・在宅療養時の情報連携
・在宅での調剤・指導
・健康相談
・受診勧奨
・関係機関への紹介
医薬品対応 地域の医薬品提供体制への貢献 OTC医薬品、衛生材料、介護用品等の相談・提供
活動の中心 医療・介護関係者や地域の薬局との連携 健康増進支援活動と関係機関との連携

地域連携薬局は、療養場所が変わる患者さんへの薬物治療を多職種で支える役割を担います。一方、健康増進支援薬局は、病気の有無を問わず相談を受け、セルフケアや適切な受診につなげる薬局です。

両制度の違いを理解することで、地域住民や関係職種が目的に合う薬局を選びやすくなるでしょう。

4.2027年5月20日施行に向けて薬局が準備すべきこと

2027年5月20日の施行に備えるには、認定基準を満たす体制と実績を早めに確認することが重要です。在宅対応や情報連携の集計に加え、相談対応や医薬品供給の手順、人員配置、研修修了状況、地域活動の記録も整理する必要があります。

本章では、薬局が優先して準備すべき項目を解説します。

在宅・情報連携実績の集計方法を見直す

地域連携薬局の新基準へ対応するには、在宅訪問と情報連携の実績を、改正後の算入条件に沿って集計し直す必要があります。居宅等での調剤・指導は原則として年48回以上、入院時・退院時・居宅等での療養時の報告・連絡は原則として年60回以上が必要です。ただし、都道府県知事が地域の実情に応じて別の回数を定める場合があります。

従来の件数だけを記録する方法では、認定申請時に実績の対象範囲を確認できないおそれがあります。実施場所、患者さんの療養場面、情報提供先、共有した内容を記録し、対象実績を判別できる管理体制が重要です。

薬歴や報告書の様式も点検し、集計根拠を過去1年間にわたって示せる状態へ整えることが求められます。

認定基準に沿った相談・在宅・地域連携体制を整備する

認定申請に向けては、実績や人員を確認するだけでなく、新たな基準に沿った体制を実際に整備する必要があります。地域連携薬局では、ターミナルケアや小児在宅への対応、他薬局から依頼された在宅業務の一時的な代行、休日・夜間の調剤体制を点検しましょう。

災害や感染症の発生時に他薬局と連携して医薬品を供給する手順や、医療・介護関係者へ患者情報を共有する方法も明確にします。健康増進支援薬局では、時間外相談、受診勧奨、関係機関への紹介、紹介後の情報提供と記録保存まで運用できる体制が必要です。

連絡先一覧、対応手順書、記録様式、職員間の役割分担を整え、認定基準を継続的に満たせる状態へ準備することが重要です。

人員体制・研修修了状況・地域活動実績を確認する

健康増進支援薬局の認定申請に備え、常勤薬剤師の勤務年数や実務経験を一覧化しておく必要があります。常勤薬剤師の半数以上が同一薬局で1年以上継続勤務し、対象研修を修了しているかを確認しましょう。

研修修了証や受講記録の保管状況を点検し、申請時に要件への適合を示せるよう整理することが重要です。研修の有効期間や更新に関する取扱いが別途示されている場合は、最新の通知や実施機関の案内も確認します。あわせて、行政機関や医療機関、薬剤師会などと連携した健康増進支援活動の記録を確認しましょう。

実施日、連携先、活動内容、参加者が分かる資料を保管し、過去1年間の実績として提示できる体制を整えることが求められます。

5.まとめ

2027年5月20日の施行により、地域連携薬局では在宅対応や情報連携の実績基準が見直され、地域全体を支える役割が一層重視されます。健康サポート薬局は健康増進支援薬局へ再編され、勤務体制や研修修了、健康増進支援活動の実績が認定要件となります。

薬局には、実績の集計方法や記録様式を見直し、人員配置や地域活動の状況を早めに確認する姿勢が欠かせません。

本記事を参考に、新たな認定基準を整理し、施行日に向けた準備を計画的に進めてください。

執筆者:佐藤 恒一

資格:薬剤師

経歴:総合病院門前薬局、精神科クリニック門前薬局にて勤務。調剤業務・服薬指導を経験後、薬局チェーン本部のDI(医薬情報)部門に所属し、医薬品情報提供や安全性対応に従事。現在は複数薬局の運営を担い、現場業務の効率化、人材育成、収益改善、地域医療への対応など、薬局経営に関わる幅広い業務に携わる。

薬局経営や薬剤師業務は、制度改定や地域医療の変化により、年々複雑さを増しています。執筆では、薬局経営者や薬局従事者が実務に活かしやすいよう、制度や業務課題を具体的に整理し、現場目線でわかりやすく伝えることを心掛けています。最新の調剤報酬改定や薬局経営の動向にも関心を持ち、日々情報収集を続けています。

監修者:岸 敦史

資格:薬剤師

経歴:総合病院前の調剤薬局にて勤務後、循環器病院での病棟勤務を経て、調剤チェーンにて薬局長や担当エリア教育担当、ブロック長(マネージャー)を経験。その後、ファーマシフトにてセールスをメインとして活動後、現在はマーケティングを担当しながら、調剤報酬の内容などの社内周知等を実施。

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